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就職につながるスキルとは?今求められる力を解説

📖 約109✍️ 伊藤 真由美
就職につながるスキルとは?今求められる力を解説
障害者雇用で就職に繋がるスキルは、専門的な「ハードスキル」と職場定着のための「ソフトスキル」の二つです。企業は長く安定して働く力を重視するため、ソフトスキル(体調管理、ホウレンソウ、時間管理)が特に重要です。ハードスキルでは、PCスキル(MOS)、経理(簿記)、ITスキルなどがニーズが高いです。これらは就労移行支援(ソフトスキル重視)や職業訓練校(ハードスキル重視)で無料で習得できます。習得後は、地域障害者職業センターで自己理解を深め、スキルを具体的な応用例や対処行動として企業にアピールし、合理的配慮をセットで提示することが就職成功の鍵となります。

💼 就職につながるスキルとは?今求められる力を解説:障害者雇用で企業が重視する「二つの能力」

障害者雇用で就職するためには、どんなスキルが有利になるのだろう?」「ITスキル資格は、どれくらいまで習得する必要がある?」「企業が本当に求めているのは、専門技術なのか、それとも働き続けるための力なのだろうか?」

就労を目指す上で、スキルアップは欠かせない要素です。しかし、単に多くの資格を取得したり、高度な専門知識を詰め込んだりするだけでは、必ずしも就職や長期的な定着に結びつくとは限りません。現代の企業が障害者雇用で重視しているのは、「職務に直結する専門能力」と、「配慮を前提とした上で安定して働き続けるための基礎能力」の二つの能力のバランスです。

特に障害のある方の就職においては、「企業に貢献できるスキル」を持っていることに加え、ご自身の特性を理解し、体調を自己管理できる能力、そして周囲と円滑に連携できるコミュニケーション能力が、採用後の定着に決定的な影響を与えます。企業は、スキルを持つ人材が**「長く活躍してくれるか」**を最も重視しているからです。

この記事では、障害者雇用において就職に直結し、かつ職場定着に必須となるスキルを、「ハードスキル(専門スキル)」と「ソフトスキル(基礎能力)」の二つの側面から徹底的に分析し、それぞれを習得するための具体的な方法を、全6500字以上の大ボリュームで詳細に解説します。今、企業が本当に求めている力を知り、効率的にスキルアップを進めて、希望の就職を実現しましょう。


📊 1. 企業が重視する「二つのスキル」の定義

障害者雇用において、求職者が備えるべきスキルは、大きく分けて二つのカテゴリーがあります。

A. ハードスキル(Hard Skills):職務遂行能力

特定の職務を遂行するために必要な、測定可能専門的な知識や技術です。

  • 特徴:資格や訓練の修了を通じて客観的に証明しやすい。職種によって必要とされるレベルが異なる。
  • 例:MOS資格、日商簿記検定、プログラミング言語、外国語能力など。

B. ソフトスキル(Soft Skills):職場適応能力

働く上で不可欠な、対人関係、自己管理、問題解決など、個人の資質や態度に関わる能力です。

  • 特徴:目に見えにくいが、職場定着に最も大きな影響を与える。訓練を通じて習得可能。
  • 例:体調管理、時間管理、コミュニケーション(SST)、ストレスコーピングなど。

障害者雇用では、ハードスキルが「採用のきっかけ」となり、ソフトスキルが「定着の決め手」となります。特に、体調の波や対人関係の課題を抱えやすい精神障害・発達障害のある方にとっては、ソフトスキルの習得がキャリアの土台となります。


🖥️ 2. 就職に直結するハードスキル:ニーズの高い分野

現在、障害者雇用枠で求人が多く、習得することで選択肢が広がるハードスキル分野を紹介します。

分野①:PCスキルと情報処理能力(必須スキル)

ほとんど全ての事務系職種で必須であり、最も基礎的かつ汎用性が高いスキルです。

  • 具体的なスキル:
    • **Word:**ビジネス文書作成、報告書作成能力。
    • **Excel:**基本的な表計算、関数(SUM, IF, VLOOKUPなど)、データ並べ替え、グラフ作成。
    • **PowerPoint:会議資料、プレゼンテーション資料作成。
  • 証明方法:MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)資格。これは、単にPCが使えるだけでなく、「訓練を通じて目標達成能力がある」**ことの証明にもなります。

分野②:経理・会計スキル(安定性の高いスキル)

企業の根幹を支える部門であり、専門性を持つことで安定した就職に繋がりやすい分野です。

  • 具体的なスキル:
    • **日商簿記検定3級・2級:**会計の基礎知識、仕訳、財務諸表の理解。
    • **会計ソフトの操作:弥生会計などの汎用的なソフトの操作経験。
  • 活用ポイント:特に数字に強い、正確性や集中力が高い特性を持つ方(例:発達障害の一部)が強みを発揮しやすい分野です。

分野③:IT・デジタルクリエイティブスキル(将来性の高いスキル)

リモートワークや在宅勤務の選択肢を広げ、キャリアアップに繋がりやすい分野です。

  • 具体的なスキル:
    • **Web制作:**HTML、CSS、WordPressなどの基礎知識。企業のホームページ更新や管理業務。
    • **プログラミング:**Python、JavaScriptなどの基礎。データ分析や簡単なシステム開発補助。
    • **デザイン:**Illustrator、Photoshopの基礎。広報資料やSNS画像作成。
  • 活用ポイント:就労移行支援でもIT特化型の事業所が増えており、無料で基礎から学べる機会が豊富です。


🧠 3. 就職後の定着を左右するソフトスキル:基礎能力

企業が最も懸念するのは**「長く働けないこと」**です。この不安を解消するのがソフトスキルです。

A. 体調管理と自己理解能力(最も重要)

ご自身の障害特性体調の波を理解し、業務に影響が出る前に対処できる能力です。

  • 具体的行動:
    • 服薬管理や睡眠リズムの維持。
    • 疲労のサインを早期に察知し、休憩や休暇を適切に申し出ること。
    • 業務が困難になった際に、その理由を具体的に言語化できること。
  • 習得方法:就労移行支援での体調管理プログラム、またはデイケアなどでのセルフケア訓練。

B. 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)能力

職場で円滑な人間関係と業務遂行のために、最も基本となるコミュニケーション能力です。

  • 具体的行動:
    • 「結果」だけでなく、「現在の状況」と「困っていること」を明確に伝える。
    • 質問する際に、事前に自分で試みたことや問題点を整理してから聞く。
    • 報連相の頻度方法(メールか口頭か)について、上司と事前に取り決める。
  • 習得方法:就労移行支援でのSST(ソーシャルスキルトレーニング)**、模擬的な職場実習

C. 時間管理・優先順位付け能力

与えられたタスクを、納期に合わせて効率的に進める能力です。

  • 具体的行動:
    • タスクを細分化し、作業時間を予測する。
    • 緊急度と重要度に応じて、業務の優先順位を正確に判断する。
    • 納期に間に合わないと判断した時点で、すぐに上司に相談できる。
  • 習得方法:就労移行支援のカリキュラムや、職業訓練校での実習課題を通じて実践的に学ぶ。


🌱 4. スキル習得の場:公的支援の活用戦略

これらのハードスキルとソフトスキルを効果的かつ無料または低額で習得するための公的支援機関をフル活用しましょう。

A. 就労移行支援:ソフトスキルと就職サポートの強化

ソフトスキルの習得と職場定着を最重視する方に最適なルートです。

  • 訓練内容:PCスキル(MOS対策)、事務、SST、体調管理。
  • 費用:低所得世帯などは無料で利用可能。
  • メリット:訓練終了後の職場定着支援までを一貫して受けられるため、「働く自信がない」**状態から始める方には最適です。

B. 職業訓練校:高度な専門ハードスキルの習得

特定の技術を深く学び、専門家としてのキャリアを目指す方に適しています。

  • 訓練内容:IT、機械、建築、デザインなど、専門性の高い技術。
  • 費用:授業料は無料(テキスト代などは自己負担)。
  • メリット:高度な技術を公的に証明**でき、専門職での就職に繋げやすい。

C. 地域障害者職業センター:スキルの棚卸しと評価

訓練を始める前に、ご自身の**「今ある力」「不足している力」を客観的に把握するために利用します。

  • 提供サービス:職業評価。無料であなたの適性や能力を専門的に分析し、最適な訓練コースを提案してくれます。
  • 活用ポイント:漫然と訓練を始めるのではなく、目標を明確にするための第一歩として利用すべきです。


🎯 5. 就職活動におけるスキルの効果的なアピール方法

習得したスキルを、企業に「採用したい」と思わせるアピール方法を学びましょう。

A. ハードスキルは「資格」と「応用例」で示す

単に資格名を書くだけでは不十分です。

  • 例:「MOS Excel 2019取得」だけでなく、**「訓練中にVLOOKUP関数やピボットテーブルを使い、500件の顧客データを分析する課題を効率化しました」というように、業務での応用例を添えて説明する。
  • 効果:企業は、「うちの職場で具体的に何ができるか」**をイメージしやすくなります。

B. ソフトスキルは「具体的な行動」と「対処法」で示す

「コミュニケーションが得意です」といった抽象的なアピールは避けます。

  • 例(体調管理):「疲労が溜まりやすい特性がありますが、訓練で午前と午後に必ず10分間の休憩を取り、体調不良になる前に上司にメールで報告するルーティンを確立しました。」
  • 効果:企業は、**「この人は自分の特性を理解し、職場での対処法を既に持っている」**と評価し、採用後のリスクを低く見積もることができます。

C. 訓練経験を「業務遂行能力」の証明にする

就労移行支援や訓練校での経験自体を、働く意欲、継続力、指導された内容を吸収する能力の証明としてアピールします。

  • アピールポイント:「〇ヶ月間の訓練を休まず(または安定した頻度で)修了し、課題を期限内に提出し続けました」という事実は、規則性と責任感を示す強力な証拠となります。


💡 6. 障害特性別:今、特に強化すべきスキル

障害種別によって、企業が重視するスキルと、強化すべきソフトスキルは異なります。

特性①:精神障害のある方

  • 企業が重視するスキル:体調の波への対応力安定した生活リズム
  • 強化すべきソフトスキル:
    • 体調の言語化能力:「具合が悪い」ではなく、「集中力が50%まで落ちている」「頭痛が始まっている」のように具体的な表現で伝えられること。
    • **ストレスコーピング:**ストレスの原因と対処法(例:散歩、瞑想)を複数持ち、実践できること。

特性②:発達障害のある方

  • 企業が重視するスキル:指示の正確な理解コミュニケーションの円滑さ
  • 強化すべきソフトスキル:
    • 質問スキルの習得:「何を、いつまでに、どうすればいいか」を明確にするための質問を、簡潔にできる能力。
    • 優先順位付けの支援依頼:タスクが複数ある場合に、自分で決めずに上司に優先順位の指示を仰げること。
  • 強化すべきハードスキル:特性を活かせるデータ処理、プログラミング、校正**など、高い集中力や正確性が求められる分野。

特性③:身体障害のある方(肢体不自由など)

  • 企業が重視するスキル:代替手段の活用能力通勤・移動手段の安定性
  • 強化すべきハードスキル:IT関連スキル(Web制作、データ入力)やリモートワークに対応できるスキル。
  • 強化すべきソフトスキル:必要な合理的配慮**を具体的に伝え、支援機器の操作に習熟していること。


🔄 7. スキルを「就職」に繋げるためのロードマップ

スキル習得から採用までのプロセスを、効率よく進めるための手順です。

ステップ1:自己理解と職業評価(何を学ぶべきかを知る)

地域障害者職業センター職業評価を受け、強み就職したい職種を特定します。

  • 成果:目標職種と、その職種に必要なハードスキル、そして特性を補うためのソフトスキルが明確になります。

ステップ2:最適な訓練機関の選定(どこで学ぶべきかを知る)

目標に応じて、就労移行支援(ソフトスキル重視・定着支援あり)か職業訓練校(専門ハードスキル重視)を選びます。

  • 重要:必ず複数の機関を見学**し、訓練内容と環境が自分に合っているか確認しましょう。

ステップ3:実践的なスキル習得と実績作り

訓練に励み、資格取得模擬的な業務の完遂を通じて、就職活動でアピールできる実績を作ります。

✅ 訓練中に心がけるべきこと

ソフトスキルを定着させるために、訓練期間中から「ホウレンソウ」や「時間管理」を本番の職場と同じ意識で実践しましょう。

ステップ4:就職活動と合理的配慮の調整

就労移行支援の支援員やハローワークと連携し、応募企業に対し、習得したスキルと、それを活かすための具体的な合理的配慮をセットで提示します。

就職につながるスキルとは、企業に貢献できる専門的な力と、安定して貢献し続けるための基礎的な力(ソフトスキル)の両方です。この二つのバランスを理解し、公的支援を最大限に活用して準備を進めることが、あなたのキャリアを豊かにする最善の道です。


まとめ

  • 障害者雇用で求められるスキルは、専門的な「ハードスキル」と職場適応のための「ソフトスキル」の二つであり、長期的な定着のためにはソフトスキルが不可欠である。
  • ニーズの高いハードスキルは、MOS資格に代表されるPCスキル日商簿記などの経理・会計スキル、そしてIT・デジタルスキル(Web制作など)である。
  • 定着を左右するソフトスキルは、体調管理・自己理解能力報告・連絡・相談(ホウレンソウ)能力時間管理・優先順位付け能力であり、これらは就労移行支援で専門的に習得できる。
  • スキル習得の場として、就労移行支援(ソフトスキル重視)、職業訓練校(専門ハードスキル重視)、地域障害者職業センター(職業評価)を目標に応じて使い分ける。
  • 習得したスキルは、資格名だけでなく**「業務での応用例」で示し、ソフトスキルは「具体的な対処行動」(例:疲労時の報告手順)で示すことで、企業へのアピール力を高める。
  • スキル習得から就職までのプロセスは、職業評価から始まり、最適な訓練機関での実践、そして合理的配慮の調整**までを一貫して行う必要がある。

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

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