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住居費が高いと感じたら?住宅支援・家賃補助制度

📖 約36✍️ 酒井 勝利
住居費が高いと感じたら?住宅支援・家賃補助制度
住居費が高いと感じる障害を持つ方のために、負担を軽減する公的支援制度を解説します。公営住宅やUR賃貸住宅では、障害者向けの優遇制度や家賃割引を利用可能です。生活保護受給者は住宅扶助が支給され、休職などで困窮した場合は住宅確保給付金が緊急支援となります。また、グループホームの利用や、住宅改修費の助成も費用軽減につながります。これらの制度は申請主義のため、地域の福祉担当窓口や相談支援専門員に相談し、ご自身の状況に合った最適な住居支援を確実に受け、生活の安定を目指しましょう。

住居費が高いと感じたら?住宅支援・家賃補助制度

住居の安定は生活の基盤

障害を持つ方やそのご家族にとって、毎月の住居費(家賃や住宅ローン)は、生活費の中でも最も大きな割合を占める固定費の一つです。「もう少し家賃が安ければ、生活にゆとりができるのに」と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

特に障害を持つ場合、バリアフリーや通院の利便性など、住居に求める条件が増えるため、どうしても家賃が高くなりがちです。住居の不安定さは、生活全体、ひいては心身の健康にも悪影響を及ぼします。

このページでは、住居費の負担を軽減し、安心できる生活環境を確保するための公的な住宅支援制度や家賃補助制度を徹底的に解説します。制度を賢く活用し、経済的な不安を解消して、住まいの安定を手に入れましょう。


家賃負担を軽減する主要な公的制度

公営住宅:低所得者・障害者向けの優遇制度

公営住宅(市営住宅、県営住宅など)は、地方自治体が建設・管理し、特に低所得者や住宅に困窮している世帯に安価で提供する住宅です。家賃は世帯の所得に応じて決まるため、一般の賃貸住宅に比べて大幅に低く抑えられることが最大のメリットです。

公営住宅の入居には抽選が行われることが一般的ですが、障害を持つ世帯(身体障害者手帳1級〜4級、精神障害者保健福祉手帳1級〜2級、療育手帳Aなど)は、以下の優遇を受けられる場合があります。

  • 優先入居制度:一般枠とは別に、障害者世帯や高齢者世帯向けの優遇された抽選枠が設けられています。
  • 収入基準の緩和:通常よりも低い収入基準が適用されたり、特定の手当(特別障害者手当など)を収入から控除できたりする場合があります。
  • 特別減額:入居後も、障害の程度に応じてさらに家賃が減額される制度を設けている自治体もあります。

公営住宅の注意点と申し込み方法

公営住宅の申し込みは、原則として募集期間が定められています。年に数回しか募集がない場合もあるため、お住まいの自治体のホームページや広報誌で、募集情報を定期的にチェックすることが重要です。

また、公営住宅はバリアフリー対応が進んでいない物件もあるため、必要な住宅改修ができるかどうかを事前に確認する必要があります。改修が必要な場合は、同時に「住宅改修費の助成制度」の活用も検討しましょう。

UR賃貸住宅の特例制度

UR都市機構が提供するUR賃貸住宅も、公的な性格を持つ賃貸住宅であり、礼金・仲介手数料・更新料が不要というメリットがあります。さらに、特定の障害を持つ方を対象とした「福祉割」などの家賃優遇制度が設けられています。

福祉割が適用されると、家賃が一定期間割引されるため、初期費用だけでなく、月々の負担も軽減できます。ただし、割引には所得制限や障害等級の条件がありますので、UR都市機構の窓口で確認が必要です。

✅ 成功のコツ

公営住宅とUR賃貸住宅は、一般的な賃貸契約とは異なり、独自のルールがあります。まずは地域の住宅供給公社やURの営業センターに直接相談し、ご自身の障害や収入で利用できる制度があるかを確認しましょう。


家賃の支払いを直接支援する制度

生活保護制度:住宅扶助の活用

生活保護を受給している、または申請を検討している場合、生活費とは別に家賃に相当する費用が「住宅扶助」として支給されます。これは、住居を安定させることを目的とした、生活保護費の一部です。

住宅扶助の支給額には、地域と世帯人数に応じた上限額が定められています。支給された住宅扶助額の範囲内で家賃を支払うことになります。現在住んでいる住宅の家賃が上限額を超えている場合、転居を指導されることもあります。

住宅扶助と転居時の注意点

生活保護の住宅扶助には、転居する際の一時的な費用(敷金、礼金、仲介手数料、引っ越し代など)も、転居が必要と認められた場合に限り、支給される制度があります。

転居が必要と認められる主なケースは以下の通りです。

  • 現在の家賃が住宅扶助の上限額を超えており、家賃の安い物件へ移る場合
  • 病気や障害の治療・養護のために、現在の住居から転居する必要がある場合
  • 立ち退きなどで、現在の住居に住み続けられない場合

これらの手続きはすべて福祉事務所の担当員(ケースワーカー)と相談しながら進める必要があります。勝手に契約を進めると、一時金が支給されない場合があるため、必ず事前相談を行いましょう。

住宅確保給付金:離職・休職時の家賃支援

住宅確保給付金は、離職、廃業、または個人の責任ではない休業などにより収入が減少し、住宅を失うおそれがある方に対して、期限付きで家賃相当額を支給する制度です。

障害を持つ方の場合、病状の悪化や治療による休職・離職によって収入が激減し、家賃の支払いが困難になるケースが多くあります。この制度は、そのような緊急時に住居を失うことを防ぐための重要なセーフティネットです。

支給額は自治体が定める上限額の範囲内で、原則3ヶ月間(最長9ヶ月まで延長可能)支給されます。申請には、ハローワークでの求職活動が要件となることが多いですが、病気や障害で就労が難しい場合は、その状況を伝える必要があります。

「うつ病が悪化し、会社を休職した際に収入が激減しました。家賃が払えなくなる直前、自立相談支援機関でこの住宅確保給付金を教えてもらい、申請しました。おかげで住居を失わずに済み、安心して療養に専念できました。」

— 精神障害を持つGさん


障害者向けの福祉的な住宅支援

障害福祉サービス:グループホームの活用

単身での生活に不安がある方や、家賃負担を抑えたい方にとって、障害福祉サービスの「共同生活援助(グループホーム)」は非常に有効な選択肢です。

グループホームは、障害を持つ方が数人で共同生活を送りながら、スタッフから日常生活のサポートを受けられる住居です。家賃(居住費)や光熱水費、食費などは利用者負担となりますが、一般の賃貸住宅よりも費用が安く設定されていることがほとんどです。

さらに、グループホームの利用者は、家賃の一部として「特定障害者特別給付費」(家賃助成)を受けられる制度があります。これは、生活保護の住宅扶助を受けていない方を対象に、月額最大1万円が補助される制度です。これにより、実質的な家賃負担をさらに軽減できます。

グループホームのメリット・デメリット

メリット デメリット
家賃・光熱水費が一般より低額 プライバシーが一般賃貸より制限される
家賃助成(特定障害者特別給付費)がある 入居の条件や対象障害が施設によって異なる
日常生活や体調管理のサポートを受けられる 場所や設備の選択肢が限られる

グループホームの利用を検討する場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当課や、相談支援事業所にご相談ください。費用の面だけでなく、必要なサポート体制が整っているかも含めて検討しましょう。

福祉ホーム:低額で生活の場を提供

福祉ホームは、障害者総合支援法に基づく施設ではなく、比較的軽度の精神障害や知的障害を持つ方が、低額な費用で入居できる施設です。日常生活上の援助を受けることもできますが、グループホームよりも自立度の高い方を対象としていることが多いです。

家賃や運営費は、自治体や運営主体(社会福祉法人など)からの助成により安価に抑えられています。ただし、グループホームと同様に、入居条件や利用料は施設によって異なりますので、事前に問い合わせが必要です。

💡 ポイント

グループホームや福祉ホームは、費用を抑えるだけでなく、地域生活への移行や自立訓練のためのステップとしても非常に有用です。単身生活に不安がある方にとって、心強い選択肢となります。


住宅改修と初期費用に関する支援

住宅改修費の助成制度:バリアフリー化の支援

現在の住居の家賃は適切でも、障害のために必要な住宅改修(バリアフリー化など)に大きな費用がかかることがあります。この改修費用を支援する制度も、住居費負担の軽減につながります。

  • 障害者総合支援法による助成:重度障害者世帯を対象に、より大規模な改修(ホームエレベーター設置など)に対して、上限額内で助成が行われます。(所得制限あり)
  • 介護保険制度による住宅改修費の支給:要介護認定を受けている方が対象。原則20万円を上限に、費用の9割~7割が支給されます。

特に、介護保険の住宅改修の上限(20万円)を超えた部分について、障害者総合支援法の制度を利用できる場合があります。どちらの制度を使うべきか、ケアマネジャーや相談支援専門員と連携して最適な方法を選びましょう。

改修助成の申請における最重要注意点

これらの住宅改修費の助成制度を利用する際に、最も重要な注意点は、必ず工事着工前に市区町村役場に申請し、承認を受けることです。勝手に工事を始めてしまうと、原則として助成の対象外となります。

申請には、改修が必要な理由を記した書類や、改修後の図面、見積書などが必要です。手続きは煩雑ですが、必ず事前に済ませましょう。

敷金・礼金などの初期費用貸付

新しい住居への転居は、家賃とは別に敷金・礼金、保証金、仲介手数料といった初期費用がかかります。この一時的な負担がネックとなり、転居できないケースも多くあります。

これらの初期費用を賄うために、前述の生活福祉資金貸付制度の福祉資金(住宅の移転に必要な経費)を利用することができます。また、自治体によっては、独自の福祉資金貸付制度を設けている場合もあります。

低利子または無利子で借り入れが可能であるため、初期費用の準備が難しい場合に、積極的に検討すべき制度です。

「保証会社に加入できないなど、一般的な賃貸契約が難しい障害者の方の場合、公的な住宅制度や、福祉ホームなどの支援付き住居をまず検討することが、最も住居費を抑える近道となることが多いです。」

— 地域包括支援センター職員


よくある質問と相談窓口

Q1. 持ち家の場合、住宅支援制度はありますか?

A. 賃貸住宅向けの家賃補助とは異なりますが、持ち家の場合も、障害を持つ方を対象とした支援制度があります。

  • 住宅ローン減税:障害者控除を受けている場合など、税制上の優遇措置があります。
  • 住宅改修費の助成:前述の通り、バリアフリー改修費用に対する助成制度は、持ち家も対象となります。
  • 固定資産税の減免:自治体によっては、障害者世帯に対し、固定資産税の減免措置を設けている場合があります。

これらの制度は、住宅ローンの負担軽減や、居住環境の維持・向上に役立ちます。まずは、お住まいの市区町村の税務課や福祉担当課に問い合わせてみましょう。

Q2. 支援付き住宅(グループホームなど)の費用はどれくらいですか?

A. グループホームの費用は、家賃、食費、光熱水費、日用品費の合計となります。

  • 家賃(居住費):一般的に2万円~5万円程度。特定障害者特別給付費(最大1万円)で軽減可能。
  • 食費:3万円~5万円程度(自炊の有無による)。
  • 光熱水費:1万円~2万円程度(共用部分の負担分)。
  • その他日用品費など:5千円~1万円程度。

合計で月々7万円~11万円程度が目安となりますが、これに加えて、障害福祉サービスの自己負担額(所得に応じて0円、または上限額あり)がかかります。詳細な費用は施設に直接確認が必要です。

Q3. 住居の相談はどこにすればいいですか?

A. 住居に関する相談は、以下の専門窓口がおすすめです。

  • 市区町村役場の住宅・福祉担当課:公営住宅の申し込み、住宅確保給付金、住宅改修費助成、特別障害者手当などの情報提供や申請窓口となります。
  • 障害者就労・生活支援センター:地域のグループホームや福祉ホームの情報提供、生活費の収支相談など、自立生活全般のアドバイスをしてくれます。
  • 相談支援事業所:グループホームなどの障害福祉サービス利用計画作成を通じて、最適な住居形態を提案してくれます。

まずは、お住まいの地域の相談支援専門員に連絡を取り、ご自身の障害の状況と経済的な状況を伝え、最適な住居選択のサポートを受けましょう。


まとめ

住居費は、障害を持つ方の生活安定において最も重要な課題の一つです。公営住宅やUR賃貸住宅の優遇制度、生活保護の住宅扶助、そして緊急時の住宅確保給付金など、国や自治体は様々な形で住居費の負担を軽減する制度を提供しています。

また、グループホームや福祉ホームといった支援付き住宅の活用も、家賃を抑えながら必要なサポートを受けられる有効な選択肢です。これらの制度は、申請しなければ利用できません。一人で悩まず、地域の福祉担当窓口や相談支援専門員と連携し、ご自身の生活に最適な住まいを安定的に確保していきましょう。

まとめ

  • 公営住宅の優遇制度やUR賃貸住宅の福祉割を積極的に活用する。
  • 緊急時には、生活保護の住宅扶助や住宅確保給付金が家賃支払いを支える。
  • グループホームは家賃助成があり、費用を抑えながらサポートを受けられる。
  • 住宅改修助成は、必ず工事着工前に申請し、承認を受けることが必須である。

酒井 勝利

酒井 勝利

さかい かつとし38
担当📚 実務経験 12
🎯 生活サポート🎯 福祉用具

📜 保有資格:
作業療法士、福祉住環境コーディネーター

作業療法士として病院・施設で12年勤務。「できないこと」を「できる」に変える福祉用具や環境調整の専門家です。車椅子、杖、リフトなどの選び方から、住宅改修まで、実践的な情報をお届けします。

リハビリテーション専門学校を卒業後、総合病院で5年、障害者支援施設で7年、作業療法士として勤務してきました。特に力を入れているのは、福祉用具を活用した「できることを増やす」支援。例えば、片麻痺がある方が自助具を使って料理ができるようになったり、車椅子の選び方一つで外出の頻度が劇的に変わったりします。印象的だったのは、重度の身体障害がある方が、適切な電動車椅子と環境調整により、念願だった一人での買い物を実現したこと。「自分でできる」という自信が、その方の人生を大きく変えました。記事では、福祉用具の選び方、住宅改修のポイント、補助金の活用方法など、「生活をより便利に、より自立的に」するための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

リハビリの仕事を通じて、「できないこと」を「できる」に変える喜びを知ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の身体障害がある方が、適切な電動車椅子で一人での買い物を実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

福祉用具を活用して「生活をより便利に、より自立的に」する情報を発信します。

🎨 趣味・特技

DIY、キャンプ

🔍 最近気になっているテーマ

スマート家電と福祉の融合、IoT活用

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