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居宅介護・重度訪問介護・同行援護の違いを徹底解説

📖 約42✍️ 金子 匠
居宅介護・重度訪問介護・同行援護の違いを徹底解説
居宅介護、重度訪問介護、同行援護は、障害のある方の在宅生活を支える訪問系サービスですが、対象者や支援範囲が異なります。居宅介護は、身体介護・生活援助・通院介助を個別に行う基本的な支援で、幅広い障害者が対象です。重度訪問介護は、重度の障害により長時間・包括的な介助や見守り、医療的ケアが必要な方を支えます。同行援護は、視覚障害者による外出時の移動支援と情報保障(代読・代筆)に特化したサービスです。複数のサービスを併用できる場合もありますが、最適な選択のためには、相談支援専門員による「サービス等利用計画」の作成が不可欠です。

自宅で生活する障害のある方を支援するサービスには、さまざまな種類があります。 中でも、「居宅介護」「重度訪問介護」「同行援護」は、ホームヘルパーが訪問して介助を行うという点で共通していますが、対象者や提供される支援の範囲、目的が大きく異なります。

「自分の障害の程度だとどのサービスが適切なのか」「複数のサービスを同時に利用できるのか」といった疑問は、支援制度を理解する上で非常に重要です。 このガイドでは、これら3つの訪問系サービスの違いを明確にし、それぞれのサービスがどのような方にとって最適なのかを具体例を交えて徹底的に解説します。 あなたやご家族の生活に最適な支援を選ぶための知識を身につけましょう。


訪問系サービスの基本:居宅介護(ホームヘルプ)

居宅介護は、障害福祉サービスの訪問系サービスの中で最も基本となるものであり、多くの障害のある方が利用しています。 その目的は、障害のある方が自宅で自立した日常生活を送れるように必要な援助を行うことです。

居宅介護の3つの柱と対象者

居宅介護は、主に以下の3つの内容で構成されています。

  • 1. 身体介護:

    入浴、排泄、食事などの身体に直接触れて行う介助です。 利用者の身体状態に応じて、適切な方法で安全に介助を行います。

  • 2. 生活援助:

    掃除、洗濯、調理、買い物など、日常生活を営む上で必要な家事の援助です。 原則として、利用者本人や家族の日常生活に直接関わる部分のみが対象となります。

  • 3. 通院等介助:

    病院や施設への移動の介助です。 公共交通機関の利用が困難な場合に、付き添いや乗降の介助を行います。

居宅介護の対象者は、障害支援区分が1以上の方、または同等の障害があると認められる難病患者です。

居宅介護の「制限」と利用の具体例

居宅介護は、日常生活の「援助」が目的であるため、支援の範囲にはいくつかの制限があります。

  • 生活援助の制限:

    日常的な家事の中でも、趣味や嗜好に関する調理、大掃除、庭の手入れ、ペットの世話など、生活援助に含まれない活動があります。 また、家族のための家事(家族の部屋の掃除、家族分の布団干しなど)は、原則として対象外です。

  • 利用の具体例:

    肢体不自由があり、食事や入浴に介助が必要な方が、1日に数回、短時間の訪問を受けて、必要な身体介護や食事準備の支援を受けるケースが一般的です。

💡 ポイント

居宅介護は、介助が必要な時だけ短時間訪問してもらうなど、必要なサービスを組み合わせやすい柔軟なサービスです。 主に、日中の活動や就労と両立しながら自宅で生活している方が利用します。


常時の支援体制:重度訪問介護の役割

重度訪問介護は、重度の肢体不自由者や、重度の知的障害・精神障害を持つ方を主な対象とし、長時間・総合的な支援を提供することで、地域での生活を可能にするサービスです。

重度訪問介護の対象者と支援範囲の広さ

重度訪問介護は、居宅介護では対応できない「常に介護が必要な状態」にある方を支援します。

  • 対象者:

    原則として障害支援区分4以上で、特定の項目(行動関連項目や移動支援関連項目など)の点数が高い方が対象となります。 特に、意思疎通や行動に著しい困難がある方も含まれます。

  • 支援範囲の広さ:

    居宅介護の身体介護、生活援助、通院等介助に加え、外出時の移動支援、見守り、食事や排泄時の声かけ、安否確認など、生活全般にわたる包括的な支援が提供されます。 支援は、24時間体制で提供されることも多く、一人のヘルパーが長時間連続してサービスを提供できるのが特徴です。

医療的ケアと緊急時の対応

重度訪問介護は、医療的ケアを必要とする利用者への対応も大きな役割の一つです。

  • 医療的ケア:

    ヘルパーは、研修を受けることで、喀痰吸引や経管栄養などの「特定行為業務」を実施できます。 これにより、重度の障害を持つ方が、自宅で必要な医療的ケアを受けながら生活することが可能になります。

  • 緊急時の対応:

    重度訪問介護のサービス提供責任者は、利用者の急な体調変化や緊急事態への対応について、医師や看護師などの医療機関と連携しながら、迅速な対応体制を構築しています。

✅ 成功のコツ

重度訪問介護を利用する際は、ヘルパーが喀痰吸引などの医療的ケアを提供できるかどうかを、事業所を選ぶ際の重要な基準にしましょう。 また、長時間にわたる支援となるため、ヘルパーとの信頼関係構築が特に重要です。


外出支援に特化:同行援護の専門性

同行援護は、視覚障害により、移動に著しい困難がある方の外出を専門的に支援するためのサービスです。 これは、外出時の移動介助が主目的である居宅介護や重度訪問介護とは異なり、「移動時の情報保障」という専門的な役割を担います。

同行援護の対象者と支援の範囲

同行援護の対象者は、以下の要件を満たす方です。

  • 対象要件:

    視覚障害による移動の困難さを示す指標(身体介護や移動支援に関する特定の調査項目)が基準を満たしていること。

  • 提供される支援:

    単なる手引きによる移動支援だけでなく、移動に必要な情報(段差、障害物、周囲の状況など)の提供代筆・代読(書類への記入や必要な情報の読み上げ)など、外出先での生活に必要な情報の保障を行います。

同行援護のヘルパーは、視覚障害者の特性や安全確保に関する専門的な研修を受けているため、安心して外出ができます。

通院等介助との違い

居宅介護の「通院等介助」も外出時の介助を提供しますが、同行援護とは目的が異なります。

サービス名 主な目的 対象となる障害
同行援護 外出時の情報保障と移動支援 視覚障害(移動に困難がある方)
通院等介助(居宅介護内) 通院のための移動手段の確保 身体障害(移動機能の困難)など

同行援護は、視覚障害者が社会生活を送る上で必要な買い物、官公庁での手続き、趣味活動、余暇活動など、幅広い外出をサポートします。


3つの訪問系サービスの違いと使い分けのポイント

居宅介護、重度訪問介護、同行援護は、それぞれ「必要となる介護の重さ」「障害の種類」「支援の目的」によって明確に分けられています。

サービスの比較と整理

3つの訪問系サービスを比較し、その違いを整理します。

  • 居宅介護:

    身体介護、生活援助、通院介助など、日常生活の基本的な支援を個別に組み合わせたい方向け。

  • 重度訪問介護:

    重度の障害により、長時間または24時間体制での見守りや包括的な介助が必要な方(医療的ケアを含む)向け。

  • 同行援護:

    視覚障害があり、安全な移動と情報保障が必要な外出を目的とする方向け。

サービス名 対象となる障害の重さ 主な支援内容
居宅介護 比較的幅広い(区分1以上) 身体介護、生活援助、通院介助
重度訪問介護 重度(区分4以上、特定の項目該当) 包括的な長時間介助、見守り、医療的ケア
同行援護 視覚障害による移動困難 移動支援、情報保障(代読・代筆)

サービス併用の可能性

複数のサービスを同時に利用することは可能ですが、時間帯や目的が重複しないように調整が必要です。

  • 居宅介護 + 同行援護:

    例えば、日中に自宅で居宅介護(身体介護)を受け、別の時間に、視覚障害に基づく外出支援として同行援護を利用することは可能です。

  • 重度訪問介護の包括性:

    重度訪問介護は、居宅介護や同行援護が提供するサービス内容を包括的に含む性格が強いため、重度訪問介護の対象となる方は、原則として居宅介護や同行援護を別途利用する必要がないとされています。 ただし、例外的な併用が認められるケースもありますので、詳細は相談支援専門員に確認が必要です。

⚠️ 注意

どのサービスが必要かは、個々の障害支援区分、心身の状態、生活環境、そして「サービス等利用計画」に基づいて決定されます。 自己判断せず、必ず専門家に相談してください。


サービス利用開始までの流れと相談窓口

これらの訪問系サービスを利用するまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。 利用者の意向を尊重し、最適な支援計画を作成するために、専門家への相談が不可欠です。

サービス利用開始までの流れ

  1. 相談:

    市区町村の障害福祉担当窓口、または相談支援事業所に連絡し、サービス利用の意向を伝えます。

  2. 申請と障害支援区分の認定:

    市町村に申請を行い、心身の状態に関する調査(認定調査)を受けます。 この結果、居宅介護や重度訪問介護の要件となる「障害支援区分」が決定されます。

  3. サービス等利用計画案の作成:

    相談支援専門員が、利用者の生活状況や希望に基づき、どのサービスを、どのくらいの頻度で利用するかを盛り込んだ「サービス等利用計画案」を作成します。

  4. 支給決定:

    市町村が計画案と区分に基づき、サービスの「支給量」(時間数など)を決定し、「受給者証」が交付されます。

  5. サービス事業者との契約・利用開始:

    受給者証に記載された内容に基づき、サービス提供事業所を選定し、契約を結んで利用を開始します。

サービス利用における専門家の役割

これらの訪問系サービスを適切に利用するために、相談支援専門員の存在は欠かせません。

  • 専門家の役割:

    相談支援専門員は、障害の種類や程度、生活環境を総合的に判断し、3つの訪問系サービスの中でどれが最も適切か、または他のサービス(デイサービスなど)との組み合わせが必要かを判断し、計画に落とし込む役割を担います。

  • 継続的な支援:

    サービス利用開始後も、専門員は定期的に利用状況をモニタリング(確認)し、利用者の状態変化に応じて計画の見直しを行います。 これにより、常に最適な支援を受け続けることができます。


まとめ

  • 居宅介護は、日常生活の基本的な身体介護、生活援助、通院介助を個別に組み合わせたい方向けの、訪問系サービスの基本です。
  • 重度訪問介護は、重度の障害により、長時間にわたる見守り、包括的な介助、および医療的ケアが必要な方(障害支援区分4以上など)向けのサービスです。
  • 同行援護は、視覚障害により移動に困難がある方に特化し、移動支援に加えて情報保障(代読・代筆)を提供する専門的な外出支援です。
  • どのサービスが適しているかは、障害支援区分と「サービス等利用計画」に基づいて決定されるため、まずは相談支援専門員に相談することが最初のステップです。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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