障害のある方が利用できる自治体の制度まとめ【完全ガイド】

障害のある方やそのご家族にとって、「利用できる支援制度が多すぎて、どこから手をつけて良いかわからない」「複雑な制度を理解して、漏れなく活用したい」といった悩みは尽きないことでしょう。
日本には、国が定める制度に加え、各自治体(市区町村や都道府県)が独自に提供している多様な支援制度が存在します。これらの制度は、生活費の助成、医療費の補助、移動のサポートなど、日常生活をより快適に、そして安心して送るための重要なセーフティネットとなっています。
しかし、自治体独自の制度は情報が分散しており、探し出すのが難しいのが現状です。必要な情報を見落としてしまうと、本来受けられたはずの支援を受けられないことにもなりかねません。
この記事では、障害のある方が利用できる自治体の主な支援制度を、「生活支援」「経済的支援」「移動・外出支援」の3つのカテゴリに分けて、完全ガイドとしてまとめて解説します。
この情報を参考に、お住まいの地域でどのような制度が利用できるのかを把握し、ぜひ生活の質の向上にお役立てください。
自治体制度活用の基本:相談先と情報収集
自治体の制度は、お住まいの地域によって内容や名称が大きく異なります。そのため、制度の利用を検討する際は、まず「どこに相談すればよいか」を知ることが第一歩となります。
まず相談すべき窓口
障害福祉サービスや自治体独自の制度に関する情報を最も包括的に得られる窓口は、以下の2つです。
- お住まいの市区町村の障害福祉課(または福祉事務所):
- 国が定める障害福祉サービス(居宅介護、就労継続支援など)の申請手続きを行います。
- 同時に、その自治体独自の各種手当や補助金について、最も正確な情報を持っています。
- 相談支援事業所:
- サービス等利用計画の作成を通じて、利用者一人ひとりに合わせた最適なサービスの組み合わせを提案してくれます。
- 国・自治体の制度横断的に情報を提供してくれるため、複雑な制度のナビゲーター役として非常に頼りになります。
まずはこのいずれかの窓口に足を運び、「どのような生活を送りたいか」という希望を伝え、利用可能な制度を一覧にしてもらうことをおすすめします。
自治体制度の情報収集のコツ
自治体の制度は、広報誌やウェブサイト、パンフレットなどで公開されていますが、制度の名称が地域によって違うため、検索が難しいことがあります。
- ウェブサイトの活用:「(お住まいの市区町村名) 障害者 福祉」や「(お住まいの市区町村名) 独自 助成」といったキーワードで検索し、障害福祉の総合案内ページを探しましょう。
- 広報誌のチェック:年に一度、障害者向けの福祉制度を特集した広報誌やパンフレットが配布されることがあります。これらは最新の情報が網羅されていることが多いため、必ず目を通しましょう。
- 名称の違いを理解する:例えば、「心身障害者福祉手当」のような制度でも、名称は「愛の手当」「特別障害者手当」など、自治体ごとに固有のものになっていることがあります。
💡 ポイント
支援制度には、所得制限が設けられているものや、申請期限があるものが多くあります。事前に確認し、早めに手続きを始めることが重要です。
【カテゴリ1】生活を安定させるための経済的支援制度
障害のある方の生活を経済的に支える制度は、国や自治体から多岐にわたって提供されています。ここでは、自治体が独自に上乗せや横出しで実施している主な経済的支援を解説します。
心身障害者福祉手当(自治体独自の手当)
国が定める「特別障害者手当」や「障害児福祉手当」とは別に、多くの自治体が、障害の程度や種類に応じて独自に手当を支給しています。
- 特徴:支給対象となる障害の範囲を国制度よりも広く設定していたり、支給額を上乗せしていたりする自治体があります。名称は「心身障害者福祉手当」「重度心身障害者手当」などが一般的です。
- 注意点:ほとんどの制度に所得制限が設けられています。また、国の制度と重複して支給されるかどうかは自治体によって異なりますので、必ず確認が必要です。
この手当は、日常生活の負担軽減を目的としており、毎月の生活費の足しとなるため、対象となる場合は必ず申請しましょう。
医療費の助成制度(重度心身障害者医療費助成)
医療費の助成は、障害のある方にとって最も恩恵が大きい制度の一つです。国制度で賄えない部分を自治体が助成することで、医療費の自己負担が大幅に軽減されます。
- 特徴:一般的に「マル障」と呼ばれ、重度の身体障害や知的障害、または精神障害(一定の基準を満たす場合)を持つ方が対象です。
- 助成内容:医療機関の窓口で支払うべき医療費の自己負担分を全額または一部助成します。これにより、通院や入院の経済的負担が実質ゼロになるケースが多くなります。
- 対象範囲:対象となる障害の程度や、入院・通院の別、一部自己負担金の有無などは、各自治体の条例で細かく定められています。
税金や公共料金の減免・割引制度
自治体は、障害者手帳を持つ方を対象に、税金や公共料金に関するさまざまな減免・割引制度を実施しています。
- 都民税・区市町村民税の減免:所得に応じて、住民税の減免や非課税措置が適用されることがあります。
- 上下水道料金の減免:世帯に障害者がいる場合、基本料金の一部や全額が減免される制度を設けている自治体があります。
- ゴミ処理手数料の減免:特定の手帳を持つ世帯に対し、有料の指定ごみ袋の手数料を減免する制度などもあります。
✅ 成功のコツ
これらの経済的支援は、申請しないと受けられません。「自分は対象外だろう」と決めつけず、障害福祉課の窓口で、利用可能な手当や減免制度をすべてリストアップしてもらうことが、制度活用の第一歩です。
【カテゴリ2】日常生活を支援するサービス・補助
日常生活で生じる様々な困難を解消するための支援サービスも、自治体が独自に提供しているものがあります。これらは、国の障害福祉サービス(居宅介護、移動支援など)を補完する形で提供されます。
日常生活用具の給付・貸与
日常生活を便利にするための用具の購入費用を、自治体が補助または全額支給する制度です。
- 給付される用具の例:
- 身体障害者向け:特殊寝台、入浴補助用具、視覚障害者用歩行時間延長信号機用装置など。
- 難病患者向け:電気式たん吸引器、パルスオキシメーターなどの医療機器。
- 特徴:国の基準を超える独自の品目を給付対象に追加している自治体や、自己負担額を軽減している自治体があります。
特に、介護用品やバリアフリー改修用品など、高額になりがちな福祉用具の購入を検討している場合は、まずこの制度の利用可能性を確認しましょう。
住宅改修費の助成
障害のある方が安全かつ円滑に日常生活を送るために、自宅のバリアフリー化改修を行う際の費用を助成する制度です。
- 改修内容の例:手すりの取り付け、段差の解消、引き戸への交換、洋式トイレへの変更など。
- 特徴:介護保険制度と連携しつつ、介護保険の対象とならない部分や、若年層の障害者を対象とした独自の助成制度を設けている自治体が多くあります。
助成額には上限(数十万円程度)があり、事前の申請が必要となるため、工事を始める前に必ず窓口に相談してください。
独自の相談窓口や訪問支援
国制度の相談支援事業所に加えて、自治体が独自に、より地域に密着した相談支援や訪問支援サービスを提供している場合があります。
- 例:難病患者向けの相談支援、精神障害のある方の地域移行を支援するアウトリーチ(訪問)支援、発達障害のある子どもの親へのペアレントトレーニングなど。
これらのサービスは、行政サービスの枠を超えた手厚い地域支援となることが多く、特に孤立しがちな方や、複雑な困りごとを抱えている方にとって重要なサポートとなります。
【カテゴリ3】移動・外出をサポートする制度
社会参加や生活の質を高めるためには、スムーズな移動と外出が不可欠です。自治体は、交通費の補助や駐車場・運転に関する制度を提供しています。
自動車運転免許取得・改造費の助成
障害のある方が、社会参加や就労のために自動車を運転できるよう、免許取得費用や、自動車の改造費用を助成する制度です。
- 助成内容:
- 免許取得:教習所費用の一部または全額を助成。
- 自動車改造:手動運転装置、乗降用リフト、特殊な補助装置などの改造費用を助成。
- 特徴:主に就労を目的とする方や、公共交通機関の利用が著しく困難な方が対象となります。助成には上限額があり、車種や改造内容に条件がある場合があります。
この制度は、特に地方や交通の便が悪い地域にお住まいの方にとって、就労機会の拡大に直結する非常に重要な支援です。
独自のタクシー利用券・交通費助成
国制度の割引(JRや航空券の割引など)に加えて、自治体が独自に提供している交通に関する補助制度です。
- タクシー利用券:タクシー運賃の一部として利用できるチケットを、年度ごとに交付する制度です。公共交通機関の利用が困難な方を対象としています。
- 自動車燃料費の助成:自家用車を利用する重度の障害者に対し、ガソリン代の一部を助成する制度です。
- バス・地下鉄などの割引:障害者手帳を提示することで、運賃が割引になる制度が、公営・民営を問わず多くの地域で実施されています。
⚠️ 注意
タクシー利用券や燃料費助成は、自家用車を所有しているか、または重度の要介護認定を受けているかなど、支給要件が細かく定められています。複数の交通費助成を同時に受けられない場合もあるため、窓口で確認しましょう。
福祉タクシー・寝台車搬送サービスの提供
自治体が主体となり、車椅子や寝台のまま乗車できる福祉タクシーの運行や、通院・入退院時の搬送をサポートするサービスを提供している場合があります。
- 特徴:一般のタクシーよりも割安な料金設定や、助成券の利用が可能である点がメリットです。
体が不自由で外出が困難な方や、医療機関への定期的な搬送が必要な方にとって、安心して利用できる貴重なサービスです。
まとめ
この記事では、障害のある方が利用できる自治体の主な支援制度を、「経済的支援」「生活支援」「移動・外出支援」の3つのカテゴリに分けて解説しました。
- 自治体独自の制度は、生活を経済的・物理的に支えるための重要なセーフティネットです。
- 特に、心身障害者福祉手当やマル障(医療費助成)は、多くの方が活用できる経済的支援です。
- 制度活用の第一歩は、お住まいの障害福祉課や相談支援事業所に相談し、利用可能な制度をすべてリストアップしてもらうことです。
複雑に見える制度も、専門家の助けを借りながら一つひとつ確認していけば、必ずあなたの生活を豊かにするための強力なツールとなります。この情報を活用し、受けられる支援を漏れなく利用してください。
✅ 次のアクション
まずは、お住まいの市区町村の障害福祉課に電話または訪問し、「障害者向けの独自の支援制度について知りたい」と相談を始めてみましょう。または、お近くの相談支援事業所にご連絡ください。

阿部 菜摘
(あべ なつみ)36歳📜 保有資格:
社会保険労務士、精神保健福祉士
社会保険労務士として障害年金の申請支援を専門に12年。「難しい」と言われる障害年金を、分かりやすく解説します。医療費助成、各種手当など、お金に関する制度情報をお届けします。
大学卒業後、社会保険労務士事務所に就職し、障害年金の申請支援を専門に担当してきました。これまで500件以上の申請をサポートし、多くの方の生活を支えるお手伝いをしてきました。障害年金は「難しい」「通らない」と諦めている方が多いですが、適切な書類準備と申請を行えば、受給できる可能性は十分あります。実際、初診日の証明が難しいケースでも工夫して認定を受けた例もあります。特に心に残っているのは、精神障害で長年苦しんでいた方が障害年金を受給できたことで、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。制度を知ることの大切さを実感しました。記事では、障害年金の申請方法、特別障害者手当、医療費助成など、「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
社会保険労務士として、障害年金の申請支援を通じて多くの方の生活を支えたいと思ったことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が障害年金を受給でき、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。
🎨 趣味・特技
資格勉強、温泉巡り
🔍 最近気になっているテーマ
障害年金のオンライン申請、制度の周知不足問題





