職業訓練に通う前に必要な準備リスト
📝 職業訓練に通う前に必要な準備リスト:障害のある方が訓練を成功させるための完全ロードマップ
「職業訓練を受けたいけれど、何を準備すればいいかわからない」「障害がある場合、入校前にどんな配慮や手続きが必要なの?」「訓練を就職に繋げるために、事前に目標設定や体調管理をどう進めるべき?」
職業訓練(公共職業訓練、または就労移行支援を含む)は、障害のある方がスキルアップを図り、安定した就労を実現するための非常に有効な手段です。授業料が無料(または安価)、専門的な指導、そして就職サポートが受けられる点は大きなメリットです。しかし、訓練は**「学校」ではなく「就職準備の場」であるため、目的意識を持って事前の準備**を徹底することが、訓練の成否を分けます。
特に、体調管理や生活リズムの安定、そしてご自身の障害特性の理解は、訓練での学習効果を高め、中途退校を防ぐための必須の準備です。**「なんとなく」**訓練を始めてしまうと、途中で挫折したり、望むスキルが身につかず、貴重な時間とエネルギーを浪費してしまう危険性があります。
この記事では、障害のある方が職業訓練を最大限に活用し、確実に就職に結びつけるために、入校・利用前に完了すべき「必須の準備」を詳細なチェックリスト形式で、徹底的に解説します。「心構え」「経済的・環境的準備」「手続き・情報収集」**の三つの柱に分けて、具体的な行動手順をお伝えします。このリストを参考に、万全の体制で訓練への一歩を踏み出しましょう。
🎯 1. 訓練の成功を決める「心構え」と「目標設定」の準備
訓練を始めるにあたり、最も重要なのは内面的な準備です。訓練への意欲や具体的な目標設定が、途中の困難を乗り越える力となります。
A. なぜ訓練を受けるのか?目的の明確化(マインドセット)
「とりあえず」ではなく、「〇〇の仕事に就くため」という具体的な理由が必要です。
- チェックリスト:
- 訓練を受ける目的を具体的に言語化しましたか?(例:事務職に就くため、プログラミングスキルを身につけるため)
- 訓練を通じて目指す就職後の職種を絞り込みましたか?
- 訓練を途中で辞めないという強い意思を固めましたか?(訓練は学校ではなく、就職のための**「義務」**が伴います)
B. 自己理解と職業評価の実施(適性の把握)
ご自身の障害特性や能力を客観的に把握することが、コース選びの失敗を防ぎます。
- チェックリスト:
- 地域障害者職業センターで職業評価を受けましたか?(適性、能力、必要な配慮を客観的に知る)
- 自分の障害特性が、訓練中の学習や集中力にどう影響するかを把握していますか?
- 過去の失敗経験を振り返り、中途退職の原因となった**ソフトスキル(対人関係、体調管理など)**は何だったか明確にしましたか?
C. 具体的かつ達成可能な目標設定
訓練期間(就労移行支援なら2年、職業訓練校なら半年~2年)内で何を達成するかを明確にします。
- チェックリスト:
- 訓練期間中に取得を目指す資格を決めましたか?(例:MOS Excel、簿記3級)
- 体調面での具体的な目標を設定しましたか?(例:週4日、午前中休まず通所できる状態を目指す)
- 就職希望時期を決めましたか?(支援員と共有できる具体的な時期)
🏥 2. 訓練を継続するための「生活・体調」の準備
特に精神障害や体調の波がある方にとって、訓練を休まず継続するための体調と生活基盤の安定は、スキル習得以前の最重要課題です。
A. 生活リズムの徹底した安定化
訓練開始前に、本番と同じ生活リズムを確立しておきます。
- チェックリスト:
- 訓練開始時間に合わせて、起床・就寝時間を毎日一定に保っていますか?
- 朝食を毎日欠かさず摂る習慣ができていますか?
- 日中の活動時間に適度な運動を取り入れ、体力を維持していますか?
B. 医療・福祉連携体制の構築
訓練期間中の体調不良や薬の調整に備え、主治医や相談支援専門員との連携を強化します。
- チェックリスト:
- 主治医に訓練を受けることを伝え、了承を得ましたか?(特に就労移行支援の利用には医師の意見書が必要な場合がある)
- 訓練機関の支援員と主治医が連携する可能性について、事前に許可しましたか?
- 体調が崩れた場合の緊急連絡先や、休養の目安を明確に設定しましたか?
C. 通所環境のシミュレーション
訓練校や事業所への通所ルートを事前に確認し、負担を最小限に抑えます。
- チェックリスト:
- 実際に訓練機関まで、ラッシュアワーの時間帯に往復で通ってみましたか?(負担度をチェック)
- 交通費や定期代を計算し、予算に組み込みましたか?
- 訓練機関までの道順で、休憩できる場所やトイレの場所を確認しましたか?(特に身体障害やパニック障害の方)
📄 3. 訓練機関の選定と「手続き」の準備
公的支援をスムーズに開始するために、訓練機関の選定と手続きを計画的に進めます。
A. 訓練機関の徹底比較と選定
就労移行支援または職業訓練校を決定する前に、必ず比較検討を行います。
- チェックリスト:
- 候補となる訓練機関を最低3箇所以上リストアップしましたか?
- 全ての候補を見学・体験利用し、雰囲気、指導員の専門性、カリキュラムを比較しましたか?
- 就職実績や就職先の職種が、自分の目標と一致しているか確認しましたか?
- 必要な合理的配慮(例:個別ブース、休憩時間の柔軟性)が提供可能か、支援員と具体的な話し合いをしましたか?
B. 公的手続きと書類の準備
訓練を受けるための公的な手続きは時間がかかるため、早めに着手します。
- チェックリスト:
- 障害者手帳または医師の診断書(福祉サービス利用に必要な場合)を準備しましたか?
- 就労移行支援の場合、市町村の障害福祉窓口で受給者証の申請手続きを開始しましたか?
- 職業訓練校の場合、ハローワークで求職登録と訓練受講の相談を済ませましたか?
- 訓練期間中の経済的サポート(職業訓練受講給付金、生活保護など)の受給資格を確認しましたか?
C. 入校・利用選考の対策
訓練機関によっては選考(面接や筆記試験)があります。
- チェックリスト:
- 訓練校の選考内容(筆記試験の科目、面接の形式)を確認し、対策を始めましたか?
- 面接で**「なぜこの訓練を受けたいのか」「訓練後の就職目標」を簡潔に説明する練習をしましたか?
- 面接時に必要な配慮事項**を、明確かつ簡潔に伝えられるよう準備しましたか?(「配慮をお願いします」ではなく、「集中力維持のため、端の席を希望します」のように具体的に)
💰 4. 訓練期間中の「経済的な準備」
授業料が無料でも、生活費や諸経費はかかります。経済的な不安を解消することが、訓練への集中に繋がります。
A. 訓練期間中の費用シミュレーション
訓練期間中の収入と支出を正確に把握します。
- チェックリスト:
- 訓練期間(〇ヶ月間)の総支出(家賃、食費、交通費、医療費など)を見積もりましたか?
- 自己負担となる訓練経費(テキスト代、資格受験料など)を概算しましたか?
- 訓練期間中の収入(貯金、給付金、家族の支援など)を確保しましたか?
B. 経済的支援制度の確認と申請
利用できる公的な経済支援制度を確認し、申請漏れがないかチェックします。
- チェックリスト:
- 雇用保険または職業訓練受講給付金(求職者支援制度)の受給要件を満たしているかハローワークで確認しましたか?
- 自立支援医療制度(医療費負担軽減)や障害年金を継続的に受給できるか確認しましたか?
- 家賃補助や生活保護を受けている場合、訓練の利用が受給に影響しないか、担当窓口に確認しましたか?
🤝 5. 訓練効果を高める「情報収集と連携」の準備
訓練開始前に、必要な情報を集め、支援者との連携を確立しておくことで、スムーズに学習に入れます。
A. 支援者ネットワークの確立
訓練を支えてくれる周囲の支援者を巻き込みます。
- チェックリスト:
- ご家族に訓練の目的、期間、通所時間を伝え、理解と協力を求めましたか?
- 特定相談支援事業所の相談支援専門員と、訓練中の目標や課題を共有し、連携体制を整えましたか?
- 訓練機関の支援員に、自分の体調の特徴、必要な配慮を記載した**「支援ノート」**のようなものを提出できるよう準備しましたか?
B. 訓練内容の予習
訓練開始後に焦らないよう、予習をしておくとスムーズです。
- チェックリスト:
- 訓練コースのシラバス(カリキュラム概要)を入手し、特に苦手と感じる分野を特定しましたか?
- PCスキルの訓練を受ける場合、WordやExcelの基本操作を、簡単なオンライン教材で確認しましたか?
- SST(ソーシャルスキルトレーニング)を受ける場合、職場でのコミュニケーションで困っている点を具体的に整理しましたか?
職業訓練に通うための準備は多岐にわたりますが、一つ一つ着実にクリアしていくことで、あなたの就職への意欲と計画性が深まります。この準備期間こそが、すでに**「働く力」を高めるリハビリテーション**の一つです。万全の準備を整え、自信を持って職業訓練の扉を開きましょう。
まとめ
- 職業訓練を成功させるためには、目的意識、体調管理、手続きの三つの柱による事前の準備が不可欠である。
- 心構えの準備として、「なぜ訓練を受けるか」という目的を明確化し、地域障害者職業センターでの職業評価を通じて適性を客観的に把握し、具体的な資格取得や体調安定の目標を設定する。
- 生活・体調の準備として、訓練開始時間に合わせた規則正しい生活リズムを確立し、主治医との連携体制を整え、通所ルートのシミュレーションを行うことで、訓練継続へのリスクを最小限に抑える。
- 手続きの準備として、複数の訓練機関の徹底比較と体験利用を行い、受給者証や求職登録などの公的手続きを早めに済ませ、選考対策として面接時のアピールポイントや合理的配慮を言語化しておく。
- 経済的な準備として、訓練期間中の収入と支出をシミュレーションし、職業訓練受講給付金などの経済的支援制度の受給資格を確認する。
- 訓練開始前に、家族や相談支援専門員との連携を確立し、訓練内容の予習を行うことで、スムーズに学習に入り、訓練効果を最大化する。

菅原 聡
(すがわら さとし)38歳📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士
就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。
大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ランニング、ビジネス書を読むこと
🔍 最近気になっているテーマ
リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用





