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家族が知っておくべき障害者向け相談サービス

📖 約75✍️ 高橋 健一
家族が知っておくべき障害者向け相談サービス
障害のある家族を持つ方は、情報不足や疲弊(バーンアウト)を防ぐために相談サービスを積極的に活用すべきです。福祉サービス利用の司令塔は特定相談支援事業所の相談支援専門員であり、ここで家族の負担を正直に伝え、支援計画を設計します。特性理解は発達障害者支援センターや精神保健福祉センターが専門です。将来の経済不安には成年後見制度や障害年金を検討し、年金事務所に相談します。また、家族自身の精神的サポートとして家族会や医療ソーシャルワーカー(MSW)の利用が不可欠です。相談を効果的に進めるには、相談内容を記録し、家族の意向を強く計画に反映させることが鍵となります。

👨‍👩‍👧‍👦 家族が知っておくべき障害者向け相談サービス:抱え込みを防ぎ、切れ目のない支援を設計するために

「わが子の将来が心配だが、親亡き後の相談はどこにすればいい?」「障害のある家族を支援する中で、自分自身が疲れ切ってしまった。誰かに話を聞いてほしい」「福祉サービスの手続きが複雑すぎて、どこから手を付ければいいかわからない」

障害のある方を支えるご家族は、日常生活での介助や金銭管理、医療連携、そして何よりも精神的なサポートという、多岐にわたる重責を担っています。しかし、その支援が長期にわたるほど、**情報不足、孤立、精神的な疲弊(バーンアウト)**といった困難に直面しやすくなります。ご家族が健康で、適切な情報を得ていなければ、ご本人への支援も持続可能ではありません。

ここで重要な役割を果たすのが、**障害者向けの「相談サービス」**です。相談サービスは、福祉制度のナビゲーション、専門的な知識提供、そして家族自身の精神的なサポートという、多層的な機能を持っています。ご家族がこれらの窓口を効果的に活用することは、支援の質の向上と、家族自身のQOL(生活の質)の維持に直結します。

この記事では、障害のある家族を持つ方が特に知っておくべき、五つの重要な相談カテゴリと、それぞれの代表的な窓口、そして家族の不安を解消するための具体的な活用方法を、全6000字以上の大ボリュームで徹底的に解説します。家族自身が「支援される側」になることを恐れず、公的なネットワークを最大限に活用するための知識を深めましょう。


🏠 1. 総合的な福祉サービス利用の相談:支援の司令塔

障害者福祉サービスを利用するための手続きや計画作成は、多くの家族にとって最初の大きな壁です。このナビゲーター役を担うのが相談支援事業所です。

窓口①:特定相談支援事業所(相談支援専門員)

障害福祉サービス(ホームヘルプ、デイサービス、グループホームなど)の利用に際し、最も重要となる窓口です。ここで働く相談支援専門員は、家族と行政、サービス事業所、医療機関をつなぐ**「司令塔」**の役割を果たします。

  • 主な役割:
    • サービス等利用計画の作成:本人のニーズや目標に基づき、必要なサービスを組み合わせた総合的な支援計画を策定します。
    • 障害支援区分認定のサポート:サービス量の上限を決める障害支援区分の申請手続きや、調査への立ち会いなど、行政手続きを支援します。
    • 多機関連携:医療や教育など、福祉以外の専門機関との情報共有と調整を行います。
  • 家族の活用ポイント:
    • **「家族が抱える負担」**を正直に伝える:「夜間の見守りが厳しくなってきた」「入浴介助が体力的に限界」など、家族の介護負荷を明確に伝え、計画に反映してもらいましょう。
    • 計画の「主役」になる:専門員任せにせず、「どのような生活を送りたいか」という家族の願いを強く伝えることが重要です。

窓口②:基幹相談支援センター

市町村が設置する、地域の相談支援体制の中核となる機関です。

  • 主な役割:地域の複雑な課題を抱えるケースへの支援、虐待防止への対応、地域の支援資源(サービス)の整備・開発など。
  • 家族の活用ポイント:「複数の相談支援事業所に断られた」「どこに相談しても解決しない複雑な問題がある」など、通常の相談ルートでは対応が難しい場合に、最後の砦として相談できます。


🧠 2. 障害の特性と理解に関する相談:専門性の高い知識

障害の特性を深く理解することは、適切な対応や接し方、そして療育やリハビリテーションの方向性を決める上で不可欠です。

窓口③:発達障害者支援センター

主に発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)を持つ方やその家族に対する専門的な支援を担います。

  • 主な役割:
    • 特性理解の支援:発達障害の特性(感覚過敏、こだわり、コミュニケーションの困難など)に基づいた家庭での具体的な対応方法について助言します。
    • ペアレントトレーニング:家族が、障害特性に応じた子育てや関わり方を学ぶためのプログラムを提供します。
  • 家族の活用ポイント:
    • **「なぜ、わが子はその行動をするのか?」**という、行動の背景にある特性を理解するために相談します。特性を理解できれば、無用な叱責やストレスを減らすことができます。

窓口④:精神保健福祉センター

主に精神障害(統合失調症、気分障害、依存症など)に関する専門的な相談や情報提供を行います。

  • 主な役割:
    • 家族相談:精神障害のある家族への接し方、治療の継続への関わり方など、精神科医や専門職による相談。
    • 家族教室:病気についての正しい知識や、再発予防のためのストレス管理方法などを学ぶ場を提供します。
  • 家族の活用ポイント:
    • 「病気の症状と、本人の意思との区別」を学ぶために相談します。特に幻覚や妄想といった症状への適切な対応方法について専門的な助言を得られます。


💼 3. 将来と経済的な不安に関する相談:生涯設計

障害のある家族を持つ方にとって、「親亡き後」の生活や、経済的な安定は最大の不安要素です。

窓口⑤:成年後見制度の相談窓口(家庭裁判所、社会福祉協議会)

金銭管理や契約行為の判断能力が不十分な方を、法的に保護・支援するための制度です。

  • 主な役割:
    • 制度の紹介と説明:成年後見制度の仕組み、後見人の選任方法、申立て手続きに関する説明。
    • 地域連携:****市町村長申立てなど、行政と連携した手続きの支援。
  • 家族の活用ポイント:
    • 特に知的障害や重度の精神障害のある家族の財産保全を考える場合、この制度の検討は必須です。将来の施設入所契約遺産相続など、法的な行為を家族が代行できるようにするために相談します。

窓口⑥:年金事務所(障害年金)

病気や障害によって生活や仕事に支障が出た場合に受け取れる障害年金に関する専門窓口です。

  • 主な役割:
    • 受給資格の確認:「初診日」「加入期間」など、受給資格の有無を判定するための相談。
    • 申請手続きのサポート:必要書類(診断書、病歴・就労状況等申立書など)に関する情報提供と助言。
  • 家族の活用ポイント:
    • 障害年金の申請は非常に複雑です。特に精神障害の場合、初診日の確定が困難な場合が多いため、家族が過去のカルテや受診履歴を整理して相談に臨む必要があります。


🫂 4. 家族自身の精神的・身体的なサポート相談

家族が疲弊してしまうと、支援は破綻します。家族自身が「支援される側」として相談することが重要です。

窓口⑦:家族会・患者会

特定の障害や疾患を持つ家族が集まり、情報交換や相互理解を深めるための自主的な組織です。

  • 主な役割:
    • 精神的な支え:「同じ経験をした人」との共感を通じて、孤立感を解消し、精神的な安定を得る。
    • **実用的な知恵の共有:地域独自のサービス、効果的な支援機関、介護の具体的な工夫など、経験者ならではの生きた情報を得る。
  • 家族の活用ポイント:
    • 「支援のストレス」**を吐き出す場として利用します。家族会は、支援者としての役割から離れ、一人の人間として感情を解放できる貴重な場です。

窓口⑧:医療ソーシャルワーカー(MSW)

主に病院やクリニックに配置され、医療と福祉の橋渡し役を担います。

  • 主な役割:
    • 退院後の生活設計:入院中の患者や家族に対し、退院後の福祉サービス、施設入所、経済的な問題に関する相談に乗る。
    • 医療費助成の相談:高額療養費制度や自立支援医療など、医療費に関する制度の活用を支援する。
  • 家族の活用ポイント:
    • 急性期や入退院の繰り返しで疲弊している場合に、最もアクセスしやすい窓口です。退院後の支援体制を整えるための最初の相談として最適です。


📚 5. 家族が知っておくべき相談の「極意」と連携術

相談サービスを最大限に活用し、支援を継続させるための具体的な戦略を紹介します。

極意①:「親の意向」を最優先に伝える

特に特定相談支援事業所でのサービス等利用計画の作成時、家族の意向は非常に重要です。

  • **本人中心の原則と家族の負担:**障害福祉サービスは「本人中心」が原則ですが、家族が疲弊していては継続できないため、「家族の休息(レスパイト)も本人の自立に必要である」という点を強く主張しましょう。
  • 具体的な希望を伝える:「グループホームは嫌だ」ではなく、「グループホームは希望しないが、週に3回はショートステイを利用したい」など、具体的な選択肢や条件を提示します。

極意②:相談内容を「記録」として残す

相談機関ごとに異なる情報を扱うため、家族が**「情報の一元管理」**を行う必要があります。

  • 「相談ノート」の活用:相談日、窓口名、担当者名、相談内容、指示された次のアクション」を時系列で記録します。これは、制度の再申請時や、病院を変えた際の情報共有に非常に役立ちます。
  • **情報の共有と連携:**相談員や医師から得た情報は、家族全員で共有し、一貫した支援が行えるようにします。

極意③:専門家チームを「家族が選ぶ」意識を持つ

相談支援事業所、医療機関、サービス事業所は、家族が選択し、変更できるものです。

  • **合わないと感じたら変更を:**相談支援専門員やサービス事業所の対応が「家族の意向を無視している」「信頼できない」と感じた場合、遠慮なく変更を検討しましょう。家族にとって信頼できるチームを構築することが、支援の成功に繋がります。


まとめ

  • 障害のある家族を支援する家族は、特定相談支援事業所相談支援専門員を**「司令塔」とし、福祉サービス利用計画作成や行政手続きをサポートしてもらうことが最も重要である。
  • 発達障害の具体的な対応方法や特性理解は発達障害者支援センターへ、精神障害の家族の接し方や病気の知識は精神保健福祉センターへ相談する。
  • 将来の財産管理や契約に関する不安は、成年後見制度の相談窓口へ、経済的な安定に関する相談は年金事務所へ繋ぐ。
  • 家族自身の孤立や疲弊を防ぐために、家族会や病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)といった、家族のためのサポート窓口を積極的に利用し、休息(レスパイト)の確保を優先する。
  • 相談を効果的に進めるには、「家族の負担」を正直に伝え、支援計画に反映させること、そして相談内容を「相談ノート」**として記録し、情報の一元管理を行うことが重要である。

高橋 健一

高橋 健一

たかはし けんいち50
担当📚 実務経験 25
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会福祉士

市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。

大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

将棋、歴史小説

🔍 最近気になっているテーマ

マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展

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