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障害者手帳の等級ごとの支援内容の違いをやさしく解説

📖 約38✍️ 金子 匠
障害者手帳の等級ごとの支援内容の違いをやさしく解説
障害者手帳の等級は、受けられる支援の範囲を決定する重要な基準です。**重度(身体1級・第1種、療育A、精神1級など)**であるほど、支援が手厚くなります。特に大きな違いは、交通機関の割引において重度では本人と介護者1名が対象となりますが、中軽度では本人のみとなる点です。また、税制面では、重度者は特別障害者控除となり控除額が増加します。さらに、特別児童扶養手当重度訪問介護といった手厚い福祉サービスの対象にもなりやすくなります。等級が実態に合わない場合は、相談支援専門員を通じて等級変更の申請を検討することが重要です。

障害を持つ方々が、必要な社会的な支援各種優遇措置を受けるための証明書である**「障害者手帳」。この手帳は、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があり、それぞれ「等級(級、判定)」が設けられています。

この等級は、単に障害の重さを表すだけでなく、「利用できるサービスの範囲」「受けられる割引率」「経済的な支援の額」を決定する、極めて重要な判断基準となります。例えば、同じ「身体障害者手帳」を持っていても、重度(1級)の方と軽度(6級)の方では、介護者の有無税制上の優遇に大きな違いが生じます。

しかし、「自分の等級だと、どこまでが対象になるのか」「等級が一つ違うと、具体的に何が変わるのか」といった疑問は尽きません。この複雑さが、手帳の活用を難しくしている要因の一つです。

このガイド記事では、「障害者手帳の等級ごとの支援内容の違い」**に焦点を当て、3種類の手帳それぞれの等級制度を解説し、特に「移動・交通」「税制・経済的支援」「福祉サービス」という3つの主要な分野で、等級の違いがどのような具体的なメリットの差につながるのかを、徹底的にわかりやすく解説します。

この情報が、手帳の等級が持つ意味を正しく理解し、ご自身やご家族が必要な支援を確実に受けるための一助となることを願っています。


パート1:3つの手帳の等級制度の基礎知識

手帳ごとの等級の分け方と、その意味合いを理解することが、支援内容の違いを把握する第一歩です。

1.身体障害者手帳の等級(1級〜7級)

身体障害者手帳は、1級が最も重度であり、7級まで分かれています。ただし、サービス利用の観点から、特に**「第1種」と「第2種」**という区分が重要になります。

  • 第1種(重度):おおむね1級〜3級の一部が該当します。日常生活において常時または随時介護が必要なレベルと見なされます。
  • 第2種(中軽度):おおむね4級〜6級が該当します。
  • メリットの差:特に交通機関の割引介護者への支援において、第1種は第2種よりもはるかに手厚い支援を受けられます。

2.療育手帳の判定(A・Bなど)

療育手帳は法律ではなく自治体の要綱に基づいており、名称や判定基準が異なりますが、一般的に**「重度」と「中軽度」**の2つに大別されます。(例:東京都「愛の手帳」は1度~4度)

  • A判定(重度):最重度〜重度に相当し、常時またはそれに近い介護が必要とされます。
  • B判定(中軽度):中度〜軽度に相当し、部分的な支援や指導が必要とされます。
  • メリットの差:A判定は、特別児童扶養手当の対象となるなど、金銭的・介護的な支援が強化されます。

3.精神障害者保健福祉手帳の等級(1級〜3級)

精神障害者保健福祉手帳は、1級が最も重度であり、3級まで分かれています。

  • 1級(重度):日常生活が極めて困難で、常時援助が必要な状態。
  • 2級(中度):日常生活が著しい制限を受ける状態。
  • 3級(軽度):日常生活または社会生活が制限を受ける状態。
  • メリットの差:特に障害年金税制優遇において、1級は2級・3級よりも手厚い支援を受けられます。

💡 療育手帳と精神手帳の名称

療育手帳は自治体により「愛の手帳」「みどりの手帳」など名称が異なります。精神障害者保健福祉手帳は、初診日から6ヶ月以上経過していることが申請要件となります。


パート2:等級による支援の違い【交通・移動編】

交通機関の割引は、等級によって「本人だけか」「介護者も対象か」という点で、大きな違いが生じます。

1.公共交通機関(JR線・バスなど)の割引

手帳の種類・等級 割引対象 割引率 最も重要な違い
身体(第1種)・療育(A判定) 本人と介護者1名 5割引 介護者が割引になるため、外出時の経済的負担が大幅に軽減される。
身体(第2種)・療育(B判定) 本人のみ 5割引 介護者は割引対象外となる。
精神(1級・2級・3級) 原則本人のみ 5割引 自治体によるが、多くの交通機関で介護者割引はない。(JR線は対象外)

2.有料道路(高速道路)の割引

有料道路の割引は、重度(第1種やA判定など)であるかどうかが、割引の適用範囲を決定します。

  • 重度(第1種・A判定など):
    • メリット:本人運転だけでなく、介護者が運転する場合も5割引が適用されます。
    • 理由:重度の場合、本人が運転できないため、介護者が運転する自家用車での移動が必要不可欠と見なされるためです。
  • 中軽度(第2種・B判定など):
    • メリット:本人が運転する場合のみ5割引が適用されます。

パート3:等級による支援の違い【税制・経済編】

等級の違いは、所得税や住民税の控除額、そして手当の支給額に直結し、家計の経済的な基盤に大きな影響を与えます。

1.所得税・住民税の障害者控除

控除には「普通障害者控除」と「特別障害者控除」があり、**特別障害者**と認定されると、控除額が大幅に増えます。

障害者区分 対象となる等級 所得税控除額 住民税控除額
特別障害者 身体(1級・2級)、療育(A判定)、精神(1級) 40万円 30万円
普通障害者 上記特別障害者以外の手帳保持者 27万円 26万円

(同居特別障害者控除:納税者やその配偶者・扶養親族が特別障害者であり、かつ同居している場合は、控除額がさらに加算されます。)

2.各種手当の支給資格

障害の重度が高いほど、国や自治体から支給される手当の対象となりやすくなります。

  • 特別児童扶養手当:
    • 対象:20歳未満で、精神または身体に重度・中度以上の障害がある児童の養育者。
    • 療育手帳との関係:A判定(重度)はほぼ確実に特別児童扶養手当の1級(重度)に該当しますが、B判定(中軽度)の場合は2級(中度)または対象外となる場合があります。
  • 特別障害者手当:
    • 対象:20歳以上で、身体または精神に著しく重度の障害があり、日常生活において常に特別の介護を必要とする方。
    • 等級の目安:身体障害者手帳の1級が2つ以上、またはそれと同程度の重度の障害が対象となります。

3.障害年金の支給額(精神手帳との関係が深い)

障害年金は、障害者手帳とは別の制度ですが、精神障害者保健福祉手帳の等級と年金の等級は概ね連動しています。

  • 障害年金1級:精神手帳1級に概ね相当。日常生活が極めて困難で、常に他者の援助が必要な状態。
  • 障害年金2級:精神手帳2級に概ね相当。日常生活が著しい制限を受ける状態。
  • 障害年金3級:精神手帳3級に概ね相当。(厚生年金のみ対象)労働が著しい制限を受ける状態。

⚠️ 年金と手帳の等級の注意点

障害年金と障害者手帳の等級は判定基準が異なるため、必ずしも一致しません。特に療育手帳の等級(A/B)は、年金制度とは直接的な関係がありません。年金は年金事務所での別途手続きが必要です。


パート4:等級による支援の違い【福祉サービス編】

障害者総合支援法に基づく福祉サービスは、手帳の種類だけでなく、障害支援区分(必要とされる支援の度合いを1〜6の区分で示す)によって決定されますが、手帳の等級も影響を与えます。

1.補装具・日常生活用具の給付

  • 身体障害者手帳との関係:
    • 高度な補装具:1級〜2級といった重度な肢体不自由や聴覚・視覚障害の場合、電動車いす、意思伝達装置、人工内耳など、高度で高額な補装具の給付対象となりやすくなります。
    • 住居の改造:重度(1級・2級)の方が在宅生活を維持するために必要な住宅改造費は、給付額や対象範囲が広く認められる傾向があります。

2.介護・移動支援サービスの利用時間

居宅介護や重度訪問介護といった介護サービスの支給量は、主に障害支援区分によって決まりますが、手帳の等級(特に重度)も、障害支援区分認定の際の判断に影響を与えます。

  • 重度訪問介護:重度な肢体不自由重度な知的障害(A判定)の方などが、長時間にわたる介護見守りを受けるためのサービス。手帳の等級が重度であることが、サービス支給の大きな要素となります。
  • 行動援護:療育手帳(A判定)精神障害者保健福祉手帳(1級・2級)の方で、行動上の著しい困難がある場合、外出時の危険回避のための支援が受けられます。

3.公共施設の利用割引(介護者割引の有無)

文化施設やレジャー施設の入場料割引も、等級によって介護者が割引対象となるかどうかが異なります。

  • 第1種・A判定・1級(重度):
    • メリット:本人と介護者1名が無料または割引対象となります。
  • 第2種・B判定・2級・3級(中軽度):
    • メリット:本人のみが無料または割引対象となり、介護者は対象外となる施設が多くあります。

パート5:等級の確認と支援変更の手続き

等級によって受けられる支援に大きな差があるため、ご自身の等級を正確に把握し、必要に応じて等級変更の手続きを検討することが重要です。

1.等級は常に変わりうる

障害の状態は、治療やリハビリの進捗、あるいは加齢や病状の進行によって変化することがあります。

  • 状態の悪化時:障害の状態が明らかに重くなったと感じる場合は、等級変更(再認定)を申請することで、より手厚い支援を受けられる可能性があります。
  • 定期的な再認定:精神障害者保健福祉手帳(2年ごと)や、身体障害者手帳の一部(障害が軽減する可能性のある場合)には有効期限再認定の時期が定められています。期限が近づいたら必ず更新手続きを行いましょう。

2.相談支援専門員への相談

等級の変更申請や、どのサービスが利用できるかの確認は、複雑な手続きを伴います。必ず専門家を頼りましょう。

  • 相談窓口:市町村の障害福祉担当窓口、または相談支援事業所の相談支援専門員に相談しましょう。
  • 専門員の役割:障害の状態を正しく判断し、等級変更申請の必要性の有無、および申請に必要な医師の診断書作成のアドバイスや、利用可能な福祉サービスの提案を受けられます。

✅ 手帳活用チェックリスト

あなたの手帳の等級が「重度」と判定されている場合(第1種、A判定、1級)、以下の「介護者への支援」を必ず確認してください。

  • 交通機関の介護者割引(JR、バスなど)
  • 有料道路の介護者運転割引
  • 公共施設の介護者無料・割引
  • 特別障害者控除の適用

まとめ:等級理解は支援活用のスタートライン

障害者手帳の等級は、単に数字や記号ではなく、その方が日常生活で必要としている支援の量と質を社会全体で測るための指標です。

  • **重要性:**等級が「重度」であるほど、介護者の支援金銭的な優遇が手厚くなります。
  • **交通:**重度(第1種、A判定など)は介護者も割引。中軽度は本人のみ
  • **経済:**重度(特別障害者)は税控除額が優遇される。
  • **サービス:**重度であるほど高額な補装具長時間介護サービスの支給対象となりやすい。

ご自身の手帳の種類と等級が、どのような支援の扉を開くのかを正しく理解し、必要なサポートを漏れなく受けられるよう、積極的に情報収集と相談を行いましょう。その一歩が、より安心で豊かな生活に繋がります。

✅ 次のアクション

もし、ご自身やご家族の障害の状態が手帳の等級を決めた時よりも重くなっていると感じる場合は、すぐに相談支援専門員に連絡を取り、等級変更の申請について相談を始めてみましょう。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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