一人暮らしが不安…生活費を抑えるコツと制度

一人暮らしが不安…生活費を抑えるコツと制度
自立した生活を経済的にサポート
障害を持つ方にとって、一人暮らしは自立への大きな一歩です。しかし、同時に「生活費をちゃんと賄えるだろうか」「急な体調不良や出費があったらどうしよう」といった、経済的な不安がつきまとうことも少なくありません。
特に障害年金や限られた収入で生活する場合、いかに毎月の支出を抑え、安定した生活を送るかが重要になります。
この記事では、一人暮らしの費用を抑える具体的な節約術と、家賃や税金など固定費の負担を軽減できる公的な支援制度を徹底的に解説します。経済的な不安を解消し、安心で豊かな自立生活を実現するためのヒントを見つけていきましょう。
住居費の負担を軽減する公的支援制度
障害者向けの住宅制度と家賃助成
一人暮らしで最も大きな支出となるのが住居費、つまり家賃です。障害を持つ方の場合、バリアフリー対応や緊急時のサポート体制など、住居に求める条件が多くなるため、家賃が高くなりがちです。
まずは、公的な住宅制度を活用することを検討しましょう。これらは一般の賃貸住宅に比べて家賃が安く設定されていることが多く、経済的な負担を大きく減らすことができます。
- 公営住宅(市営・県営住宅):所得に応じて家賃が決定され、比較的低額で入居できます。障害者向けの優遇措置(抽選倍率の優遇など)を設けている自治体も多くあります。
- 特定優良賃貸住宅(特優賃)やUR賃貸住宅:一部で障害者向けの特別募集や家賃補助制度を設けている場合があります。
家賃補助を受けられる可能性のある制度
直接的な家賃助成制度としては、以下の制度が挙げられます。
- 生活保護制度の住宅扶助:生活保護を受給している場合、家賃に相当する額が「住宅扶助」として支給されます。これは地域によって上限額が定められています。
- 自治体独自の家賃補助制度:特に大都市圏を中心に、障害者や低所得者向けに家賃の一部を補助する制度を設けている自治体があります。お住まいの自治体のホームページや福祉担当窓口で確認が必要です。
💡 ポイント
公営住宅の申し込みは抽選となることが多いですが、障害者世帯は優先入居枠を設けている場合があります。時期を逃さず、定期的に情報をチェックしましょう。
敷金・礼金などの初期費用を抑える
引っ越し時の敷金・礼金、仲介手数料などの初期費用は、大きな負担となります。これらを軽減するためにも、公的な支援制度があります。
- 生活福祉資金貸付制度(福祉資金):敷金、礼金、転居費用など、生活を安定させるために必要な一時的な費用を、低利子または無利子で借り入れることができます。社会福祉協議会が窓口です。
- 不動産仲介業者の協力:UR賃貸住宅や一部の公的な住宅では、礼金や仲介手数料が不要であったり、敷金も低額に抑えられていたりする場合があります。
また、初期費用を抑えるために、障害者向けのグループホームや福祉ホームといった、共同生活を送る場所を選択することも一つの方法です。これらの施設は、家賃や食費が安く設定されていることが多く、スタッフのサポートも受けられるため、一人暮らしの準備段階としても有効です。
日々の固定費・変動費の節約術
通信費(スマホ・インターネット)の徹底見直し
毎月必ずかかる固定費の中でも、特に削減効果が大きいのが通信費です。スマートフォン代やインターネット回線代は、契約を見直すだけで大きく節約できる可能性があります。
- 格安SIMへの乗り換え:大手キャリアから格安SIM(MVNO)に乗り換えることで、月々の料金が半額以下になるケースも珍しくありません。
- 通信障害者割引の利用:多くの携帯電話会社では、「ハーティ割引」など、障害者手帳を持つ方を対象とした割引プランを提供しています。手続きが煩雑に感じるかもしれませんが、長期的に見てメリットは大きいです。
- インターネット回線の統一:携帯電話とインターネット回線を同じ会社で契約し、「セット割」を適用することで、さらに料金を抑えられます。
節約成功のための具体的な行動
通信費の節約は、年に一度は契約内容を見直すことが成功の鍵です。自分にとって本当に必要なデータ容量や通話プランを見極め、無駄なオプションは全て解約しましょう。
また、契約内容の比較や乗り換え手続きに不安がある場合は、地域の消費生活センターや、障害者就労・生活支援センターなどで相談に乗ってもらうことも可能です。専門家と一緒に見直しを行うことで、安心して節約を進められます。
光熱費を抑える工夫と制度
電気代やガス代といった光熱費も、工夫次第で大きく削減できます。障害を持つ方の場合、体調管理のためにエアコンの使用が欠かせないこともありますが、賢く節約する方法があります。
- 電力会社・ガス会社の自由化活用:2016年以降、電力・ガス会社は自由に選べるようになりました。複数の会社の料金プランを比較し、最も安くなる会社に乗り換えましょう。
- 省エネ家電への切り替え:古い冷蔵庫やエアコンを最新の省エネモデルに切り替えることで、電気代が大幅に下がる可能性があります。初期費用がかかりますが、長期的な節約効果は絶大です。
- 自治体の支援:自治体によっては、低所得世帯や障害者世帯に対し、省エネ家電購入費用の補助金制度を設けている場合があります。
また、冬場の暖房費を抑えるために、窓に断熱シートを貼る、厚手のカーテンを利用するなど、住宅の断熱性を高める工夫も重要です。体調を崩さない範囲で、賢く光熱費を管理しましょう。
✅ 成功のコツ
光熱費の節約は、まず「見える化」から始めましょう。毎月の使用量をグラフ化し、特に使用量が多い時間帯や家電を特定することで、効果的な対策を立てられます。
食費・医療費を抑えるための制度活用
食費の節約と栄養管理の両立
食費は変動費の中でも特にコントロールしやすい費用ですが、障害を持つ方の場合、健康を維持するための栄養管理も欠かせません。ただ安さを追求するのではなく、栄養バランスを保ちながら節約することが大切です。
- 一週間分の献立の計画:事前に献立を決め、必要な食材だけをリストアップして購入することで、無駄買いを防げます。
- 価格の比較と特売品の活用:チラシやスマートフォンのアプリを活用し、複数のスーパーの価格を比較して、特売品を賢く購入しましょう。
- 自炊と作り置き:外食やコンビニ弁当を避け、自炊を基本とし、体調の良い日にまとめて作り置き(冷凍保存)をしておくことで、食費と手間を同時に減らせます。
食費支援サービスと障害者割引
食費の負担軽減に役立つサービスや制度も存在します。
- フードバンク・子ども食堂:経済的に困窮している世帯に対し、食品の無償提供を行っている団体や地域があります。利用に抵抗を感じるかもしれませんが、生活を立て直すための公的な支援の一環と考えて利用を検討しましょう。
- 低価格な宅配サービス:体調が優れない日や外出が難しい場合、安価で栄養バランスの取れた食材を届けてくれる宅配サービスを利用することも、結果的に食費や交通費の節約につながります。
医療費の負担をゼロに近づける
持病や障害がある場合、定期的な通院や治療は避けられません。医療費の自己負担を最小限に抑えることが、生活費全体の安定に直結します。
一人暮らしを始める前に、必ず以下の制度を申請し、手元にあるか確認しましょう。
- 自立支援医療制度:精神通院医療や更生医療の費用自己負担が原則1割に軽減されます。さらに所得に応じて月々の自己負担上限額が設定されます。
- 重度心身障害者医療費助成制度:自治体独自の制度で、重度の障害を持つ方の医療費自己負担分を実質無料(または一部負担のみ)にする制度です。
⚠️ 注意
医療費の助成制度は、申請が遅れると遡って適用されない場合があります。転居や手帳の更新時には、必ずお住まいの市区町村役場の福祉担当課に相談し、手続きを行いましょう。
税金・公共料金の減免とその他の給付
税金や公共料金の減免制度
障害者手帳を持つ方は、様々な税金や公共料金で減免・割引を受けられる制度があります。これらは年間にすると大きな節約につながります。
- 所得税・住民税の障害者控除:ご本人または扶養親族に障害者がいる場合、一定額の所得控除が受けられ、税金が軽減されます。
- 自動車税・自動車取得税の減免:障害者ご本人またはご家族が、障害者のために利用する自動車について、税金が減免される制度があります。
- 公共交通機関の割引:JRや私鉄、バス、タクシーなどで、障害者手帳を提示することで運賃の割引(原則5割引)が適用されます。通院や外出の際の交通費を大幅に抑えられます。
- NHK受信料の免除:世帯構成や手帳の等級に応じて、NHK受信料が全額または半額免除されます。
申請漏れがないか確認する重要性
これらの制度は、原則として自動的に適用されるわけではなく、申請が必要です。特に所得税や住民税の控除は、年末調整や確定申告時に申告し忘れているケースが多く見られます。毎年、ご自身が利用できる減免制度の一覧を作成し、申請漏れがないか確認しましょう。
申請方法がわからない場合は、市区町村役場の税務課や福祉担当課、または税理士などの専門家に相談しましょう。
自立生活を支える給付金
一人暮らしの自立生活を支えるための特別な給付金制度も活用できます。
- 重度障害者等日常生活用具給付:入浴補助用具や特殊寝台、ストーマ装具など、日常生活に必須の用具の購入費用が助成されます。
- 補装具費支給制度:車いす、義肢、補聴器など、身体機能を補完するための用具の購入費用が助成されます。
これらの給付は、一時的に大きな出費となることを防ぐため、生活費の管理において非常に重要な役割を果たします。特に一人暮らしを始める際に、必要な用具を一式揃える際にかかる費用を大幅に軽減できます。
「一人暮らしを始めたばかりの頃は、生活費の管理が一番大変でした。特に通信費と医療費が高く、焦りましたが、支援センターで割引制度を教えてもらい、全て申請し直した結果、毎月約3万円の節約につながりました。制度を知ることが、経済的な自立の鍵だと実感しました。」
— 精神障害を持つFさん(30代)
よくある質問と相談窓口
Q1. 一人暮らしの平均的な生活費はいくらですか?
A. 一人暮らしの生活費は地域や生活スタイルによって大きく異なりますが、総務省の家計調査などによると、家賃を除く平均的な生活費は月々15万円~18万円程度とされています。
しかし、障害を持つ方の生活費は、障害の程度や必要な医療・介護サービスによって大きく変動します。特に、訪問介護などのサービス費や医療費、バリアフリー対応の家賃などが加算されるため、平均よりも高くなる可能性もあります。ご自身の収入と支出を具体的に計算し、現実的な予算を立てることが重要です。
Q2. 支援付きの住宅と一般の賃貸、どちらが費用を抑えられますか?
A. 一般的に、グループホームやケアホームなどの支援付き住宅の方が、費用を抑えられる可能性が高いです。
- 支援付き住宅:家賃、食費、光熱費などが込みの定額制であることが多く、家賃も低く抑えられています。また、障害福祉サービスを利用できるため、生活支援の費用が低く抑えられます。
- 一般の賃貸:家賃、光熱費、食費を全て自己管理する必要があります。家賃補助や障害福祉サービスを最大限に活用できれば費用を抑えられますが、すべて自分で手続きを行う手間がかかります。
費用の面だけでなく、必要なサポート体制も考慮して選択しましょう。
Q3. どこに相談すれば、一人暮らしの生活費のアドバイスがもらえますか?
A. 一人暮らしの生活費管理や制度利用に関する専門的なアドバイスは、以下の窓口で受けられます。
- 障害者就労・生活支援センター:生活費の収支管理、節約方法、利用できる福祉サービスの紹介など、自立生活全般に関する総合的な相談が可能です。
- 相談支援専門員:障害福祉サービスの利用計画を作成する専門家です。一人暮らしに必要なサービス(ヘルパーなど)を費用対効果を考えながら提案してくれます。
- 社会福祉協議会:家計改善支援事業として、生活費の収支を見直し、節約方法や債務整理などに関するアドバイスを提供しています。
これらの窓口は無料で相談できます。具体的な収支状況を記載したメモを持参して相談に行くと、より適切なアドバイスが得られます。
まとめ
障害を持つ方の一人暮らしは、経済的な準備と制度の活用が成功の鍵となります。住居費、通信費、医療費といった固定費・準固定費をいかに公的支援制度で軽減できるかが、生活費全体の負担を抑える最も効果的な方法です。
公営住宅の活用、各種税金・公共料金の減免、自立支援医療などの医療費助成、そして障害者向けの割引制度を全て申請漏れなく利用することが重要です。一人で全てを解決しようとせず、地域の障害者就労・生活支援センターや相談支援専門員といった専門家の知恵を借りながら、計画的に自立生活を進めていきましょう。
まとめ
- 公営住宅や家賃補助制度の活用で、最大の固定費である住居費を軽減する。
- 通信費や光熱費は、割引制度やプランの見直しで定期的に削減する。
- 自立支援医療や重度心身障害者医療費助成を利用し、医療費負担を最小限に抑える。
- 税金、公共交通機関、NHK受信料などの各種減免・割引制度を全て申請する。

金子 匠
(かねこ たくみ)55歳📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士
障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。
大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。
🎨 趣味・特技
読書、散歩
🔍 最近気になっているテーマ
障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形





