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障害者手帳を持っていると利用できる行政サービス一覧

📖 約103✍️ 金子 匠
障害者手帳を持っていると利用できる行政サービス一覧
障害者手帳(身体・療育・精神)は、公的支援を受けるための鍵です。手帳を持つことで、福祉サービス(ホームヘルプ、グループホームなど)、経済的優遇(税・公共料金の控除・減免)、交通割引(JR・バス・高速道路)、就労支援(障害者雇用枠)などが利用可能になります。ただし、サービスは申請主義のため、自ら情報を得て手続きが必要です。福祉サービス利用には障害支援区分の認定が別途必要です。サービスの全体的な調整は、特定相談支援事業所の相談支援専門員に依頼することで、手帳を最大限に活用し、安定した生活を築くことができます。手帳の更新手続きも忘れないように注意が必要です。

💳 障害者手帳を持っていると利用できる行政サービス一覧:生活を支える公的支援を徹底解説

障害者手帳を持っているけれど、どのような行政サービスが受けられるのか、全体像が把握できていない」「税金や公共料金の優遇措置には、どんな種類があるのだろう?」「手帳の等級や種類によって、受けられるサービスに違いがあるのか知りたい」

障害者手帳は、単なる証明書ではなく、障害のある方の生活を支援するための公的サービスを利用するための**「鍵」です。日本には、「身体障害者手帳」「療育手帳(知的障害)」「精神障害者保健福祉手帳」**の三種類があり、それぞれが異なる根拠法に基づき交付され、医療、福祉、経済、公共サービスの各分野で多岐にわたる支援を受ける資格を与えます。

しかし、これらのサービスは自動的に適用されるわけではなく、ほとんどが**「申請主義」です。つまり、ご自身やご家族が「どんな制度があるのか」を知り、「申請手続きを行う」**ことで初めて利用可能になります。制度が複雑で多岐にわたるため、本来受けられるはずの支援を見過ごしているケースも少なくありません。

この記事では、障害者手帳の種類(身体・療育・精神)ごとに、利用できる行政サービスの全体像を、生活・医療・経済・交通の四つの側面に分けて、全6000字以上の大ボリュームで徹底的に解説します。手帳を最大限に活用し、安心して生活するための公的支援ネットワークを理解しましょう。


🩺 1. 障害者手帳の基礎知識とサービスの前提

手帳の種類と等級が、受けられるサービスの内容や程度を決定します。

三種類の手帳と根拠法

日本における障害者手帳は、以下の三種類に分類されます。

手帳の種類 対象となる障害 根拠法 等級の目安
身体障害者手帳 肢体不自由、視覚・聴覚・平衡機能、心臓・腎臓・呼吸器機能など 身体障害者福祉法 1級(最重度)〜7級(軽度)
療育手帳 知的障害(知的発達症) 知的障害者福祉法(行政措置) 最重度(A1/マルA)〜軽度(B2/マルB)(自治体により名称が異なる)
精神障害者保健福祉手帳 統合失調症、気分障害、てんかん、発達障害など精神疾患全般 精神保健福祉法 1級(重度)〜3級(軽度)

サービス利用の前提:「申請主義」の原則

手帳を取得しただけでは、以下のサービスは開始されません。

  • 福祉サービス(ホームヘルプ、デイサービスなど):原則として市町村窓口への申請と、障害支援区分の認定が必要です。
  • 経済的優遇(税、公共料金):****確定申告や各事業者(電力会社など)への届け出が必要です。


🏠 2. 生活を支える福祉サービス(障害者総合支援法)

障害者手帳は、障害者総合支援法に基づく各種福祉サービスを利用するための前提資格となります(療育手帳、精神障害者保健福祉手帳は原則として手帳の有無を問わないが、自治体判断)。

A. 居宅・訪問系のサービス

自宅での日常生活や外出をサポートするサービスです。

  • 居宅介護(ホームヘルプ):自宅にホームヘルパーを派遣し、入浴、排泄、食事などの身体介護や、掃除、洗濯などの生活援助を提供します。(三種の手帳全て対象)
  • **重度訪問介護:**重度の肢体不自由や知的・精神障害があり、常時介護を必要とする方への長時間にわたるサポート。(主に身体1・2級、療育Aなど)
  • **同行援護:**視覚障害者の方が、外出時に移動の援護や代筆・代読などを行う。(主に身体1・2級)
  • 行動援護:知的障害や精神障害により行動障害がある方の、外出時や日常生活における危険回避のための援護。(主に療育A、精神1級で行動障害が認められる場合)

B. 日中活動・居住系のサービス

日中の活動の場や、居住場所を支援するサービスです。

  • **生活介護:**常時介護が必要な方に、日中の入浴、食事、排泄の介助や、創作活動、リハビリテーションなどを提供。(主に身体1・2級、療育Aなど)
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練):地域生活に必要な生活スキルや知識を身につけるための訓練。(三種の手帳全て対象)
  • **共同生活援助(グループホーム):**地域で共同生活を営む障害者に対し、夜間や休日に生活上の相談や援助を行う。(三種の手帳全て対象)

🚨 サービスの利用に必要な「障害支援区分」

上記サービスを利用するためには、市町村への申請後、**「障害支援区分」(区分1〜6)**の認定が必要です。これは、手帳の等級とは別に、どの程度の支援が必要かを行政が客観的に判断するものです。手帳の等級が低くても、生活上の困りごとが大きければ、高い区分が認定される可能性があります。


💰 3. 経済的な支援と優遇措置

手帳を持つことで、税金、公共料金、医療費など、金銭的な優遇措置が受けられます。

A. 税制上の優遇措置(確定申告が必要)

本人だけでなく、本人を扶養する家族も優遇措置を受けられます。

  • **所得税・住民税の障害者控除:**本人または扶養者が控除を受けられます。**特別障害者(手帳1・2級、療育Aなど)**は控除額が大きくなります。
  • **相続税の控除:**障害のある方が相続人となる場合、一定額が控除されます。
  • **自動車税・自動車取得税の減免:**障害のある方(または同居の家族)が、障害のために使用する自動車について減免を受けられます(主に身体手帳の一定の等級以上)。

B. 公共料金・公共サービスの割引

生活インフラに関わる料金の優遇です。

  • **NHK受信料の減免:**手帳の等級や世帯構成に応じて、全額または半額の免除が受けられます。(三種の手帳全て対象)
  • 携帯電話料金の割引:各携帯電話会社が提供する障害者割引プランを利用できます。(三種の手帳全て対象)
  • **上下水道料金の減免:**自治体によりますが、手帳所持者に対し、水道料金や下水道料金の基本料金が減免される場合があります。

C. 医療費の助成制度

  • 自立支援医療(精神通院医療):精神疾患(精神障害者保健福祉手帳の対象疾患)による通院医療費について、原則自己負担が1割に軽減されます。(精神手帳が前提)
  • **心身障害者医療費助成(自治体):**重度障害者に対し、医療費の自己負担分を助成する制度(自治体によって対象となる手帳の種類や等級が異なる)。


🚄 4. 交通・移動に関する優遇措置

移動の機会を保障するための割引制度は、手帳の種類と等級によって大きく異なります。

A. 鉄道・バス・タクシーの割引

割引が受けられるのは、主に身体障害者手帳と療育手帳の所持者です。精神障害者保健福祉手帳については、自治体の判断によりバスやタクシーが割引になる場合がありますが、JRの割引はありません。

  • JR運賃の割引:
    • 第1種(重度):本人と介護者1名が5割引(長距離・短距離問わず)。
    • 第2種(軽度):本人のみ5割引(片道100km超の場合)。
  • バス運賃の割引:多くのバス会社で、手帳提示により本人と介護者1名が割引になります。(三種の手帳全て対象とする自治体もあり)
  • タクシー料金の割引:手帳提示により1割引が適用されます。(三種の手帳全て対象)

B. 有料道路(高速道路)の割引

自家用車で有料道路を利用する際の割引です。

  • 割引内容:高速道路の料金が5割引になります。
  • 対象:主に身体障害者手帳1・2級、または療育手帳Aの方が運転または同乗する場合が対象となります。事前にETC車載器と手帳を提示し、地方整備局などに申請が必要です。

C. 駐車場・施設の優遇

  • 障害者用駐車場の利用:公共施設、商業施設などに設けられた青いマークの駐車場を利用できます(義務付けられた制度ではありませんが、モラルとして優先利用されます)。
  • **公営施設・アミューズメント施設の割引:**動物園、博物館、美術館、映画館、テーマパークなど、手帳提示により入場料が無料または割引になる施設が多くあります。多くの場合、介護者1名も割引または無料となります。(三種の手帳全て対象)


🧑‍💻 5. 就労に関する優遇措置と支援

障害者手帳を持っていることで、就労支援雇用の機会が大きく広がります。

A. 障害者雇用枠での就労

障害者手帳(三種全て)を持っていることが、「障害者雇用促進法」に基づく障害者雇用枠に応募するための前提となります。

  • **法定雇用率:**企業には、**従業員数の一定割合(法定雇用率)**以上の障害者を雇用することが義務付けられています。
  • メリット:採用側は障害の特性を理解しているため、合理的配慮(業務内容の調整、休憩時間の確保、時差出勤など)が受けやすく、職場への定着に繋がりやすい。

B. 雇用主への助成金・支援制度

障害者を雇用する企業側にも、手帳を持つ従業員への支援があります。

  • **特定求職者雇用開発助成金:**重度障害者などを雇用する事業主に対して助成金が支給される。
  • **職場介助者の配置:**障害特性により介助が必要な場合、職場介助者の配置費用が助成される。
  • **ジョブコーチ支援:就職後、職場適応を支援するためにジョブコーチ(職場適応援助者)**が派遣される(手帳の有無を問わない場合もあるが、手帳所持者が優先)。


📚 6. サービス活用のための手帳別チェックポイント

手帳の種類によって、利用できるサービスの特徴や重点が変わります。

チェックポイント①:身体障害者手帳

身体機能の回復日常生活の利便性に重点が置かれます。

  • **補装具費の支給:**義手、義足、車椅子、補聴器、人工内耳など、身体機能を補うための費用が支給されます。
  • **日常生活用具の給付:**特殊寝台、入浴補助用具、住宅改修など、日常生活を便利にするための用具の費用が給付されます。
  • **医療的ケア:**主に自立支援医療(更生医療)による、手術やリハビリテーションなどの医療費助成。

チェックポイント②:療育手帳(知的障害)

生活スキルの習得行動面・安全面のサポートに重点が置かれます。

  • **行動援護・同行援護の活用:**特に重度の場合、行動障害への専門的な支援や、外出時の安全確保が重要となる。
  • 特別支援教育:学齢期は、手帳の等級に基づき、特別支援学校や特別支援学級での教育的支援を受ける。
  • **成年後見制度:**金銭管理や契約行為に不安がある場合、権利擁護のために成年後見制度の利用を検討する(手帳の有無を問わないが、知的障害が利用の大きな根拠となる)。

チェックポイント③:精神障害者保健福祉手帳

**治療の継続(通院)社会復帰(就労)**に重点が置かれます。

  • **自立支援医療:**通院医療費の自己負担が1割になる制度を優先的に活用し、治療の継続を最優先する。
  • 就労移行支援:一般企業への復帰を目指すための職業訓練、メンタルヘルスケアの支援を受ける。
  • ピアサポート:同じ精神障害を持つ人たちによるピアサポート活動の場(地域活動支援センターなど)を活用し、社会的な孤立を防ぐ。


🤝 7. サービスの申請と活用をスムーズにするために

これらの多岐にわたるサービスを効率的に活用するための具体的なアクションを紹介します。

アクション①:相談支援専門員を「司令塔」に

どの手帳を持っていても、福祉サービスを利用する際は、特定相談支援事業所相談支援専門員に相談しましょう。

  • 専門員は、あなたの手帳の種類や等級、そして生活上のニーズを総合的に判断し、最適なサービス(居宅介護、グループホーム、デイサービスなど)を組み合わせた**「サービス等利用計画」**を作成します。

アクション②:市町村役場への問い合わせは具体的に

行政サービスには、国制度(全国共通)と市町村独自のサービスがあります。

  • 「〇〇手帳を持っていますが、〇〇市で受けられる上下水道料金の減免はありますか?」のように、地域名とサービス名を具体的に尋ねることで、正確な情報を得やすくなります。

アクション③:手帳の「更新」を忘れない

障害者手帳には有効期限があります(特に精神障害者保健福祉手帳は2年ごと、療育手帳は数年ごと)。

  • 期限の数ヶ月前には、医師の診断書再判定の手続きが必要となります。更新手続きを忘れると、全ての行政サービスが一時的に停止してしまうため、手帳の有効期限を常にチェックし、早めに手続きを開始しましょう。

障害者手帳は、あなたの生活と社会参加を強力に後押しするための公的なパスポートです。積極的に情報を集め、必要な支援をしっかりと受け取っていきましょう。


まとめ

  • 障害者手帳には身体、療育、精神の三種類があり、それぞれが異なる根拠法に基づき、医療、福祉、経済、交通の分野で多岐にわたる行政サービスの利用資格を与える。
  • 福祉サービスの利用には、手帳に加えて市町村への申請障害支援区分(区分1〜6)の認定が必要であり、居宅介護、生活介護、グループホームなどのサービスが提供される。
  • 経済的な優遇として、手帳の等級に応じた所得税・住民税の控除自動車税の減免NHK受信料の減免携帯電話料金の割引などがあるが、多くは申請や届け出が必要。
  • 交通機関の割引は、身体・療育手帳の所持者(第1種・第2種)が中心であり、JR運賃、バス、タクシー料金の割引が受けられる。精神手帳は自治体による割引が多い。
  • 就労においては、三種全ての手帳を持つことで障害者雇用枠に応募でき、合理的配慮を受けやすくなる。
  • 多岐にわたるサービスを効率的に活用するため、特定相談支援事業所相談支援専門員を**「司令塔」**として、支援計画の作成を依頼することが推奨される。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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