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障害者手帳アプリ化は進んでいる?最新動向を解説

📖 約33✍️ 高橋 健一
障害者手帳アプリ化は進んでいる?最新動向を解説
障害者手帳のアプリ化(デジタル化)は、マイナンバーカードとマイナポータルを基盤とした情報連携により、着実に進んでいます。これにより、割引サービス利用時のスムーズな提示や、行政手続きのオンライン完結、緊急時の情報共有などが可能となり、利便性が大幅に向上します。ただし、デジタルデバイドやプライバシー保護への対策が重要課題です。利用者は、早期にマイナンバーカードを取得し、自治体の最新情報をチェックすることで、デジタル化の恩恵を最大限に受ける準備を進めることが推奨されます。

障害者手帳アプリ化は進んでいる?最新動向を解説

これまでの障害者手帳は、紙やカード型の現物として交付され、サービスを利用するたびに提示が必要でした。しかし、私たちの日常生活のあらゆる場面でスマートフォンが活用される中、「手帳もデジタル化してアプリで使えたら便利なのに」と感じている方は多いのではないでしょうか。

重い荷物や複数のカードを持ち歩く必要がなくなり、紛失の心配も減るデジタル化は、障害のある方やそのご家族にとって大きなメリットをもたらします。この記事では、障害者手帳のアプリ化、すなわちデジタル化の最新の動向と、その中核となる取り組みについて詳しく解説します。

デジタル技術が、私たちの生活をどのように変え、支援をよりスムーズにするのかを見ていきましょう。


デジタル化の基盤:マイナポータルと連携

障害者手帳のデジタル化は、単に紙の手帳をスマートフォンの画面に表示するだけではありません。国が進めるマイナンバー制度とマイナポータルを基盤とし、公的な情報システムと手帳情報を連携させることによって実現が進められています。

この連携こそが、デジタル手帳が公的な証明として機能し、多様なサービスに繋がるための鍵となります。

情報連携の推進と「デジタル原則」

政府は、行政手続きにおける利便性の向上を目指し、「デジタル原則」を掲げています。この原則に基づき、障害者手帳についても、その情報をデジタル化し、必要な行政機関やサービス提供者がオンラインで確認できる仕組みの構築が急ピッチで進められています。

この取り組みの中心にあるのが、手帳の情報(氏名、等級、障害種別など)をマイナンバーに紐づけ、ご本人の同意のもとで行政機関が利用できるようにする「情報連携」です。これにより、これまで窓口で行っていた手続きがオンラインで完結したり、添付書類が不要になったりすることが期待されます。

情報連携が進むことで、手帳の更新や再交付手続きなども、よりスムーズに行えるようになる見込みです。

デジタル手帳の「先行事例」と課題

国全体での本格的なデジタル手帳の導入に先立ち、いくつかの自治体や民間事業者では、すでに独自のデジタル証明の取り組みが進められてきました。その中でも代表的なものが、一部の自治体が導入している「ミライロID」などの民間アプリを活用した手帳情報の提示です。

ミライロIDは、障害者手帳をスマートフォンで撮影し登録することで、手帳情報をデジタル表示し、交通機関や公共施設での割引に利用できるものです。これはデジタル化の第一歩として利便性を高めましたが、公的な身分証明としての効力や利用範囲には限界がありました。

⚠️ 注意

民間アプリでの提示は、現時点では、あくまで現物の手帳を補完する機能であり、全ての公的・民間サービスで通用するわけではありません。利用可能かどうかは、事前に施設や事業者に確認が必要です。

マイナポータルとの「将来的な統合」

政府が目指す最終的な形は、障害者手帳の情報をマイナポータルに組み込み、マイナンバーカードと連携させて利用できるようにすることです。これにより、公的な身分証明と障害者手帳の情報が一本化され、高いセキュリティのもとで利用できるようになります。

これは、健康保険証や運転免許証のデジタル化の流れと軌を一にするものであり、将来的には、マイナポータルを通じて、ご自身の障害情報に基づいた福祉サービスの情報や、利用履歴なども一元的に確認できるようになることが期待されています。


デジタル手帳化のメリットと利用シーン

障害者手帳がアプリ化・デジタル化されることによって、障害のある方やそのご家族の日常生活はどのように変わるのでしょうか。最も大きなメリットは、利便性の向上と、情報管理の安全性にあります。

ここでは、デジタル手帳が活躍する具体的な利用シーンと、その利点を解説します。

割引・優遇サービス利用時の「スムーズな提示」

デジタル手帳の導入によって、最も利便性が向上するのは、交通機関や映画館、美術館などの公共・民間サービスでの割引適用時です。現物の手帳を持ち歩く必要がなくなり、スマートフォン一つで割引サービスを受けられるようになります。

  • 提示の迅速化:スマートフォンでアプリを立ち上げるだけで、手帳情報と顔写真を同時に提示できるため、窓口での確認時間が短縮されます。
  • 紛失リスクの軽減:紙の手帳を紛失すると、再交付まで時間がかかり、その間サービスを利用できなくなりますが、デジタルならその心配がありません。
  • プライバシー保護:必要な情報(割引に必要な等級など)だけを提示できる機能が搭載されることで、窓口での過剰な情報開示を防ぐことができます。

これにより、サービス利用時の心理的な負担が軽減され、社会参加への意欲を高める効果も期待されます。

行政手続きの「オンライン完結」

既に述べた情報連携の基盤が整備されると、福祉サービスや各種助成金、公営住宅への入居申請など、これまで手帳の写しを添付したり、窓口で提示したりしていた行政手続きの多くが、オンラインで完結できるようになります。

「引越しをするたびに、新しい自治体で障害者手帳を提示し、様々なサービスの再申請を行う必要があり、かなりの時間と労力を要していました。デジタル手帳とマイナポータルの連携が進めば、手続きの自動化や簡素化が進み、当事者の負担が劇的に減るはずです。」

— 50代・ご家族の代理申請経験者

特に、自治体をまたぐ手続きや、年に一度の更新が必要な手続きにおいて、デジタル化のメリットは非常に大きくなります。

「緊急時・災害時」の情報活用

災害が発生した際や、外出先で予期せぬ体調不良に見舞われた緊急時にも、デジタル手帳の情報が役立ちます。マイナンバーカードと連携した情報が公的システムに登録されていれば、本人が意識不明などの状況でも、医療機関や支援者が迅速に障害情報を確認できます。

これにより、避難所での適切な配慮や、必要な医療的支援を迅速に受けられる可能性が高まります。デジタル手帳は、「いざという時の命綱」としての機能も担うことになります。


デジタル化の推進における「課題と懸念点」

障害者手帳のデジタル化は多くのメリットをもたらしますが、その実現と普及にはいくつかの大きな課題と、利用者側からの懸念点が存在します。これらの課題を解決することが、デジタル手帳の成功には不可欠です。

特に、「デジタルデバイド」と「セキュリティ」に関する懸念が重要です。

「デジタルデバイド」への対応策

デジタルデバイド(情報格差)とは、デジタル機器の操作に慣れていない方や、スマートフォンを所有していない方などが、デジタル化の恩恵を受けられない状況を指します。障害者手帳の利用者は高齢者も多く、デジタル操作に不慣れな層への配慮が不可欠です。

  • 紙の手帳の併存:デジタル手帳が導入されても、当面は従来の紙の手帳やカードも併存し、利用者が選択できるようにする必要があります。
  • 操作サポート:デジタル手帳の利用方法について、自治体の窓口や公的なサポートセンターで、きめ細やかな操作指導や支援を提供することが求められます。
  • 家族や支援者による代理操作:ご本人の操作が困難な場合、ご家族や支援者が代理でアプリやマイナポータルを操作できる仕組みが必要です。

誰もが等しく支援を受けられるよう、デジタル化の恩恵から取り残される人がいないようにする対策が重要です。

情報漏洩と「プライバシー保護」の懸念

障害者手帳の情報は、非常にデリケートな個人情報であるため、デジタル化による情報漏洩や不正利用への懸念は根強くあります。セキュリティを確保し、利用者の信頼を得ることが、デジタル手帳普及の前提となります。

💡 ポイント

公的なデジタル手帳では、マイナンバーカードのICチップと暗証番号による厳格な本人確認が必須となるため、紙の手帳よりもセキュリティレベルは向上すると言えます。また、誰が、いつ、どの情報を閲覧したかという「利用履歴」をご本人が確認できる仕組みも導入される予定です。

また、サービス利用時に、必要な情報(等級など)だけを一時的に提示する機能(マスキング機能)を徹底することで、窓口の担当者に全ての情報が見えてしまうというプライバシー侵害のリスクを最小限に抑える必要があります。

三つの手帳の「制度上の壁」の解消

身体、精神、療育の三つの手帳は、それぞれ根拠法や制度が異なり、特に療育手帳は自治体独自の制度であるため、全国一律でのデジタル情報連携を進める上で制度的な調整が課題となります。

国は、これらの制度的な違いを乗り越え、全ての障害者手帳の情報を統一的なデジタル基盤に乗せるための法整備や技術的な調整を進めています。この「制度の壁」をいかにスムーズに解消するかが、デジタル手帳の実用化スピードを左右します。


デジタル手帳の「今後の展望」とロードマップ

障害者手帳のアプリ化・デジタル化は、着実に進行しています。国は、マイナンバー制度の普及と連携させながら、数年内にその利便性を実感できる段階に移行することを目指しています。今後のロードマップと、私たちが注目すべき点について見ていきましょう。

マイナンバーカードとの「一体利用」を目指して

今後のデジタル手帳は、独立したアプリではなく、マイナンバーカードの機能の一つとして位置づけられ、マイナポータルを通じて利用される方向で開発が進められています。これにより、公的な身分証明としての信頼性が高まります。

  • 令和〇年度:手帳情報のデジタル登録・情報連携基盤の整備(完了済みまたは進行中)。
  • 令和〇年度〜:マイナンバーカードを用いた公共施設等での割引サービス利用の実証実験と、利用可能箇所の拡大。
  • 将来的:紙の手帳を持ち運ばなくても、マイナンバーカード(またはスマートフォンアプリ)だけで、全ての行政手続きや民間サービスの利用ができる社会の実現。

特に、自治体の窓口や福祉サービス事業所での情報連携の実現が、利便性向上の最初の大きな一歩となります。

「福祉分野特有」の機能開発

デジタル手帳は、単に紙の情報を置き換えるだけでなく、デジタルならではの新しい機能を持つことが期待されています。

  1. 合理的配慮の記録・共有機能:ご本人が必要とする合理的配慮の内容をデジタルで記録し、就労先や学校などに同意のもとで安全に共有できる機能。
  2. 福祉サービスの最適レコメンド:マイナポータル上の障害情報や生活状況に基づき、利用可能な福祉サービスや助成金情報をAIが自動で提案する機能。
  3. 緊急連絡先登録:緊急時に必要な医療情報や緊急連絡先を、デジタル手帳に登録・表示できる機能。

これらの機能は、福祉サービスの利用をよりパーソナルで効率的なものに変える可能性を秘めています。

私たちが「今からできること」

デジタル手帳の恩恵を速やかに受けるために、私たち利用者が今からできる最も重要なアクションは、マイナンバーカードを取得し、マイナポータルの利用に慣れておくことです。

✅ 成功のコツ

手帳情報がマイナポータルに連携されると、様々な行政手続きが簡素化されます。今のうちにマイナンバーカードを健康保険証としても利用登録するなど、デジタル行政サービスに触れる機会を増やしておきましょう。

また、自治体が実施するデジタル手帳に関する実証実験やアンケート調査などがあれば、積極的に参加し、利用者の声を国や自治体に届けることも、より使いやすい制度を創るために大切です。


よくある質問(FAQ)と次のアクション

障害者手帳のデジタル化に関する具体的な疑問にお答えし、安心してデジタル移行期を過ごすためのアドバイスを提供します。

Q1:デジタル手帳に切り替えると「紙の手帳」は無効になるか?

A:政府は、デジタル手帳が本格導入された後も、紙の手帳やカード型の現物がすぐに無効になるわけではないとしています。少なくとも移行期間中は、利用者がどちらかを選択できるようになる見込みです。

しかし、最終的には、公的な手続きの多くがデジタルに一本化されることが予想されます。デジタル利用が推奨される時代になっても、紙の手帳を必要とする方への配慮は継続されるはずです。

Q2:スマートフォンを「持っていない」場合はどうなるか?

A:スマートフォンを持っていなくても、マイナンバーカード自体がデジタル手帳の機能の一部を担うことが検討されています。例えば、公共施設の窓口などに設置された専用の読み取り端末にマイナンバーカードをかざすだけで、手帳情報が認証される仕組みです。

これにより、スマートフォンを持たない方でも、デジタル化の利便性を享受できるよう、国や自治体は環境整備を進めています。

Q3:デジタル化で「不正利用」は防げるのか?

A:紙の手帳は、紛失や盗難の場合、第三者による悪用を防ぐのが困難でした。デジタル手帳の場合、利用にはマイナンバーカードと暗証番号、またはスマートフォンでの生体認証(指紋、顔認証)が必要となるため、不正利用のリスクは紙よりも格段に低くなります。

また、悪意のある利用者が手帳情報を不正に閲覧しようとしても、システムがそれを検知し、利用履歴をご本人に通知する仕組みも導入されるため、高い抑止効果が期待されます。

次のアクション:自治体の「デジタル化情報」をこまめにチェック

障害者手帳のデジタル化は、国全体の計画に基づき進められていますが、実際の導入や運用は、各自治体のシステム改修や対応状況に大きく左右されます。そのため、お住まいの市区町村の公式ウェブサイトや広報誌で、「マイナンバー」「障害者手帳」「デジタル化」に関する情報をこまめにチェックすることが重要です。

疑問や不安がある場合は、遠慮せずに自治体の福祉担当窓口や、https://www.digital.go.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">デジタル庁のウェブサイトなどに問い合わせてみましょう。最新の情報を把握し、安心してデジタル時代に対応していくことが大切です。


まとめ

  • 障害者手帳のアプリ化は、マイナンバーカードとマイナポータルを基盤とした情報連携という形で進められており、単なるアプリ表示を超えた公的な証明機能を目指しています。
  • デジタル化により、割引サービスの提示がスムーズになり、行政手続きのオンライン完結や、緊急時の情報共有など、日常生活の利便性が飛躍的に向上することが期待されます。
  • 導入にあたっては、デジタルデバイド対策やプライバシー保護が大きな課題です。私たちは今からマイナンバーカードを取得し、自治体の最新情報をチェックすることで、スムーズなデジタル移行に備えましょう。

高橋 健一

高橋 健一

たかはし けんいち50
担当📚 実務経験 25
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会福祉士

市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。

大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

将棋、歴史小説

🔍 最近気になっているテーマ

マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展

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