障害者手帳がなくても受けられる医療補助制度

🤝 障害者手帳がなくても大丈夫!知っておきたい医療費補助・負担軽減制度の全知識
「体調が悪いけれど、障害者手帳がないから医療費の補助は受けられない…と諦めていませんか?」
障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)は、障害のある方が福祉サービスや優遇措置を受けるための重要な証明書です。しかし、手帳の申請には診断書や審査が必要で時間がかかる上、症状が軽度であったり、手帳の対象ではない疾患であったりする場合、手帳を取得できない、あるいは取得を迷っている方も多くいらっしゃいます。
ご安心ください。手帳がなくても、あるいは申請中の段階であっても、医療費の負担を大幅に軽減できる公的な制度は数多く存在します。これらの制度は、「疾患そのもの」や「所得状況」に基づいて支援を提供するものです。
この記事では、手帳の有無にかかわらず利用できる、特に重要な「自立支援医療制度」「指定難病医療費助成制度」「小児慢性特定疾病医療支援」といった国の公費負担医療制度から、誰でも利用できる「高額療養費制度」に至るまで、徹底的に解説します。これらの制度を理解し、活用することで、経済的な不安なく安心して治療を継続できる体制を築きましょう。
💰 医療費軽減の二大柱:高額療養費制度と限度額適用認定証
手帳の有無にかかわらず、全ての国民が利用できるのが、高額な医療費の負担を軽減する「高額療養費制度」です。
高額療養費制度の仕組み
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払ったひと月(1日から末日まで)の医療費の自己負担額が、定められた上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
- 上限額の基準:上限額は、年齢(70歳未満か70歳以上か)と所得区分によって細かく設定されています。所得が低いほど、上限額は低く設定されます。
- 対象となる医療費:健康保険が適用される医療費のみが対象です。入院時の差額ベッド代、食事代、文書料などは対象外です。
- 多数回該当:過去12ヶ月以内に高額療養費の支給を3回以上受けている場合、4回目以降は上限額がさらに引き下げられます。
💡 ポイント
高額療養費制度は、申請から払い戻しまでに通常3ヶ月以上かかるため、一時的に窓口で高額な費用を支払う必要があります。
限度額適用認定証の活用
一時的な高額負担を避けるために、「限度額適用認定証」を事前に申請して取得することが強く推奨されます。
- 認定証の機能:この認定証を医療機関の窓口に提示することで、自己負担額が最初から上限額までに抑えられ、窓口での支払いが少なくなります。
- 申請先:加入している公的医療保険(協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険など)に申請します。
- 注意点:限度額適用認定証も所得区分に応じて発行されます。所得区分に変更があった場合は、再度申請が必要です。
💊 疾患に基づく医療費補助:特定医療費助成制度
手帳の有無に関係なく、特定の難病や慢性疾患を持つ方を対象とした、国の公費負担医療制度です。
指定難病医療費助成制度(難病法)
厚生労働大臣が定める「指定難病」(現在338疾患)を持つ方を対象に、医療費の自己負担分を助成する制度です。
- 対象疾患:パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)など、長期療養が必要な難治性の疾患。
- 助成内容:指定難病に関する医療費(入院・外来・調剤)の自己負担割合が原則2割に軽減され、さらに所得に応じて月額の上限額が設定されます。
- 申請要件:難病の診断基準を満たし、病状の程度が一定の重症度分類を満たすこと、または高額な医療費が継続すること(軽症高額)が必要です。
この制度を利用するには、都道府県知事の指定を受けた医師(難病指定医)による診断書を添えて、お住まいの地域の保健所または都道府県の窓口に申請し、「特定医療費受給者証」の交付を受ける必要があります。
小児慢性特定疾病医療支援
18歳未満(継続で20歳未満)の長期療養が必要な慢性疾患を持つ子どもを対象とした医療支援制度です。
- 対象疾患:小児がん、腎疾患、心疾患、内分泌疾患、精神・神経・筋疾患など、小児期に発症し、慢性に経過する疾病が対象です。
- 助成内容:対象疾病に関する医療費(入院・外来・調剤)の自己負担割合が原則2割に軽減され、さらに所得に応じた自己負担上限額が設定されます。
- 申請要件:対象疾病に罹患し、疾病の状態が一定の基準を満たすこと。
小児慢性特定疾病は、身体障害者手帳の交付対象とならない疾患も多く含まれており、手帳を持たない、または手帳の等級に満たない子どもの医療を支える重要な柱となっています。
「息子の難病が指定難病と認定されたことで、医療費の負担が激減しました。手帳の有無に関係なく、病気そのものが支援の対象となるため、安心して高度な治療を受けさせることができました。」
— 指定難病患者の家族の声
🧠 精神・身体の機能回復に特化した「自立支援医療制度」
障害者手帳の有無にかかわらず、精神疾患や身体機能の障害に関する継続的な治療費を助成する制度が「自立支援医療制度」です。
自立支援医療制度の概要
自立支援医療制度は、「精神通院医療」「更生医療」「育成医療」の3つに分類され、いずれも自己負担割合が原則1割に軽減され、所得に応じた月額上限額が設定されます。
1. 精神通院医療
- 対象者:全ての精神疾患(うつ病、統合失調症、発達障害、てんかん、依存症など)があり、継続的な通院治療が必要な方。
- 助成範囲:精神科・心療内科の診察、検査、薬の調剤、デイケア、訪問看護など。入院費用は原則対象外。
- 手帳との関係:精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても申請可能ですが、手帳と同時に申請すると診断書が共通化できるなど、手続き上のメリットがあります。
2. 更生医療(18歳以上)
- 対象者:身体障害者手帳を持っている方(またはその見込みのある方)で、身体機能を回復させるための治療(人工関節置換術、人工透析、心臓手術など)が必要な方。
- 助成範囲:手術や治療、それに伴うリハビリテーション。
- 手帳との関係:原則、身体障害者手帳の交付を受けていることが要件ですが、手帳の申請と同時に更生医療も申請することが可能です。
3. 育成医療(18歳未満)
- 対象者:身体に障害があり、手術や治療によって機能回復が見込める児童。
- 助成範囲:更生医療と同様に、治療やリハビリテーション。
- 手帳との関係:小児慢性特定疾病医療支援と重複する場合もありますが、機能回復に重点を置いた医療に適用されます。
自立支援医療の申請と医師の診断書
自立支援医療制度の利用には、自治体が定めた様式の医師の診断書(意見書)が必要です。
特に精神通院医療の場合、主治医が「指定自立支援医療機関」に勤務していること、そして申請日から3ヶ月以内に作成された診断書が必要となるため、申請前に主治医に確認しましょう。
👶 妊娠・出産・発達にまつわる医療費助成
障害者手帳の有無に関わらず、発達上の問題や先天的な疾患に関する医療費を助成する制度は、主に子どもと妊婦を対象としています。
未熟児養育医療制度
身体の発育が未熟なまま生まれた乳児(低出生体重児など)に対し、指定医療機関での入院養育に必要な医療費を公費で負担する制度です。
- 対象者:出生時体重が2,000g以下、または生活力が特に弱い乳児。
- 助成範囲:指定医療機関での入院費用(保険診療の自己負担分、食事療養費など)。
- 申請時期:原則として、出生後すぐにお住まいの市区町村役場に申請が必要です。
未熟児養育医療を経て、身体障害者手帳の交付対象となる方もいますが、この制度自体は手帳とは関係なく利用できます。
特定不妊治療費助成(終了済み・保険適用へ移行)と不育症治療
かつて公費で助成されていた特定不妊治療(体外受精・顕微授精)は、2022年4月から保険適用となりました。障害の有無に関わらず、不妊治療の負担は大幅に軽減されています。
また、流産や死産を繰り返す「不育症」の治療費について、一部の自治体で独自の助成制度が設けられています。詳細は居住地の自治体に確認が必要です。
🏘️ 自治体独自の医療費助成制度と生活保護
国制度に加えて、地方自治体が独自に行っている医療費助成制度や、生活困窮者を対象とした支援制度も、手帳がない方の大きな助けとなります。
ひとり親家庭等医療費助成制度(母子・父子家庭など)
母子家庭、父子家庭、または両親のいない家庭の子どもや、その親を対象に、医療費の自己負担分を助成する制度です。
- 対象者:主に18歳までの子どもとその親(所得制限あり)。
- 助成内容:保険診療の自己負担分が無料、または一部自己負担のみとなる。
- 手帳との関係:この制度は、障害の有無に関係なく、家庭の経済状況と形態に基づいて提供されます。
自治体によって助成の名称や対象範囲、所得制限が異なるため、「福祉医療」などの名称で、お住まいの自治体のホームページで確認しましょう。
生活保護制度の医療扶助
手帳の有無、病気の有無に関わらず、生活に困窮し、国が定める最低生活費以下の収入しかない方を対象とした公的支援制度です。
- 医療扶助:生活保護が適用されると、医療扶助が適用され、健康保険が適用される全ての医療費(入院・外来・調剤)が自己負担なしとなります。
- 申請窓口:お住まいの地域を管轄する福祉事務所(生活保護担当課)。
手帳の取得資格がない、または申請中の段階で、治療費の支払いが困難な場合に、最終的なセーフティネットとして利用を検討すべき制度です。
📝 申請手続きのコツと活用戦略
手帳がない場合の医療費補助制度は多岐にわたり、それぞれ申請先や必要な書類が異なります。制度を最大限に活用するための戦略を学びましょう。
利用制度の優先順位
複数の公費負担医療制度の対象となる場合、以下の順序で適用されることが一般的です(自治体により異なる場合があります)。
- 最優先:生活保護の医療扶助
- 次:特定医療費助成制度(指定難病)、小児慢性特定疾病医療支援
- 次:自立支援医療制度
- 最後:自治体独自の福祉医療制度(ひとり親家庭等医療費助成など)
例えば、指定難病の対象であれば、まず難病助成が適用され、自己負担分が2割になります。その2割分を、自立支援医療や自治体独自の助成がさらにカバーする、というイメージです。
制度利用のためのアクションプラン
医療費補助をスムーズに受けるために、以下のステップを実行しましょう。
- まず病院に相談:病気の治療にかかる費用が高いと感じたら、まず医療機関の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談し、利用できる制度の候補を挙げてもらう。
- 診断書の準備:自立支援医療や難病助成など、疾患に基づく制度の申請には、医師の診断書が不可欠です。MSWを通じて主治医に制度申請用の診断書作成を依頼する。
- 窓口への申請:制度の種類に応じて、保健所、市区町村役場、または健康保険組合に必要書類を提出し、受給者証の交付を受ける。
- 全ての受給者証の提示:医療機関の窓口では、健康保険証に加えて、交付された全ての公費負担医療の受給者証を提示し、自己負担が上限額までになっているかを確認する。
手帳がない場合でも、病気や経済状況を理由に、国や自治体はあなたを支援するための準備をしています。一人で悩まず、専門家の力を借りて、適切な制度に辿り着きましょう。
まとめ
- 障害者手帳がない方でも、全ての国民が高額な医療費を支払った場合に「高額療養費制度」と「限度額適用認定証」を利用できる。
- 特定の難治性の病気を持つ方は、手帳の有無に関係なく「指定難病医療費助成制度」や「小児慢性特定疾病医療支援」を利用でき、自己負担が原則2割に軽減される。
- 精神疾患や身体機能回復のための継続的な治療には、手帳がなくても「自立支援医療制度」(精神通院医療、更生医療、育成医療)を申請でき、自己負担が原則1割となる。
- 手帳がないひとり親家庭などは、自治体独自の「ひとり親家庭等医療費助成制度」の対象となる場合があり、市区町村役場で確認が必要。
- どの制度を利用できるか不明な場合は、まず医療機関の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談することが、制度利用の最も確実な第一歩となる。

谷口 理恵
(たにぐち りえ)45歳📜 保有資格:
介護福祉士、ケアマネージャー、サービス管理責任者
介護福祉士として15年間現場で働き、現在はグループホームの管理者。「地域で自分らしく暮らす」を支えるために、住まい・生活・地域資源に関する情報発信を担当しています。実際の支援現場で感じた「これ知りたかった!」という情報をお届けします。
介護福祉士として障害者施設で10年、その後ケアマネージャーの資格を取得し、相談支援専門員として5年勤務。現在はグループホーム(定員10名)の管理者として、利用者の方々の日々の生活を支えています。この仕事を選んだきっかけは、大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会ったこと。「普通」の定義は人それぞれで、大切なのは本人が望む生活を実現することだと気づかされました。特に力を入れているのは、地域との繋がりづくり。近所のスーパーや美容院、カフェなど、日常的に利用できる場所を増やすことで、「施設の中だけ」ではない豊かな生活を支援しています。記事では、グループホームでの実際の生活の様子や、地域の障害福祉サービス事業所の選び方など、現場の生の声をお伝えしていきます。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会い、「普通」の定義は人それぞれだと気づいたことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
近所のスーパーや美容院など、日常的に利用できる場所を増やすことで、利用者の生活が豊かになったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
現場の生の声を大切に、「これ知りたかった!」という情報を届けることを心がけています。
🎨 趣味・特技
料理、ガーデニング
🔍 最近気になっているテーマ
一人暮らし支援の新しい形、地域住民との共生





