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児童手当と障害関連手当の併用ルールをわかりやすく解説

📖 約40✍️ 高橋 健一
児童手当と障害関連手当の併用ルールをわかりやすく解説
児童手当と障害関連手当(特別児童扶養手当、障害児福祉手当)の併用ルールは、障害児家庭の経済的安定に欠かせません。この記事では、これら三つの手当の基本的な位置づけと併給の可否を解説します。結論として、児童手当は他の二つの障害関連手当と原則併給可能ですが、特別児童扶養手当と障害児福祉手当の同時受給はできません。すべての手当に所得制限があり、特に特別児童扶養手当は保護者と扶養義務者双方の所得が審査される点に注意が必要です。申請は市区町村の窓口で、専用の診断書が必要です。受給中の現況届の提出義務や、障害が軽快した場合の届出義務についても解説し、ご家族が支援を最大限に活用するための具体的なアクションプランを提案します。

児童手当と障害関連手当の併用ルールをわかりやすく解説

お子さんの障害がわかったとき、あるいは成長するにつれて、ご家庭の経済的な不安は増していくかもしれません。日本には、すべての子育て世帯を支える「児童手当」と、障害のあるお子さんを重点的に支援する「特別児童扶養手当」や「障害児福祉手当」など、様々な手当制度があります。これらの制度を最大限に活用することは、ご家族の生活基盤を安定させるために非常に重要です。

しかし、「複数の手当を同時に受け取れるのか?」「手続きはどこで、どうすればいいのか?」といった、制度間の併用ルールに関する疑問や不安を抱える方は少なくありません。この記事では、児童手当と障害関連手当(特別児童扶養手当、障害児福祉手当)の関係性を中心に、併給の可否、所得制限の影響、そして最も効果的に支援を受けるための手続きのコツを、専門用語をわかりやすく解説しながら徹底的にご紹介します。この記事を読んで、ご家庭に必要な支援を漏れなく受け取るための具体的な道筋を見つけてください。


児童手当と障害関連手当の基本的な位置づけ

児童手当の役割と対象者

児童手当は、障害の有無にかかわらず、すべての子育て世帯を対象とした基本的な経済支援制度です。この手当は、中学校修了前(15歳に達する日以後の最初の3月31日まで)のお子さんを養育している保護者に支給されます。子育て世帯全体の生活の安定と、お子さんの健やかな成長を社会全体で支援することを目的としています。

支給額は、お子さんの年齢や人数、そして受給者の所得によって異なります。所得が一定額(所得制限限度額)を超えると支給額が減額され(特例給付)、さらに高い所得(所得上限限度額)を超えると支給されなくなります。児童手当の申請窓口は、お住まいの市区町村役場です。

💡 ポイント

児童手当は、障害の有無に関係なく、他の障害関連手当と原則として併給が可能です。そのため、障害のあるお子さんを持つご家庭も、まずはこの手当を確実に受給することが基本となります。

障害関連手当の目的と種類

障害関連手当は、児童手当とは異なり、障害を持つお子さんの特別な費用負担を軽減することを目的とした福祉的な支援制度です。主な国の制度には、「特別児童扶養手当」と「障害児福祉手当」の二つがあります。

特別児童扶養手当は、中度から重度の障害を持つ20歳未満のお子さんを養育する保護者へ支給され、所得制限が比較的厳しく設定されています。一方、障害児福祉手当は、特別児童扶養手当よりもさらに重度の障害があり、常時特別の介護が必要な20歳未満のお子さんを対象としており、所得制限はありますが、その基準は特別児童扶養手当よりも緩やかです。

これらの手当は、障害のあるお子さんの特別なニーズに対応するために設計されており、それぞれ独自の認定基準(障害の程度)が設けられています。

併給の基本的な原則と非課税のメリット

児童手当と、障害関連手当(特別児童扶養手当・障害児福祉手当)の基本的な併給ルールは、原則として併給が可能であるという点です。これは、児童手当が「すべての子育て世帯への経済支援」という位置づけであるのに対し、障害関連手当が「特別な介護負担への支援」という異なる目的を持っているためです。

また、障害関連手当は非課税所得です。つまり、手当として受け取った金額に対して所得税や住民税がかかることはありません。これは、ご家庭の最終的な手取り額を考える上で、非常に大きなメリットとなります。児童手当も非課税ですが、所得制限の確認においては、障害関連手当の額は所得に算入されません。


児童手当と障害関連手当の併給パターンと制限

児童手当+特別児童扶養手当の併給

最も一般的な併給パターンが、児童手当と特別児童扶養手当の組み合わせです。お子さんが中学校修了前で、かつ中度以上の障害があると認定された場合、両方の手当を受け取ることができます。これは、ご家庭にとって経済的な支援の柱となります。

ただし、この組み合わせで注意すべきは、双方の手当に所得制限があるという点です。児童手当の所得制限と、特別児童扶養手当の所得制限は、計算の基準額や控除の種類が異なります。特別児童扶養手当の方が所得制限基準額が低めに設定されているため、児童手当は満額支給されていても、特別児童扶養手当は一部支給や支給停止となるケースがあります。

申請時には、両方の手当の所得制限について、ご自身の所得がどのように影響するかを事前に市区町村の窓口で確認することが重要です。

児童手当+障害児福祉手当の併給

お子さんが最重度の障害があると認定された場合、児童手当と障害児福祉手当の併給が可能です。このパターンは、特別な介護負担が非常に大きいご家庭を重点的に支えます。障害児福祉手当は、特別児童扶養手当と異なり、公的年金を受給していると支給停止となりますが、児童手当とは問題なく併給できます。

障害児福祉手当の所得制限は、特別児童扶養手当よりも緩やかであるため、比較的幅広い所得層のご家庭が対象となり得ます。この手当は、特に重度の障害を持つお子さんのための福祉サービスや介護用品などに充てられ、日々の生活を支える重要な役割を果たします。

⚠️ 注意

障害児福祉手当は、お子さんが障害児入所施設に入所している場合は支給停止となります。入所サービスを利用する際は、必ず事前に窓口に確認し、必要な手続きを行いましょう。

複数の障害関連手当の併給(特別児童扶養手当と障害児福祉手当)

児童手当とは別に、障害関連手当である特別児童扶養手当と障害児福祉手当は、その性質上、両方を同時に受給することはできません。これは、障害児福祉手当が、特別児童扶養手当の1級(重度)よりもさらに重い、最重度の障害を持つお子さんを対象としているためです。

申請の審査では、まず特別児童扶養手当の認定基準、次に障害児福祉手当の認定基準がチェックされます。障害児福祉手当の基準を満たした場合は、特別児童扶養手当は支給されず、障害児福祉手当が支給されます。どちらかの手当が認定されれば、それに加えて児童手当を受け取ることができるという関係性になります。

ご家庭としては、より高額で、ご自身の障害の程度に合った手当が支給されることになります。申請の際は、両方の手当の可能性を窓口で相談し、医師に適切な診断書を作成してもらうことが大切です。


所得制限の仕組みと併給への影響

児童手当の所得制限と特例給付

児童手当には、所得によって支給額が変動する二段階の所得制限があります。まず、受給者(主に生計を維持している親)の所得が所得制限限度額を超えると、支給額が減額され、お子さん一人あたり月額5,000円の特例給付となります。

さらに所得が上昇し、所得上限限度額を超えると、児童手当および特例給付の支給がすべて停止されます。障害のあるお子さんがいても、この児童手当の所得制限が適用されることに変わりはありません。この所得制限は、前年(1月〜5月の申請については前々年)の所得に基づいて審査されます。

児童手当の所得制限限度額は、扶養親族の数に応じて異なります。事前にご自身の所得を確認し、制限額を超えないか把握しておくことが重要です。

特別児童扶養手当の所得制限の詳細

特別児童扶養手当の所得制限は、児童手当よりも厳しく設定されています。この手当の場合、所得を審査されるのは、手当を受け取る受給資格者(保護者)だけでなく、扶養義務者(配偶者、同居の親族など)も対象となります。

どちらか一方でも所得制限限度額を超えてしまうと、手当の支給は全額停止となります。これは、手当が本当に経済的な支援が必要な世帯に届くようにするための措置です。

所得制限の審査では、給与所得や事業所得から、社会保険料控除や生命保険料控除などの各種控除が引かれた後の「所得額」が用いられます。複雑な計算が必要なため、ご自身の所得が制限額を超えているかどうかの判断は、自己判断せず、必ず市区町村の窓口で試算してもらうことをお勧めします。

所得超過による併給停止の実例

特別児童扶養手当と児童手当の両方を申請しているご家庭で、所得超過によって以下のようなケースが発生することがあります。

  • ケースA:受給者(父親)の所得が特別児童扶養手当の制限額を超えたが、児童手当の制限額は超えなかった。→ 結果:特別児童扶養手当は支給停止、児童手当は満額または特例給付で支給される。
  • ケースB:受給者(母親)の所得は制限額以下だが、同居の祖父(扶養義務者)の所得が特別児童扶養手当の制限額を超えた。→ 結果:特別児童扶養手当は支給停止、児童手当は満額または特例給付で支給される。

このように、所得制限は制度ごとに異なるため、一方の手当が停止されても、もう一方の手当は受給できる可能性が十分にあります。所得制限の仕組みを理解し、申請できる手当はすべて申請することが大切です。


併給手続きの流れと申請の重要ポイント

申請窓口とタイミングの確認

児童手当と障害関連手当は、原則としてお住まいの市区町村役場の福祉担当課が申請窓口となります。ただし、障害関連手当は、自治体によっては別の課が担当している場合もあるため、事前に電話などで確認しましょう。

申請のタイミングは非常に重要です。手当は、申請した月の翌月分から支給が開始されるのが原則です。障害が判明したり、お子さんが生まれたりしたら、できるだけ早く申請手続きを行うことが、支援を早く受け取るための鉄則です。特に、児童手当の「15日特例」のように、月末に出生・転入があった場合でも15日以内に申請すれば当月分から支給される特例があるため、窓口で確認しましょう。

認定診断書の重要性と作成のコツ

障害関連手当(特別児童扶養手当・障害児福祉手当)の認定において、最も重要な書類は、医師による専用の診断書です。この診断書の内容が、手当の認定基準(障害の程度)を満たしているかどうかを左右します。

作成のコツは、単に病名や障害名を書くだけでなく、日常生活における具体的な困難さや、常時必要な介護・介助の状況を詳細かつ客観的に記載してもらうことです。例えば、「自力での排泄が困難である」「食事の際の誤嚥リスクが高く常時の見守りが必要」「情緒不安定で外出時に危険な行動をとる」といった、日々の具体的な状況を主治医に正確に伝えましょう。

診断書は、手当ごとに所定の様式があります。必ず窓口で専用の様式を受け取り、医師に渡して作成を依頼してください。

併給成功のためのチェックリストと実例

複数の手当の申請を成功させるために、以下のチェックリストを参考にしてください。

  • 申請可能な手当をすべてリストアップしたか?(児童手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、自治体独自手当など)
  • 各手当の専用診断書を入手し、主治医に依頼したか?
  • 受給者と扶養義務者の所得が、各手当の制限額を超えていないか事前に確認したか?
  • 申請期限や必要書類(戸籍謄本など)を漏れなく揃えたか?

例えば、重度の知的障害があるお子さんのご家庭では、特別児童扶養手当の1級と児童手当を満額受給し、その資金で放課後等デイサービスの自己負担分や、専門的な療育教材の費用に充てているケースが多く見られます。両方を確実に受給することで、支援の幅が大きく広がります。


受給中の義務とよくある疑問への回答

毎年必須の「現況届」の提出

児童手当も障害関連手当も、受給が始まると、毎年「現況届」の提出が義務付けられます。提出時期は通常6月(児童手当)や8月(障害関連手当)頃です。この手続きは、引き続き手当を受け取る資格があるか(所得制限、養育状況など)を確認するために行われます。

現況届の提出がないと、手当の支給が一時的に停止されてしまいます。特に複数の手当を受けている場合、提出時期が異なることがあるため、カレンダーやリマインダーに登録するなどして、提出漏れがないよう厳重に管理することが大切です。

✅ 成功のコツ

現況届の通知書や、その他の手当に関する公的書類は、すべて一箇所にまとめて保管しておきましょう。提出時期が近づいたら、すぐに必要な書類を確認できるようにしておくと安心です。

障害が軽快した場合の届出義務

障害関連手当は、障害の程度に応じて支給されます。そのため、病状や障害の状態が改善し、手当の認定基準に該当しなくなった場合は、速やかに市区町村の窓口に資格喪失の届出を行う義務があります。届出を怠ったまま手当を受け取り続けると、不正受給とみなされ、遡って返還を求められることになります。

特に、特別児童扶養手当は、障害の状況確認のため、数年ごとに再認定の手続きが必要となります。再認定の通知が届いたら、期日までに再度診断書を提出し、現在の障害の状態を審査してもらう必要があります。

よくある質問:手当はすべて合算して使えるの?

「複数の手当を併給した場合、すべて合算して何に使ってもいいのでしょうか?」という質問はよく聞かれます。答えは「はい、原則として自由に使えます」です。

児童手当も障害関連手当も、使途に細かい制限は設けられていません。ご家庭の状況に応じて、最も必要な用途に充てることができます。例えば、日々の生活費の補填、特別な食事の費用、介護用品の購入、あるいは将来のための貯蓄など、柔軟に活用してください。手当は、ご家族の生活を支えるための大切な資源として、計画的に使用することが推奨されます。


相談窓口と次の一歩の提案

複雑な制度に関する相談窓口

手当の併給ルールや所得制限の計算は複雑であり、ご自身の判断だけでは不安が残るものです。困ったときは、以下の窓口を積極的に活用しましょう。

  • 市区町村の福祉担当課(障害福祉課など):手当の認定基準、所得制限の具体的な額、必要書類、そして併給に関する最新のルールについて、最も正確な情報を提供してくれます。
  • 相談支援事業所:障害福祉サービスに精通した相談支援専門員が在籍しており、手当の申請手続きの支援や、受給した手当をどのようなサービスと組み合わせて活用するか、総合的なアドバイスをしてくれます。
  • 地域の子育て支援センター:子育てに関する全般的な相談を受け付けており、地域の福祉サービスへの橋渡し役を担ってくれます。

💡 ポイント

複数の手当について相談する際は、受給しているすべての手当の名称と支給額を事前にリストアップしてから窓口に行くと、話がスムーズに進みます。

長期的な資金計画の重要性

障害児のいるご家庭にとって、手当の受給は一時的なものではなく、お子さんが20歳になるまで続く長期的な計画の一部です。特に、特別児童扶養手当と障害児福祉手当は20歳で終了し、その後は障害基礎年金などに切り替わります。

現在の手当の収入を基に、将来の年金受給額や、成人後の障害福祉サービスの利用見込みを考慮したライフプランニングを行うことが重要です。受給した手当の一部を、将来、手当が終了した後の生活資金や、高額な医療費に備えるための資金として貯蓄することも賢明な活用法の一つです。

次のアクションへの具体的な提案

児童手当と障害関連手当の併給ルールについて理解できた今、次に取るべき行動は以下の通りです。

  1. 現在の所得状況の再確認:ご自身と扶養義務者の最新の所得状況を確認し、各手当の所得制限限度額と比較しましょう。
  2. 未申請の手当がないか確認:特別児童扶養手当や障害児福祉手当が未申請であれば、すぐに市区町村の福祉担当課に連絡し、申請書類一式を入手しましょう。
  3. 主治医への相談:申請に必要な診断書作成について、医師に相談し、お子さんの具体的な介護状況を明確に伝えましょう。

手続きは複雑かもしれませんが、これらの手当は、お子さんのより良い生活とご家族の安心のために国が用意した支援です。積極的な情報収集と行動で、必要な支援を確実に手に入れましょう。


まとめ

児童手当と障害関連手当の併給ルールは、ご家庭の経済的な安心を築く上で非常に重要です。

  • 児童手当は、障害関連手当(特別児童扶養手当、障害児福祉手当)と原則併給が可能です。
  • 特別児童扶養手当障害児福祉手当は、対象とする障害の重度が異なるため、同時受給はできません(いずれか一方が認定されます)。
  • すべての手当には所得制限があり、特に特別児童扶養手当は受給者と扶養義務者双方の所得が審査されます。

手当の申請と受給継続には、専用の診断書と毎年提出する現況届が不可欠です。制度を正しく理解し、不明な点は市区町村の福祉担当課や相談支援事業所に相談しながら、ご家庭にとって最適な支援を確実に受け取ってください。

高橋 健一

高橋 健一

たかはし けんいち50
担当📚 実務経験 25
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会福祉士

市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。

大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

将棋、歴史小説

🔍 最近気になっているテーマ

マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展

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