障害者手帳とマイナポータルの連携でできること

障害者手帳とマイナポータルの連携でできること
近年、行政手続きのデジタル化が進む中で、ご自身の情報にアクセスし、各種申請をオンラインで行うための「マイナポータル」の重要性が高まっています。このマイナポータルと、障害者手帳の情報が連携することで、障害のある方やそのご家族にとって、行政サービス利用が格段に便利になることが期待されています。
「具体的に何が変わるのか」「どうやって連携すれば良いのか」「セキュリティは大丈夫なのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、障害者手帳の情報がマイナポータルと連携することで、可能になることと、その具体的なメリット、そして必要な手続きについて詳しく解説します。
デジタル技術を活用して、よりスムーズで便利な支援サービス利用を実現するための知識を身につけていきましょう。
マイナポータル連携の基本的な仕組みと対象
障害者手帳とマイナポータルの連携は、ご本人の同意のもと、手帳情報(身体、精神、療育)をデジタルデータとして国や自治体のシステム間で共有し、活用できるようにする仕組みです。これにより、これまで紙の手帳を提示したり、多くの書類を提出したりしていた手続きが簡素化されます。
まずは、この連携の基盤となる仕組みと、連携の対象となる手帳について整理します。
情報連携の「デジタル基盤」とは
マイナポータルは、政府が運営するオンラインサービスであり、ご自身のマイナンバーに紐づく行政情報(税金、年金、健康保険など)を一元的に確認できる場所です。ここに障害者手帳の情報が連携されることで、ご自身の障害に関する公的な情報もデジタル上で確認・提示できるようになります。
この連携は、情報システムを通して安全に行われ、行政機関や一部の民間事業者が、ご本人の同意を得て必要な情報(例:手帳の等級、障害種別)を確認できるようにするものです。これにより、窓口での手間や待ち時間が減り、行政手続きが効率化されます。
将来的には、この連携基盤を活用して、福祉サービスだけでなく、災害時の安否確認や必要な支援物資の迅速な手配などにも役立てられることが期待されています。
連携対象となる「三つの手帳」
マイナポータル連携の対象となるのは、現行の三つの障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳)全てです。これにより、障害種別にかかわらず、手帳を持つすべての方がデジタル化のメリットを享受できるようになります。
- 身体障害者手帳:身体の機能障害に関する情報
- 精神障害者保健福祉手帳:精神疾患による生活の制限に関する情報
- 療育手帳:知的障害の程度に関する情報
ただし、療育手帳は自治体独自の制度であるため、地域によっては連携の進捗に差がある場合があります。お住まいの自治体の対応状況を事前に確認することをお勧めします。
連携の「必要性とセキュリティ」
マイナポータルとの連携は、あくまでご本人の任意であり、強制ではありません。紙の手帳を引き続き利用することも可能です。しかし、連携することで得られるメリットが大きいため、可能であれば連携を推奨します。
⚠️ 注意
情報連携の安全性は、国によって厳重に管理されています。マイナポータルは、アクセスにマイナンバーカードと暗証番号が必要であり、第三者による不正アクセスや情報漏洩のリスクは極めて低く設計されています。情報は、必要な行政機関のみが、必要な目的でのみ利用できる仕組みになっています。
連携する情報の内容や利用履歴は、マイナポータル上でご自身で確認できるようになっており、透明性が確保されています。
連携によって可能になる「行政手続きの簡素化」
障害者手帳の情報がマイナポータルと連携されることで、最も大きな変化が期待されるのが、行政手続きにおける手間や書類の削減です。特に、引越しや更新時など、これまで煩雑だった手続きが大幅に簡素化されます。
具体的にどのような手続きが便利になるのか見ていきましょう。
ワンストップでの「福祉サービス申請」
これまで、障害福祉サービス(居宅介護、就労移行支援など)の申請を行う際、手帳の提示や、時には手帳のコピーの提出が必要でした。マイナポータルと連携することで、オンライン上で手帳情報を確認・提示できるようになり、窓口での手続きが簡素化されます。
また、引越しなどで自治体をまたいで手続きを行う場合でも、転入先の自治体が手帳情報をスムーズに確認できるようになり、サービスの利用開始が早まることが期待されます。これは、特に福祉サービスを途切れさせたくない方にとって、大きなメリットです。
将来的には、サービスの申請自体もマイナポータルを通じてオンラインで完結できるようになることが目指されており、利便性が一層高まります。
引越しに伴う「情報変更の簡略化」
障害のある方が引越しをする際、転居先の自治体で障害者手帳に関する情報変更や、各種優遇措置の再申請が必要となります。この際、マイナポータル連携を利用することで、自治体間の情報連携が自動的に行われるようになります。
「以前の引っ越しでは、新しい市役所で手帳を提示し、再度、各種サービスの利用申請や税の優遇措置の登録をやり直す必要があり、大変な手間でした。マイナポータル連携が進めば、これらの手続きが自動または半自動で進み、スムーズに新生活を始められるようになります。」
— 40代・身体障害者手帳保持者の声
これにより、ご自身やご家族が何度も窓口に足を運ぶ負担が軽減され、時間的・精神的なコストが大幅に削減されます。
「税の優遇措置」申請の効率化
障害者手帳を持つことで受けられる所得税や住民税の障害者控除についても、マイナポータル連携が役立ちます。年末調整や確定申告の際、手帳情報をデジタルで確認できることで、紙の証明書提出が不要になったり、手続き自体が簡素化されたりする可能性があります。
特に、e-Tax(電子申告)を利用する場合、手帳情報が自動的に連携されることで、控除の申告漏れを防ぎ、正確な税額計算を行うことができます。これにより、税制優遇を確実に受けられるようになり、経済的なメリットも大きくなります。
日々の生活で感じる「利便性の向上」
マイナポータル連携の恩恵は、行政手続きにとどまらず、日常生活における様々な場面での利便性向上にも繋がります。これまで紙の手帳を提示していた場面で、マイナンバーカードの活用が進むことで、よりスムーズなサービス利用が可能になります。
特に、公共施設や交通機関の利用時の変化に注目です。
公的サービスの「オンライン本人確認」
今後、様々な公的サービスや一部の民間サービスにおいて、オンラインでの本人確認が必要となる場面で、マイナンバーカードを通じて手帳情報を利用できるようになります。これにより、これまで窓口で紙の手帳を提示していた行為がデジタルで代替されます。
例えば、障害者雇用枠での就職活動において、企業がご本人の同意を得て、手帳情報をオンラインで確認できるようになるなど、採用プロセスが効率化される可能性もあります。手帳の紛失や盗難のリスクを気にせず、安全に情報を提示できることも大きなメリットです。
💡 ポイント
マイナンバーカードのICチップには、障害者手帳の情報自体は記録されません。カードを利用してマイナポータルにアクセスし、国のサーバーに保管されている手帳情報を確認するという仕組みです。カードの紛失が直ちに手帳情報の漏洩には繋がりません。
「交通機関の割引」利用のスマート化
鉄道やバス、航空機などの公共交通機関の割引を利用する際、現状では紙の障害者手帳を提示する必要があります。将来的には、マイナポータル連携により、マイナンバーカードを活用したデジタル認証で割引適用が可能になることが期待されています。
これにより、特に混雑する改札口や窓口での手帳提示の手間がなくなり、スムーズに移動できるようになります。また、オンラインでのチケット予約や購入時にも、手帳情報の認証が容易になり、利便性が大幅に向上する見込みです。
災害時・緊急時の「迅速な支援」
災害が発生した際、障害のある方は特に支援を必要としますが、手帳の紛失や避難生活の混乱により、必要な情報が行き届かないことがあります。マイナポータル連携により、行政が迅速にご本人の障害情報や必要な支援の内容を把握できるようになります。
これにより、避難所での適切な配慮(例:車いすのスペース確保、医療的な配慮)や、支援物資(例:特別な食品、医療用品)の優先的な提供などが、よりスムーズに行われることが期待されます。手帳を紛失しても、情報がデジタルで守られている安心感も大きいです。
マイナポータル連携に向けた具体的なアクション
障害者手帳とマイナポータルの連携のメリットを享受するためには、まずマイナンバーカードの取得と、マイナポータルへの登録が必要です。連携自体は比較的簡単な手続きで行えますが、事前に準備しておくべきことがあります。
ここでは、連携を進めるための具体的なステップと、必要なツールについて解説します。
ステップ1:マイナンバーカードの取得
障害者手帳の情報をマイナポータルと連携させるためには、ご本人名義のマイナンバーカードが必須です。まだカードをお持ちでない方は、まずお住まいの市区町村役場に申請して取得しましょう。
申請から交付までには時間がかかる場合があるため、早めに手続きを始めることをお勧めします。カードを受け取る際には、暗証番号を設定する必要があります。この暗証番号は、マイナポータルにログインしたり、行政手続きで本人確認を行う際に必要となるため、忘れないように厳重に管理してください。
ステップ2:マイナポータルへの利用者登録
マイナンバーカードを取得したら、次はパソコンやスマートフォンを使ってマイナポータルにアクセスし、利用者登録を行います。登録には、マイナンバーカードと、カードを読み取るためのスマートフォン(マイナンバーカード対応機種)またはカードリーダーが必要です。
- マイナポータルにアクセスし、「ログイン」を選択します。
- マイナンバーカードを読み取り、暗証番号を入力します。
- 画面の指示に従い、必要な情報の確認と設定を行い、登録を完了します。
スマートフォンをお持ちでない方や操作に不安がある方は、自治体の窓口や公的なサポートセンターで相談しながら登録を進めることができます。
ステップ3:手帳情報の連携手続き
マイナポータルでは、ご自身の行政情報が連携されているかを確認する機能があります。手帳の交付情報が自治体から国に送られ、マイナポータルに反映されると、ご自身で連携状況を確認できるようになります。
✅ 成功のコツ
手帳情報をマイナポータルで確認できるようになるには、手帳の交付(または更新)から一定の期間(数週間~数ヶ月)を要する場合があります。すぐに反映されない場合は、しばらく待ってから再度確認してみてください。
もし長期間経っても連携されない場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に、手帳情報が国に適切に登録されているかを確認してもらいましょう。これにより、連携に関するトラブルを早期に解決できます。
よくある質問(FAQ)と今後の展望
障害者手帳とマイナポータルの連携は新しい取り組みであるため、利用者から様々な質問が寄せられています。ここでは、特に気になる疑問点と、今後の制度の発展について解説します。
Q1:マイナンバーカードを持っていないと「不利益」があるか?
A:現時点では、マイナンバーカードを持っていないことや、マイナポータル連携をしていないことで、既存の福祉サービスや優遇措置が受けられなくなるという不利益はありません。紙の障害者手帳は引き続き有効であり、行政手続きもこれまで通り窓口で行うことが可能です。
しかし、行政手続きのオンライン化が進む中で、将来的にはオンラインでの申請や手続きが主流になる可能性があります。カードを取得し、連携しておくことで、将来的な行政サービスの利便性を享受できるようになると言えます。
Q2:手帳の「更新時」の手続きはどうなるか?
A:精神障害者保健福祉手帳や療育手帳の定期的な更新(再認定)が行われ、新しい情報が自治体から国に登録されると、マイナポータルの情報も自動的に更新されます。ご自身で特別な手続きを行う必要はありません。
ただし、更新後の手帳が交付されても、マイナポータルへの反映までに時間がかかる場合があります。重要な手続きで最新の情報が必要な場合は、念のため紙の手帳も携行しておくと安心です。
Q3:「民間サービス」での活用は進むのか?
A:はい、民間サービスでの活用も今後進むことが期待されています。例えば、映画館やテーマパークなど、これまで手帳提示で割引を提供していた民間事業者が、マイナンバーカードによるデジタル認証を導入する可能性があります。
これにより、手帳情報の確認がスムーズになり、民間事業者側にとっても手続きの効率化に繋がります。ただし、民間事業者での活用は各企業の判断に委ねられるため、その進捗には時間がかかることが予想されます。
今後のアクション:デジタル化の恩恵を最大限に
障害者手帳とマイナポータルの連携は、行政手続きのデジタル化の流れの中で、障害のある方の利便性とQOL(生活の質)を向上させる重要な一歩です。この恩恵を最大限に受けるためには、まずマイナンバーカードを取得し、マイナポータルに慣れておくことが大切です。
操作方法やセキュリティに関する疑問は、各自治体の窓口やサポートセンターに相談してください。デジタル化の波に乗り遅れることなく、新しい技術を行政サービス利用に活かしていきましょう。
まとめ
- 障害者手帳とマイナポータルの連携は、ご本人の同意のもと、手帳情報を安全にデジタルで共有し、行政手続きの簡素化を図るものです。連携対象は三つの手帳全てです。
- 連携により、福祉サービスのオンライン申請、引越し時の情報変更、税の優遇措置の申告などが効率化され、ご本人とご家族の負担が大幅に軽減されます。
- 連携を進めるためには、マイナンバーカードの取得とマイナポータルへの利用者登録が必要です。これにより、日常の割引利用のスマート化や、災害時の迅速な支援にも繋がります。

阿部 菜摘
(あべ なつみ)36歳📜 保有資格:
社会保険労務士、精神保健福祉士
社会保険労務士として障害年金の申請支援を専門に12年。「難しい」と言われる障害年金を、分かりやすく解説します。医療費助成、各種手当など、お金に関する制度情報をお届けします。
大学卒業後、社会保険労務士事務所に就職し、障害年金の申請支援を専門に担当してきました。これまで500件以上の申請をサポートし、多くの方の生活を支えるお手伝いをしてきました。障害年金は「難しい」「通らない」と諦めている方が多いですが、適切な書類準備と申請を行えば、受給できる可能性は十分あります。実際、初診日の証明が難しいケースでも工夫して認定を受けた例もあります。特に心に残っているのは、精神障害で長年苦しんでいた方が障害年金を受給できたことで、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。制度を知ることの大切さを実感しました。記事では、障害年金の申請方法、特別障害者手当、医療費助成など、「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。
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💭 福祉の道を選んだ理由
社会保険労務士として、障害年金の申請支援を通じて多くの方の生活を支えたいと思ったことがきっかけです。
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