申請しないと損!自治体で受けられる支援制度とは

あなたは、お住まいの自治体が提供している障害者向けの支援制度をすべて把握していますか?
障害者支援というと、国の制度である障害年金や障害者総合支援法のサービスが主要ですが、実は生活の質を大きく左右するのは、**市区町村が独自に実施**している「上乗せ・横出し」の支援制度です。
これらの自治体独自の制度は、その地域に住む障害を持つ方やご家族の切実なニーズに応えるために設計されており、**申請という積極的なアクションを起こさない限り、恩恵を受けることができません。結果として、知っている人だけが得をする**という情報格差が生まれています。
このガイド記事では、**「申請しないと損!自治体で受けられる支援制度」**として、「見落とされがちな支援の全体像」「家計を助けるお金の支援(手当・助成)」「生活を豊かにする移動・交通の支援」「申請もれを防ぐための行動指針」の4つのパートに分け、自治体独自の支援に焦点を当てて具体的な制度と申請のポイントを徹底的にわかりやすく解説します。
この情報を通じて、皆様がお住まいの地域のすべての支援を確認し、経済的にも生活面でも安心できる環境を実現するための一助となることを願っています。
パート1:見落とされがちな自治体支援の全体像
障害者支援制度には、国が定めた制度と自治体が独自に行う制度があります。特に、**自治体の「横出し・上乗せ」支援**に注目することが重要です。
1.「横出し」と「上乗せ」の違いとは?
「横出しサービス」
国の制度では対象外となる人や**サービス**を、自治体が独自の財源で提供するものです。
例: 障害支援区分が非該当でも利用できる市町村独自の生活支援サービス、軽度障害者向けの独自の福祉手当など。
「上乗せサービス」
国の制度で設定されている基準や給付内容に、自治体がさらに追加して支援するものです。
例: 医療費助成の自己負担額を、市町村がさらに補助して実質無料化する、国制度の福祉手当に独自に加算して支給額を増額するなど。
この上乗せ・横出しは、地域の税収や福祉への意識によって大きな差が出ます。**お住まいの地域**の制度を知ることが直接的なメリットにつながります。
2.支援制度の4つの主要分野
自治体独自の支援は、主に以下の4つの分野で提供されています。
| 分野 | 主な支援内容 |
|---|---|
| ① お金・経済支援 | 独自の福祉手当、介護慰労金、特別見舞金、家賃補助など。 |
| ② 生活・介護支援 | 独自のホームヘルプ、日中一時支援、配食サービスなど。 |
| ③ 医療・用具支援 | 医療費助成の拡充、日常生活用具の自己負担補助、紙おむつ支給など。 |
| ④ 移動・交通支援 | タクシー料金助成、自動車改造費補助、有料道路割引の独自の追加支援など。 |
これらの分野を意識して、お住まいの自治体のウェブサイトや福祉課に問い合わせてみましょう。
パート2:家計を助けるお金の支援(手当・助成)
経済的な支援は、最も直接的に家計を助けるものです。国制度の特別障害者手当は所得制限が厳しいですが、自治体独自の手当は対象範囲が広いことがあります。
3.独自の福祉手当(在宅・中度障害者向け)
国制度の特別障害者手当の対象から外れてしまう、比較的軽度から中度の障害を持つ方のために、自治体が独自に毎月または年数回、定額を支給する制度です。
例: 「○○市在宅心身障害者福祉手当」「○○県重度障害者生活支援手当」など。
この手当の支給額は月額数千円〜数万円程度と自治体によって幅がありますが、定期的な収入として日常生活の小さな出費を補填してくれます。
確認ポイント: 施設入所者は対象外となることが多いため、在宅で生活していることが必須条件となる場合が多いです。また、所得制限の有無と基準額を必ず確認してください。
4.家族介護慰労金・介護手当
**介護者の負担**をねぎらうことを目的とした自治体独自の見舞金です。特に重度な障害者を在宅で長期間、介護保険サービスなどをあまり利用せずに介護している家族に対して年1回、一定額を支給します。
支給額: 年額5万円〜10万円程度が一般的です。
注意点: **「ほとんど外部サービスを使っていないこと」**が要件となることが多く、介護保険のショートステイやデイサービスを多用している場合は対象外となることがあります。これは、介護負担が特に重い家庭を重点的に支援するためです。
5.特定疾病等にかかる医療費補助
国の制度として、難病や小児慢性特定疾病の医療費助成がありますが、自治体が独自に対象疾病を追加したり、国の制度の自己負担分をさらに補助したりしています。
例: 特定疾患治療研究事業の自己負担額を市町村が全額補助する、人工透析患者への食事療養費を独自に助成するなど。
****特に難病や慢性疾患を持つ方は、医療費が大きな負担となるため、お住まいの都道府県や市の医療助成制度を確認することが非常に重要です。
パート3:生活を豊かにする移動・交通の支援
障害を持つ方の社会参加を促進するため、移動にかかる費用を補助する独自の制度も多数存在します。
6.タクシー料金助成券の交付
重度の障害があり、公共交通機関の利用が困難な方を対象に、年間を通じて利用できる**タクシー料金の助成券**が交付されます。
| 利用方法 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 交付方法 | 1枚数百円の割引券が年間数十枚(総額1万円~3万円程度)まとめて交付されます。 |
| 対象者 | 主に身体障害者手帳1級や2級など、重度の移動制限がある方。 |
| 注意点 | 福祉タクシーの利用券やリフト付きタクシーの運賃補助と併用できない場合があります。 |
この助成券は、通院や社会活動のための外出を大きくサポートしてくれます。
7.自動車改造費、運転免許取得費の補助
障害を持つ方が自ら運転する場合や、車いすのまま乗降できる介護車両に改造する場合、その改造にかかる費用を一部補助する制度が多くの自治体にあります。
例: 手動運転装置の取り付け費用、リフトやスロープの設置費用など。
支給額は数十万円に及ぶことがあり、自動車での移動が必須となる地域では、生活を支えるうえで非常に重要な支援です。また、運転免許を新規に取得する際の教習費用を補助する制度も併せて確認しましょう。
8.駐車禁止除外指定車標章の申請
これは手当・助成ではありませんが、移動支援として重要です。
歩行が困難な重度の障害を持つ方が乗車している車両について、公安委員会に申請することで、駐車禁止場所でも駐車が特別に認められる「標章(マーク)」が交付されます。**身体障害者手帳**の等級や障害の種類によって対象が決まっています。
パート4:申請もれを防ぐための行動指針
自治体の支援制度は、**知らなければ存在しないのと同じ**です。確実に支援を受けるための具体的な行動指針をまとめます。
9.支援制度を把握するための3つの必須ツール
自治体の全制度を網羅的に知るための3つのツールを徹底的に活用してください。
必須ツール1:最新の「障害福祉のしおり」(ガイドブック)
お住まいの自治体の障害福祉課が毎年発行している**「障害福祉のしおり」または「ガイドブック」**は、地域のすべての支援制度を記載したバイブルです。電子版でも配布されているので、ダウンロードして手元に置くか、窓口で冊子を必ず受け取りましょう。
必須ツール2:相談支援専門員(ケアマネ)
障害福祉サービスを利用している方は、担当の**相談支援専門員**に相談するのが最も手っ取り早い方法です。彼らは地域の支援情報に精通しており、「この症状ならあの手当が使えますよ」と個別具体のアドバイスをしてくれます。
必須ツール3:市役所(区役所)の福祉担当課
最終的には、市町村の障害福祉担当課の窓口で「手帳を持っていますが、他に申請できる手当や助成はありますか?」と直接尋ねることが確実です。職員は漏れがないか確認してくれます。
10.「申請主義」と「現況届」の重要性
申請主義
公的な制度は、原則として**「申請主義」です。自動的に支援が始まることはありません。また、申請日から支給が始まるため、過去に遡っての支給は認められないことがほとんどです。「思い立ったら吉日」**で速やかに窓口へ連絡しましょう。
現況届
毎年、手当の継続支給や医療費助成の更新のために**「現況届」や「更新手続き」が必要になります。所得状況の確認や生活状況の確認が目的です。この手続きを怠ると、せっかく受けている支援が停止してしまいます。更新時期**は手帳や受給者証にメモしておきましょう。
✅ 申請もれを防ぐための3つの行動
1.「しおり」を読む: 自治体の福祉ガイドで独自の制度をチェック!
2.窓口で聞く: 「他に使えるものはないか」と担当者に直接尋ねる!
3.現況届を出す: 毎年の更新手続きを絶対に忘れない!
まとめ:地域支援を味方につけて安心を
障害者・家族・支援者の皆様の生活は、国制度だけでなく、自治体が独自に用意したきめ細やかな支援によって支えられています。
福祉手当や介護慰労金といった直接的な経済支援から、タクシー助成券や医療費助成の拡大といった間接的な生活支援まで、その種類は多岐にわたります。**申請主義の原則があるため、自ら情報を取りに行く**ことが非常に大切です。
最終確認ポイント
お金の支援: 在宅重度障害者手当や家族介護慰労金は、所得制限と併給制限に注意して確認する。
移動の支援: タクシー助成や自動車改造費補助といった交通支援は、地域の特色が出やすいため必ず確認する。
情報源: 毎年の「福祉のしおり」と相談支援専門員を活用し、最新の情報を逃さない。
これらの地域独自の支援を味方につけることで、経済的な不安を軽減し、より自立した安心できる生活を実現してください。
✅ 次のアクション
お住まいの自治体名と「障害福祉のしおり 令和X年度版」で検索し、最新の公式ガイドブックをダウンロードして、「福祉手当」のページから申請もれがないかチェックしてみましょう。

金子 匠
(かねこ たくみ)55歳📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士
障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。
大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。
🎨 趣味・特技
読書、散歩
🔍 最近気になっているテーマ
障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形





