24時間サポートが必要な人向けの在宅支援まとめ

重度訪問介護だけじゃない!24時間サポートの選択肢と成功のコツ
「家族だけでは24時間つきっきりで支援するのは難しい」「重度の障害があっても、自宅で安心して暮らし続けたい」
このように、常にサポートが必要な方や、そのご家族、支援者の方々が抱える悩みは、非常に深く、切実なものです。住み慣れた地域やご自宅で、必要な支援を途切れることなく受けることは、すべての人の願いです。
この記事では、24時間体制の在宅支援を可能にするための具体的な障害福祉サービス、特に中核となる「重度訪問介護」をはじめ、その他のサービスや、支援体制を構築するための実践的なノウハウを、一つひとつ丁寧に解説します。
この記事をお読みいただくことで、24時間支援が必要な状況でも「無理ではない」「諦めなくても大丈夫」と感じていただけるような、具体的な希望の道筋を見つけていただけると幸いです。
24時間支援の核となる「重度訪問介護」の全て
常にサポートが必要な方の在宅生活を支える上で、最も重要な役割を果たすのが、障害福祉サービスの一つである「重度訪問介護」です。このサービスなくして、重度な障害を持つ方の24時間在宅生活は考えられません。
重度訪問介護とは?対象者と支援内容
重度訪問介護は、重度の肢体不自由、または重度の知的障害・精神障害があり、常に介護を必要とする方を対象としたサービスです。長時間にわたり、包括的な支援を提供することで、居宅での生活を可能にすることを目的としています。
対象となるには、原則として障害支援区分が区分4以上で、さらに特定の認定調査項目(例:移動、排泄、食事など)において一定の点数を満たす必要があります。特に重度の知的障害や精神障害を持つ方は、行動障害の状況なども考慮され、総合的に判断されます。
支援内容は、食事、排泄、入浴などの身体介護や生活援助はもちろんのこと、外出時の移動介護、そして医療的ケアが必要な方への喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを含む支援が可能です。さらに、知的障害や精神障害のある方については、行動の把握や危険防止のための見守り支援も重要な要素となります。
💡 ポイント
重度訪問介護は、単なる身体介護だけでなく、移動支援や医療的ケア、見守り支援など、幅広いニーズに切れ目なく対応できる「包括的」なサービスである点が最大の特徴です。
24時間支援を可能にする「時間数の決定」
重度訪問介護の最大の強みは、その「支給決定時間数」にあります。他の訪問介護サービスでは利用時間数に上限が設けられていることが多いですが、重度訪問介護は、必要性が認められれば、文字通り24時間体制での支援(一日の大半の時間、例えば365日×24時間の支給)を受けることが可能です。
支給時間数の決定には、市区町村が行う「サービス等利用計画」の策定プロセスが重要となります。相談支援専門員が作成するこの計画において、ご本人の生活リズム、必要な支援内容、家族の状況などを詳細に聞き取り、なぜ24時間またはそれに近い支援が必要なのかを具体的に立証することが求められます。
特に、夜間や早朝の支援、日中の活動時間、医療的ケアの頻度など、生活のすべての時間帯で必要な支援を細かく積み上げていくことが、適切な支給時間数を獲得するための鍵となります。
「以前は家族が夜中に交代で起きていましたが、重度訪問介護で夜間の見守りが付くようになってから、家族全員が安心して眠れるようになりました。生活が一変したと言っても過言ではありません。」
— 支援者の声(仮名:Bさんの母親)
重度訪問介護だけではカバーできない部分を補完するサービス
重度訪問介護は非常に包括的なサービスですが、すべてをカバーできるわけではありません。専門的な医療行為や、特定の環境下での支援など、他のサービスと組み合わせて利用することで、より強固で安心な24時間支援体制を築くことができます。
医療的ニーズに対応する訪問看護の役割
重度の障害を持つ方の中には、常に医療的な管理やケアが必要な方が多くいらっしゃいます。重度訪問介護のヘルパーによる喀痰吸引や経管栄養は可能ですが、より専門的な医療処置や体調管理が必要な場合は、「訪問看護」との連携が不可欠です。
訪問看護では、看護師や理学療法士などが居宅を訪問し、主治医の指示に基づいた医療処置を行います。具体的には、点滴管理、褥瘡の処置、人工呼吸器の管理、リハビリテーションなどが含まれます。
重度訪問介護のヘルパーは「生活のサポート」の専門家、訪問看護師は「医療的なサポート」の専門家として、互いに連携し、情報共有を行うことで、自宅にいながらにして質の高い医療と介護の両方を受けることが可能になります。
⚠️ 注意
重度訪問介護で医療的ケアを行うヘルパーは、研修の修了が必要です。また、訪問看護サービスは、原則として医療保険または介護保険(65歳以上で要介護認定がある場合)の適用となるため、費用の仕組みや利用できる時間数に違いがあります。
日中の活動の場を確保する「生活介護」の活用
24時間支援体制を考える時、自宅での支援だけでなく、日中の活動の場を確保することも非常に重要です。重度訪問介護を長時間利用する場合でも、ご本人の社会参加やQOL(生活の質)向上のために「生活介護」を組み合わせるケースが多くあります。
生活介護は、常に介護を必要とする方に、日中、入浴・排泄・食事などの介護や、創作的活動または生産活動の機会を提供するサービスです。施設に通うことで、ご本人は社会との接点を持て、家族は日中のレスパイト(休息)を得ることができます。
例えば、朝の準備を重度訪問介護で整え、日中は生活介護事業所に通所し、夕方以降を再び重度訪問介護で支援するという形で、両サービスを時間帯で使い分けることで、支援に「空白の時間」を作らず、かつ活動的な生活を送ることが可能になります。
| サービス名 | 目的 | 主な支援内容 | 適用保険 |
|---|---|---|---|
| 重度訪問介護 | 包括的な居宅支援、長時間介護 | 身体介護、生活援助、外出支援、医療的ケア | 障害福祉サービス |
| 訪問看護 | 専門的な医療管理と処置 | 医療処置、バイタルチェック、リハビリ | 医療保険または介護保険 |
| 生活介護 | 日中の活動の場とレスパイト | 日中活動、食事・排泄の介護、創作活動 | 障害福祉サービス |
24時間支援体制を具体的に作るためのステップ
24時間、切れ目のない支援体制を整えることは、利用者や家族にとっての一大プロジェクトです。計画的に、段階を踏んで進めていくことが、成功への鍵となります。
ステップ1:障害支援区分の適切な認定を受ける
重度訪問介護をはじめとする重度者向けのサービスを利用するためには、まず適切な「障害支援区分」の認定を受けることが不可欠です。24時間に近い支援を必要とする場合は、通常、区分4、5、または6といった重度の認定が必要となります。
区分の認定調査の際、ご本人の状態や、家族の支援状況、特に夜間や緊急時の対応状況を正確かつ具体的に調査員に伝えることが重要です。例えば、「夜間は2時間おきに体位交換が必要」「急な吸引が必要になる」といった具体的な数字や状況を示すことが、適正な認定に繋がります。
もし、現在の区分が実態に合っていないと感じる場合は、再調査(区分変更)の申請を行うことも可能です。この手続きについても、市区町村の窓口や相談支援専門員に相談しましょう。
✅ 成功のコツ
認定調査の前に、過去1週間の生活リズムや必要な支援内容を、「支援日誌」として詳細に記録しておきましょう。これにより、客観的で説得力のある情報を提供できます。
ステップ2:相談支援専門員とサービス等利用計画を策定する
適切な区分が認定されたら、次に「指定特定相談支援事業所」と契約し、相談支援専門員とともにサービス等利用計画を作成します。この計画こそが、24時間支援体制の設計図となります。
相談支援専門員は、ご本人やご家族の希望、生活環境、必要な支援量を総合的に把握し、重度訪問介護を何時間、どの時間帯に、他のどのサービス(例:訪問看護、生活介護、短期入所など)と組み合わせて利用するかを具体的に計画に落とし込みます。
この計画は、市区町村が重度訪問介護の支給時間数を決定する際の最も重要な根拠資料となります。計画作成には十分な時間をかけ、ご本人のニーズが最大限に反映されているか、何度も確認を重ねましょう。
ステップ3:事業所選定とヘルパーの確保
計画が策定され、市区町村から支給決定が下りた後、いよいよサービス提供事業所の選定と契約を行います。重度訪問介護は、長時間の支援となるため、事業所選びが特に重要になります。
事業所を選ぶ際には、以下の点を重視しましょう。
- 24時間・夜間帯の支援実績が豊富であること
- 医療的ケアの研修を修了したヘルパーが在籍していること
- 特定の障害(例:重度知的障害、精神障害)への支援経験が豊富であること
- ヘルパーの安定的な配置と、緊急時の対応体制が整っていること
一つの事業所だけで24時間すべてを賄うことが難しい場合は、複数の事業所と契約し、時間帯や曜日によって分担することも可能です。安定的なヘルパーの確保こそが、24時間在宅生活の最大の課題であり、事業所と密に連携を取りながら進める必要があります。
24時間在宅支援の「質」を高める工夫と周辺サービス
支援の量が確保できたとしても、その「質」が低ければ、安心した生活は送れません。ここでは、24時間支援の質を高め、ご本人やご家族のQOLを向上させるための周辺サービスやテクノロジーをご紹介します。
「短期入所(ショートステイ)」を組み込んだレスパイト計画
24時間の支援体制を構築しても、長期間にわたり家族の負担がゼロになるわけではありません。ヘルパーが確保できない緊急時や、家族が旅行や休息のために一時的に支援を離れる必要がある場合に、「短期入所(ショートステイ)」の活用が極めて重要です。
短期入所は、ご本人が施設に短期間入所し、必要な介護や支援を受けることができるサービスです。「計画的なレスパイト」として、年に数日〜数十日分をあらかじめ利用計画に組み込んでおくことで、家族は心身のリフレッシュを図ることができ、結果的に在宅支援の継続性を高めることに繋がります。
特に、重度の方を受け入れられる短期入所の事業所は限られている場合があるため、日頃から複数の事業所の情報収集を行い、早めに利用登録をしておくことが賢明です。
「以前はショートステイの利用に抵抗がありましたが、年に数回利用することで、家族の体調が回復し、自宅での支援にも笑顔が増えました。無理をしないことが、長く在宅生活を続ける秘訣だと感じています。」
— 当事者の声(仮名:Cさん)
ICT・福祉機器を活用した負担軽減
近年、IoT(Internet of Things)やAIを活用した「福祉機器」が進化しており、24時間支援の現場で大きな役割を果たし始めています。テクノロジーの力を借りることで、ヘルパーや家族の負担を軽減し、より質の高い支援を提供することが可能です。
具体的な活用例としては、以下のものがあります。
- 見守りセンサー/カメラ: 夜間の無呼吸や体動を感知し、ヘルパーへの通知を行うことで、緊急時の迅速な対応を可能にします。
- ロボット技術: 一部の介助(例:移乗、排泄)を補助する機器を導入し、ヘルパーの身体的な負担を軽減します。
- コミュニケーション支援機器: 重度の意思表示が難しい方が、視線入力や音声入力で自分の意思を伝えられるようにします。
これらの機器の中には、障害者総合支援法の「日常生活用具」として給付の対象となるものもあります。最新の情報を相談支援専門員や地域の福祉機器展示会などで確認し、積極的に活用を検討しましょう。
地域社会との連携と社会参加の推進
24時間の支援体制が整ったとしても、自宅に閉じこもりがちになってしまっては意味がありません。重度訪問介護は「外出時の移動介護」も含まれるサービスであることを最大限に活用し、地域社会との繋がりを保つことが大切です。
例えば、ヘルパーとともに地域のイベントに参加したり、カフェや図書館など、ご本人が興味のある場所に定期的に出かけたりすることで、社会参加を継続できます。
地域生活を豊かにするためには、「インフォーマルな支援」の力も重要です。近隣住民との挨拶や、ボランティア団体との交流など、制度外の温かい繋がりが、万が一の際の安心感や生活の潤いをもたらしてくれます。
よくある質問と円滑なサービス利用のポイント
24時間支援の構築は、多くの疑問と不安を伴います。ここでは、利用者やご家族からよく寄せられる質問にお答えし、サービスを円滑に利用するための実用的なアドバイスをまとめます。
Q1: 24時間フルタイムのヘルパーを一人に頼んでもいいですか?
いいえ、基本的に重度訪問介護のヘルパーは、労働基準法に基づき、一人のヘルパーが24時間連続で働くことはできません。サービスは複数のヘルパーが交代制で担当することで、24時間体制を構築します。
例えば、日勤(8〜17時)、夕勤(17〜22時)、夜勤(22〜翌8時)といったシフトで、複数名のヘルパーがローテーションを組むのが一般的です。事業所選びの際には、ヘルパーの安定した配置体制が整っているかを必ず確認してください。
Q2: 家族が在宅している時間でも重度訪問介護は使えますか?
はい、原則として家族が在宅している時間でも利用可能です。重度訪問介護は、障害のある方の支援を目的としており、家族の有無で利用が制限されることはありません。
特に、重度な医療的ケアが必要な方や、常に見守りが必要な行動障害のある方については、家族が在宅していても、専門的なヘルパーの支援が欠かせません。ただし、計画策定時には、家族の支援負担の状況を正確に伝えることが重要です。
Q3: 費用の自己負担は高額になりますか?
重度訪問介護を長時間利用する場合、費用総額は高額になりますが、利用者負担については、世帯所得に応じた「負担上限月額」が設けられています。
ほとんどの場合、サービス利用にかかる自己負担額は、この上限月額(例:生活保護世帯・住民税非課税世帯は0円、一般世帯は9,300円など)を超えることはありません。長時間利用したからといって、青天井で自己負担が増えることはないため、ご安心ください。具体的な負担上限月額は、お住まいの市区町村の福祉課にご確認ください。
✅ 成功のコツ
利用者負担を抑えるためにも、まずは相談支援専門員と密に連携を取り、支給決定時間数の上限いっぱいにサービスを組み込む計画を立てることが、支援体制構築の第一歩です。
相談窓口と参考リンク
24時間サポートの体制づくりは、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが成功への近道です。
- 指定特定相談支援事業所: サービス等利用計画の作成、サービス利用全般の相談
- 市区町村の障害福祉課: 障害支援区分認定申請、支給決定手続き、費用負担に関する相談
- 難病相談支援センター: 難病の方の福祉サービス利用に関する相談(難病法に基づく支援を利用している場合)
https://www.mhlw.go.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">厚生労働省 障害福祉サービス情報なども参考にしながら、積極的に情報を集めていきましょう。
まとめ
24時間サポートが必要な重度の障害を持つ方の在宅生活は、決して夢物語ではありません。「重度訪問介護」を中心とし、訪問看護や生活介護、短期入所といった周辺サービスを組み合わせることで、強固で安心な支援体制を構築することができます。
成功の鍵は、正確な障害支援区分の認定、相談支援専門員による緻密なサービス等利用計画の策定、そして24時間体制を支える信頼できる事業所との連携にあります。
大切なのは、ご本人やご家族が抱える不安や希望を正直に専門家に伝え、一緒に最適な支援の形を追求していく姿勢です。
次のアクション
- まずはお住まいの市区町村の障害福祉課に連絡し、現在の障害支援区分の状況を確認し、必要であれば区分変更の申請を検討しましょう。
- 信頼できる指定特定相談支援事業所を見つけ、サービス等利用計画の策定依頼を行いましょう。
- 現在の支援ニーズを具体的な時間と内容で記録した「支援日誌」を作成してみましょう。

谷口 理恵
(たにぐち りえ)45歳📜 保有資格:
介護福祉士、ケアマネージャー、サービス管理責任者
介護福祉士として15年間現場で働き、現在はグループホームの管理者。「地域で自分らしく暮らす」を支えるために、住まい・生活・地域資源に関する情報発信を担当しています。実際の支援現場で感じた「これ知りたかった!」という情報をお届けします。
介護福祉士として障害者施設で10年、その後ケアマネージャーの資格を取得し、相談支援専門員として5年勤務。現在はグループホーム(定員10名)の管理者として、利用者の方々の日々の生活を支えています。この仕事を選んだきっかけは、大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会ったこと。「普通」の定義は人それぞれで、大切なのは本人が望む生活を実現することだと気づかされました。特に力を入れているのは、地域との繋がりづくり。近所のスーパーや美容院、カフェなど、日常的に利用できる場所を増やすことで、「施設の中だけ」ではない豊かな生活を支援しています。記事では、グループホームでの実際の生活の様子や、地域の障害福祉サービス事業所の選び方など、現場の生の声をお伝えしていきます。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会い、「普通」の定義は人それぞれだと気づいたことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
近所のスーパーや美容院など、日常的に利用できる場所を増やすことで、利用者の生活が豊かになったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
現場の生の声を大切に、「これ知りたかった!」という情報を届けることを心がけています。
🎨 趣味・特技
料理、ガーデニング
🔍 最近気になっているテーマ
一人暮らし支援の新しい形、地域住民との共生





