ホーム/記事一覧/就労・進路サポート/起業・フリーランス/障害者×起業という選択肢|メリット・デメリットを徹底解説

障害者×起業という選択肢|メリット・デメリットを徹底解説

📖 約52✍️ 伊藤 真由美
障害者×起業という選択肢|メリット・デメリットを徹底解説
「会社員として働くのは難しいけれど、自分の能力を活かして社会貢献したい」と考える障害のある方にとって、「起業」は非常に魅力的な選択肢です。この記事では、障害のある方が起業するメリットと、避けて通れないデメリット(リスク)を徹底的に解説します。最大のメリットである「働き方の自由」や「特性を強みに変える」可能性、そして、最大のデメリットである「収入の不安定さ」や「全責任を負う重圧」について、具体的な事例を交えながら深掘りします。また、これらのデメリットを克服するための公的支援制度や成功の鍵もご紹介。起業というキャリアパスを現実的に検討するために、この記事を判断材料としてお役立てください。

障害者×起業という選択肢|メリット・デメリットを徹底解説

「既存の働き方では、自分の障害特性とうまく折り合いがつかない」と感じている方は少なくありません。企業で合理的配慮を受けて働く「就職」の道もあれば、自分のアイデアとスキルを形にする「起業」の道もあります。起業とは、会社を設立するか、あるいは個人事業主(フリーランス)として独立し、自身のビジネスを運営していくことを指します。

障害のある方にとって、起業は大きな可能性を秘めた選択肢です。しかし、その魅力的な側面の裏には、必ず向き合うべきリスクも存在します。この記事では、障害のある方が起業を選ぶことで得られるメリットを最大限に解説するとともに、知っておくべきデメリットと、それらを乗り越えるための具体的な対策を徹底的に解説します。あなたの人生のキャリアパスとして起業を真剣に考えるための、客観的な情報としてご活用ください。


障害者が起業を選ぶ最大のメリット

障害のある方が起業を選ぶメリットは、一般的な起業家が享受する自由や自己実現の喜び以上に、「障害特性に合わせた働きやすさ」に直結している点にあります。このメリットは、長く安定して働くために非常に重要な要素となります。

自由な時間と場所の選択権

起業、特に在宅で完結するビジネス(Web系、コンサルティングなど)を選ぶ最大のメリットは、働く時間と場所を完全に自分でコントロールできることです。体調が一定でない方にとって、通勤ストレスの完全な排除と、作業時間や休息時間を自由に設定できることは、健康維持に直結します。

例えば、午前中に体調不良の波が来やすい方であれば、午後から夜にかけて作業時間を設定できます。また、疲労を感じたらすぐに休憩を取る、病院の予約に合わせてスケジュールを調整するなど、自分のバイオリズムを最優先した働き方が可能です。これは、会社員ではなかなか実現しにくい、計り知れない自由です。

💡 ポイント

働く場所を自宅にすることで、物理的なバリアや、人混みによる感覚的なストレスを避けることが可能になります。

障害特性を独自の強みに変える

会社員として働く場合、障害特性が「配慮すべきこと」として扱われがちです。しかし、起業の世界では、その特性自体が「独自の強み」として活かされる可能性があります。

  • 発達障害(ASD):特定の分野への強いこだわりや集中力は、専門性の高い技術職(プログラミング、データ分析など)で高い品質を生み出します。
  • 精神障害:自身の経験を活かし、メンタルヘルス関連のコンサルティングやピアサポート(当事者支援)事業などに繋げることができます。
  • 身体障害:障害当事者としてしか気づけないバリアフリーやユニバーサルデザインのニーズに対応した商品・サービス開発が可能です。

自分の「得意」や「こだわり」に特化し、それを求めているクライアントや市場をターゲットにすることで、誰にも真似できないニッチで価値の高いビジネスを構築できる可能性があります。

人間関係のストレスからの解放

企業という組織の中では、業務内容とは直接関係のない複雑な人間関係や社内政治、そして曖昧な指示によるコミュニケーションのストレスが発生しがちです。コミュニケーションに困難を感じる特性を持つ方にとって、これは大きな離職原因となります。

起業、特に個人事業主としてフリーランスで働く場合、クライアントとの関係は基本的に「業務遂行」に特化します。最低限の報告・連絡・相談(報連相)が主となり、煩雑な雑談や飲み会、強制的なチームワークといったストレスから解放されます。仕事の成果がすべてであり、人間関係の悩みは大幅に軽減されるでしょう。


知っておくべき起業のデメリットとリスク

起業は魅力的な選択肢ですが、会社員という働き方を手放すことで発生する、いくつかの大きなデメリットとリスクがあります。これらを事前に理解し、対策を講じることが、起業を成功させるための必須条件です。

収入の不安定さと経済的な重圧

起業の最大のデメリットは、収入が安定しないことです。特に事業を立ち上げた初期段階では、売上がゼロになる可能性もあります。会社員のように毎月決まった日に給与が振り込まれる保証はなく、収入はすべて自分の営業努力と事業の成果にかかっています。

また、体調不良で数日休んでしまった場合、その分の収入がそのまま減ってしまうというリスクもあります。この経済的な不安定さは、精神的なプレッシャーとなり、体調を悪化させる原因にもなりかねません。

「最初の半年間は、どれだけ頑張っても収入が前職の半分以下でした。このままではいけないという焦りが、かえって体調を崩す原因になってしまいました。」

— 起業経験者 Gさんの声

すべてを自己責任で担う重圧

起業家は、事業の責任、そして自分の人生の責任をすべて一人で負わなければなりません。会社員であれば、仕事の失敗は組織でカバーされますが、起業では、失敗はすべて自分の責任となります。

業務内容だけでなく、経理、税務、営業、契約書の作成、広報など、事業運営に関わるすべての雑務を自分で処理する必要があります。マルチタスクが苦手な特性を持つ方にとっては、この業務の多様性と、すべての責任を一人で負う重圧は、想像以上の負担となる可能性があります。

⚠️ 注意

個人事業主には労働基準法が適用されません。働きすぎによる体調悪化を防ぐためにも、自己管理能力と休息のルール設定が非常に重要です。

社会保障や福利厚生の不安定さ

会社員は、健康保険、厚生年金、雇用保険などの手厚い社会保障制度と、有給休暇や各種手当といった福利厚生を享受できます。しかし、起業家(個人事業主)になると、これらの保障が手薄になります。

国民健康保険や国民年金への加入となり、病気や老後の保障は会社員時代よりも小さくなります。また、傷病手当金や失業保険といった、体調を崩した時のセーフティネットも原則として利用できません。これらの保障を補うために、個人で民間の保険に加入するなど、計画的な準備が必要です。


デメリットを克服するための具体的な対策

起業のデメリットは大きいですが、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減し、より安定した事業運営を目指すことができます。重要なのは、公的な支援制度を賢く活用することです。

支援制度を利用した起業準備

経済的なリスクや知識不足というデメリットを克服するために、起業前の準備段階で公的支援制度を最大限に活用しましょう。

リスク 対策となる支援制度
知識・スキル不足 就労移行支援事業所(起業家コース)、障害者職業能力開発校
資金不足 日本政策金融公庫の優遇融資、創業補助金・助成金
自己管理の不安 就労移行支援事業所の個別相談、地域障害者職業センターのジョブコーチ支援

特に、就労移行支援事業所では、無料で事業計画の作成サポートや、フリーランスに必要な経理・税務の基礎知識を学ぶことができます。これにより、起業に伴う不確実性を大幅に減らすことが可能です。

収入安定のためのリスク分散

収入の不安定さを解消するためには、「複数の収入源」を持つことが最も効果的です。初期の段階で、特定のクライアントや事業に依存する状態は避けましょう。

  1. 複数のクライアントと契約:一つの仕事が終了しても、他の収入源がある状態を作ります。
  2. ストック型ビジネスを意識:労働時間に応じて報酬が発生する「フロー型」だけでなく、一度作れば継続的に収益を生む「ストック型」(例:オンライン教材、アフィリエイト収入など)の構築を目指します。
  3. 副業からのスタート:会社員やアルバイトとして一定の固定収入を確保しながら、副業としてフリーランスの仕事を始め、収入が安定してから独立するという段階的な移行が理想的です。

リスク分散を徹底することで、「来月の収入がゼロになるかもしれない」という精神的な不安を和らげることができます。


成功に導くための心構えと実践ステップ

起業は自由ですが、その成功はあなたの自己マネジメント能力にかかっています。障害のある方が起業というキャリアを成功に導くための心構えと、最初に取り組むべき具体的なステップをご紹介します。

障害特性を考慮した目標設定

起業家というと「ガツガツ稼ぐ」イメージがあるかもしれませんが、障害のある方の起業において、目標は「無理なく安定して、生活を維持できること」で十分です。高すぎる目標は、自己肯定感を下げる原因となります。

まずは、最低限必要な生活費を確保できるレベルを目標とし、体調が安定している時期に少しずつ目標を上方修正していく柔軟な姿勢が大切です。「今日の仕事は午前中で切り上げる」「週に2日は完全に休む」といった、体調を最優先したルールを最初に決めておきましょう。

「私は、まず月に20万円を目標に設定しました。その目標を達成した時に、初めて体調を崩さずに事業を継続できる自信がつきました。」

— 成功した起業家 Hさんのアドバイス

専門家とのネットワーク構築

経理や税務、法的な手続きは、起業家の大きな負担となります。これらすべての業務を自分でやろうとせず、専門家を外部にアウトソーシング(委託)することを検討しましょう。

  • 税理士:確定申告や節税対策、日々の記帳について相談できます。
  • 社会保険労務士:社会保険や雇用に関する相談ができます。
  • 行政書士:許認可や契約書作成など、法的な手続きを依頼できます。

お金を払ってでも専門家に任せることで、自分の得意な業務に集中でき、結果として事業の成長を加速させることができます。自分の苦手な部分を外部の力で補うことも、合理的配慮の一つです。

✅ 成功のコツ

専門家探しは、地域の商工会議所や、就労移行支援事業所のネットワークを活用すると、信頼できる人物を紹介してもらいやすいです。


よくある質問(Q&A)と次のアクション

障害のある方の起業に関する、特に心配な点についての質問と回答をまとめました。

障害者手帳は起業に有利ですか?

障害者手帳を持っていること自体が、仕事の受注に直接的に有利になるわけではありません。しかし、手帳を持っていることで、公的な支援制度(就労移行支援、障害者雇用促進法に基づく助成金など)の対象となり、起業準備や事業運営の資金面・サポート面で大きなメリットを受けられる可能性が高まります。

また、手帳の有無に関わらず、自分の合理的配慮の必要性をクライアントに伝える際は、配慮を求める理由を具体的に説明することが大切です。

失敗したらどうすればいいですか?

事業の失敗は、決して「人生の失敗」ではありません。もし事業が立ち行かなくなっても、その起業経験は、高い自己管理能力や専門スキルとして、その後の就職活動で非常に有利に働きます。

再就職を希望する場合は、就労移行支援事業所やハローワークで支援を受けることが可能です。起業で培ったスキルは、あなたのキャリアにおける大きな財産として残ります。失敗を恐れずに挑戦する姿勢こそが、最も重要です。

どこから相談を始めればいいですか?

起業に関する相談は、まず地域の就労移行支援事業所または商工会議所から始めることをお勧めします。

特に就労移行支援事業所は、あなたの障害特性を理解した上で、起業の適性診断、スキルアップ、事業計画の策定までを一貫してサポートしてくれる、最も頼りになる窓口です。まずは電話やメールで連絡を取り、起業の意向を伝えてみましょう。


まとめ

  • 最大のメリットは、通勤ストレスの排除、時間・場所の自由、そして障害特性を強みとして活かせる点にあります。
  • 最大のデメリットは、収入の不安定さ、全責任を負う重圧、社会保障の不安定さです。
  • デメリット克服のため、就労移行支援や日本政策金融公庫の融資など、公的支援制度を最大限に活用してリスクを軽減しましょう。
  • 成功の鍵は、体調を最優先した柔軟な目標設定と、専門家を頼る自己マネジメント能力です。

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

📢 この記事をシェア

関連記事