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障害者医療費助成の対象範囲をわかりやすく解説

📖 約72✍️ 金子 匠
障害者医療費助成の対象範囲をわかりやすく解説
障害のある方の医療費負担を軽減する「障害者医療費助成制度」は、国と自治体の制度が連携しており複雑です。本記事では、特に重要な「自立支援医療制度」と「重度心身障害者医療費助成制度」の対象範囲を詳細に解説。自立支援医療は特定の治療(精神科通院など)に特化し、重度医療は重度の障害者に対し広範な医療費を助成しますが、対象基準や所得制限は自治体ごとに異なります。複数の制度を併用する際の適用順位や、申請時の注意点、相談窓口まで具体的に紹介し、読者が確実に制度を活用するためのアクションプランを提示します。

🏥 障害のある方のための医療費助成制度:対象範囲と利用の秘訣

「毎月の医療費の自己負担が重くて、必要な治療をためらってしまう」「医療費助成制度があるらしいけど、自分の障害や病気が対象になるのかわからない」

障害のある方やそのご家族にとって、医療費の負担は生活を圧迫する大きな問題の一つです。特に、定期的な通院や長期的な治療が必要な場合、経済的な不安から、治療の継続を諦めてしまうような事態は避けたいものです。

日本には、障害のある方の医療費負担を軽減するための公的な助成制度がいくつかあります。この記事では、それらの制度の概要と、特に複雑で分かりにくい「対象範囲」について、具体的に、そして分かりやすく徹底的に解説します。この記事を読んで、ご自身やご家族が利用できる制度を見つけ、安心して治療を続けられるための具体的な一歩を踏み出しましょう。


💰 障害者医療費助成制度の全体像と種類

「障害者医療費助成制度」は一つではありません。国が定める主要な制度と、自治体が独自に実施する制度が連携し、複雑な構造を作っています。このセクションでは、まず全体像を理解し、特に重要な二つの制度について詳しく見ていきましょう。

主要な公費負担医療制度の立ち位置

障害のある方が医療費助成を受ける際、主に以下の3つの制度が密接に関わってきます。これらの制度は、対象となる障害の種類や治療内容、そして所得によって適用範囲が異なります。

  1. 自立支援医療制度(国):特定の治療に特化した医療費助成。
  2. 特定疾病療養受療制度(国):難病などの長期療養が必要な疾病に特化した医療費助成。
  3. 重度心身障害者医療費助成制度(自治体):最も広範な医療費を助成する、自治体独自の制度。

この中でも、障害のある方の多くが関わるのが、「自立支援医療制度」「重度心身障害者医療費助成制度」です。以下では、それぞれの対象範囲と特徴を深掘りします。

自立支援医療制度:対象となる医療行為の範囲

自立支援医療制度は、障害の治療にかかる医療費の自己負担額を軽減するための制度です。対象となる障害の種類によって、「更生医療」「育成医療」「精神通院医療」の3つに分けられています。自己負担割合は原則1割ですが、所得に応じて月額の上限額が設定されます。

更生医療・育成医療の対象範囲

「更生医療」は、18歳以上の身体障害者手帳を持つ方が、その障害を軽減したり、日常生活能力を回復させたりするための医療が対象です。

  • 具体的な対象例:人工透析、腎臓移植後の抗免疫療法、心臓機能障害に対する手術、肢体不自由に対する人工関節置換術、視覚障害に対する角膜移植手術、補聴器の適合調整など、身体機能の回復・維持を目的とした医療が中心です。
  • 対象外の医療:風邪や虫歯治療などの一般疾患の治療、入院中の食事代、差額ベッド代などは対象外です。

「育成医療」は、18歳未満の身体に障害があるか、または将来的に障害を残すと認められる児童が対象です。更生医療とほぼ同じ範囲の治療が対象となります。

精神通院医療の対象範囲

「精神通院医療」は、全ての年齢層の、てんかんを含む精神疾患を持つ方が、通院によって継続的に治療を受ける場合の医療費が対象となります。

  • 具体的な対象例:精神科・心療内科における診察、薬の処方(調剤)、デイケア、訪問看護、精神科のリハビリテーションなど、精神疾患の治療に直接必要な全てが対象となります。
  • 対象外の医療:原則として入院費用は対象外です。また、自立支援医療の指定を受けていない医療機関や薬局での費用も対象外です。

💡 ポイント

自立支援医療は、特定の障害や治療に特化しており、「全ての医療費」が助成されるわけではない点に注意が必要です。治療内容が対象範囲に含まれるかを、事前に医師や自治体に確認しましょう。


♿ 重度心身障害者医療費助成制度の詳細解説

重度心身障害者医療費助成制度(以下、重障医療)は、国が定める自立支援医療とは異なり、各自治体(都道府県・市区町村)が独自に実施している制度です。そのため、制度の名称、対象者の範囲、助成内容、所得制限の有無などが自治体によって大きく異なります。

重障医療の最大のメリットは、障害の種類に関わらず、病気や怪我で病院にかかった際の医療費の自己負担分(保険適用分)を助成してくれる点です。

助成対象となる障害の範囲

重障医療の対象となるのは、「重度の心身障害」を持つ方です。具体的な基準は自治体によって異なりますが、一般的には以下のいずれかに該当する方が対象となります。

  • 身体障害者手帳:1級または2級
  • 療育手帳(愛の手帳など):A判定(重度)
  • 精神障害者保健福祉手帳:1級(一部の自治体のみ)

特に注目すべきは、精神障害者保健福祉手帳1級を対象に含めるかどうかは自治体によって判断が分かれる点です。お住まいの自治体のホームページや福祉窓口で、正確な情報を確認することが不可欠です。

所得制限と年齢制限の地域差

重障医療のもう一つの重要な点は、所得制限の有無です。

項目 自治体の対応例 注意点
所得制限の有無 制限なしの自治体、または所得に応じた一部自己負担ありの自治体がある。 東京都など大都市圏では所得制限がある場合が多い。
年齢制限 全ての年齢を対象とする自治体、または「乳幼児」「高校生まで」などに限定する自治体がある。 特に高齢になってから手帳を取得した場合、助成対象外となるケースもある。

これらの違いがあるため、引っ越しをする際は、新しい自治体で重障医療の対象となるかどうかを事前に確認することが非常に重要になります。

助成される医療費の範囲と例外

重障医療は、保険診療の自己負担分を助成するため、非常に幅広い医療が対象となります。

✅ 成功のコツ

重障医療の受給者証があれば、医療機関の窓口での支払いがゼロ(または、一部自己負担額のみ)になることが最大のメリットです。これにより、経済的な心配なく必要な治療を受けやすくなります。

  • 対象となる医療費:
    • 保険適用となる診察、治療、検査、投薬、入院、手術費用。
    • 歯科診療費、調剤薬局での薬剤費。
    • 訪問看護ステーションの利用料(保険適用分)。
  • 対象とならない主な費用:
    • 健康保険適用外の費用(差額ベッド代、健康診断、予防接種、美容整形など)。
    • 入院時の食事療養費標準負担額。
    • 介護保険サービス(訪問介護、デイサービスなど)の利用者負担分。

特に、介護保険との関係に注意が必要です。65歳以上で介護保険の対象となる場合、医療費助成と介護保険サービスは明確に区別されます。重障医療はあくまで医療費を助成するものであり、介護サービス費用は対象外です。


🔗 制度の併用と複雑な適用順位

医療費助成制度を最大限に活用するためには、複数の制度を併用する場合の「適用順位」を理解しておく必要があります。公費負担医療制度は、基本的に自己負担額がゼロになる重障医療が、他の制度よりも優先して適用されるわけではありません。

自立支援医療と重障医療の併用パターン

自立支援医療制度と重障医療の両方の対象となる場合、治療内容によって適用順位が異なります。

  1. 自立支援医療が優先:精神科の通院治療や更生医療の指定を受けた治療など、自立支援医療の対象となる医療行為については、まず自立支援医療が適用されます。自己負担は原則1割(上限額あり)になります。
  2. 残りの費用を重障医療がカバー:自立支援医療で1割負担となった残りの費用(9割)は、医療保険(国民健康保険や健康保険組合など)が負担します。そして、自立支援医療で支払った1割の自己負担分を、重障医療がさらに助成する、という二段階の仕組みになります。
  3. 一般疾患は重障医療:風邪や骨折など、自立支援医療の対象外である一般の病気や怪我の治療については、重障医療が直接適用され、窓口負担が無料(または一部自己負担のみ)となります。

「精神科の治療費は、まず自立支援医療で1割負担になりました。その1割分が重度医療のおかげで実質無料になり、薬代も含めて負担が大幅に軽減されました。」

— 精神障害と重度心身障害者医療費助成を併用している方の声

特定医療費(指定難病)助成制度との関係

「特定医療費(指定難病)助成制度」は、厚生労働大臣が定める300以上の指定難病の治療にかかる医療費を助成する制度です。この制度も、自立支援医療と同様に、自己負担が2割(所得に応じた月額上限額あり)となります。

  • 難病助成が優先:指定難病の治療については、まず難病助成制度が適用されます。
  • 重障医療がカバー:難病助成制度で2割負担となった自己負担分を、重障医療がさらに助成し、実質的な窓口負担が軽減されます。

複数の公費制度がある場合、窓口で全ての受給者証(健康保険証、重障医療受給者証、自立支援医療受給者証など)を提示し、医療機関側で適用順位を判断してもらうことが必要です。


📋 申請手続きと助成を確実に受けるための注意点

制度の対象範囲を理解しても、実際に助成を受けるためには適切な申請手続きが必要です。特に、申請のタイミングや必要書類、更新手続きには注意が必要です。

重障医療の申請から受給者証交付までの流れ

重障医療の申請窓口は、お住まいの市区町村役場の福祉課(または障害福祉担当課)です。

  1. 必要書類の準備:健康保険証、身体障害者手帳または療育手帳、住民税課税(非課税)証明書、振込口座情報など、自治体が指定する書類を準備します。
  2. 申請手続き:窓口で申請書を提出し、審査を受けます。所得制限がある自治体の場合は、所得の審査が行われます。
  3. 受給者証の交付:審査が通れば、「重度心身障害者医療費受給者証」が郵送などで交付されます。この受給者証を健康保険証とセットで医療機関の窓口に提示することで、助成が適用されます。

💡 ポイント

原則として、受給者証の交付日以降の医療費が助成対象です。手帳を取得したら、できるだけ早く申請手続きを行うことが、助成を受け損なわないための鉄則です。

助成対象外の費用が発生した場合の対応

病院によっては、やむを得ず重障医療の受給者証を提示できずに、全額または自己負担分を窓口で支払うケースがあります。

  • 緊急時や都外での受診:緊急で受診した場合や、重障医療制度がない自治体の医療機関を受診した場合は、窓口で通常通り支払いを行います。
  • 償還払い手続き:支払った後、領収書と受給者証、保険証を持って自治体の窓口で「償還払い(払い戻し)」の申請手続きを行います。期限(一般的に支払いから2年以内)がありますので、速やかに申請しましょう。

更新手続きの重要性

重障医療の受給者証には、通常1年間の有効期限があります(自治体によって異なります)。期限前に自治体から更新手続きの案内が届きますが、見落とさずに必ず更新手続きを行うことが重要です。所得制限のある自治体では、この更新時に所得審査が行われます。手続きを忘れると、有効期限が切れた日から医療費助成を受けられなくなってしまいます。


🔎 よくある質問(FAQ):対象範囲に関する疑問を解消

障害者医療費助成制度の対象範囲について、特に混乱しやすい点や、よくある質問をQ&A形式で解説します。

Q1. 精神障害者保健福祉手帳2級でも重障医療の対象になりますか?

A. 原則として対象外です。重度心身障害者医療費助成制度は、その名の通り「重度」の方を対象としています。ほとんどの自治体では、身体障害者手帳1・2級、療育手帳A判定、そして精神障害者保健福祉手帳1級が対象の目安となります。精神手帳2級の方は、重障医療の代わりに、自立支援医療(精神通院医療)を活用することで、通院医療費の負担軽減を図ることができます。

Q2. 医療費助成を受けたら、確定申告(医療費控除)はできなくなりますか?

A. 医療費助成を受けた場合でも、医療費控除は可能ですが、控除の対象となる金額には注意が必要です。

医療費控除の対象となるのは、「実際に自己が支払った金額」です。重障医療などで助成された分や、高額療養費で払い戻しを受けた分は、支払った医療費から差し引いて計算します。例えば、医療費が10万円かかり、重障医療で全額助成された場合、控除対象額は0円となります。

Q3. 特別支援学校や施設に入所している場合も助成を受けられますか?

A. 助成の対象となりますが、一部の費用については助成対象外となることがあります。

  • 入所施設の場合:施設入所者の医療費は、国や自治体が入所施設に対して直接助成する別の制度(施設入所者医療費助成など)が適用されることが多く、重障医療の受給者証が利用できない場合があります。しかし、施設外の病院で受診した場合は利用可能です。
  • 特別支援学校の場合:通学途中の怪我や病気など、学校管理下での医療費については、独立行政法人日本スポーツ振興センターの給付制度(災害共済給付)が優先される場合があります。

入所・通学先と自治体の福祉窓口に、具体的な費用の助成順位について確認を取りましょう。

Q4. 精神科の入院費用は助成の対象になりますか?

A. 重障医療の対象にはなりますが、自立支援医療(精神通院医療)の対象にはなりません。

自立支援医療は「通院」に特化しているため、精神科の入院費用は、通常の医療保険の自己負担分として扱われます。この自己負担分を、重度の障害者であれば重障医療が助成するため、実質的な入院費用負担は大きく軽減されます。ただし、入院中の食事代や差額ベッド代は、重障医療でも対象外です。


🤝 相談窓口と今後のアクションプラン

障害者医療費助成制度は、自治体によって細部が異なるため、インターネットの情報だけで全てを判断するのは危険です。正確な情報を得るためには、直接相談することが最も確実です。

制度に関する主な相談窓口

ご自身やご家族が助成制度の対象となるか、どのような書類が必要か、など具体的な相談は、以下の窓口で行いましょう。

窓口 相談内容
市区町村役場 障害福祉担当課 重度心身障害者医療費助成制度の対象基準、申請方法、必要書類、償還払い手続き。
市区町村役場 保健センター 自立支援医療(更生医療・育成医療)の手続き、指定難病助成制度の相談窓口案内。
かかりつけの医療機関の医療ソーシャルワーカー(MSW) 入院・通院に関する医療費の助成制度の適用、高額療養費制度との関係、福祉制度全般。

特に、MSWは、最も利用者に寄り添って複雑な制度の活用をサポートしてくれる専門家です。病院にかかることが決まったら、積極的に相談してみましょう。

医療費助成を確実にするためのアクションプラン

この記事を読み終えたら、以下の具体的なアクションをぜひ実行に移してください。

  1. 受給資格の確認:お住まいの自治体のウェブサイトで、重障医療の対象となる手帳の等級と所得制限を具体的に確認しましょう。
  2. 最新情報の収集:自治体は制度改正を行うことがあります。障害福祉担当課に電話で連絡し、ご自身の状況を伝えて、利用できる制度の最新情報を確認しましょう。
  3. 申請書類の整理:申請に必要な書類(特に所得証明書など)をすぐに取り出せるよう整理し、不足があればすぐに取得しましょう。
  4. 利用予定の医療機関への確認:特に遠方の病院や専門病院を受診する際は、「当院は重障医療の受給者証が利用できますか?」と事前に確認しておくとスムーズです。

医療費助成は、障害のある方が「自分らしく、安心して地域で生活していくため」に不可欠な経済的支援です。制度を正しく理解し、最大限に活用することが、ご本人とご家族の安心につながります。


まとめ

  • 障害者医療費助成制度は、主に国が定める「自立支援医療」と、自治体独自の「重度心身障害者医療費助成制度」の二つが柱です。
  • 自立支援医療は、精神通院や更生医療など特定の治療に特化しており、自己負担は原則1割です。
  • 重度心身障害者医療費助成制度は、自治体によって対象となる手帳等級(主に1・2級、A判定)や所得制限が異なるため、必ずお住まいの地域の情報を確認が必要です。
  • 複数の公費制度を併用する場合、自立支援医療や難病助成が優先適用され、その後の自己負担分を重障医療がカバーする二段階の仕組みとなります。
  • 制度を確実に利用するためには、手帳取得後すぐに申請し、期限前に更新手続きを忘れないことが重要です。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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