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家事援助の内容と利用方法:掃除・洗濯・調理サポート

📖 約37✍️ 金子 匠
家事援助の内容と利用方法:掃除・洗濯・調理サポート
家事援助は、障害者総合支援法に基づく居宅介護の一部として、掃除、洗濯、調理、買い物などの日常生活に必要な家事をサポートする。これは、当事者の自立支援と生活環境の衛生維持を目的とする。利用対象者は18歳以上の障害者で、市町村の支給決定が必要。原則として同居家族の家事は対象外だが、家族が病気や就労で困難な場合は例外が認められる。費用は原則1割の自己負担で、所得に応じた月額上限額が設定されている。サービスを最大限に活用するには、ヘルパーとの共同作業を取り入れ、自立を促すことが重要。利用開始にあたっては、相談支援専門員に相談し、支援計画を立てることが最初のステップとなる。

日常生活を送る上で、掃除、洗濯、調理といった家事は欠かせませんが、障害を持つ方やそのご家族にとって、これらの家事労働は大きな負担や困難を伴うことがあります。特に、「身体機能の制約で手が届かない」「認知機能の特性で手順を追うのが難しい」「家族の介護負担が重くて家事まで手が回らない」といった悩みを抱えている方は少なくありません。

このような課題を解決し、自立した快適な生活を送るために欠かせないのが、障害者総合支援法に基づく「居宅介護」のサービスに含まれる「家事援助」です。しかし、「家事援助でどこまでやってもらえるのか」「利用するための手続きは複雑ではないか」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、居宅介護における家事援助の具体的な内容(掃除・洗濯・調理サポート)を一つひとつ丁寧に解説し、利用の対象者、手続きの流れ、そしてサービスを最大限に活用するためのコツを詳しくお伝えします。家事援助を正しく理解し、生活の質の向上(QOL)介護負担の軽減につなげるための具体的な方法を見つけましょう。


家事援助の基礎知識:対象者と利用の前提

基礎①:家事援助とは何か?居宅介護の一部

家事援助とは、障害者総合支援法に基づく「居宅介護」というサービスの一つとして提供される支援です。居宅介護には、身体介護、家事援助、通院等介助の3つの柱があり、このうち家事援助は、生活環境の維持を目的とした支援を指します。

  • 目的当事者の方が単身、またはご家族と生活する上で、日常生活を営むのに必要な家事を援助することにより、安心で清潔な生活環境を確保することです。
  • 提供者介護福祉士やホームヘルパーなどの資格を持つ、居宅介護事業所の職員(ヘルパー)が提供します。
  • 提供場所当事者の方が実際に生活している自宅が原則です。

家事援助は、当事者の方が自分で家事を行うことが困難であるという状態を前提として提供される公的な支援サービスです。

基礎②:家事援助の対象となる方と手続き

家事援助サービスを利用するためには、まず障害者総合支援法の対象者であり、かつ市町村の認定を受ける必要があります。

  1. 対象者:身体障害、知的障害、精神障害、難病などを持つ18歳以上の障害者(障害児の場合は障害児通所支援など別の制度)。
  2. 利用申請:まず、市区町村の障害福祉窓口に相談し、サービス利用の申請を行います。
  3. 支給決定障害支援区分の認定、サービス等利用計画の作成などを経て、市町村から「居宅介護(家事援助)の支給決定」が下り、利用時間の上限(支給量)が決定されます。

支給されるサービス量は、障害支援区分や同居家族の状況、そして生活状況に応じて個別に決定されます。このプロセスは相談支援専門員がサポートしてくれます。

基礎③:家事援助の「原則」と「例外」

家事援助サービスには、「原則として行えないこと」が法律で定められています。これを理解しておくことが、トラブル防止に繋がります。

家事援助は、「当事者本人の日常生活に必要な家事」に限定されます。以下のような内容は原則として対象外となります。

  • 本人の生活に直接関係ないもの家族の居室の掃除や洗濯、家族の食事の準備、来客の対応など。
  • 専門的なサービス庭の手入れ、ペットの世話、自家用車の洗車、大掃除や窓拭きなど、日常的な家事の範囲を超えるもの。
  • 物品の購入:株式や投資信託などの資産運用に関わる行為など。

ただし、当事者が障害児である場合や、同居する家族が障害や病気、就労などで家事を行うことが著しく困難な場合には、例外的に家族の分まで支援が認められるケースもあります。これは市町村の判断によります。

⚠️ 注意

居宅介護のヘルパーは、あくまで「家事援助」を提供するのであって、「家政婦(お手伝いさん)」の代行ではありません。サービス内容について疑問が生じた場合は、必ずケアマネジャーや相談支援専門員に確認しましょう。


家事援助の具体的内容①:掃除と洗濯のサポート

内容①:掃除サポートの範囲と工夫

家事援助における掃除は、当事者の方が使用する居室、トイレ、浴室、台所など日常生活に必要な範囲で行われます。単にきれいにするだけでなく、衛生的な環境の維持を目的とします。

  1. 居室・共有部分床の掃き掃除、掃除機かけ、簡単な拭き掃除など。ヘルパーは、当事者の方が移動しやすいようにレイアウトを整理するなどの工夫も行います。
  2. 水回りトイレ掃除、浴槽の清掃、洗面台の拭き掃除など。特に、感染症予防の観点から、清潔を保つ必要性の高い場所は優先的に行われます。
  3. ゴミ出し分別ルールに従ってゴミをまとめ、指定の収集場所に出す作業。

掃除の際には、当事者の方がどこに何を置いているかを把握し、物の定位置管理を徹底することで、当事者自身が動きやすい環境を維持することが重要です。

内容②:洗濯サポートの流れと衣類管理

洗濯サポートは、衣類を清潔に保ち、衛生管理を行うための重要なサービスです。

  • 洗濯機操作:洗濯物を分け、洗濯機を操作する(洗剤投入、スタートなど)作業。
  • 干し方・取り込み衣類の種類や天候に合わせて適切な方法で干す、乾燥機を使用する、乾いた洗濯物を取り込む作業。
  • 収納・整理:たたんだり、アイロンをかけたりして、所定の場所に収納する作業。

特に、アレルギーや肌の敏感さから特定の洗剤しか使えない方、衣類を識別するのが難しい方に対しては、使用する洗剤の確認や収納場所の工夫をヘルパーと事前に共有しておくことが大切です。

内容③:当事者の方との「共同作業」の重要性

家事援助は、当事者の自立支援の一環でもあります。単にヘルパーがすべて代行するのではなく、可能な範囲で当事者の方自身に家事に参加してもらうことが、機能維持や意欲向上に繋がります。

例えば、「ヘルパーが洗濯機を回した後、利用者がボタンを押す」「ヘルパーが掃除機をかける場所を指示する」といった共同作業を取り入れることで、リハビリテーション効果も期待できます。この共同作業の目標については、個別支援計画に明記し、支援者間で共有されるべきです。

💡 ポイント

家事援助は、「その家事の代行」だけでなく、「その家事を行うための環境整備」も含まれます。例えば、調理のための食材を冷蔵庫から取り出す掃除のための用具を準備するといった作業も、サービス提供時間内であれば実施されます。


家事援助の具体的内容②:調理サポートと金銭管理

内容④:調理サポートの目的とバリエーション

調理サポートは、栄養バランスの取れた食事を確保し、健康維持を支援するための重要なサービスです。単なる調理だけでなく、安全面への配慮も求められます。

  • 調理行為献立の相談、食材の準備(皮むき、カット)、加熱、盛り付けなど。
  • 衛生管理:調理前後の手洗い、調理器具の消毒、残飯の適切な処理など。
  • 食材の調達本人の代わりに買い物に行く作業(通院等介助のサービスとして行われる場合もあります)。

調理の際は、利用者の方の嚥下機能(飲み込み)や咀嚼能力(噛む力)に合わせたきざみ食、ミキサー食など、個別に対応した調理方法が採用されます。ヘルパーは、火の取り扱いに注意し、調理過程での事故防止を最優先します。

内容⑤:食事の献立相談と栄養管理

特に糖尿病や腎臓病など、食事制限が必要な障害を持つ方にとって、ヘルパーとの献立相談は非常に重要です。家事援助では、管理栄養士の指導に基づいた献立づくりをサポートします。

  1. 献立の計画:利用者の方の好みや必要な栄養素を考慮しながら、数日分の献立を一緒に考えます。
  2. 買い物の計画:献立に基づき、必要な食材と予算をリストアップします。
  3. 調理指導:単に調理を代行するだけでなく、「ヘルパーと一緒に簡単な調理方法を学ぶ」といった、調理の自立に向けた支援も行われます。

支援計画の中で、目標とする栄養摂取量避けるべき食材を明確にし、支援者全体で共有することが、安全な食事提供の基本です。

内容⑥:金銭管理サポート(代行と指導)

家事援助の一環として、日常生活に必要な物品の購入や、それに付随する金銭の取り扱いもサポートされます。

日用品や食材の買い物代行役所への手続きの代行などが含まれますが、これらはサービス提供時間内に行われることが前提です。金銭を取り扱う際は、使途や残高を明確に記録し、透明性の確保が義務付けられています。

また、金銭管理が苦手な方に対しては、予算の立て方や残高の確認方法を教えるなど、金銭管理の自立に向けた支援も重要なサービスの一つとなります。

✅ 成功のコツ

家事援助を最大限に活用するためには、「やってもらうこと」「自分でやること」境界線を明確にし、優先順位を決めることです。例えば、「掃除はヘルパーに任せて、調理は簡単なものだけ自分でやる」といった具合に、体力や集中力を温存できるような計画を立てましょう。


家事援助利用の疑問解消と次のアクション

よくある質問①:家族がいる場合の利用制限

Q: 同居家族(親や配偶者)がいても、家事援助は利用できますか?

A: 原則として、同居家族がいる場合は、家事援助の支給は認められません。これは、「家族による家事の支援が期待できる」という考え方に基づいているからです。しかし、以下のような例外が認められるケースがあります。

  • 同居家族が障害者や病気で家事を行うことが困難である場合。
  • 同居家族が就労や介護で長時間自宅を留守にするなど、家事を行うことが著しく困難な場合。
  • 当事者が障害児であり、家族の負担が極めて大きい場合。

これらの例外を適用するためには、詳細な状況報告書や医師の診断書などが必要となる場合があるため、相談支援専門員と密に連携して、市町村に申請を行う必要があります。

よくある質問②:サービス利用の料金体系

Q: 家事援助サービスを利用する際の費用はどのくらいですか?

A: 居宅介護(家事援助)は、障害者総合支援法に基づくサービスであるため、利用費の9割は公費で負担されます。利用者の自己負担は原則1割です。

  1. 上限額設定:自己負担額には、世帯の所得に応じて月々の負担上限額が定められています(例:0円、4,600円、9,300円など)。上限額を超えた分は、それ以上自己負担する必要はありません。
  2. 実費負担食材費や日用品費など、家事援助サービス自体にかからない費用は、公的補助の対象外であり、実費で全額自己負担となります。
  3. 福祉サービスの対象外の部分大掃除や庭の手入れなど、上記の「原則」を超えたサービスを依頼したい場合は、ヘルパーが個人的な契約事業所の自由契約サービスとして行うことになりますが、この場合は全額自己負担となり、費用も高くなる傾向があります。

正確な費用体系を把握するためにも、支給決定時に発行される受給者証の内容を確認し、サービス提供事業所と契約前に料金について明確にしておきましょう。

次のアクション:相談支援専門員に相談

家事援助の利用を検討する際の最初の、そして最も重要なアクションは、「相談支援専門員」に相談することです。相談支援専門員は、サービス利用の申請代行、適切な支給量の提案、個別支援計画の作成など、利用開始までの全過程をサポートしてくれます。

また、家事援助と並行して、ホームヘルパーによる身体介護福祉用具のレンタルなど、他の障害福祉サービスや介護保険サービスとの組み合わせを総合的に検討し、最も効果的で負担の少ない支援計画を立ててくれます。まずは、お住まいの地域の相談支援事業所に連絡を取りましょう。

💡 ポイント

家事援助を成功させるためには、ヘルパーとの事前のコミュニケーションが不可欠です。「どこに何があるか」「掃除や洗濯のこだわりは何か」といった詳細な情報をまとめたマニュアルを作成しておくと、毎回スムーズにサービスが開始でき、支援の質も向上します。


まとめ

障害者総合支援法に基づく家事援助(居宅介護)は、掃除、洗濯、調理、買い物など、当事者の方が自立した日常生活を送るために不可欠な家事をサポートする公的なサービスです。このサービスは、生活環境の衛生維持介護者の負担軽減という二つの大きな役割を果たします。

利用の際は、家族の分は原則対象外となる点や、専門的な大掃除などは行えないという制度の原則を理解しておくことが重要です。また、自己負担額には上限があり、経済的負担は軽減されています。

相談支援専門員と連携し、当事者の方の自立を促す共同作業を取り入れながら、家事援助を生活の質の向上に繋げていきましょう。

まとめ

  • 家事援助は、居宅介護サービスの一つで、当事者本人の日常生活に必要な掃除・洗濯・調理などをサポートします。
  • 家族の分は原則対象外ですが、病気や就労など、家族が困難な場合は例外的に認められるケースがあります。
  • サービス利用には、市町村への申請と支給決定が必要であり、相談支援専門員との連携が不可欠です。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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