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ショートステイとは?緊急時・家族支援で使える制度

📖 約51✍️ 金子 匠
ショートステイとは?緊急時・家族支援で使える制度
短期入所(ショートステイ)は、障害者総合支援法に基づくサービスで、介護者の休息(レスパイトケア)や緊急時対応のために、障害のある方が短期間施設に入所し、介護や支援を受けられる制度です。福祉型と医療型があり、医療依存度の高い方も対応可能です。対象者は障害者総合支援法の対象となる全ての方ですが、利用日数には月ごとの上限(目安7日程度)があります。費用はサービス本体費が原則1割負担(所得による上限あり)、食費・滞在費は実費負担です。緊急時にスムーズに利用できるよう、日頃から複数の事業所を登録し、相談支援専門員と連携しておくことが成功の鍵となります。

ご家族に障害のある方がいる場合、「急な体調不良で入院しなければならない」「冠婚葬祭でどうしても家を空けなければならない」「一時的に介護から離れてゆっくり休みたい」など、緊急時や、ご家族自身の休息が必要な場面に直面することがあります。 自宅での介護や見守りは途切れることが許されないため、このような状況は大きな不安につながります。

そんな時、障害のある方を短期間、施設で預かってくれる心強い制度が、「短期入所(ショートステイ)」です。 ショートステイは、障害のある方の生活支援を確保しつつ、介護するご家族の負担を軽減するための非常に重要なレスパイト(休息)ケアの一つです。 このガイドでは、短期入所(ショートステイ)の対象者、サービス内容、利用の流れ、そして緊急時に備えた活用方法を、具体例を交えながらわかりやすく解説します。 この制度を理解し、安心できるサポート体制を整えましょう。


ショートステイとは?レスパイトケアの重要な柱

短期入所(ショートステイ)は、障害者総合支援法に基づく「短期入所」というサービスを指します。 これは、障害のある方が短期間、施設に入所して、必要な介護や支援を受けることができるサービスです。

短期入所の二つの大きな役割

短期入所は、主に以下の二つの重要な役割を果たします。

  • 1. 介護者の休息(レスパイトケア):

    介護をしているご家族が、病気、旅行、冠婚葬祭、または単なる休息のために介護から一時的に離れることができるように支援します。 これにより、ご家族は心身をリフレッシュし、介護を継続する活力を得られます。

  • 2. 利用者の生活支援と訓練:

    入所中も、入浴、排せつ、食事などの介護、必要な機能訓練、レクリエーションなどを提供し、自宅での生活リズムを維持できるように支援します。

短期入所の類型と提供場所

短期入所は、提供される施設の種類や介護体制によって、大きく三つの類型に分けられます。

  • 福祉型短期入所:

    主に障害者支援施設や障害者入所施設などで提供されます。 日常の介護や見守りが中心で、医療的なケアの必要性が比較的低い方が利用します。

  • 医療型短期入所:

    病院や診療所などの医療機関で提供されます。 医療的ケア(痰の吸引、経管栄養など)を日常的に必要とする方が利用でき、看護師や医師による手厚い支援を受けられます。

  • 併設型短期入所:

    多機能型事業所や、その他の障害福祉サービス事業所の一部として、短期入所の機能を持つ場合です。

💡 ポイント

短期入所の「医療型」は、特に医療依存度の高い方にとって、自宅以外で安全に過ごすための貴重な選択肢となります。 利用を検討する際は、必要な医療的ケアに対応可能かを確認しましょう。


短期入所の対象者と利用日数の基準

短期入所は、障害者手帳の有無にかかわらず、障害者総合支援法の対象となる方であれば、利用が可能です。 ただし、利用できる日数には基本的な制限があります。

対象となる障害と年齢

以下の障害を持つ方が、短期入所の対象となります。

  • 対象障害:

    身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病など、障害者総合支援法の対象となるすべての方。

  • 年齢:

    原則として18歳以上の障害のある方が対象ですが、18歳未満の障害児も「障害児入所給付費」など、別の制度を利用して短期入所サービスを受けられる場合があります。

短期入所の利用に際しては、「障害支援区分」の認定が求められますが、どの区分から利用できるか、具体的な基準は市区町村によって異なる場合があります。

基本的な利用日数の考え方

短期入所の利用日数は、利用者の状態や介護者の状況を考慮し、市町村が決定しますが、原則として以下のルールが適用されます。

  • 支給量の上限:

    短期入所を含む居宅系のサービス全体で、一ヶ月あたりの支給日数に上限が設けられます。 具体的な日数は、利用者の障害支援区分(重症度)や、ご家族の状況(老老介護、単身世帯など)によって増減します。

  • 一般的な目安:

    一ヶ月に7日間程度が目安となることが多いですが、介護者の病気や入院など、緊急でやむを得ない事情がある場合は、市町村の判断で柔軟に支給量を増やすことが可能です。

  • 連続利用の制限:

    利用は原則として連続30日までとされています。 ただし、緊急やむを得ない場合はこの限りではありません。

⚠️ 注意

短期入所は、あくまで「一時的な入所」であり、「日常的な継続利用」を目的とした制度ではありません。 長期にわたる入所が必要な場合は、障害者支援施設への入所(施設入所支援)を検討することになります。


ショートステイで受けられる具体的なサービス内容

短期入所中に提供されるサービスは、利用者の心身の状態や、入所先の施設の特性によって異なりますが、日常生活を送る上で必要な支援が全て提供されます。

基本的な生活支援(介護と食事)

施設では、入所中の利用者の安全と快適な生活が確保されます。

  • 身体介護:

    入浴、排せつ(トイレ誘導、おむつ交換)、食事(食事介助)など、自宅で行っていた介護と同じレベルの支援を受けられます。 利用者の状態に応じた適切な方法で介助が提供されます。

  • 食事の提供:

    朝食、昼食、夕食が提供されます。 アレルギー対応食、きざみ食、ミキサー食など、利用者の嚥下能力や食事形態に合わせた対応が可能です。

  • 健康管理:

    入所中は、体温測定や血圧測定などのバイタルチェックが行われ、体調に変化があった場合は施設職員が迅速に対応します。

日中の活動と医療的ケア

単に滞在するだけでなく、日中の活動や必要な医療的ケアも提供されます。

  • レクリエーション・創作活動:

    施設の状況に応じて、レクリエーション、体操、季節の行事、創作活動などが提供され、日中の生活を退屈させない工夫がされています。 これにより、社会性や機能の維持にも役立ちます。

  • 医療的ケア:

    前述の通り、医療型短期入所や、看護師が常駐している福祉型施設では、喀痰吸引、経管栄養、インスリン注射などの医療的ケアにも対応できます。 ただし、対応可能な医療行為は施設によって異なるため、事前に必ず確認が必要です。

「母が入院した際、急なショートステイが必要になりましたが、事前に相談支援専門員と相談し、医療的ケア対応の施設を登録していたおかげで、すぐに受け入れ先が見つかり、本当に助かりました。」

— ご家族からのエピソード


利用手続きと緊急時対応のための事前準備

短期入所を実際に利用するためには、他の障害福祉サービスと同様に市町村への申請が必要です。 特に、緊急時に慌てないための「事前準備」が非常に重要になります。

サービス利用開始までのステップ

  1. 相談・申請:

    お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、相談支援事業所に連絡し、短期入所の利用希望を伝えます。

  2. 障害支援区分の認定:

    必要に応じて、心身の状態に関する調査(認定調査)を受け、障害支援区分を認定してもらいます。

  3. サービス等利用計画の作成:

    相談支援専門員が、ご家族の状況や利用者の状態に基づき、「短期入所の必要性」や「一ヶ月の支給量(日数)」を盛り込んだ利用計画案を作成します。

  4. 支給決定・受給者証交付:

    市町村が支給量を決定し、「受給者証」が交付されます。

  5. 利用契約・サービス利用:

    受給者証に記載された支給量の範囲内で、利用したい短期入所事業所と契約を結びます。

緊急時対応のための「空き情報登録」

短期入所は人気が高く、特に週末や長期休暇中は予約が取りにくい傾向があります。 緊急時に確実に利用できるように、以下の事前準備をしておきましょう。

  • 複数の事業所を登録:

    特定の施設にこだわらず、自宅から通いやすい範囲にある複数の短期入所事業所を事前に見学し、登録しておきましょう。 これにより、どこか一つが満室でも、他の施設で受け入れられる可能性が高まります。

  • 「緊急時利用」の相談:

    相談支援専門員に、「介護者が病気になった場合など、緊急時に利用する可能性が高い」ことを明確に伝え、計画に緊急時対応の項目を盛り込んでもらいましょう。

  • 情報シートの作成:

    利用者の病歴、服薬内容、アレルギー、食事の注意点、パニック時の対応方法などをまとめた「情報シート」を事前に作成しておくと、施設側も安心して受け入れられます。

✅ 成功のコツ

短期入所の利用のコツは、「事前に慣れておく」ことです。 緊急時に初めて利用するのではなく、ご家族が元気なうちに、年数回、計画的に利用して、利用者本人が施設に慣れておくことが、スムーズな緊急時対応につながります。


短期入所の費用負担と介護保険との関係

短期入所の利用にかかる費用や、介護保険のサービスを利用している方との関係について理解しておきましょう。

短期入所の費用負担の仕組み

短期入所の費用は、サービス本体費、食費、滞在費に分かれます。

  • サービス本体費:

    介護や見守りにかかる費用は、原則1割が自己負担となります。 この自己負担額には、世帯所得に応じた月額上限額が設けられており、上限を超えて支払う必要はありません。

  • 食費・滞在費(宿泊費):

    短期入所サービスにおける食費(食事代)と滞在費(部屋代)は、原則として全額利用者負担(実費)となります。 金額は施設によって異なります。

  • 軽減措置:

    低所得世帯(市町村民税非課税世帯など)については、食費や滞在費の一部が軽減される制度(利用者負担額減額・免除等)があります。 詳しくは市町村窓口で確認が必要です。

介護保険サービスとの併用について

65歳以上になり、介護保険の要介護認定を受けている方は、以下のルールが適用されます。

  • 介護保険の優先:

    65歳以上の方は、原則として介護保険の「短期入所生活介護(ショートステイ)」が優先されます。 障害福祉サービスの短期入所を利用するためには、介護保険のサービスでは対応できない、障害特有の支援が必要であると認められる必要があります。

  • 特例利用:

    例として、医療的ケアの必要性が非常に高く、介護保険の施設では対応が困難な場合など、特別な理由がある場合に限り、障害福祉サービスの短期入所が認められることがあります。

40歳から64歳までの特定疾病を持つ方も、介護保険の対象となる場合は、介護保険サービスが優先となります。


よくある質問と短期入所の活用事例

短期入所をより安心して、計画的に活用するための事例や、よくある質問をまとめます。

Q&A:短期入所の疑問

Q1. 利用日数の上限を超えてしまったら、どうすればいいですか?

A. 市町村から支給決定された上限日数を超えての利用は、原則として全額自己負担となります。 ただし、介護者の緊急入院など、真にやむを得ない事由がある場合は、「一時的な支給量増加」について、市町村に特例的な判断を仰ぐことが可能です。 まずは、相談支援専門員を通じて市町村に相談してください。

Q2. 精神障害者の短期入所はどこで利用できますか?

A. 精神障害のある方を受け入れている短期入所施設は、福祉型短期入所として運営されていることが多いです。 ただし、集団生活への適応や、行動特性への専門的な対応が必要となるため、事前に精神科病院や専門の相談支援事業所を通じて、受け入れ実績のある施設を探してもらうことが重要です。

Q3. 薬の管理や体調不良時の対応はしてもらえますか?

A. はい、施設職員が服薬管理を行います。 また、入所中に急な体調不良が発生した場合は、施設が協力医療機関と連携を取り、必要に応じて受診の手配など緊急対応を行います。 ただし、事前にかかりつけ医の情報や、緊急連絡先を施設に確実に伝えておくことが必須です。

短期入所の賢い活用事例

短期入所は、ただ休むためだけでなく、様々な目的で活用できます。

  • 介護者の自己啓発:

    介護者が資格取得の講習や研修に参加する期間に、計画的に利用する。

  • 家族旅行:

    障害のある方本人を連れての旅行が困難な場合、他の家族だけで安心して旅行を楽しむために利用する。

  • 「一人暮らし体験」の準備:

    将来的にグループホームや一人暮らしを検討している場合、短期入所を「お試しの一人暮らし」として利用し、集団生活や施設での生活に慣れる訓練を行う。


まとめ

  • 短期入所(ショートステイ)は、介護者の休息(レスパイト)と、緊急時の支援確保を目的とした、障害福祉サービスです。
  • サービスは、福祉型(日常介護)と医療型(医療的ケア対応)に分かれ、利用者の心身の状態に応じて選択できます。
  • 利用日数には、一ヶ月あたりの支給上限(目安7日程度)がありますが、緊急時やむを得ない事情がある場合は市町村の判断で柔軟に対応されることがあります。
  • 費用は、サービス本体費は原則1割負担(上限額あり)ですが、食費・滞在費は実費負担となります(低所得者は軽減措置あり)。
  • 緊急時に備え、複数の事業所を事前に登録し、相談支援専門員と密に連携して、計画的な利用を心がけましょう。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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