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失敗しない就労移行支援の選び方|見学で必ず聞くべき10の質問

📖 約15✍️ 菅原 聡
失敗しない就労移行支援の選び方|見学で必ず聞くべき10の質問
就労移行支援の見学時に必ず確認すべき10の質問を解説。実績に関する質問では就職率・定着率・職種・失敗例を、支援内容では個別支援計画・職場実習・定着支援の具体性を、スタッフと体制ではスタッフの専門性と担当人数を、費用と契約では利用料以外の費用と退所条件を確認します。質問する際は遠慮せず、答えの内容だけでなくスタッフの態度も観察することが重要です。質問リストを印刷して持参し、複数の事業所で同じ質問をすることで客観的な比較ができます。メモを取りながら聞き、後で冷静に検討しましょう。

見学で何を聞けばいいかわからない

「就労移行支援の見学に行くことになったけれど、何を質問すればいいの?」「聞き忘れて後悔したくない」——初めての見学では、緊張してしまって聞きたいことを聞けずに終わってしまうことも少なくありません。

この記事では、就労移行支援の見学時に必ず確認すべき10の質問を、その理由とともに詳しく解説します。これらの質問をすることで、その事業所が自分に合っているか、信頼できるかを的確に判断できるようになります。印刷して持っていけるチェックシートとしても活用してください。

実績に関する質問(質問1〜3)

質問1:「過去3年間の就職率と定着率を教えてください」

最も重要な質問の一つが、就職率と定着率についてです。ただし、就職率だけを聞いても不十分です。就職後6ヶ月、1年経過時点での定着率も必ず確認しましょう。

良い事業所は、この質問に対して具体的な数字を即座に答えられます。「昨年度の就職率は52%で、就職後1年時点での定着率は78%です」といった明確な回答が理想です。曖昧な答えしか返ってこない場合は、実績に自信がない可能性があります。

💡 ポイント

定着率の計算方法も確認しましょう。「就職者のうち継続している人の割合」なのか、「全退所者のうち就職して継続している人の割合」なのかで、数字の意味が変わります。

質問2:「どんな業種・職種への就職実績が多いですか?」

就職実績の具体的な内訳を聞くことで、その事業所の強みがわかります。事務職が多いのか、軽作業が多いのか、IT系が多いのかなど、得意分野が見えてきます。

自分の希望する職種への実績が豊富であれば、そこに就職するためのノウハウや企業とのコネクションがある可能性が高いです。逆に、自分の希望と全く異なる職種ばかりなら、別の事業所の方が適しているかもしれません。

質問3:「就職に至らなかった方は、どのような理由が多いですか?」

この質問は、その事業所の誠実さを測る試金石になります。良い事業所は、失敗例についても正直に話してくれます。「体調が安定しなかった」「途中で目標が変わった」など、具体的な理由を説明できるはずです。

逆に、「うちではほとんどの方が就職しています」と成功例ばかりを強調したり、失敗について話したがらなかったりする事業所は、情報開示の姿勢に疑問が残ります。

支援内容に関する質問(質問4〜6)

質問4:「個別支援計画はどのように作られますか?」

就労移行支援の質を左右する重要な要素が、個別支援計画です。一人ひとりの状況や目標に合わせて、どのようにカスタマイズされた支援が提供されるのかを確認しましょう。

理想的な回答は、「利用開始前に丁寧な面談を行い、本人の希望、課題、必要な配慮を整理した上で計画を作成します。その後も月1回程度見直しを行い、柔軟に調整していきます」といった具体的なものです。

✅ 成功のコツ

「全員同じプログラムを受けていただきます」という回答が返ってきたら要注意です。個別性を重視していない可能性があります。

質問5:「職場実習はどのように行われますか?」

職場実習(インターンシップ)は、就職成功の鍵を握る重要な機会です。どのくらいの頻度で、どんな企業で実習できるのか、スタッフの同行サポートはあるのかなどを詳しく聞きましょう。

実習先の企業数が多く、多様な業種で体験できる事業所は、就職の可能性も広がります。また、「実習から直接採用につながることもあります」という説明があれば、企業との信頼関係が築けている証拠です。

質問6:「就職後の定着支援は具体的にどんなことをしてくれますか?」

就職がゴールではなく、長く働き続けることが本当のゴールです。定着支援の内容を具体的に確認しましょう。月に何回職場訪問があるのか、面談の頻度は、企業との調整もしてくれるのかなど、詳しく聞いてください。

「就職後6ヶ月間は月2回の職場訪問と面談を行い、その後も必要に応じて最長3年半サポートします」といった明確な答えが返ってくるのが理想です。

スタッフと体制に関する質問(質問7〜8)

質問7:「スタッフの専門資格や経験について教えてください」

支援の質を左右するのは、スタッフの専門性です。就労支援員、職業指導員、生活支援員などの有資格者が何名いるのか、障害者就労支援の経験年数はどのくらいかを聞いてみましょう。

また、精神保健福祉士、社会福祉士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラーなどの専門資格を持つスタッフがいるかも重要なポイントです。専門性の高いスタッフが多いほど、質の高い支援が期待できます。

質問8:「スタッフ一人あたり何名の利用者を担当していますか?」

どんなに優秀なスタッフでも、担当する利用者数が多すぎると、一人ひとりに十分な時間を割けません。スタッフと利用者の比率を確認しましょう。

目安としては、スタッフ1人に対して利用者5〜7人程度が理想的です。10人を超えるようであれば、個別対応が手薄になる可能性があります。この質問に対して明確な数字を答えられない事業所は、管理体制に問題がある可能性があります。

費用と契約に関する質問(質問9〜10)

質問9:「利用料以外にかかる費用を具体的に教えてください」

利用料は収入に応じて決まりますが、それ以外の費用も事前に確認しておくことが重要です。交通費、昼食代、教材費、資格試験の受験料など、実際にかかる費用の総額をイメージしておきましょう。

良い事業所は、「交通費は実費負担です。昼食は1食400円で提供しています。教材費は基本的にかかりませんが、資格取得を目指す場合は受験料が別途必要です」といった具体的な説明をしてくれます。

⚠️ 注意

「詳しくは契約時に説明します」と言って、見学時に費用の話を避ける事業所は要注意です。透明性に欠ける可能性があります。

質問10:「途中で利用をやめる場合、どのような手続きが必要ですか?」

最後の質問は、退所に関する条件です。「合わないと思ったらいつでもやめられるのか」「違約金は発生しないか」「他の事業所への変更は可能か」などを確認しておくと安心です。

就労移行支援は福祉サービスなので、基本的にはいつでもやめられます。しかし、事業所によっては独自のルールがある場合もあるため、事前に確認しておきましょう。この質問に対して快く答えてくれる事業所は、利用者の権利を尊重している証拠です。

質問する際の心構えと注意点

遠慮せずに質問することが大切

「こんなことを聞いたら失礼では?」と遠慮する必要はありません。2年間という貴重な時間を過ごす場所を選ぶのですから、納得いくまで質問する権利があります。

むしろ、たくさん質問することで「真剣に考えている」という姿勢が伝わり、事業所側も丁寧に対応してくれることが多いです。質問を嫌がる事業所があれば、それは選択肢から外す判断材料になります。

答えの内容だけでなく態度も観察する

質問に対する答えの内容はもちろん重要ですが、答え方や態度も観察しましょう。誠実に答えようとしているか、質問を面倒がっていないか、曖昧にごまかそうとしていないかなど、対応の質がわかります。

また、即座に答えられない質問については、「後日調べてご連絡します」と正直に言ってくれる事業所の方が信頼できます。

メモを取りながら聞く

複数の事業所を見学すると、どこで何を聞いたか混乱してしまいます。質問と回答をメモしながら聞くことで、後で冷静に比較検討できます。

この記事の10の質問をプリントアウトして持参し、回答を書き込んでいく形にすると便利です。数値や具体的な内容は特にしっかりメモしておきましょう。

質問カテゴリ 質問番号 確認ポイント
実績 1〜3 数字の具体性、正直さ
支援内容 4〜6 個別性、実践性
スタッフ・体制 7〜8 専門性、手厚さ
費用・契約 9〜10 透明性、柔軟性

よくある質問(FAQ)

Q1. 10個全部聞く時間がない場合、優先順位をつけるなら?

もし時間が限られているなら、質問1(就職率・定着率)、質問4(個別支援計画)、質問6(定着支援)、質問9(費用)の4つを優先することをおすすめします。これらは事業所の質と自分への影響が大きい項目です。

Q2. 質問リストを見ながら聞いてもいいですか?

はい、全く問題ありません。むしろ、準備してきたことが伝わり、真剣さが評価されることもあります。「事前に質問を用意してきました」と伝えれば、スタッフも丁寧に答えてくれるでしょう。

Q3. その場で答えられない質問もありますか?

詳細な統計データなど、即座に答えられない質問もあります。その場合、「後日メールでお知らせします」と言ってもらい、実際に連絡が来るかも確認ポイントになります。約束を守ってくれる事業所は信頼できます。

Q4. 家族も一緒に質問していいですか?

はい、家族の視点からの質問も歓迎されることが多いです。ただし、本人が主体となって質問し、家族は補助的な役割にとどめるのが理想的です。家族が前面に出すぎると、本人の自立を妨げる印象を与えることがあります。

Q5. 2回目の見学でも質問していいですか?

もちろんです。1回目で聞き忘れたこと、帰ってから疑問に思ったことなど、遠慮なく聞いてください。何度でも見学や質問を受け付けてくれる事業所は、利用者を大切にしている証拠です。

まとめ

この記事では、就労移行支援の見学時に必ず聞くべき10の質問について解説しました。

  • 実績(就職率・定着率・職種・失敗例)を具体的な数字で確認することが重要です
  • 支援内容(個別支援計画・職場実習・定着支援)の具体性を確かめましょう
  • スタッフの専門性と体制(資格・経験・担当人数)を聞いて支援の質を判断します
  • 費用と契約(利用料以外の費用・退所条件)の透明性を確認しましょう
  • 遠慮せず質問し、答えの内容だけでなく態度も観察することが大切です

これらの質問をすることで、表面的な情報だけでなく、その事業所の本質的な質や姿勢が見えてきます。質問リストを印刷して持参し、複数の事業所で同じ質問をすることで、客観的な比較ができます。

あなたに最適な事業所が見つかることを願っています。

菅原 聡

菅原 聡

すがわら さとし38
デスク📚 実務経験 12
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士

就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。

大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ランニング、ビジネス書を読むこと

🔍 最近気になっているテーマ

リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用

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