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初めてでもわかる障害者向け行政サービスの利用方法

📖 約74✍️ 高橋 健一
初めてでもわかる障害者向け行政サービスの利用方法
障害者向け行政サービス利用は、相談・申請認定・決定利用開始の3ステップです。 まず市区町村窓口で相談し、相談支援専門員(ケアマネ)と契約します。 ホームヘルプなどの介護給付には、障害支援区分(1~6)の認定が必要です。 認定後、専門員がサービス等利用計画を作成し、受給者証が交付されて利用開始となります。 費用は原則1割負担ですが、所得に応じた上限月額があり、それを超える負担はありません。 専門家との連携を強化し、心身の状態が変わったら区分変更申請を行うことが重要です。

障害者向けの行政サービス福祉制度は、自立した生活社会参加、そして介護するご家族の負担軽減のために不可欠な支援です。しかし、「どんなサービスがあるのかわからない」「手続きが複雑でどこから始めればいいのかわからない」と感じる方は少なくありません。

特に、初めて障害者手帳を取得した方や、新たなサービスの利用を検討する方にとって、行政サービスの入り口である「相談」から「サービス利用開始」までの流れは、大きな障壁となりがちです。

行政サービスは、主に「障害者総合支援法」に基づき、お住まいの市区町村を通じて提供されています。この制度を最大限に活用するには、正しい申請のステップと、支援のプロとの連携が極めて重要になります。

このガイド記事では、**「初めてでもわかる障害者向け行政サービスの利用方法」**をテーマに、「支援を受けるための3つの基本ステップ」「サービスの根幹をなす障害支援区分とは?」「主要なサービス内容と利用の流れ」「失敗しないための重要チェックポイント」の4つのパートに分け、行政サービス全体像具体的な利用手順初心者の方にもわかりやすいように徹底解説します。

この情報が、皆様が迷うことなく必要な行政サービスにたどり着き、安心して質の高い支援を受けられるようになるための一助となることを願っています。


パート1:支援を受けるための3つの基本ステップ

障害者向け行政サービスを利用するプロセスは、個別のサービス内容に関わらず、**「相談・申請」「認定・決定」「利用開始」**という3つの大きなステップで共通しています。特に最初のステップ正しく踏むことが、スムーズなサービス開始につながります。

1.ステップ1:相談と申請(サービスの入り口)

行政サービスの利用は、まず市区町村の窓口での「相談」から始まります。この相談で、**「何をしたいか(目的)」**を明確に伝えることが重要です。

アクション 詳細とポイント
相談窓口 お住まいの市区町村の障害福祉担当課、または地域包括支援センター(高齢者との併設の場合)へ出向くか、電話で連絡します。
専門家の決定

相談支援事業所と契約し、相談支援専門員(ケアマネージャーの障害者版)を決定します。

**この専門員**が申請手続きサポートや、サービス等利用計画作成を担ってくれます。

利用申請 サービス利用の申請書を窓口に提出します。この時点で障害者手帳有無が確認されます。

2.ステップ2:認定とサービス等利用計画の作成

申請後利用者どの程度支援が必要かを判断するための認定調査が行われます。

障害支援区分の認定

市町村の調査員自宅などを訪問し、心身の状態日中の活動について聞き取り調査を行います。この結果を基に、審査会を経て「障害支援区分」が決定されます。(区分についてはパート2で詳しく解説します。)

サービス等利用計画の作成

相談支援専門員が、認定された区分利用者の意向を踏まえ、**「いつ、どのサービスを、どのくらい利用するか」**を具体的に記した計画書を作成します。この計画書が、サービス支給決定根拠となります。

3.ステップ3:支給決定と利用開始

市町村は、認定区分サービス等利用計画を基に支給量を決定し、利用者に通知します。

受給者証の交付

市町村から「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。この受給者証には、利用できるサービスの種類、支給量、自己負担上限月額などが記載されており、**サービスを利用する際の証明書**となります。

サービス提供事業者との契約

受給者証を持って、計画書に記載されたサービス提供事業者(例:ヘルパー派遣会社、デイサービス事業所)と直接契約を結びます。契約が完了すれば、いよいよサービスの利用が開始できます。


パート2:サービスの根幹をなす「障害支援区分」とは?

行政サービス支給量利用できるサービスの種類を決定する最も重要な基準が、**「障害支援区分」**です。

4.障害支援区分の基礎知識

障害支援区分は、旧制度の「障害程度区分」に代わり、支援の必要性総合的に評価するために導入されました。要介護認定(要介護1~5)と似た仕組みですが、障害者複雑なニーズに対応できるようになっています。

区分は、非該当から区分1区分6までの7段階に分かれています。区分が上がるほど支援の必要性が高いと判断され、利用できるサービスの量や種類が増えます。

区分 支援の必要性の目安
区分6 最も支援の必要性が高い状態。常に全面的介護が必要。
区分4~5 重度肢体不自由知的障害精神障害などで、生活全般にわたる支援が必要。
区分1~3 入浴、排せつ、食事などの一部支援が必要な状態。
非該当 国の障害福祉サービス対象外とされる状態。(ただし市町村独自のサービスは利用可能な場合あり)

5.サービス利用と区分認定の関係

全ての障害福祉サービス区分認定必須なわけではありません。主にホームヘルプ(居宅介護)施設入所支援など、長時間にわたる人的な支援を受ける場合に区分認定必要になります。

区分認定が必要な主なサービス: 居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護、短期入所、施設入所支援など。

区分認定が不要な主なサービス: 地域活動支援センター、計画相談支援、自立支援医療、補装具の給付など。

区分認定有効期限があり、期限が近づく再度認定調査を受ける必要があります。心身の状態が変化した場合は、有効期限前であっても区分変更の申請が可能です。


パート3:主要なサービス内容と利用の流れ

障害者総合支援法に基づく行政サービスは、大きく分けて**「介護給付」「訓練等給付」「地域生活支援事業」**の3つに分類されます。

6.介護給付:生活を支えるための人的支援

居宅介護重度訪問介護など、自宅での身体介護家事支援外出時の移動支援といった生活密接に関わるサービスです。ほとんどのサービスで障害支援区分必要です。

サービス名 主な内容
居宅介護 ホームヘルパーによる入浴、排せつ、食事介助(身体介護)や調理、掃除(生活援助)を自宅で提供。
重度訪問介護 重度の肢体不自由者重度の障害者に対して、長時間かつ包括的介護を提供。
短期入所(ショートステイ) 介護する家族病気や冠婚葬祭で不在の時などに、施設に短期間入所して介護を受ける。家族のレスパイト(休息)に重要。

7.訓練等給付:社会参加と自立のための支援

一般就労を目指すための訓練や、地域社会自立した生活を送るためのスキル習得するためのサービスです。主に日中活動を支援します。

就労支援系のサービス: 就労移行支援(一般企業への就職を目指す訓練)、就労継続支援A型・B型(雇用契約を結んだり、軽作業を行ったりする就労の場)。

生活支援系のサービス: 自立訓練(生活能力向上のための訓練)、地域定着支援(施設退所後の緊急支援)、共同生活援助(グループホーム)(共同生活住居での援助)。

8.地域生活支援事業:市町村独自のきめ細やかな支援

国制度ではカバーしきれない地域の実情に合わせた独自のサービス市町村によって提供されています。これらのサービスは、障害支援区分不要なものが多いのが特徴です。

具体的なサービス例: 移動支援事業(外出時の付き添い)、地域活動支援センター(日中の居場所や創作活動の場)、日中一時支援(介護者の急病時などの一時的な預かり)。

これらの地域事業市町村によって内容名称大きく異なるため、**「市町村の障害福祉担当窓口」**で最新情報確認することが非常に重要です。


パート4:失敗しないための重要チェックポイント

行政サービス継続的最大限活用するためには、申請手続きだけでなく、費用の仕組み専門家との連携についても理解しておく必要があります。

9.サービス利用の費用負担の仕組み

障害福祉サービスを利用する際の費用は、原則として費用の1割自己負担となります。しかし、ほとんどの利用者には「利用者負担上限月額」が設けられており、それ以上の負担生じません

世帯区分 負担上限月額
生活保護世帯・低所得世帯 0円(自己負担なし)
一般1(市町村民税課税世帯:所得約600万円未満) 9,300円
一般2(上記以外) 37,200円

この負担上限月額は、世帯の所得状況によって決定され、受給者証記載されます。複数のサービスを利用した場合でも、この上限額を超えて請求されることはありません

10.相談支援専門員との連携を強化する

相談支援専門員(ケアマネ)は、行政サービス利用する上での最重要人物です。この専門員との連携が、サービスの質大きく左右します。

専門員の役割: サービス等利用計画の作成、サービス事業者との調整、区分変更申請のサポート、緊急時の対応など、多岐にわたります。

連携のポイント: 定期的な面談を通じて、利用者の心身の状態生活上の困りごと正確に共有しましょう。困りごとを伝えることで、計画見直され必要なサービス追加してもらえる可能性があります。

11.行政サービスの利用中に起こり得る変化への対応

心身の状態生活環境変化した場合、行政サービス利用内容見直す必要があります。

区分変更申請: 病状の悪化身体機能の低下により、より多くの介護が必要になった場合は、障害支援区分「変更申請」速やかに行いましょう。相談支援専門員手続きサポートしてくれます。

受給者証の更新: 受給者証区分認定には有効期限があります。期限が切れる約3ヶ月前市町村から更新の通知が来ますので、忘れずに手続きを行いましょう。

✅ サービス利用成功のための3つの原則

1.まずは相談: 市町村窓口または相談支援専門員最初にアクセスする!

2.区分認定の理解: 区分によって利用できるサービス量決まることを知る!

3.計画書が命: サービス等利用計画専門員一緒に作り上げる!


まとめ:行政サービスは支援の土台

障害者向けの行政サービスは、日常生活から就労支援、医療費助成に至るまで、生活の土台総合的に支える仕組みです。

初めて利用される方は、まず**「相談」**を出発点とし、相談支援専門員という強力なパートナーを見つけることが最重要です。

最終確認ポイント

ステップの順序: 相談・申請区分認定計画作成受給者証交付利用開始という流れを頭に入れておく

費用: 原則1割負担だが、利用者負担上限月額があり、所得によっては負担ゼロになる。

専門家: 相談支援専門員定期的に話し合いサービス計画現状に合ったもの更新していく。

このガイドを参考に、行政サービス適切活用し、安心できる生活環境を築き上げていってください。

✅ 次のアクション

お住まいの市区町村のホームページで、「障害福祉サービス 相談支援事業所」と検索し、相談支援専門員連絡先を調べてみましょう。これが最初の申請最も具体的な一歩となります。

高橋 健一

高橋 健一

たかはし けんいち50
担当📚 実務経験 25
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会福祉士

市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。

大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

将棋、歴史小説

🔍 最近気になっているテーマ

マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展

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