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働きたいけど自信がない…そんな人に向けた職業訓練のすすめ

📖 約58✍️ 伊藤 真由美
働きたいけど自信がない…そんな人に向けた職業訓練のすすめ
「働きたいけれど、スキルや体力、人間関係に自信がない」と悩む障害のある方に向けて、就労に向けた橋渡しとなる「職業訓練」を詳しく解説します。公的な「ハロートレーニング」の仕組みや、障害者専用の訓練校が提供する手厚いサポート、受講中に受け取れる給付金制度など、経済的・心理的な不安を解消するための情報を網羅。一歩踏み出すのが怖いと感じている方が、スモールステップで自信を取り戻し、自分らしい働き方を見つけるための具体的なガイドです。

「働きたい」という気持ちに寄り添う一歩

「そろそろ働きたいけれど、ブランクがあって社会に出るのが怖い」「自分にできる仕事があるのか自信が持てない」という悩みを抱えていませんか。障害や病気を抱えながらの就職活動は、周囲の視線や自身の体調への不安も重なり、とても勇気がいるものです。

そんな時に、いきなり「就職」を目指すのではなく、その前段階として「職業訓練(ハロートレーニング)」を活用するという選択肢があります。ここは、スキルを身につけるだけの場所ではなく、同じ悩みを持つ仲間と共に、社会で働くための「自信」をゆっくりと育んでいく場所です。

この記事では、職業訓練の種類や、障害のある方が安心して学べる環境、そして経済的な不安を解消する制度について詳しく解説します。あなたのペースで、少しずつ未来への扉を開いていくためのヒントを一緒に探していきましょう。


職業訓練が自信に繋がる3つの理由

1. 規則正しい生活が土台を作る

長い間、自宅で過ごしていたり療養していたりすると、毎日決まった時間に起きて外出すること自体が大きな壁になります。職業訓練に通うことで、まずは生活リズムを一定に保つ練習ができます。これが「働ける」という自信の第一歩になります。

訓練校は、実際の職場よりも緩やかな環境でありながら、社会生活に必要な規律を学ぶことができます。午前中に授業を受け、昼食をとり、午後の実習に臨む。こうしたルーチンを繰り返すことで、無理なく「社会人としての体力」が戻ってきます。

もし体調を崩してしまっても、訓練校の指導員やハローワークの担当者に相談できる仕組みが整っています。失敗を恐れずに「通う」という実績を積み重ねることで、自分自身のコンディションを管理するスキルも自然と身についていくのです。

2. 実践的なスキルが武器になる

「自分には特技がない」と思い込んでいる方でも、数ヶ月の訓練を受けることで、履歴書に堂々と書けるスキルを習得できます。事務、IT、Webデザイン、清掃、調理など、コースは非常に多岐にわたります。

講師は教えるプロであり、基礎から丁寧に指導してくれます。独学では挫折してしまいそうな内容も、質問できる環境があることで「わかる」「できる」へと変わっていきます。この成功体験が、失いかけていた自己肯定感を大きく引き上げてくれます。

また、多くのコースでは資格取得を目指すことができます。公的な資格を手に入れることは、企業に対して「私はこれだけのことができます」という客観的な証明になります。スキルの向上は、不安を安心に変えるための最も確実な手段の一つです。

3. 同じ悩みを持つ仲間と出会える

就職活動を一人で行っていると、どうしても孤独を感じ、「自分だけが取り残されている」という感覚に陥りがちです。しかし、訓練校にはあなたと同じように「現状を変えたい」と願う仲間が集まっています。

特に障害者向けの訓練コースでは、似たような困難を経験してきた人たちと出会えます。お互いの悩みに共感し、励まし合いながら学ぶ経験は、何物にも代えがたい心の支えになります。「一人ではない」と感じることで、一歩を踏み出す勇気が湧いてくるものです。

仲間とのコミュニケーションは、職場での人間関係の練習にもなります。適度な距離感を保ちながら協力して課題に取り組む経験は、対人関係への不安を和らげ、就職後のスムーズな適応を助けてくれるでしょう。

💡 ポイント

職業訓練は「学ぶ場」であると同時に「社会に慣れる場」でもあります。焦らず、自分のペースで社会との繋がりを取り戻していきましょう。


障害のある方が選べる訓練の種類

公共職業訓練と求職者支援訓練

ハローワークが窓口となっている職業訓練には、大きく分けて2つの種類があります。雇用保険(失業保険)を受給している方が対象の「公共職業訓練」と、受給していない方が対象の「求職者支援訓練」です。

公共職業訓練は、都道府県が設置した訓練校や民間の専門学校で実施されます。求職者支援訓練は、主に民間の教育訓練機関が厚生労働省の認定を受けて実施します。どちらも受講料は原則無料(テキスト代等は実費)です。

どちらの訓練を選ぶべきかは、現在の雇用保険の受給状況によって決まります。まずはハローワークの窓口で自分の状況を話し、どの枠組みが利用できるかを確認しましょう。専門の相談員が、あなたの希望に沿ったコースを一緒に探してくれます。

障害者職業能力開発校の魅力

「一般的な訓練校でついていけるか不安」という方には、国立や県立の「障害者職業能力開発校」がおすすめです。全国に13校ある国立のほか、都道府県が運営する施設もあります。ここは、障害の特性に配慮した専門的な訓練機関です。

例えば、車椅子の方でも動きやすいバリアフリー環境はもちろん、精神障害や発達障害のある方に配慮した少人数制、視覚・聴覚障害のある方向けの補助器具などが完備されています。指導員も障害に関する知識が豊富で、きめ細かな対応が受けられます。

こうした専門校では、就職支援スタッフが企業との橋渡しを積極的に行ってくれます。あなたの得意なことや配慮が必要なことを企業に正しく伝えてくれるため、マッチングの精度が高いというメリットがあります。安心して就職活動に専念できる環境です。

ITから実務まで多彩なコース

学べる内容は非常に多岐にわたります。最近ではテレワークの普及に伴い、Webデザイナーやプログラミング、デジタルマーケティングなどのIT系コースが非常に人気です。在宅で働きたいと考えている方には大きなチャンスとなります。

一方で、伝統的な事務系コースも根強い人気があります。WordやExcelの操作だけでなく、ビジネスマナーや経理事務の基礎を学ぶことができます。また、物流・建物清掃、介護サービス、造園、パン作りなど、実技中心のコースも充実しています。

「何を選べばいいかわからない」という場合は、いくつかのコースを見学したり、体験入校を利用したりすることをおすすめします。自分の興味だけでなく、「無理なく続けられそうか」という視点で選ぶことが、自信を維持する鍵となります。

訓練分野 学べるスキルの例 向いている人
ビジネス事務 Word、Excel、簿記、マナー オフィスワークを目指す人
IT・デザイン Web制作、プログラミング、CAD 集中して作業することが好きな人
サービス・実技 清掃、調理、介護、園芸 体を動かす仕事がしたい人


経済的な不安をサポートする制度

職業訓練受講給付金(月10万円)の仕組み

雇用保険を受給できない方が訓練を受ける際、一定の条件を満たせば月額10万円の「職業訓練受講給付金」を受け取ることができます。これに加え、通所手当(交通費)も支給されます。生活費の不安を軽減しながら、訓練に集中するための制度です。

支給を受けるためには、本人収入が月8万円以下であることや、世帯全体の収入・資産に制限があることなど、いくつかの条件があります。また、原則としてすべての訓練日に出席することが求められます。これは、本気で就職を目指す人を支えるためのルールです。

給付金を受け取りながら学ぶことは、家族への負担を減らすことにも繋がります。経済的な自立への第一歩として、この制度を活用できるかどうか、ハローワークでシミュレーションしてもらいましょう。障害年金を受給している場合でも、条件次第で併用が可能です。

雇用保険の延長給付(受講手当)

雇用保険を受給している方が公共職業訓練を受ける場合、訓練が終わるまで失業手当の給付期間が延長されることがあります。これを「訓練延長給付」と呼びます。本来の受給期間が終わっても、訓練を受けている間は手当が継続されます。

さらに、受講手当(日額500円、最大40日間)や通所手当も加算されます。じっくりと腰を据えて数ヶ月から1年の訓練を受けられるのは、失業保険がある方だけの特権です。この期間に資格を複数取得するなど、市場価値を高める戦略が立てられます。

「手当が切れるから早く就職しなきゃ」と焦ると、不向きな職場を選んでしまいがちです。延長給付を利用してしっかりスキルを身につけることは、結果として長期的な定着に繋がります。焦らずに、今は力を蓄える時期だと捉えてみましょう。

⚠️ 注意

給付金や延長給付を受けるためには、ハローワークでの「受講指示」や「受講推薦」が必要です。勝手に申し込むのではなく、必ず事前に窓口で相談手続きを行ってください。

通学や環境に関わる助成制度

障害者職業能力開発校の中には、遠方の方向けに「寮」を完備しているところもあります。寮費が非常に安価に設定されていたり、食事が提供されたりする場合もあり、集中して学ぶ環境が整っています。親元を離れて自立する練習として活用する方もいます。

また、自治体によっては、障害のある受講生に対して独自の通学費助成を行っているケースもあります。公共交通機関の割引制度(障害者割引)と併用できる場合もあるため、地域の福祉窓口でも情報を集めてみましょう。

経済的な支援は、「頑張るための土台」です。国や自治体の制度を賢く使うことは、権利であり、未来への投資です。専門用語が多くて難しく感じるかもしれませんが、ハローワークの職員が分かりやすく説明してくれるので安心してください。


通う前に知っておきたい不安へのQ&A

Q. 途中で体調が悪くなったらどうすればいい?

A. 訓練校には保健室があったり、相談員が常駐していたりすることが多いです。無理をして隠すのではなく、早めに相談することが大切です。欠席する場合でも、医師の診断書等があれば「やむを得ない欠席」として認められ、給付金への影響が最小限に抑えられる仕組みもあります。自分の体調を最優先にする練習だと思って、相談スキルを磨きましょう。

Q. 授業についていけるか不安です

A. 職業訓練は、未経験者を対象に設計されています。最初は驚くほど基礎的な内容から始まります。また、障害者向けの訓練では個別指導の時間を設けていることも多いです。周りと比べる必要はありません。昨日より一つできることが増えた、という感覚を大切にしてください。講師もあなたの「働きたい」という意欲を一番に応援してくれます。

Q. 年齢が若くなくても大丈夫ですか?

A. 全く問題ありません。訓練校には10代から50代、60代まで幅広い年齢層の方が通っています。特に障害者枠での就職を目指す場合、これまでの人生経験と新しいスキルを掛け合わせることで、深みのある強みになります。「今さら」ではなく「今から」の精神で、新しいことを学ぶ楽しさを味わってください。

「40代で発達障害が分かり、絶望していましたが、職業訓練校でPCスキルを身につけたことで、『自分にもできることがある』と確信できました。先生が私の特性を理解してくれたのが一番の救いでした。」

— 40代・元受講生の声

✅ 成功のコツ

完璧を目指さないことが、継続のコツです。出席率8割を一つの目安にして、まずは「通うこと」自体を自分の中で褒めてあげましょう。


自分に合った訓練校を見つけるステップ

1. ハローワークの専門窓口を訪ねる

最初のアクションは、ハローワークの「障害者専門窓口」を訪ねることです。ここは、障害のある方の就職を専門にサポートする場所です。あなたの障害の種類や程度、これまでの経歴、そして現在の不安な気持ちをじっくりと聴いてくれます。

相談員は、地域で実施されている最新の訓練コース情報を網羅しています。自分一人でパンフレットを眺めるよりも、専門家の視点で「あなたの強みを活かせるコース」を提案してもらう方が、ミスマッチを防ぐことができます。まずは「相談予約」の電話を入れることから始めましょう。

相談に行く際は、障害者手帳や主治医の診断書などがあるとスムーズですが、なくても相談は可能です。今の状況でどのようなサポートが受けられるのか、まずは情報を集めるつもりで、リラックスして足を運んでみてください。

2. 施設見学や体験入校に参加する

気になるコースが見つかったら、必ず施設見学に行きましょう。百聞は一見にしかずです。教室の明るさ、トイレの使いやすさ、通学路の混雑状況、そして何より講師や他の受講生の雰囲気を肌で感じることが重要です。

見学時には「休憩時間はどう過ごしているか」「体調不良時の対応はどうなっているか」など、気になることを遠慮なく質問しましょう。多くの学校では、個別の相談会も設けています。自分を受け入れてくれる場所かどうかを、自分の目で確かめることは、納得感のある選択に繋がります。

学校によっては数日間の「体験入校」を実施している場合もあります。実際の授業を体験してみることで、「ここなら頑張れそう」という手応えが得られるはずです。自分の直感を信じて、心地よく過ごせそうな場所を選んでください。

3. 入校試験に向けた準備

訓練校には定員があるため、選考試験(面接や筆記試験)が行われるのが一般的です。「試験」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、多くの場合、学力を測るためというよりは「最後までやり遂げる意欲」を確認するためのものです。

面接では、これまでの挫折経験を隠す必要はありません。「今は体調が整ってきたので、スキルを身につけて働きたい」という前向きな意欲を伝えましょう。ハローワークでは模擬面接などの対策も行ってくれるので、自信がない方は積極的に活用してください。

筆記試験は、中学生レベルの基礎問題が中心です。不安な場合は、市販の適性検査対策本を軽く一読しておくだけでも安心感が違います。大切なのは満点を取ることではなく、今の自分にできることを丁寧に答案に書く姿勢です。


まとめ

働きたいけれど自信がない…その気持ちは、あなたが自分の人生を真剣に考えている証拠です。職業訓練は、そんなあなたの「変わりたい」という想いを形にするための、温かいステップボードです。スキル、生活リズム、そして仲間。これらを手に入れる過程で、自信は後から必ずついてきます。

一度にすべてを解決しようとしなくて大丈夫です。今日、この記事を最後まで読んだことも、立派な行動のひとつです。まずはハローワークのパンフレットを眺める、あるいは専門窓口に電話をしてみる。そんな小さな一歩から、新しい毎日が始まります。

  • ハローワークの専門窓口で、まずは悩みを話してみましょう。
  • 見学や体験を通じて、自分が安心できる環境を選びましょう。
  • 給付金制度を活用し、経済的な安心を確保しましょう。

あなたの「働きたい」という願いが、適切なサポートと出会い、自分らしい輝きに繋がることを心から応援しています。まずは、お近くのハローワークの場所を確認することから始めてみませんか?

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

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