外出介助サービスの種類と選び方

📖 約37✍️ 阿部 菜摘
外出介助サービスの種類と選び方
障害者の外出を支援する公的サービスには、「移動支援」「通院等介助」「重度訪問介護」の3種類がある。移動支援は余暇や社会参加など幅広い外出を目的とし、地域ごとのルールで運営される。通院等介助は医療機関への移動と院内での介助に特化しており、居宅介護の一部として提供される。最も包括的な重度訪問介護は、重度の障害を持つ方向けで、外出中の医療的ケアも一体的に行える点が特徴。サービスの費用は原則1割負担だが、交通費などの実費は自己負担となる。利用の際は、自身のニーズを明確にし、相談支援専門員と連携して最適なサービスと事業所を選択することが、安全で活動的な地域生活を送るための鍵となる。

外出は、社会参加、健康維持、生活の質の向上(QOL)のために欠かせない活動です。しかし、障害を持つ方にとって、移動に伴う介助安全確保は大きな課題となり、「外出を諦めている」「家族の負担が大きすぎる」といった悩みを抱える方も少なくありません。

この課題を解決するために、公的な福祉サービスには、様々なニーズに対応した「外出介助サービス」が用意されています。しかし、「通院と趣味の外出で、利用できるサービスが違うのか」「どのサービスが自分の障害特性に合っているのか」など、その種類と適用範囲が複雑で分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、障害者総合支援法のサービスを中心に、「移動支援」「居宅介護の通院等介助」「重度訪問介護」といった外出介助の主要な3つのサービスを、それぞれの目的、対象、そして利用時の注意点と併せて詳しく解説します。適切なサービスを選び、安全で活動的な毎日を送るための具体的な一歩を踏み出しましょう。


柱1:地域生活に必須の「移動支援」サービス

種類①:移動支援とは?その目的と対象

「移動支援」は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の一つであり、社会生活上必要不可欠な外出余暇活動のための外出を支援するサービスです。このサービスは、「ガイドヘルプ」とも呼ばれ、単なる移動手段の提供ではなく、外出先での必要な介助全般を行います。

  • 目的社会参加と地域生活の活性化を促すこと。つまり、単に病院に行くためだけでなく、趣味や娯楽、買い物など、幅広い外出に利用できます。
  • 対象屋外での移動が困難な障害を持つ方(身体障害、知的障害、精神障害など)。
  • 決定主体市町村(自治体)独自のサービスであるため、支給基準やサービス内容、利用料金自治体によって大きく異なります

移動支援は、日常生活の幅を広げ、引きこもりを防ぐために非常に重要なサービスとして位置づけられています。

種類②:移動支援でできること・できないこと

移動支援は幅広い外出に対応しますが、「利用目的」に関して明確な制限が設けられています。このルールを理解することが、トラブルなくサービスを継続利用する鍵となります。

  1. できること(例)映画鑑賞、ショッピング、旅行、スポーツ観戦、社会見学、地域の行事への参加など、「社会参加や余暇活動」に該当する外出。また、日用品の買い物や散歩も含まれます。
  2. できないこと(制限)通年かつ長期にわたる通勤、営業活動などの経済活動通学・通所(これは多くの場合、別の支援制度で対応されます)、宗教活動など、特定の目的に限定される活動。
  3. 居宅介護との違い:移動支援は、外出先での必要な介助(トイレ介助、食事介助など)は行いますが、自宅内での身体介護や家事援助は行いません。

移動支援の支給時間(月間の利用上限時間)は、申請者の外出ニーズに応じて市町村が個別に決定します。

種類③:移動支援のヘルパーの役割

移動支援を提供するヘルパー(ガイドヘルパー)は、安全かつ円滑な外出を実現するための多岐にわたるサポートを行います。

身体的な介助としては、車椅子や歩行器の操作補助、段差昇降の介助、公共交通機関の乗り降りの介助などがあります。また、視覚障害者に対する代筆・代読や、知的・精神障害者に対するパニックや不安の緩和のための声かけ、行動の誘導といった精神的なサポートや見守りも重要な役割です。

💡 ポイント

移動支援は、市町村の裁量が大きいため、旅行の際の他市町村への移動や、長距離の外出に関するルールも自治体によって異なります。遠出を計画する際は、事前にお住まいの市町村の窓口に確認しましょう。


柱2:医療行為と一体の「通院等介助」

種類④:通院等介助とは?

通院等介助は、居宅介護サービスの一環として提供される、「通院」に特化した外出介助です。これは、医療行為を受けるために必要不可欠な移動と、それに付随する介助を行うことを目的としています。

  • 目的障害を持つ方が医療機関に通う際の安全確保と、移動に伴う身体的な負担の軽減です。
  • 対象居宅介護の支給決定を受けている方で、通院の際に介助が必要であると認められた方。
  • サービス内容自宅から医療機関までの移動中の介助に加え、病院内の受付、薬局での薬の受け取り、診察前後の着替え介助など、医療機関内で必要となる身体介護も含まれます。

移動支援と異なり、「医療」という生活に必須な目的に限定されるため、支給基準が比較的明確です。

種類⑤:通院等介助の「往復一連」の考え方

通院等介助サービスは、「通院の開始から終了までが一連のサービス」として提供されます。これにより、移動中だけでなく、待ち時間も含めて必要な介助が受けられます。

  1. 移動手段の限定:原則として、公共交通機関(電車、バス、タクシー)を利用した介助が基本ですが、障害の程度や地理的な理由により公共交通機関の利用が困難な場合は、事業所が提供する自家用車(福祉車両)を利用した送迎も認められる場合があります(この場合は実費負担が加算されます)。
  2. 病院内の待ち時間:病院内の診察待ちや会計待ちの時間も、移動等介助のサービス時間に含まれます。身体体位の変更、水分補給、排泄介助など、その場で必要となる身体介護が提供されます。

ただし、医療機関の待ち時間が長時間に及ぶ場合でも、病院の敷地外の買い物や余暇活動移動支援の範疇となるため、サービスを切り替える必要があります。

種類⑥:通院等介助とその他のサービスとの区別

通院に関連する移動サービスには、通院等介助以外にも「通院時コミュニケーション支援」などがあります。これらのサービスを適切に区別することが、支援の重複を防ぎ、費用を最適化します。

例えば、難病などで呼吸器を使用している方が、通院の際に専門的な医療的ケアが必要な場合は、重度訪問介護(後述)が適用されることがあります。また、視覚や聴覚の障害があり、病院でのコミュニケーションに特化した支援が必要な場合は、コミュニケーション支援事業が適用されることもあります。

⚠️ 注意

通院等介助のヘルパーが運転免許を持っていたとしても、無許可でヘルパーの自家用車で送迎することは道路運送法に抵触する恐れがあります。必ず福祉有償運送や事業所の福祉車両を利用しましょう。


柱3:重度障害者のための「重度訪問介護」

種類⑦:重度訪問介護の外出支援の特徴

重度訪問介護は、重度の肢体不自由または重度の知的障害・精神障害があり、常に介護が必要な方に対して、長時間にわたる包括的な支援を提供するサービスです。

  • 特徴居宅内での身体介護や家事援助に加えて、外出時の移動介護、そして必要に応じて医療的ケアまでを、切れ目なく一体的に行います。
  • 外出目的の柔軟性:移動支援と通院等介助の両方の目的を兼ね備えており、生活に必要な外出、余暇活動、通院など、ほとんどの外出目的に対応可能です。
  • 長時間・深夜の対応24時間365日の支援体制が組めるため、長時間の外出や夜間の外出にも対応できる点が大きなメリットです。

重度訪問介護は、高度な介助技術包括的な計画が必要となるため、支援事業者選びが特に重要になります。

種類⑧:医療的ケアを伴う外出の実現

重度訪問介護の最大の利点は、外出先や移動中に医療的ケアが必要な場合でも、喀痰吸引や経管栄養などの専門的な処置をヘルパーが行える点にあります(事前に研修と登録が必要です)。

  1. 喀痰吸引・経管栄養人工呼吸器を使用している方ALSなどの難病の方が、外出中も安心して医療的ケアを受けながら移動できます。
  2. 長距離移動:飛行機や新幹線など、長距離の移動を伴う外出や旅行でも、付き添いによる医療的ケアを継続して受けることができます。
  3. 緊急時の対応力:医療的ケアに関する知識を持つヘルパーが常時付き添うため、体調の急変時にも迅速に対応できるという安全性の高さが確保されます。

重度訪問介護の利用者は、個別の支援計画に基づいて、必要な医療的ケアの内容が定められ、ヘルパーはそれに従って支援を提供します。

種類⑨:重度訪問介護と移動支援の使い分け

重度訪問介護の支給決定を受けている方は、外出の目的が余暇活動や社会参加であっても、重度訪問介護の枠内でサービスを受けることが一般的です。これは、移動支援の支給量が少ないことや、重度訪問介護の方がより専門的な介助を行えるためです。

しかし、重度訪問介護支給基準が非常に厳格であり、誰もが利用できるわけではありません。そのため、重度訪問介護の対象外だが移動に介助が必要な方は、移動支援の利用を検討します。どちらのサービスが最適かは、必ず相談支援専門員と医師が連携して判断することになります。

✅ 成功のコツ

外出介助サービスを申請する際は、「なぜその外出が生活に必要か」を具体的に説明することが重要です。「リハビリテーションの一環である」「地域の交流に参加するため」といった明確な理由を、サービス等利用計画書に記載することで、適切な支給量が得られやすくなります。


外出介助サービス利用の疑問と次のアクション

よくある質問①:家族の同伴とサービスの利用

Q: 家族が一緒に出かける場合、外出介助サービスは利用できますか?

A: 原則として、外出介助サービスは「家族による介助が困難な場合」に支給されます。そのため、家族が同伴する外出であっても、家族だけでは十分な介助ができない合理的な理由があれば、サービスの利用は可能です。

  • 合理的な理由の例車椅子の操作と他の荷物を持つことが家族一人では困難な場合、行動障害があり複数の人手で見守りや誘導が必要な場合、通院先での医療的ケアを家族が行えない場合など。
  • 配慮事項ヘルパーの支援はあくまで当事者の方への介助に限定されます。家族の荷物持ちや家族へのサービス提供は行われません。

家族同伴での利用が必要な場合は、サービス等利用計画書その必要性を明確に記載し、市町村の理解を得ることが必要です。

よくある質問②:サービス利用の料金体系

Q: 外出介助サービスを利用する際の自己負担額はどのくらいですか?

A: 外出介助サービス(移動支援、通院等介助、重度訪問介護)は、障害者総合支援法または地域生活支援事業に基づくため、利用費の9割は公費で負担されます。利用者の自己負担は原則1割です。

  1. 月額上限額:自己負担額には、世帯の所得に応じて月々の負担上限額が定められており(例:0円、4,600円、9,300円など)、上限額を超えた分の自己負担はありません。
  2. 実費負担移動にかかる実費公共交通機関の運賃、有料道路の料金、駐車料金)や、ヘルパーの分の運賃、入場料などは、自己負担(実費)となります。

また、移動支援は地域生活支援事業のため、自治体によっては、国の基準とは異なる独自の料金体系を設けている場合がありますので、注意が必要です。

次のアクション:最適なサービスの選択と相談

外出介助サービスを検討する際の最も重要なステップは、ご自身の外出ニーズと障害特性に合った最適なサービスを選択することです。

まずは、相談支援専門員に相談し、「何を目的として、どのくらいの頻度で、どんな介助が必要か」を明確に伝えましょう。相談支援専門員は、移動支援、通院等介助、重度訪問介護のどれが最適かを判断し、支給申請のサポート、サービス等利用計画の作成、適切な事業所の紹介まで、一連の流れを支援してくれます。この計画が、安全で自立した外出の第一歩となります。

💡 ポイント

外出介助の事業所を選ぶ際は、「身体介護に強い」「行動障害支援に特化している」「医療的ケアに対応している」など、事業所ごとの得意分野が異なります。ご自身のニーズに合わせた専門性を持つ事業所を選ぶことで、より質の高い支援を受けられます。


まとめ

障害を持つ方の外出を支える公的サービスには、主に地域生活支援事業の「移動支援」居宅介護の「通院等介助」、そして重度な方に対応する「重度訪問介護」の3種類があります。移動支援余暇や社会参加など幅広い外出に、通院等介助医療機関への移動院内での介助に特化しています。重度訪問介護は、これらすべてに加え、医療的ケアを一体的に提供できます。

サービス利用の際は、実費(交通費など)を除き、原則1割負担で利用可能ですが、自治体ごとのルール家族同伴の可否を事前に確認することが重要です。

まずは相談支援専門員と連携し、ご自身の外出ニーズを明確にしたうえで、最適なサービスと事業所を選び、活動的で安全な地域生活を実現しましょう。

まとめ

  • 外出介助サービスは、主に移動支援(余暇・社会参加)通院等介助(医療目的)重度訪問介護(包括的・医療的ケア対応)の3つがあります。
  • 移動支援自治体ごとに内容が異なり、通院等介助病院内での介助も一連のサービスとして含まれます。
  • サービス選びは、外出の目的と必要な介助の種類を明確にし、相談支援専門員に相談して決定しましょう。

阿部 菜摘

阿部 菜摘

あべ なつみ36
担当📚 実務経験 12
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会保険労務士、精神保健福祉士

社会保険労務士として障害年金の申請支援を専門に12年。「難しい」と言われる障害年金を、分かりやすく解説します。医療費助成、各種手当など、お金に関する制度情報をお届けします。

大学卒業後、社会保険労務士事務所に就職し、障害年金の申請支援を専門に担当してきました。これまで500件以上の申請をサポートし、多くの方の生活を支えるお手伝いをしてきました。障害年金は「難しい」「通らない」と諦めている方が多いですが、適切な書類準備と申請を行えば、受給できる可能性は十分あります。実際、初診日の証明が難しいケースでも工夫して認定を受けた例もあります。特に心に残っているのは、精神障害で長年苦しんでいた方が障害年金を受給できたことで、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。制度を知ることの大切さを実感しました。記事では、障害年金の申請方法、特別障害者手当、医療費助成など、「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

社会保険労務士として、障害年金の申請支援を通じて多くの方の生活を支えたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が障害年金を受給でき、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。

🎨 趣味・特技

資格勉強、温泉巡り

🔍 最近気になっているテーマ

障害年金のオンライン申請、制度の周知不足問題

📢 この記事をシェア

関連記事