障害者手帳で利用できるサービス一覧【最新版】

障害を持つ方々にとって、**障害者手帳は、社会的な支援やサービスを受けるための「パスポート」とも言える、非常に重要なものです。この手帳を持つことで、生活費の負担軽減から就労支援、移動のサポートに至るまで、国や自治体、そして民間の事業者が提供する多岐にわたる公的・私的サービスの利用が可能になります。
しかし、障害者手帳には3種類あり、それぞれ利用できるサービスが異なり、さらに自治体や等級によって受けられる支援の内容が細かく変わってくるため、「自分の持っている手帳で、具体的にどんなサービスが使えるのか、全体像が把握しにくい」と感じている方も多いでしょう。
このガイド記事は、「障害者手帳で利用できるサービス一覧【最新版】」**として、手帳の種類別に「生活の支援・金銭的優遇」「移動・交通の割引」「税制上の優遇」「民間・公共施設の割引」という4つの柱から、手帳を最大限に活用するための情報を最新の制度に基づいて徹底的にわかりやすく解説します。
この情報が、手帳の取得を検討されている方、すでに手帳をお持ちで利用できるサービスを再確認したい方々にとって、その生活の質(QOL)向上に直結する確かな一歩となることを願っています。
パート1:障害者手帳の基礎知識と3つの種類
日本における障害者手帳は、障害の種類や程度に応じて主に3種類に分けられています。利用できるサービスの根拠や範囲は、この手帳の種類に大きく依存します。
1.3種類の障害者手帳
| 手帳の種類 | 対象となる障害 | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 肢体不自由、視覚・聴覚・平衡機能の障害、心臓・腎臓・呼吸器などの内部障害。 | 身体障害者福祉法 |
| 療育手帳(愛の手帳など) | 知的障害(IQ値や日常生活能力によって判断される)。 | 制度要綱に基づく各自治体の判断 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 統合失調症、うつ病、てんかん、発達障害など、精神疾患による長期的な障害。 | 精神保健福祉法 |
2.3種類の手帳で共通して利用できる主なサービス
すべての手帳保持者が共通して利用できるのは、主に以下のサービスです。
- 障害者総合支援法に基づく福祉サービス:居宅介護、重度訪問介護、短期入所(ショートステイ)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)など。(ただし、サービスの利用には障害支援区分の認定や支給決定が必要です。)
- 税制上の優遇:所得税・住民税の障害者控除、相続税・贈与税の一部非課税など。
- 公共施設や民間施設の割引:美術館、博物館、動物園などの入場料無料・割引、携帯電話料金の割引など。
💡 サービスの利用には「級」が重要
身体障害者手帳(1級~7級)、療育手帳(A・Bなど)、精神障害者保健福祉手帳(1級~3級)の等級(重度・中度・軽度)によって、受けられるサービスの範囲や割引率が大きく異なります。特に重度な等級(1級・A判定など)ほど、支援の内容は手厚くなります。
パート2:生活の支援と金銭的な優遇サービス
障害者手帳は、日常生活の負担を軽減し、経済的な安定を支えるための各種優遇措置の根拠となります。
1.公営住宅・住居に関する優遇
- 公営住宅の優先入居:身体・知的・精神障害者がいる世帯は、公営住宅(市営住宅、都営住宅など)への入居において、優先的な取り扱いを受けられる場合があります。
- 住宅改造費の助成:手帳を持つ方が自宅をバリアフリー化したり、生活しやすく改造したりする際に、自治体から助成金を受けられる場合があります。(主に対象は身体障害者)
- 生活保護の加算:生活保護を受給している場合、障害の程度に応じて障害者加算が支給されます。
2.所得・税制上の優遇措置(全手帳共通)
- 所得税・住民税の障害者控除:納税者本人または扶養親族が障害者である場合、一定額の所得控除(普通障害者控除、特別障害者控除)を受けられます。
- **特別障害者:**手帳1級・2級(身体)、A(療育)、1級(精神)など、重度の障害を持つ方は控除額が大きくなります。
- 相続税・贈与税の非課税:障害者を扶養する者が、将来の生活資金として信託銀行などに金銭を信託する場合、一定額までの贈与税が非課税になる制度があります。
- 自動車税・軽自動車税の減免:障害者本人またはその家族が、障害者のために使用する自動車について、一定の条件を満たせば税金が減免されます。(主に身体1級~3級、療育A、精神1級など、重度の方が対象)
3.その他公的給付・貸付
- 特別障害者手当:20歳以上で、身体または精神に著しく重度の障害があり、日常生活において常に特別の介護を必要とする方に支給されます。(別途審査あり)
- 生活福祉資金貸付制度:低所得世帯、高齢者世帯、障害者世帯を対象に、生活に必要な資金を低利子または無利子で貸し付ける制度があります。
パート3:移動・交通に関する割引サービス
移動や交通に関する割引は、障害者が社会活動に参加しやすくするために非常に重要なサービスです。割引内容は交通機関によって異なります。
1.鉄道・バス・タクシー割引
| 交通機関 | 割引対象 | 割引率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| JR(鉄道) | 第1種(重度)の手帳保持者: 本人と介護者1名が割引。 | 5割引 | 乗車券の距離制限あり。(通常 100km超) 第2種(中軽度)は本人のみ割引。 |
| 私鉄・地下鉄 | 多くの事業者でJRと同様の割引を実施。 | 5割引 | 自治体の制度により割引率が異なる場合あり。 |
| 路線バス | 手帳の種類・等級に関わらず、 本人または本人と介護者が割引。 | 5割引 | バス会社や自治体により、無料乗車証が発行される場合がある。 |
| タクシー | すべての手帳保持者。 | 1割引 | 乗車時に手帳提示が必要。 |
2.有料道路(ETC)割引(身体・療育手帳が主)
- 割引対象:有料道路(高速道路など)を利用する際、事前に登録した自動車が割引の対象となります。
- **重度障害者(第1種など):**本人運転または介護者運転のどちらも割引対象。
- 中軽度障害者(第2種など):本人が運転する場合のみ割引対象。
- 割引率:5割引
- 手続き:事前の申請と登録が必要。ETC車載器の登録が必要。
3.航空運賃(身体・療育手帳が主)
- 割引率:各航空会社の定める割引運賃が適用されます。時期や路線により割引率が異なりますが、普通運賃の2割~5割引き程度となることが多いです。
- 対象:本人とその介護者1名(条件あり)。
⚠️ 注意点:精神障害者保健福祉手帳の取り扱い
精神障害者保健福祉手帳については、JR線や航空会社など、一部の交通機関で割引対象外となる場合や、割引の適用開始が遅れている場合があります。利用前に必ず確認が必要です。(バスやタクシー、地域によっては割引対象となることが多い。)
パート4:公共・民間サービスと施設利用の割引
日々の生活の中で利用する公共サービスや、民間企業のサービスにも、手帳による優遇措置が広く設けられています。
1.公共施設・文化施設の優遇
- 博物館・美術館・動物園など:公立施設は、手帳を提示することで本人と介護者1名の入場料が無料または割引となる場合がほとんどです。(私立施設でも割引がある場合あり)
- 映画館:一部の映画館チェーンでは、本人と介護者1名が割引料金で鑑賞できます。
- スポーツ施設:自治体が運営する体育館や温水プールなどの利用料が、無料または割引になります。
2.通信・放送に関する優遇(全手帳共通)
- 携帯電話料金の割引:主要な携帯電話会社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど)では、手帳を持つ方を対象とした独自の割引プラン(例:ハーティ割引、スマイルハート割引)を提供しています。
- NHK受信料の減免:世帯主が手帳を持ち、世帯全員が住民税非課税である場合(全額免除)や、重度の障害者がいる場合(半額免除)など、一定の条件を満たせば受信料が減免されます。(別途手続きが必要)
3.郵便・公共料金に関する優遇
- 郵便料金の割引:点字や録音物などの郵便物は、無料または割引料金で送ることができます。
- 水道料金の減免:自治体によっては、重度の手帳を持つ世帯に対して、水道料金や下水道料金を減免する制度を設けています。(各自治体の制度確認が必要)
パート5:障害福祉サービスの利用と手帳の種類
障害者手帳の最大のメリットは、障害者総合支援法に基づく各種福祉サービスが利用できる根拠となることです。利用可能なサービスは手帳の種類によって特徴があります。
1.身体障害者手帳で利用しやすいサービス
- 補装具費の支給:車いす、義肢、装具、補聴器、盲人安全杖など、身体機能を補完・代替するための用具の購入・修理費用が支給されます。
- 日常生活用具の給付:特殊寝台、入浴補助用具、住宅改修、視覚障害者用音声時計など、日常生活を便利にするための用具の給付を受けられます。
- 自立支援医療:身体の障害を軽減・除去するための医療(更生医療)の医療費自己負担額が軽減されます。
2.療育手帳で利用しやすいサービス
- 行動援護:知的障害や精神障害により行動の判断が困難な方が、危険を回避するために外出する際の支援。(手帳の有無に関わらず利用可能だが、療育手帳保持者が多い)
- 放課後等デイサービス(児童):学校就学中の障害を持つ児童が、放課後や長期休暇中に利用できる療育の場。
- 福祉ホーム:地域で共同生活を送るための住居の提供。(利用には別途手続きが必要)
3.精神障害者保健福祉手帳で利用しやすいサービス
- 自立支援医療(精神通院医療):精神科・心療内科の通院医療費の自己負担額が1割に軽減されます。(手帳がなくても利用可能だが、同時に申請することが多い)
- 地域活動支援センター:創作的活動や生産活動の機会提供、地域住民との交流促進の場。
- ピアサポート:同じ精神障害を持つ仲間(ピア)による相談支援。
✅ 共通して重要なサービス:就労支援
3種類の手帳全てで、ハローワークの障害者専門窓口の利用や、障害者向けの求人への応募が可能です。さらに、就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)といった福祉サービスを利用して、専門的な就職・就労サポートを受けることができます。
まとめ:手帳を最大限に活用するために
障害者手帳は、単なる証明書ではなく、生活の負担を軽減し、社会参加の機会を拡大するための、具体的な「優遇措置と支援のリスト」にアクセスするための鍵です。
- 3種類の手帳:身体・療育・精神の3種類があり、それぞれ利用できるサービスに特徴があります。
- 移動・金銭:公共交通機関の割引、税金の控除・減免など、金銭的なメリットが大きい。
- 生活支援:福祉サービスや補装具・日常生活用具の給付など、日々の生活を支えるサポートが受けられる。
手帳のサービスは自治体や等級によって細かく異なるため、この一覧で全体像を把握した後、お住まいの自治体の窓口や相談支援専門員に相談し、ご自身が具体的に利用できるサービスについて確認することが、手帳を最大限に活用する鍵となります。
✅ 次のアクション
手帳の種類と等級を確認し、まず「交通費・施設利用の割引」と「税金・料金の減免(控除など)」のうち、まだ利用していないものがあるかチェックし、お住まいの自治体のホームページで具体的な申請方法を調べてみましょう。

金子 匠
(かねこ たくみ)55歳📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士
障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。
大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。
🎨 趣味・特技
読書、散歩
🔍 最近気になっているテーマ
障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形





