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在宅介護に対して支給される手当一覧

📖 約39✍️ 阿部 菜摘
在宅介護に対して支給される手当一覧
在宅介護を行う家族を支える手当は、国の「特別障害者手当」「障害児福祉手当」が中心です。これらは常時特別の介護が必要な重度障害者とその家族に支給され、本人と扶養義務者の所得制限があります。さらに、多くの自治体が独自の「介護者手当」や「見舞金」を設けており、国の手当と併給可能です。また、現金給付だけでなく、福祉サービスの利用者負担軽減や補装具の給付、障害者控除といった間接的な支援も重要です。申請時には、医師による「常時特別の介護が必要」であることを示す診断書が鍵となります。支援を最大限に受けるために、市区町村の福祉担当課に必ず相談しましょう。

在宅介護に対して支給される手当一覧

ご家族の在宅介護は、単に時間と労力がかかるだけでなく、医療費、介護用品費、そして介護のために仕事の時間を調整せざるを得ないことによる経済的な負担も非常に大きいものです。「国や自治体から、在宅で介護している家族を支えるための手当はないだろうか?」そう考え、情報を探している方は少なくありません。しかし、「介護手当」という名前の統一された制度がないため、必要な情報にたどり着くのが難しいのが現状です。

この記事では、障害のある方や重度な病気の方を在宅で介護・看護しているご家族の負担を軽減するために、国や地方自治体が提供している主要な手当、年金、給付金を一覧形式で徹底的に解説します。手当の名称や対象者が多岐にわたるため、年齢層や障害の程度別に整理し、どの制度がご家庭に適用されるのか、そして申請時に注意すべきポイントまでを詳しくご紹介します。この記事を通じて、ご家族が必要な支援を確実に受け取り、経済的な安心感を持って介護を続けられるようサポートします。


在宅の重度障害者を支える国の二大福祉手当

特別障害者手当:20歳以上の重度障害者本人へ

特別障害者手当」は、在宅の20歳以上の重度な障害を持つ方(主に身体または精神に複数の重度な障害がある方)で、常時特別の介護が必要な状態にある方に、国から支給される手当です。この手当は、介護者ではなく障害者本人に支給されますが、その使途は介護にかかる費用に充てられることが多く、実質的に在宅介護を支える重要な役割を果たします。

受給するためには、重度な障害が国の定める基準(例えば、概ね身体障害者手帳1級・2級程度の障害が複数ある状態)を満たす必要があります。また、手当の目的上、病院や施設に入所している場合は支給停止となります。支給額は月額で一定額が定められており、重度な障害者本人のみならず、扶養義務者(配偶者や同居の親族など)にも所得制限があります。

障害児福祉手当:20歳未満の最重度障害児の保護者へ

20歳未満のお子さんを在宅で介護しているご家族には、「障害児福祉手当」が提供されています。この手当は、特別障害者手当と同様に、常時特別の介護が必要な、特に重度の障害を持つお子さんを養育する保護者に対して支給されます。これは、特に高い介護負担への支援を目的としています。

支給される金額は月額で一定額であり、手当は非課税です。この手当は、障害児入所施設に入所している場合や、公的年金を受給している場合には支給が停止されます。特別障害者手当と同様に、在宅介護を支えるための手当であり、保護者と扶養義務者双方に所得制限が設けられています。

二大福祉手当の申請の重要ポイント

これら二つの手当の申請で最も重要となるのは、「常時特別の介護が必要な状態」であることを証明する医師の診断書です。診断書には、単なる病名や障害名だけでなく、日常生活動作(食事、排泄、入浴など)における具体的な介護の状況と、それに伴う家族の負担が詳細に記載されている必要があります。

申請の際には、ご家族が日々行っている具体的な介護内容や、その頻度、必要な見守りの状況などをメモにまとめ、主治医と共有した上で診断書を作成してもらうことが、認定を成功させるための鍵となります。これらの手当は、重度介護に対する国からのねぎらいであると捉え、積極的に申請しましょう。


障害児の親の負担を支える手当と年金

特別児童扶養手当:20歳未満の中・重度障害児の保護者へ

障害児の在宅介護を支える基本的な手当として、「特別児童扶養手当」があります。これは、精神または身体に中度以上(1級または2級)の障害を持つ20歳未満のお子さんを養育する保護者に対して支給されます。この手当は、障害児福祉手当の対象外となる、比較的広範囲の障害児の家庭を支えます。

支給額は障害の級(1級または2級)によって異なり、年3回に分けて支給されます。この手当は、児童手当と併給が可能であるため、ご家庭の重要な収入源となります。ただし、障害児福祉手当と同様に、保護者と扶養義務者双方に所得制限が適用されますので、申請前の確認が必要です。

障害基礎年金(20歳前傷病):18歳以降の収入源

お子さんが20歳に達した時点で、それ以前から障害の状態にある場合、年金制度から「障害基礎年金(20歳前傷病)」が支給される可能性があります。この年金は、原則として国民年金に加入していない20歳未満の期間に生じた障害が対象です。これは、障害者本人に支給される終身的な収入源となります。

この年金を受け取り始めると、特別児童扶養手当は支給停止となります。これは、手当と年金のどちらか一方が優先されるためです。障害基礎年金の支給額や、その後の生活保護や医療費助成との関係を総合的に考慮し、20歳前後の切り替えを計画的に行うことが重要です。

障害児を養育するシングル家庭への特例(児童扶養手当)

在宅介護を行っているシングル家庭(ひとり親家庭)は、さらに「児童扶養手当」の支援を受けられます。通常、この手当は18歳までのお子さんが対象ですが、障害のあるお子さんの場合は20歳未満まで延長されます。これは、障害児を養育するシングル家庭にとって大きな経済的支援となります。

児童扶養手当は、特別児童扶養手当と併給が可能です。さらに、児童扶養手当の所得制限では、障害関連手当とは異なり、親一人の所得のみが審査対象となるため、所得制限をクリアしやすい場合があります。ひとり親家庭は、両方の手当を最大限に活用すべきです。


地方自治体が独自に定める在宅介護者支援手当

自治体独自の「介護手当」「在宅福祉手当」の存在

国が定める手当のほかに、多くの地方自治体(都道府県・市区町村)が、地域住民の在宅介護の労をねぎらう目的で、独自の「介護者手当」「在宅福祉手当」などを設けています。これらは、国の手当とは異なり、介護者(家族)に直接支給されることが多いのが特徴です。

例えば、「在宅重度心身障害者介護手当」「家族介護慰労金」といった名称が用いられています。支給額は月額数千円から数万円程度と幅広く、国の手当と併給が可能なものがほとんどです。支給基準や対象となる障害の範囲、所得制限の有無も自治体によって大きく異なるため、必ずお住まいの自治体に問い合わせる必要があります。

自治体手当の申請要件と国の手当との関係

自治体独自の介護者手当の多くは、障害者手帳の等級や、介護保険の要介護度などに基づいて支給対象者を定めています。国の手当(特別障害者手当など)をすでに受給していることを要件としている場合や、逆に国の手当の所得制限で支給停止になった人を救済する目的で設けられている場合もあります。

重要なのは、一つでも多く自治体の制度を見つけ出すことです。国の手当が所得制限で不支給になったとしても、自治体の手当は所得制限がなかったり、緩やかだったりする場合があります。市区町村の福祉担当課に、国の制度と自治体の制度の両方について尋ねることが、支援を漏らさないための鉄則です。

✅ 成功のコツ

自治体のホームページで「手当」「補助金」だけでなく、「見舞金」や「慰労金」といったキーワードでも検索してみましょう。思わぬ支援制度が見つかる可能性があります。

難病患者の在宅介護者への見舞金・手当

障害者手帳の対象とならない難病の患者さんを在宅で介護しているご家族に対しても、一部の自治体では独自の支援を行っています。これは、「難病患者見舞金」や「在宅療養支援手当」といった名称で行われることが多く、長期的な看護・介護の労苦をねぎらう目的があります。

難病の患者さんの介護は、医療的なケアが必要な場合が多く、負担が大きくなりがちです。対象となるのは、国が定める特定医療費助成制度(難病法)の対象となっている方が主です。お住まいの地域の保健所難病相談支援センターに、自治体独自の支援制度の有無を確認してみましょう。


在宅介護を支える実質的な補助金・サービス軽減

補装具・日常生活用具の給付(購入費補助)

直接的な現金の手当ではありませんが、在宅介護を続ける上で、介護用品や機器の購入費を補助してくれる制度も、経済的な負担軽減に大きく貢献します。「補装具の給付・貸与」や「日常生活用具の給付」などがこれにあたります。

車いす、補聴器、人工呼吸器などの補装具、そして特殊寝台、入浴補助具、ポータブルトイレなどの日常生活用具について、原則1割の自己負担で給付を受けることができます。これらは高額になることが多いため、手当と並行して必ず申請すべき補助金です。自己負担額についても、所得に応じて月額上限が設けられるため安心です。

居宅介護・重度訪問介護など福祉サービスの活用

在宅介護の負担を軽減する最も強力な支援は、障害福祉サービスの利用です。手当という現金ではなく、専門のヘルパーによる介護サービスという「現物給付」を受けることで、介護者の自由な時間や休息(レスパイト)を確保することができます。

サービス利用料は原則1割負担ですが、世帯所得に応じて月額の自己負担上限額が設定されます。この上限額が低く設定されていれば、実質的に非常に安価に、長時間の介護サービスを利用できます。手当の収入を、この自己負担分に充てることで、経済的な不安なくサービスを最大限に活用できます。

税制優遇:障害者控除と医療費控除

手当ではありませんが、税制上の優遇も、ご家族の最終的な手取り額を増やす重要な支援です。介護を受けている方が障害者手帳などを所持している場合、納税者である介護者が障害者控除を受けることができます。これにより、所得税や住民税が軽減されます。

また、かかった医療費(医師の証明があればおむつ代なども含む)が一定額を超えた場合、医療費控除を受けることができます。これらの控除は、年末調整や確定申告で申告しないと適用されないため、手続きを忘れないようにしましょう。控除による節税も、在宅介護の経済的な支援の一つです。


申請手続きの注意点とよくある疑問

所得制限の計算対象者と判断基準

特別障害者手当や障害児福祉手当などの公的な福祉手当には、必ず所得制限があります。重要なのは、手当を受け取る本人(または保護者)だけでなく、扶養義務者(配偶者、同居している親族など)も審査の対象となる点です。どちらか一方でも制限額を超えると、支給停止となります。

所得制限の基準額は、扶養親族の人数によって変動します。また、手当の種類によって計算方法や控除の種類が異なります。所得制限について不安がある場合は、自己判断せず、必ず市区町村の福祉担当課に相談し、ご家族全員の所得状況を伝えて試算してもらいましょう。

施設入所・入院による支給停止のルール

在宅介護を目的とする手当は、障害者の方が施設に入所したり、長期間入院したりした場合、原則として支給停止となります。これは、手当が不要と判断されるためです。

「施設」とは、障害者総合支援法に基づく入所施設や、介護保険施設などを指します。一時的なショートステイは支給停止の対象とはなりませんが、3ヶ月を超える入院は支給停止の対象となる場合があります。入所や長期入院が決まった際は、必ず速やかに窓口に届け出てください。届出を怠ると、過払いとなり、後で返還を求められることになります。

よくある質問:介護者自身が病気になったらどうなる?

「介護者が病気で倒れてしまった場合、使える手当やサービスはあるか?」という質問は、在宅介護を行うご家族の共通の不安です。直接的な「介護者休業手当」のようなものはありませんが、以下のサービスが利用できます。

  • 居宅介護・重度訪問介護の緊急利用:介護者が緊急でサービス利用が必要になった場合、柔軟にヘルパー派遣を受けられる場合があります。
  • 短期入所(ショートステイ)の緊急利用:障害者ご本人を一時的に施設に預け、介護者が療養する時間を作ることができます。

これらのサービス利用のためにも、事前に相談支援事業所と連携を取り、緊急時の対応プランを話し合っておくことが重要です。


相談窓口と次の一歩の提案

総合的な相談窓口:福祉担当課と相談支援事業所

在宅介護に関する手当や補助金は複雑に入り組んでいるため、以下の二つの窓口を頼ることが最も確実です。

  • 市区町村の福祉担当課(障害福祉課・介護保険課など):国の手当、自治体独自の支援、そしてサービス利用に関する制度のすべてを網羅した総合的な申請窓口です。
  • 相談支援事業所:障害福祉サービスに特化した専門員が、手当の収入とサービスの利用を組み合わせた、ご家庭に最適な支援計画を立案してくれます。

特に、「在宅介護で経済的に困っている」という点を明確に伝えることで、窓口の職員が必要な手当や補助金を漏れなく案内してくれる可能性が高まります。

長期的な介護と経済的安定のための視点

在宅介護は長期にわたる場合が多いため、一時的な手当だけでなく、長期的な経済的安定の視点が必要です。年金(障害基礎年金など)の受給開始年齢(20歳)や、介護保険制度(40歳以上)への移行を見据えた資金計画を立てておきましょう。

また、手当の収入を、介護者の休息のための費用や、将来的に介護ができなくなった場合に備えた貯蓄に充てるなど、計画的な資金管理を行うことが、長期的な在宅介護の成功の鍵となります。

次のアクションへの具体的な提案

在宅介護を支える手当を確保するための具体的なアクションは以下の通りです。

  1. 二大福祉手当の申請要件確認:特別障害者手当、障害児福祉手当の申請要件(障害の程度、所得)を満たしているか、市区町村の窓口で確認しましょう。
  2. 自治体独自手当の確認:お住まいの市区町村に、介護者への独自の慰労金や手当があるか、電話で問い合わせてリストアップしましょう。
  3. 介護記録の準備:申請に必要な診断書作成のため、日々の具体的な介護内容と時間を記録したメモを準備し、主治医に提出できるようにしておきましょう。

支援制度は皆さんの権利です。複雑だと諦めずに、一歩ずつ申請を進めて、ご家族の生活を守っていきましょう。


まとめ

在宅介護を続けるご家族に支給される手当は、国の福祉手当、障害年金、そして自治体独自の支援に大別されます。

  • 国の手当である特別障害者手当障害児福祉手当は、在宅で常時特別の介護が必要な方を対象とし、本人と扶養義務者双方に所得制限があります。
  • 地方自治体独自の介護者手当や見舞金は、介護者の労をねぎらう目的で支給され、国の手当と併給が可能なものが多いため、必ず確認が必要です。
  • 手当だけでなく、福祉サービスの利用者負担軽減補装具の給付税制優遇など、間接的な支援も組み合わせて活用することが、経済的安定に繋がります。

まずは市区町村の福祉担当課に相談し、ご家族の状況に合った全ての支援制度を把握することから始めましょう。

阿部 菜摘

阿部 菜摘

あべ なつみ36
担当📚 実務経験 12
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会保険労務士、精神保健福祉士

社会保険労務士として障害年金の申請支援を専門に12年。「難しい」と言われる障害年金を、分かりやすく解説します。医療費助成、各種手当など、お金に関する制度情報をお届けします。

大学卒業後、社会保険労務士事務所に就職し、障害年金の申請支援を専門に担当してきました。これまで500件以上の申請をサポートし、多くの方の生活を支えるお手伝いをしてきました。障害年金は「難しい」「通らない」と諦めている方が多いですが、適切な書類準備と申請を行えば、受給できる可能性は十分あります。実際、初診日の証明が難しいケースでも工夫して認定を受けた例もあります。特に心に残っているのは、精神障害で長年苦しんでいた方が障害年金を受給できたことで、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。制度を知ることの大切さを実感しました。記事では、障害年金の申請方法、特別障害者手当、医療費助成など、「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。

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💭 福祉の道を選んだ理由

社会保険労務士として、障害年金の申請支援を通じて多くの方の生活を支えたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が障害年金を受給でき、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。

🎨 趣味・特技

資格勉強、温泉巡り

🔍 最近気になっているテーマ

障害年金のオンライン申請、制度の周知不足問題

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