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仕事が続かない理由は心と体?原因と改善ポイント

📖 約32✍️ 谷口 理恵
仕事が続かない理由は心と体?原因と改善ポイント
仕事が続かない悩みの原因は、障害特性による「脳のエネルギー切れ」、実行機能の困難、職場環境とのミスマッチにあります。ASD特性には指示の具体化や感覚バリア、ADHD特性には外部ツールの活用とタスク管理、精神障害には体調波への柔軟な対応が改善ポイントです。仕事の継続には、休憩時間の増加や業務手順書の作成といった「合理的配慮」を職場に求め、ジョブコーチによる支援を受けることが不可欠。心身の安定が最優先のため、就労移行支援や専門医療機関で「働く土台」を整え、自分に合った働き方を見つけましょう。

仕事が続かない理由は心と体?原因と改善ポイント

「仕事を頑張って見つけるけれど、いつも数ヶ月で辞めてしまう」「職場の人間関係が苦痛で、朝体が動かなくなる」「仕事のミスが多く、自分に自信を失ってしまった」—就労を目指す障害者の方や、そのご家族・支援者の方で、このような「仕事が続かない」という悩みを抱えていませんか。

仕事が続かない原因は、「努力不足」や「能力の低さ」にあるのではなく、多くの場合、障害の特性と職場の環境、そして心身の健康状態のミスマッチにあります。このミスマッチが解消されないと、慢性的な疲労や二次障害を引き起こし、離職につながりやすいのです。

この記事では、仕事の継続を困難にしている心と体の具体的な原因を、発達障害と精神障害の視点から分析します。そして、ご自身の特性に合った仕事を選ぶためのヒントや、長く働き続けるための具体的な環境調整、専門的な支援の活用方法を徹底的に解説します。

ご自身の「しんどさ」の根本原因を理解し、無理なく、あなたらしく働けるための具体的な改善ポイントを見つけていきましょう。


仕事の継続を阻む「心身のバリア」とは

仕事が続かない原因は一つではありません。特に障害を持つ方にとって、職場は様々な「心身のバリア」が存在する場所になりがちです。

見えない疲労「脳のエネルギー切れ」

発達障害(ASD、ADHD)を持つ方は、仕事中、一般の人以上に多くのエネルギーを消耗しています。

  • カモフラージュの努力:自分の苦手な部分を隠し、周囲に合わせるための意識的な努力。
  • 感覚刺激の過剰処理:職場の蛍光灯の音、人の話し声、香水の匂いなどを処理し続ける脳疲労。

この「見えない疲労」が知らず知らずのうちに蓄積し、やがて出勤困難、極度の倦怠感、集中力の低下といった形で現れ、最終的に業務遂行が不可能となります。

「実行機能」の困難による業務遂行の失敗

ADHDや精神障害の回復期にある方に見られるのが、実行機能(計画、時間管理、優先順位付け)の困難です。

⚠️ 注意

実行機能の困難は、タスクの期日を守れない、複数の仕事を同時に処理できない、整理整頓ができないといった形で現れ、仕事上のミスや、周囲からの評価の低下を招きやすいです。これが自己肯定感を下げ、離職へとつながります。

人間関係における「予測不能性」

職場は、多種多様な人々が複雑なルールで関わる、予測不能性の高い環境です。

ASDを持つ方は、他者の非言語的な合図(表情、声のトーン)の理解が難しく、「空気を読む」ことに膨大なストレスを感じます。また、精神障害を持つ方は、病状の変動からくる不安や緊張が対人関係でのミスを招き、孤立しやすくなります。


特性別:仕事が続かない具体的な原因と改善ポイント

障害の特性によって、仕事が続かない原因や、取るべき対策は異なります。

ASD特性:環境の「非定型さ」と対策

ASDを持つ方が離職に至る主な原因は、「環境の曖昧さ」「刺激の多さ」「ルーティンの崩壊」です。

原因:

  • 曖昧な指示:「適当にやって」「臨機応変に」といった抽象的な指示を理解できず、フリーズする。
  • 感覚過敏:職場の照明、電話の音、雑談など、常に感覚刺激にさらされ、集中力が続かない。

改善ポイント:

💡 ポイント

タスクは必ず「いつまでに、何を、どのように」という5W1Hで具体的に文書化してもらう(合理的配慮)。

休憩時間や高負荷な業務の際に、ノイズキャンセリングイヤホンやサングラスなどの感覚バリアの使用を許可してもらう。

ADHD特性:時間とタスクの「管理困難」と対策

ADHDを持つ方が離職に至る主な原因は、「不注意によるミス」「時間管理の失敗」「衝動的な行動」です。

原因:

  • 時間無視(タイムブラインドネス):時間の感覚がなく、締め切り直前までタスクに着手できない。
  • 多動性・衝動性:会議中に落ち着いて座っていられない、衝動的な発言で人間関係を損なう。

改善ポイント:

物理的なタイマー(残り時間が見えるもの)や、リマインダーアプリなど、「外部の脳」を積極的に活用しましょう。タスクを細分化し、必ずチェックリストで手順を確認してから着手する習慣をつけます。

精神障害:病状の波と「安定」への対策

うつ病や双極性障害などの精神障害を持つ方が離職に至る主な原因は、「病状の波による欠勤」「薬の副作用」「モチベーションの維持困難」です。

原因:

  • 服薬管理:薬の副作用(眠気、倦怠感)が仕事のパフォーマンスに影響する。
  • 気分変動:気分の落ち込みや意欲低下により、出勤やタスクの着手が困難になる。

改善ポイント:

主治医や訪問看護と密に連携し、体調と服薬状況を常にモニタリングしましょう。体調不良を隠さず、事前に申告できる職場内での相談窓口を確保しておくことが重要です。


長く働き続けるための「環境調整」と合理的配慮

個人の努力だけで仕事を続けることは困難です。職場に対して「合理的配慮」を求め、環境を最適化することが、仕事の継続に繋がる最も重要なステップです。

「合理的配慮」として要求すべきこと

自分の障害特性と、それによって生じる業務上の困難を明確にし、それらを軽減するための具体的な配慮を職場に求めましょう。

困りごと 配慮の具体例
疲労しやすい 休憩時間の増加、時短勤務、フレックスタイム制度の活用。
聴覚過敏 パーテーションの設置、電話応対の免除、静かな場所での作業許可。
時間・計画管理が苦手 業務手順書の作成、上司やジョブコーチによる定期的な進捗確認。

「ジョブコーチ」による職場定着支援

ジョブコーチ(職場適応援助者)による支援は、仕事が続かない悩みを抱える方にとって非常に有効です。

ジョブコーチは、職場と当事者の間に立ち、コミュニケーションや業務上のミスマッチを解消するための調整役を担います。当事者には特性に合った働き方を指導し、職場には適切な配慮の提供方法を助言します。

この支援は、障害者職業センターなどで受けられます。

「体力・気力」のセルフマネジメント

長く仕事を続けるには、体力や気力の消耗を最小限に抑えるセルフマネジメントが不可欠です。

✅ 成功のコツ

仕事とプライベートを明確に分け、帰宅後は仕事のことを考えない時間(リセット時間)を確保しましょう。週末も過度な活動を避け、十分な休息と、リラックスできる趣味(過集中にならないもの)に時間を割くことが、次の週へのエネルギー維持に繋がります。


仕事の「土台」を作るための支援機関活用

現在の体力やスキルでは働くことが難しいと感じる場合、まずは支援機関で「働くための土台」を構築することから始めましょう。

「就労移行支援事業所」でのトレーニング

就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障害を持つ方に対し、必要なスキルや体力、精神状態を整えるためのトレーニングを提供する福祉サービスです。

  • 体調管理:規則正しい生活リズムの確立、疲労回復方法の習得。
  • 実行機能訓練:タスク管理、計画立案、時間管理の具体的な方法を学ぶ。
  • 自己理解:自身の特性、得意・不得意、ストレス要因を深く理解する。

仕事が続かない原因を分析し、対策を講じるための最も体系的なサポートを受けられる場所です。

「職業センター」による職業リハビリテーション

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する障害者職業センターでは、職業リハビリテーションを受けられます。

ここでは、職業評価を通じて、自身の能力や適性を客観的に把握し、どのような職種や働き方が向いているかを専門的に判断してくれます。この評価結果は、仕事選びや合理的配慮を求める際の強力な根拠となります。

「専門医療機関」での二次障害対策

仕事が続かないことで、うつ病や不安障害などの二次障害を発症している場合は、まずは心療内科や精神科での治療を優先しましょう。

心身の不調が強い状態で無理に就職活動を続けても、早期の離職につながりやすいです。治療により心身が安定してから、徐々に活動量を増やしていくことが、結果的に仕事の継続につながります。


よくある質問(FAQ)と次の一歩

仕事が続かないという悩みに関する、当事者の方やご家族からの疑問にお答えします。

Q. 短期間で転職を繰り返すのは不利になりますか?

A. 一般的には不利になることもありますが、障害者雇用においては、「なぜ続かなかったのか」の原因と、それに対する「今後の対策」を明確に説明できることが重要です。

失敗の原因を特性のミスマッチとして正直に伝え、就労移行支援などで対策を講じていることを説明できれば、企業も前向きに評価してくれる可能性が高まります。

Q. どんな仕事を選べば長く続きますか?

A. 「自分の苦手が業務に直結しない仕事」を選ぶのが鉄則です。

例えば、ASDで感覚過敏があるなら在宅ワークや個室での作業、ADHDで時間管理が苦手なら締め切りが緩やかな業務、人と関わるのが苦手ならデータ入力や清掃業など、特性と逆のストレスがかからない職種を選びましょう。

Q. 仕事を辞める前にできることはありますか?

A. 辞めることを決断する前に、以下のことを試みましょう。

  1. 体調不良の原因特定:主治医に相談し、体調不良が病状か副作用かを特定する。
  2. 支援者へ相談:ジョブコーチや障害者職業センターに相談し、「合理的配慮」の再調整を試みる。
  3. 休暇を取る:有給休暇などを使い、一時的に仕事から離れて心身を休ませる。


まとめ

  • 仕事が続かない理由は、特性による「脳のエネルギー切れ」や実行機能の困難、環境のミスマッチが原因です。
  • 改善には、合理的配慮を求め、タスクの文書化や感覚バリアの導入など、環境を最適化することが不可欠です。
  • 長く働くための土台は、就労移行支援事業所でのトレーニングや、ジョブコーチによる職場定着支援を活用して築きましょう。

「仕事が続かない」のは、あなたに合った働き方や環境に出会えていないだけかもしれません。焦らず、専門家のサポートを受けながら、自分らしく活躍できる場所を見つけましょう。

まずは、今日、「就労移行支援事業所やハローワークの障害者窓口へ相談に行く」という一歩を踏み出してみませんか。

主な相談窓口・参考情報

  1. 就労移行支援事業所: 働くためのトレーニングと就職活動サポート。
  2. ハローワーク(専門援助部門): 障害者雇用求人の紹介と就労相談。
  3. 障害者職業センター: 職業リハビリテーション、ジョブコーチ支援。

谷口 理恵

谷口 理恵

たにぐち りえ45
副編集長📚 実務経験 20
🎯 生活サポート🎯 地域情報

📜 保有資格:
介護福祉士、ケアマネージャー、サービス管理責任者

介護福祉士として15年間現場で働き、現在はグループホームの管理者。「地域で自分らしく暮らす」を支えるために、住まい・生活・地域資源に関する情報発信を担当しています。実際の支援現場で感じた「これ知りたかった!」という情報をお届けします。

介護福祉士として障害者施設で10年、その後ケアマネージャーの資格を取得し、相談支援専門員として5年勤務。現在はグループホーム(定員10名)の管理者として、利用者の方々の日々の生活を支えています。この仕事を選んだきっかけは、大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会ったこと。「普通」の定義は人それぞれで、大切なのは本人が望む生活を実現することだと気づかされました。特に力を入れているのは、地域との繋がりづくり。近所のスーパーや美容院、カフェなど、日常的に利用できる場所を増やすことで、「施設の中だけ」ではない豊かな生活を支援しています。記事では、グループホームでの実際の生活の様子や、地域の障害福祉サービス事業所の選び方など、現場の生の声をお伝えしていきます。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会い、「普通」の定義は人それぞれだと気づいたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

近所のスーパーや美容院など、日常的に利用できる場所を増やすことで、利用者の生活が豊かになったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

現場の生の声を大切に、「これ知りたかった!」という情報を届けることを心がけています。

🎨 趣味・特技

料理、ガーデニング

🔍 最近気になっているテーマ

一人暮らし支援の新しい形、地域住民との共生

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