障害者手帳の更新手続きはいつ?失敗しないポイントまとめ

障害を持つ方々にとって、**障害者手帳は、各種福祉サービス、税制優遇、公共料金の割引など、生活を支えるための重要な支援を受けるための「証明書」です。しかし、この手帳は一度取得すれば終わりではなく、特に精神障害者保健福祉手帳や、障害が固定されていないとされる場合の身体障害者手帳などには、「更新手続き(再認定)」の義務があります。
更新を怠ると、手帳が失効し、その日からすべての支援や割引が受けられなくなるという、生活に直結する大きな影響が生じます。にもかかわらず、「いつまでに手続きをすればいいのかわからない」「必要な書類を揃えるのが煩雑だ」といった理由で、更新を不安に感じる方は少なくありません。
このガイド記事では、「障害者手帳の更新手続きはいつ?失敗しないポイントまとめ」**として、3種類の手帳(身体、療育、精神)それぞれの更新の要否と時期を明確にし、「手続きの流れ」「更新の失敗を防ぐための重要ポイント」「等級変更の検討」という3つの柱から、手帳を継続して活用していくための情報を徹底的にわかりやすく解説します。
この情報を通じて、皆様が手続きの期限を見落とすことなく、継続的に必要な支援を受けられるよう、そのサポートとなることを願っています。
パート1:手帳の種類別—更新手続きの要否と時期
手帳の種類によって、更新の有無や時期は大きく異なります。まずは、ご自身の手帳が更新の対象かどうか、そしてそのサイクルを確認しましょう。
1.精神障害者保健福祉手帳の更新
精神障害者保健福祉手帳は、障害の状態が変化する可能性があるという性質から、**必ず定期的な更新が必要**です。
- 有効期間:手帳の交付日から2年間です。(2年後の月末まで)
- 更新時期:有効期間の3ヶ月前から申請が可能となります。この3ヶ月間の間に、診断書の取得と申請手続きを完了させる必要があります。
- 注意点:手帳には「次回認定年月日」が記載されています。この日が期限となるため、必ずこの日付から3ヶ月前には手続きを開始しましょう。
2.身体障害者手帳の更新
身体障害者手帳は、原則として永久的に有効ですが、障害の部位や状態によっては**「再認定」の時期が指定**される場合があります。
- 再認定が不要な場合:四肢切断など、永続的に障害の状態が変わらないと判断される場合、手帳の有効期限はなく、更新手続きも不要です。
- 再認定が必要な場合:内部障害(腎機能、心機能など)や、人工関節置換術後など、将来的に障害の状態が変化する可能性がある場合、手帳に「再認定の時期」が指定されます。
- 時期:再認定の時期は、手帳の裏面または添付書類に記載されています。この指定された時期からおおむね1ヶ月前を目安に、診断書の取得と申請を行います。
3.療育手帳の更新(判定)
療育手帳は、知的障害は永続的な障害ですが、生活能力の発達や変化を確認するため、**定期的な「再判定」**が義務付けられています。
- 判定サイクル:自治体によって異なりますが、3〜5年ごとに再判定が求められることが多いです。特に児童期は発達状況の確認のため、短いサイクルで再判定が設定されます。
- 時期:手帳の記載、または自治体からの通知によって指定された時期に、児童相談所や知的障害者更生相談所で再判定面接を受けます。
- 通知:自治体によっては、再判定の時期が近づくと通知書が送付されますが、通知が来ない場合もあるため、手帳の記載を自己責任で確認することが重要です。
💡 期限切れによる失効を防ぐために
手帳の有効期限や再認定の時期をスマホのスケジュール機能やカレンダーに登録し、3〜4ヶ月前に通知が来るように設定しておくと、期限切れの失敗を防げます。
パート2:更新手続きの具体的な流れと必要書類
更新手続きの流れは、新規申請と類似していますが、特に診断書取得のタイミングに注意が必要です。
1.更新手続きの共通の流れ
- 期限の確認:手帳に記載された有効期限または再認定時期を確認します。
- 診断書の取得(精神・身体):更新(再認定)の申請期限の直前3ヶ月以内に、指定医等に診断書を作成してもらいます。(療育手帳の場合は判定面接の予約)
- 窓口申請:必要書類を揃え、市区町村の福祉担当窓口に提出します。
- 審査・判定:自治体や都道府県の審査会で、障害の状態が再認定され、新しい等級や有効期限が決定されます。
- 手帳の交付:新しい手帳が交付され、古い手帳は返納となります。
2.精神障害者保健福祉手帳の更新で必要な書類
最も更新頻度が高いため、スムーズな準備が求められます。
- 申請書:窓口で入手。
- 医師の診断書(専用様式):更新申請日の3ヶ月以内に作成されたもの。(精神保健指定医などが作成)
- 現在お持ちの手帳:確認のために必要。
- マイナンバー確認書類・身元確認書類:念のため準備。
※特例:障害年金を受給している場合、診断書の代わりに年金証書の写しと同意書で申請できます。(この場合も、年金証書に記載された**「障害認定日」**に注意が必要です。)
3.身体障害者手帳(再認定)で必要な書類
- 申請書:窓口で入手。
- 指定医による診断書・意見書(専用様式):再認定時期に合わせて作成されたもの。
- 現在お持ちの手帳:確認のために必要。
- 写真:更新に伴い新しい手帳が発行されるため、縦 4cm× 横 3cm の写真が必要です。
パート3:更新手続きの失敗を防ぐ「3つの重要ポイント」
期限切れや手続きの遅延、等級の変更といった失敗を防ぐために、特に注意すべき点をまとめます。
ポイント1:診断書の「作成日」と「有効期間」を厳守する
特に精神手帳の更新において、診断書の作成日が申請期限に間に合うかどうか、そして規定の期間内に作成されているかが重要です。
- 早すぎる診断書は無効:精神手帳の更新の場合、有効期限の3ヶ月前より前に作成された診断書は受け付けられない場合があります。主治医に申請手続きのタイミングを明確に伝え、適切な日付で作成してもらいましょう。
- 予約の確保:精神科医や指定医は多忙なことが多いため、診断書作成の依頼は、期限の4〜5ヶ月前には行い、余裕をもって予約を確保しましょう。
ポイント2:療育手帳は「通知がなくても」自己確認を
自治体は通知書を送付するのが原則ですが、住所変更などで通知が届かないといったトラブルも起こり得ます。**通知を待っているだけでは危険**です。
- 手帳の裏面を確認:療育手帳の裏面や添付書類に記載されている次期判定予定年月日を、家族や支援者が定期的に確認しましょう。
- 相談所への連絡:判定時期が近づいたら、通知の有無に関わらず、児童相談所または知的障害者更生相談所に連絡し、面接予約のタイミングを確認することが最も確実です。
ポイント3:更新=等級変更の「機会」と捉える
更新や再認定のタイミングは、障害の状態が変化していないかをチェックし、より実態に合った支援を受けるための**「等級変更(上げ下げ)」を検討する良い機会です。
- 状態が悪化している場合:障害の状態が以前より重くなっていると感じる場合、医師にその旨を詳細に伝え、上位の等級(例:精神2級→1級)への変更を希望する旨を診断書に記載してもらいましょう。
- 相談支援専門員の活用:更新の際には、相談支援専門員に相談し、現在の日常生活での困難さを改めて評価してもらいましょう。等級変更が必要かどうか、客観的なアドバイスが得られます。
⚠️ 更新が遅れた場合
精神障害者保健福祉手帳**の更新が遅れ、有効期限が切れてしまうと、手帳は失効し、すべての割引や優遇が利用できなくなります。再申請は可能ですが、新規申請と同じ手間と審査期間がかかるため、絶対に期限を守りましょう。
パート4:等級変更を伴う再認定(更新)の注意点
等級変更を視野に入れた更新申請を行う際は、特に「診断書の内容」と「審査」が重要になります。
1.等級変更の申請方法
原則として、**更新申請書に「等級変更を希望する」旨を記載する**必要はありません。提出された診断書や判定結果の内容に基づき、審査機関が自動的に新しい等級を判定します。
- 最も重要なこと:医師に「以前よりも状態が悪化し、日常生活の困難さが増している」という事実を、具体的なエピソードや測定値を用いて診断書に記載してもらうことが、等級変更の成否を分けます。
- 福祉サービスの活用:等級が上がれば、より長時間または重度な介護サービスや、より高額な補装具の給付を受けられる可能性が広がります。
2.等級が「下がる」可能性もある
更新・再認定は、障害の状態の改善が確認された場合、現在の等級よりも下がる(軽度になる)可能性があることも理解しておく必要があります。
- 例:精神障害の場合、服薬指導やリハビリによって症状が安定し、日常生活や就労が可能になったと判断されると、2級から3級へ、あるいは不支給となる可能性もあります。
- 影響:等級が下がると、特別障害者控除から普通障害者控除へ変わる、介護者の交通費割引が適用外になるなど、受けられる優遇が減少します。
等級の上下は、現在の障害の状態を客観的に評価した結果であり、ご自身の状態に適した支援を受けるためのプロセスと捉えることが大切です。
3.診断書に代わる年金証書利用時の注意(精神手帳)
精神障害者保健福祉手帳の更新で、診断書の代わりに年金証書を利用する場合、年金の次回支給額決定の時期が、手帳の更新時期を左右することになります。
- 年金と手帳の連動:年金の更新手続き(通常1〜5年ごと)が完了し、新しい年金証書が届くのを待ってからでないと、手帳の更新手続きができない場合があります。
- 窓口への確認:年金証書で更新する場合は、手帳の有効期限が迫っている場合でも、年金側の手続き状況と手帳の更新期限の間にズレが生じないか、年金事務所と自治体の窓口の双方に必ず確認を取りましょう。
パート5:更新手続きを円滑に進めるための連携と環境整備
スムーズな更新は、専門家や支援者との連携、そして計画的な準備にかかっています。
1.主治医との連携を深める
診断書を作成する主治医は、更新手続きにおける最重要人物です。
- 定期的な情報提供:日頃から診察時に、薬の効果だけでなく、日常生活で困っていること、仕事や学校での具体的な困難を具体的に伝え、医療記録(カルテ)に残してもらうようにしましょう。
- 診断書作成依頼:更新の目的、希望する等級(もしあれば)、現在の手帳の等級を正確に伝え、実態に合った診断書を作成してもらうための協力を依頼しましょう。
2.相談支援専門員を活用する
特に療育手帳の再判定や、精神障害者保健福祉手帳の更新で、日常生活の困難さを客観的に示す必要がある場合に頼りになります。
- 書類作成のサポート:診断書に記載する内容の整理や、申請書類の記載漏れがないかのチェックを依頼できます。
- 期限管理:相談支援専門員が有効期限を管理し、適切な時期に更新の通知をしてくれるサービスもあります。
3.証拠となる資料を整理しておく
更新時、特に等級変更を希望する場合は、客観的な資料が重要になります。
- 療育手帳:学校の通知表、支援計画書、過去の心理検査結果など、発達の経過と現在の生活状況がわかる資料。
- 身体手帳:治療経過のわかる診療情報提供書、リハビリ記録、検査データなど。
- 精神手帳:休職期間や欠勤記録、サービスの利用実績など、日常生活が制限されている状況を示す資料。
✅ スケジュール管理の徹底
手帳の更新は、期限の3〜4ヶ月前には「診断書を依頼する」というアクションを起こすことが、失敗しない最大のポイントです。この余裕を持つことで、医師の予約が取れない、書類に不備があるといった事態にも対応できます。
まとめ:更新は支援の継続を確実にする手続き
障害者手帳の更新手続きは、必要な支援を途切れることなく継続するための、極めて重要な行政手続きです。決して手間のかかる作業だと軽視せず、計画的な準備と専門家との連携をもって臨むことが大切です。
- 精神手帳:2年ごとの更新が必須。有効期限の3ヶ月前から申請開始。
- **身体手帳:**原則不要だが、再認定の指定がある場合は期限厳守。
- 療育手帳:数年ごとの再判定が必須。通知を待たず自己確認。
- **失敗しないために:**診断書の作成日に注意し、3〜4ヶ月前には準備を開始する。
この情報をもとに、皆様が安心して更新手続きを行い、手帳がもたらすメリットを継続的に享受できるようになることを心より願っています。
✅ 次のアクション
現在お持ちの手帳を取り出し、「有効期限」または「次回認定年月日(再判定時期)」を確認し、その日付から4ヶ月前に「手帳更新準備」というリマインダーをカレンダーに登録しましょう。

高橋 健一
(たかはし けんいち)50歳📜 保有資格:
社会福祉士
市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。
大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。
🎨 趣味・特技
将棋、歴史小説
🔍 最近気になっているテーマ
マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展





