職業訓練で身につけたスキルをどう就職に生かす?

💼 職業訓練で身につけたスキルをどう就職に生かす?:キャリアに繋げる「言語化」と「可視化」の戦略
「就労移行支援や職業訓練でExcelやWeb制作を学んだけれど、これをどうアピールすれば採用に繋がるのかわからない」「訓練で身につけたスキルが、実際の企業でどれくらい通用するのか不安」「障害者雇用の面接で、訓練の経験を具体的かつ説得力のある形で伝えたい」「単なる資格ではなく、『仕事で使える能力』としてスキルを変換するための戦略を知りたい」
障害のある方々が安定就労を目指す上で、職業訓練は必須のステップです。しかし、訓練を終えた後、多くの人が直面するのが、「訓練で得たスキルと、企業が求める人材とのギャップ」です。ただ単に「MOS資格を持っています」とか「毎日訓練所に通いました」と伝えるだけでは、採用担当者にあなたの潜在能力や入社後の貢献度を十分に理解してもらうことはできません。
重要なのは、訓練の期間を**「単なる学習」ではなく、「職業人としての準備期間」として再定義し、そこで獲得した「具体的な成果」と「自己管理能力」を戦略的に「言語化」し、「可視化」することです。企業が知りたいのは、「あなたは何ができるか」ではなく、「そのスキルを使って、当社のどんな課題を解決できるか」**という点です。
この記事では、職業訓練で得たスキルを「仕事で使える能力」に変換するための3つの戦略、企業が最も評価する「ポータブルスキル」の言語化テクニック、面接で説得力を持たせるための「ポートフォリオ」作成方法、そして訓練後の自己研鑽をアピールする方法を、全6500字以上の大ボリュームで徹底的に解説します。訓練の成果を最大限に活用し、あなたの希望するキャリアを掴むための具体的なロードマップ**を描きましょう。
📊 1. 訓練スキルを「仕事の成果」に変換する3つの戦略
訓練で学んだ**「知識」を、企業にとって価値ある「能力」**として表現するための具体的なフレームワークです。
A. 戦略①:「知識」を「行動」に変換する(動詞化)
単に**「何を学んだか」ではなく、「それを使って何をしたか」**を伝えることが重要です。
- NG例:「ExcelのVLOOKUP関数を学習しました。」
- OK例:「ExcelのVLOOKUP関数を使い、3つの異なるシートの顧客データを統合し(行動)、集計時間を50%短縮することに成功しました(成果)。」
- **訓練:訓練の課題一つ一つを、「目的」「行動」「結果(数値目標)」**に分解し、動詞を使って記録する。
B. 戦略②:「訓練」を「プロジェクト」と捉える
訓練で作成した成果物や課題を、実際の業務に近い**「プロジェクト」として定義し直します。
- 訓練の再定義例:
- 「MOS Excelの課題」→「ダミー売上データを用いた『月次業績報告シミュレーション』プロジェクト」
- 「Web制作の課題」→「架空の店舗向け『集客用Webサイト制作』プロジェクト(HTML/CSS使用)」**
- 効果:企業は、あなたが「プロジェクトの目的理解、計画立案、実行、完了」という一連の業務プロセスを経験していると評価する。
C. 戦略③:失敗を「問題解決」のストーリーに変える
訓練中のつまずきやエラーを、自己管理能力を証明するポジティブな経験として語ります。
- ストーリーの構造(STAR法応用):
- S(状況):「Excelの課題で、複雑な関数を組む際に致命的なエラーが発生しました。」
- T(課題):「エラーを自力で特定し、納期までに解決する必要がありました。」
- A(行動):「すぐに支援員に相談し、同時にMDN Web Docsなどのリファレンスを参照し、原因の論理的分析を行いました。」
- R(結果):「結果、エラーの原因を特定し、課題を期日内に完了。以後、必ず手順をチェックリスト化する習慣を身につけました。」
⚙️ 2. 企業が評価する「ポータブルスキル」の言語化
専門知識だけでなく、訓練期間中に身につけた**「どこでも通用する能力(ポータブルスキル)」**を、特性と関連付けて言語化します。
A. 自己管理能力(体調・時間管理)
体調の波がある中で、毎日訓練に通い、課題をこなしたという事実は、高い自己管理能力の証明です。
- アピールポイント:
- ADHD特性:「ポモドーロ・テクニックと視覚的なタスク管理(Trello)を組み合わせ、集中力のムラを克服し、納期を厳守する習慣を身につけました。」
- 精神障害特性:「体調を最優先するために、毎日必ず記録し、体調不良になる前に支援員に相談して課題量を調整しました。自己理解と予防的な行動に自信があります。」
B. 構造化・論理的思考力(ASD特性の強み)
ASDの特性を持つ方が得意とする**「手順の明確化」や「情報の分類」は、業務マニュアル作成やシステム構築において極めて重要なスキルです。
- アピールポイント:「私は曖昧な指示が苦手な特性がありますが、その分、複雑な業務手順を誰でも理解できるマニュアルに落とし込む作業が得意です。訓練では、すべてのPC操作をフローチャート化して100%の再現性**を達成しました。」
C. 報連相・コミュニケーション能力(SSTの成果)
コミュニケーションに困難を抱えていた人が、訓練でスキルを習得したという事実は、成長意欲の証明です。
- アピールポイント:「私は非言語的な情報を読むのが苦手ですが、SST(ソーシャルスキルトレーニング)でホウレンソウの型を習得しました。口頭での報告の後には、必ずチャットで要点をテキスト化し、情報伝達の正確性を確保しています。曖昧さを残さない業務遂行を徹底します。」
🎨 3. 説得力を高める「ポートフォリオ」作成戦略
口頭での説明だけでは伝わりにくいスキルと熱意を、視覚的に証明するための作品集(ポートフォリオ)を作成します。
A. 必須要素①:訓練成果物の「分解と解説」
完成した作品だけでなく、制作のプロセスと技術的なポイントを必ず記載します。
- Excelポートフォリオの場合:
- 作品(例):月次業績報告シミュレーションシート
- 解説:「このシートでは、VLOOKUP、SUMIF、条件付き書式を使用し、手作業で4時間かかっていた集計を10分に短縮できる仕組みを構築しました。」
- ポイント:****使用した関数名やPCスキル名をすべて言語化する。
- **効果:採用担当者は、あなたが「何を」ではなく「どう」考え、「どれくらいのレベル」**で実行できるかを具体的に判断できる。
B. 必須要素②:自己管理・工夫の「裏側」を見せる
訓練で身につけたポータブルスキルを証明するために、普段使用しているツールのスクリーンショットを掲載します。
- 掲載例:
- TrelloやTodoistの進捗管理画面のキャプチャ:「課題をチャンク化し、納期に合わせて自己管理していた証拠」
- 自作した業務マニュアル/チェックリストの一部:「手順化と正確性に対する意識の高さ」
C. ポートフォリオの公開方法(無料ツールの活用)
費用をかけずにポートフォリオをプロフェッショナルに見せるためのツールを活用します。
- Googleサイト:コードを書かずに、ドラッグ&ドロップで履歴書や作品をまとめたシンプルなサイトを無料で作成できる(事務職、企画職向け)。
- GitHub Pages:Web制作やプログラミングのコードを公開し、技術力をダイレクトに証明する(IT職向け)。
📝 4. 履歴書・職務経歴書への訓練経験の記載方法
形式的な書類の中に、訓練で得た価値を埋め込むための具体的なテクニックです。
A. 職務経歴書での「職歴に準ずる」記載
就労移行支援などの訓練期間は職歴ではありませんが、**「職務経歴に準ずる経験」**として、具体的な業務内容を記載します。
- 記載例:
【職業訓練等での経験】
期間:20XX年X月~20XX年X月(〇〇就労移行支援事業所)
- PCスキル訓練:MOS Excel/Wordレベル習得。VLOOKUP、SUMIFを用いた月次集計シミュレーション(集計時間75%短縮)を完遂。
- 自己管理:ポモドーロ・テクニックを用いた集中力維持訓練を徹底。体調の自己分析に基づくスケジュール調整(欠席率〇%に改善)。
B. 「特記事項」を活用した合理的配慮の事前開示
合理的配慮を求める際は、「障害特性」と「それに対する訓練での具体的な対策」をセットで提示します。
- 記載例:「(障害名)の特性上、口頭での複雑な指示の理解に時間を要す場合があります。訓練では、指示を必ず文書化し、チェックリストを作成する習慣を身につけました。入社後も同様の配慮(指示の文書化)を希望いたしますが、その分、業務の正確性には自信があります。」
🚀 5. 訓練終了後の「継続的なスキルアップ」戦略
訓練終了から内定までの期間も、スキルが陳腐化しないよう、自己研鑽を続けることが重要です。
A. 無料学習サイトでの知識のアップデート
就職活動中も、無料のオンライン学習サイト(YouTube、Progate、edXなど)を活用し、最新の知識をインプットし続けます。
- **訓練内容:面接で「訓練後は何をしていましたか?」と聞かれた際に、「Web制作の最新トレンドについて、edXで〇〇のコースを受講し、知識をアップデートしていました」**と具体的に答えられるように準備する。
B. 模擬実務(MOCK PROJECT)の継続
訓練期間中に作成したポートフォリオをブラッシュアップし続けたり、新しい模擬プロジェクトを立ち上げたりします。
- 訓練内容:架空の企業のWebサイトを**「次はJavaScriptを追加して動的な要素を加える」**というように、難易度を上げて再制作する。
- 効果:就職活動が長引いても、「継続的にスキルが伸びている」という成長意欲を企業に示すことができる。
C. 訓練機関との連携継続(定着支援の利用)
訓練機関は、訓練終了後も定着支援という形で学習サポートや生活面の相談を継続できます。
- 活用法:****訓練中に苦手だった部分の復習教材を提供してもらったり、面接対策を支援員と継続したりする。
職業訓練は、ゴールではなくスタート地点です。訓練で得た知識を、「仕事で使える能力」に変換し、それを企業が理解できる**「言語」で伝え、「ポートフォリオ」という証拠で裏付けることが、成功への鍵となります。あなたの努力と自己管理能力は、障害者雇用において最大の武器です。この記事で紹介した戦略を実践し、自信を持って就職活動**に臨んでください。
まとめ
- 訓練で得たスキルは、「知識」ではなく「行動」(動詞)と**「成果」(数値)に変換し、「月次報告シミュレーション」のようなプロジェクトとして語るべきである。
- 企業が評価するポータブルスキル**(自己管理能力、論理的思考力、報連相)を、特性と訓練での具体的な対策をセットにして言語化する(例:Trelloを使った集中力の克服)。
- ポートフォリオは、訓練成果物の使用技術と制作プロセスを詳細に解説するだけでなく、Trelloの進捗画面など自己管理の証拠も掲載し、説得力を高める。
- 履歴書・職務経歴書には、訓練経験を**「職務経歴に準ずる経験」として具体的なスキルを記載し、特記事項で配慮要請とその対策をセットで提示する。
- 訓練終了後も、無料学習サイトや模擬プロジェクトで継続的なスキルアップを行い、成長意欲を企業に示し続ける。
- 訓練機関とは定着支援として連携を継続し、就職後のスキルアップや問題解決**のサポートも視野に入れる。

菅原 聡
(すがわら さとし)38歳📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士
就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。
大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ランニング、ビジネス書を読むこと
🔍 最近気になっているテーマ
リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用





