ホーム/記事一覧/生活サポート情報/医療・健康/精神障害者の通院支援:便利な制度と医療費補助

精神障害者の通院支援:便利な制度と医療費補助

📖 約69✍️ 高橋 健一
精神障害者の通院支援:便利な制度と医療費補助
精神障害のある方が、継続的な通院を経済的・精神的に支えるための公的制度や福祉サービスを網羅した解説記事です。自己負担を1割にする「自立支援医療制度」の仕組みや申請方法、障害者手帳による交通費・公共料金の割引、さらには移動支援やタクシー助成、訪問看護といった具体的なサポート内容を実例とともに紹介。また、経済的に困窮している場合の医療扶助や無料低額診療についても触れ、「お金がなくても治療を諦めない」ための情報を整理しています。最後には通院を習慣化する工夫や相談支援の活用法を提示し、読者が明日から動ける具体的なステップを提案します。

精神科への通院を支える安心の仕組みと医療費負担を軽くするための完全ガイド

精神疾患を抱えながら生活を送る中で、定期的な通院は回復に向けた最も大切なプロセスの一つです。しかし、継続的な通院には、診察代や薬代といった経済的な負担、さらには「病院まで一人で行くのが不安」「体調が悪いと移動が難しい」といった精神的・身体的なハードルがつきまといます。こうした悩みを抱え、通院をためらってしまう方も少なくありません。

日本には、精神障害のある方が安心して治療を続けられるよう、医療費の自己負担を大幅に軽減する制度や、移動をサポートする福祉サービスが数多く用意されています。これらの制度を正しく知り、活用することで、将来への不安を和らげ、より治療に専念できる環境を整えることが可能です。知識は時に、あなたを支える最も強力な盾となります。

この記事では、精神障害者の方が通院を継続するために役立つ「自立支援医療」などの公的な補助金制度から、タクシー割引や移動支援といった日常生活を支えるサービスまでを詳しく解説します。あなたやあなたのご家族が、一歩ずつ、無理のないペースで通院を続けられるためのヒントを一緒に探していきましょう。


医療費負担を劇的に減らす自立支援医療制度

自己負担額が1割になる仕組み

精神科や心療内科へ通院する際、最も強力な味方となるのが自立支援医療(精神通院医療)制度です。通常、医療機関を受診した際の窓口負担は3割ですが、この制度を利用すると自己負担が原則として1割にまで軽減されます。対象となるのは、統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん、発達障害、高次脳機能障害など、継続的な通院が必要な精神疾患全般です。

この制度の素晴らしい点は、診察代だけでなく、処方されるお薬代、さらにはデイケアや訪問看護の費用も対象に含まれることです。長期にわたる治療が必要な精神疾患において、毎月の支払いが3分の1になることは、家計の安定に直結します。利用を開始するには、お住まいの市区町村の窓口で申請を行い、「受給者証」の交付を受ける必要があります。

申請には指定の診断書が必要となりますが、多くの精神科クリニックでは日常的にこの手続きをサポートしています。まずは主治医に「自立支援医療を受けたい」と相談してみてください。診断書の作成には数千円の費用がかかる場合がありますが、その後の医療費軽減額を考えれば、早期に手続きを行うメリットは非常に大きいといえるでしょう。

世帯所得に応じた月額上限額の設定

自立支援医療制度のもう一つの大きな特徴は、所得に応じて「月額自己負担上限額」が設定されることです。たとえ1割負担であっても、頻繁に通院したり高価な薬を服用したりすると、支払額がかさんでしまうことがあります。この制度では、世帯の所得状況に応じて、1ヶ月の支払いに「これ以上は払わなくて良い」というストップがかかります。

例えば、市民税が非課税の世帯であれば、月額の上限は2,500円や5,000円といった非常に低い金額に設定されます。また、一定以上の所得がある世帯でも、継続的に高額な医療費がかかる「重度かつ継続」という区分に該当すれば、上限額が設定される仕組みになっています。これにより、毎月の医療費をあらかじめ予測可能な範囲に収めることができ、経済的なパニックを防ぐことが可能です。

上限額に達した後は、その月の通院や投薬の費用は窓口で支払う必要がありません。薬局での支払いも同様です。この上限額管理は「自己負担上限額管理票」という冊子を使って行われます。受診のたびに医療機関に提示し、累計額を記録してもらうことで、制度の恩恵を確実に受けることができます。

有効期限と更新手続きの注意点

自立支援医療の受給者証には、原則として1年間の有効期限があります。期限が切れてしまうと、自動的に3割負担に戻ってしまうため、継続的な更新手続きが欠かせません。更新の手続きは、有効期限が切れる3ヶ月前から行うことができます。うっかり忘れてしまわないよう、スマートフォンのカレンダーや自宅の目立つ場所にメモを残しておくことをおすすめします。

更新の際、病状に大きな変化がなければ、2年に1回は診断書の提出を省略できる場合があります。これを「再認定(診断書省略)」と呼びます。ただし、所得を確認するための書類(課税証明書など)は毎年必要になることが多いため、役所の案内をよく確認しましょう。また、住所や氏名、保険証、通院する病院や薬局が変わった場合も、その都度変更の手続きが必要になります。

もし有効期限を過ぎてしまった場合、再申請という形になり、新しい受給者証が届くまでの間は一時的に3割負担で支払わなければならない期間が生じることがあります。経済的な安心を途切れさせないためにも、早め早めの行動が大切です。福祉窓口や相談支援専門員と連携し、余裕を持って準備を進めていきましょう。

💡 ポイント

自立支援医療は「指定した病院と薬局」でのみ有効です。受給者証に記載されていない医療機関では1割負担にならないため、転院する際は必ず変更届を出しましょう。


精神障害者保健福祉手帳による付帯サービス

手帳を持つことで得られる公共料金の割引

精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を所持していると、医療費以外にも通院や日常生活を支える様々な優遇措置を受けることができます。特に通院に際して助けとなるのが、公共交通機関の運賃割引です。多くの自治体では、手帳の提示により、バスや地下鉄の運賃が半額になる制度を導入しています。最近では、民間の鉄道会社でも精神障害者向けの割引を拡大する動きが広がっています。

また、NHK受信料の全額または半額免除、携帯電話料金の割引(各社の障害者割引プラン)、上下水道料金の減免など、家計の固定費を削減できるサービスが豊富です。これらの割引で浮いたお金を、通院のためのタクシー代や、自分へのご褒美に充てることができれば、生活の質を底上げすることにつながります。手帳は「障害の証明」であると同時に、社会があなたを支えるための「会員証」のようなものだと考えてみてください。

さらに、税金面での優遇も見逃せません。所得税や住民税の「障害者控除」が適用されるため、働いている方や家族の扶養に入っている方は、納める税金が少なくなります。これにより、実質的な手取り収入が増え、治療を継続するための経済的体力が養われます。手帳の申請には、初診日から6ヶ月経過していることなどの条件がありますが、主治医と相談して検討する価値は十分にあります。

自動車の利用と駐車場料金の優遇

電車やバスでの移動がパニック発作や対人恐怖により困難な方にとって、自家用車は重要な通院手段です。障害者手帳を持っていると、自治体によっては自動車税や軽自動車税の減免を受けられる場合があります(等級や所得、使用目的による制限があります)。また、有料道路の通行料金が50%割引になる制度も存在します。

外出先での大きな負担となるのが駐車場代ですが、公立の病院や美術館、公園などの公共施設では、手帳を提示することで駐車場料金が無料または大幅に割引されることが一般的です。最近では民間のコインパーキングでも、障害者割引を導入している場所が増えています。通院先の病院の駐車場についても、事前に割引制度があるか確認しておくと安心です。

ただし、精神障害者手帳の場合、自治体によって割引の範囲や内容が大きく異なるのが現状です。例えば、東京都では独自のシルバーパスやタクシー券の配布がある一方で、他の県では内容が異なることがあります。自分の住んでいる地域の福祉のしおりや、自治体のホームページをチェックして、利用できる権利を余すことなく活用しましょう。

美術館やレジャー施設の活用でメンタルケア

通院のついでに、少し足を伸ばしてリフレッシュすることも大切な治療の一環です。障害者手帳を提示すれば、多くの国立博物館や美術館、動物園、さらには映画館やテーマパークなどの入場料が割引(多くの場合は半額、施設によっては無料)になります。介助者1名まで同額の割引が適用されるケースも多いため、ご家族や友人と一緒に利用しやすいのが特徴です。

「病気だから家にいなければならない」と自分を閉じ込めてしまうと、かえって症状が悪化してしまうことがあります。手帳を活用して安価に文化的な刺激を受けたり、動物に癒やされたりすることは、心のエネルギーを補給するために非常に効果的です。通院日を「単なる受診の日」から「ちょっとしたお出かけの日」に変えることで、外出への意欲を高めることができます。

最近では、スマートフォンのアプリ「ミライロID」に手帳の情報を登録することで、カードタイプの手帳を持ち歩かなくても画面を提示するだけで割引が受けられる施設が増えています。これにより、窓口での提示もスマートに行えるようになり、心理的な負担も軽減されています。新しい技術も取り入れながら、社会とのつながりを楽しんでみましょう。

✅ 成功のコツ

「障害者割引」という言葉に抵抗を感じるかもしれませんが、これは社会参加を促すための正当な権利です。浮いたお金で、美味しいランチや趣味の時間を楽しんでみませんか。


通院の移動を助ける福祉サービスとタクシー助成

移動支援(ガイドヘルプ)の活用

「一人で電車に乗るのが怖い」「病院までの道中でパニックにならないか不安」という方にとって、移動の付き添いは切実な願いです。こうしたニーズに応えるのが移動支援事業です。これは各自治体が実施している地域生活支援事業の一つで、ガイドヘルパーが同行して、外出時の安全確保や移動の介助を行ってくれるサービスです。

精神障害のある方の場合、単に歩行を助けるだけでなく、人混みを避けるルートを選んだり、気分が悪くなった際に適切な休息を促したりといった、精神的なサポートが中心となります。通院だけでなく、役所への手続きや、生活必需品の買い物、余暇活動のための外出にも利用できる場合があります。ただし、自治体によって利用できる条件や時間数に制限があるため、相談支援専門員に確認が必要です。

ヘルパーさんと一緒に通院することで、「もし何かあっても助けてもらえる」という安心感が生まれ、徐々に一人で外出できる自信を取り戻していく方も多くいます。一人で頑張りすぎて通院が途切れてしまうより、プロの力を借りて確実に受診を続けることが、回復への近道です。このサービスは障害福祉サービス受給者証が必要になりますので、ケアプランの一部として検討してみましょう。

タクシー利用料金の助成制度

バスや電車が使えないほど体調が悪いとき、タクシーは命綱になります。多くの自治体では、重度の障害者(手帳1級・2級など)を対象に、タクシー券を配布したり、乗車料金の一部を助成したりする制度を設けています。1枚あたり500円前後の金券が年間数十枚つづりで交付される形式が多く、通院の際の金銭的負担を大きく軽減してくれます。

精神障害者手帳の場合、自治体によって1級のみが対象だったり、3級まで広く対象にしていたりと、地域格差が大きいのが実情です。また、自動車税の減免を受けているとタクシー券はもらえないという「選択制」をとっている自治体もあります。自分がどちらを選んだ方が生活にフィットするか、年間の通院頻度を考慮して計算してみるのが良いでしょう。

さらに、全国のタクシー会社で共通して行われているのが「障害者割引(1割引)」です。これはタクシー券とは別のもので、乗車時に手帳を提示するだけで運賃が10%引きになります。タクシー券と併用できる場合がほとんどですので、忘れずに提示しましょう。最近のタクシー配車アプリでも、あらかじめ手帳情報を登録しておくことで割引が自動適用されるものがあり、非常に便利になっています。

精神科訪問看護という選択肢

どうしても病院に行くことができないほど状態が悪い場合、あるいは通院の合間のケアが必要な場合は、精神科訪問看護を利用するのも一つの方法です。看護師や作業療法士が自宅を訪問し、薬の管理や体調の確認、対人関係の悩み相談などを行ってくれます。これは「通院支援」というよりは「在宅での治療継続」を支えるサービスです。

訪問看護の費用も、前述の「自立支援医療」の対象となります。1割負担で、かつ月額上限額の範囲内で利用できるため、経済的な負担を抑えつつ専門的なケアを受けることが可能です。訪問看護を通じて外の世界とのつながりを保ち、少しずつ体力をつけて、再び外来通院ができるようにステップアップしていく。そんな「踊り場」のような役割を訪問看護は果たしてくれます。

訪問看護を利用するには、主治医の発行する「訪問看護指示書」が必要です。診察時に「最近、通院するのがやっとで、家での生活がボロボロです」と正直に伝えてみてください。医師が訪問看護の必要性を判断すれば、手続きが進みます。家に来てもらうことで、病院では話しにくい日常の些細な困りごとも共有しやすくなり、治療の精度が高まるメリットもあります。

サービス名 主な内容 メリット
移動支援 ヘルパーによる外出の同行 安全な移動、パニック時の対応
タクシー券・割引 乗車料金の助成、10%割引 通院費の節約、ドア・ツー・ドアの移動
訪問看護 専門職による自宅訪問ケア 通院困難時の治療継続、薬の管理

⚠️ 注意

移動支援やタクシー券のルールは自治体ごとに驚くほど異なります。隣の市では使えても自分の市では使えない、といったことがよくあるため、必ず地元の福祉課で確認しましょう。


経済的困窮を救う生活保護と医療扶助

医療扶助による自己負担なしの治療

病気のために働くことができず、貯金も底をついてしまったという状況でも、治療を諦める必要はありません。生活保護制度を利用すれば、生活費の支給とともに「医療扶助」を受けることができます。医療扶助が適用されると、精神科の受診費用やお薬代、さらには入院費用も含め、自己負担額は原則として0円になります。

生活保護を受けることは、決して「恥ずかしいこと」でも「甘え」でもありません。病気を治し、再び社会とつながるための権利です。自立支援医療を使ってもなお医療費の支払いが困難なほど困窮している場合は、早めに福祉事務所(役所の生活保護担当窓口)へ相談に行ってください。通院のための交通費についても、ハローワークへの求職活動や通院目的であれば、「移送費」として支給される場合があります。

ただし、医療扶助を受ける場合は、事前にケースワーカーに連絡し「医療券」の発行を受けるか、指定の医療機関を受診する必要があります。また、ジェネリック医薬品の使用が原則となるなどのルールもあります。生活の基盤が整うことで、心に余裕が生まれ、治療の効果も上がりやすくなります。まずは今の経済状況を包み隠さず相談することから始めてみましょう。

無料低額診療事業の活用

生活保護を申請するほどではないけれど、一時的に医療費の支払いが困難…という状況の方には、無料低額診療事業を行っている病院があります。これは、生活困窮者が経済的理由により必要な医療を受ける機会を制限されないよう、社会福祉法人などが運営する病院が、無料または低額で診療を行う制度です。

この事業の対象者は、低所得者、DV被害者、ホームレス状態の方など多岐にわたります。減免される金額や条件は各医療機関によって異なりますが、窓口で事情を説明し、MSW(ソーシャルワーカー)などの相談員に相談することで、支払いの免除や軽減を受けられる可能性があります。公的な自立支援医療の申請が通るまでの「つなぎ」として利用するケースもあります。

全国の多くの済生会病院や民医連(民主医療機関連合会)に加盟する病院などで実施されています。「お金がないから病院に行けない」と放置して病状を悪化させてしまうのが、最も避けるべき事態です。地域の保健師や地域包括支援センターに、「無料低額診療を行っている病院は近くにありますか?」と尋ねてみるのも一つの手です。

高額療養費制度との併用

もし病状が悪化し、入院が必要になった場合に覚えておきたいのが高額療養費制度です。これは、1ヶ月の医療費が一定額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた分が後から払い戻される、あるいは事前に申請することで窓口での支払いを上限までに抑えられる健康保険の制度です。自立支援医療は「通院」が対象ですが、入院の場合はこの高額療養費制度が中心となります。

精神科の入院は数ヶ月に及ぶことも少なくありませんが、この制度があることで、莫大な医療費を請求される心配はありません。また、所得が低い世帯にはさらに低い上限額が設定されており、さらに「食事代の減額」などのサポートも併用できます。入院が決まったら、病院の事務局やソーシャルワーカーに「限度額適用認定証」の申請について相談しましょう。

このように、日本の医療制度は「通院は自立支援医療」「入院は高額療養費制度」という二段構えで、私たちの経済的破綻を防いでくれています。たとえどんなに深刻な状況であっても、救いの手は必ずあります。制度をパズルのように組み合わせて、自分にとって最適な支援の形を作っていきましょう。一人で悩まず、プロの知恵を借りることが大切です。

「お金の心配で眠れない日々が続いていましたが、自立支援医療と高額療養費の話を聞いて、やっと『治療に専念していいんだ』と安心できました。もっと早く相談すればよかったです。」

— 40代・うつ病当事者の声


通院を継続するための具体的なステップと工夫

相談支援事業所を「通院の司令塔」にする

ここまで様々な制度を紹介してきましたが、「自分にどの制度が合っているか分からない」「手続きが複雑で手が出せない」と感じるのも無理はありません。そこで、あなたに代わって、あるいはあなたと一緒に、制度を整理し活用するお手伝いをしてくれるのが相談支援事業所です。ここに所属する「相談支援専門員」は、福祉のコーディネーターです。

相談支援専門員は、あなたの体調や希望を聞き取り、自立支援医療の更新時期を教えてくれたり、移動支援のヘルパー事業所を探してくれたり、役所の手続きを同行してくれたりと、通院を継続するための「司令塔」の役割を果たしてくれます。この相談自体は無料で行える自治体がほとんどです。まずは地域の「基幹相談支援センター」に電話をして、「通院が大変なので、サポートしてくれる相談員さんを探しています」と伝えてみてください。

信頼できる相談相手がいることで、通院にかかる心理的なエネルギー消費を大幅にカットできます。困りごとを言葉にするのが苦手な場合は、この記事の気になった部分をスマホで見せるだけでも十分です。プロの視点で、あなたの現在の生活に欠けているパズルのピースを見つけ出し、埋めてくれるはずです。自分一人で抱え込まず、支援のネットワークの中に身を置いてみましょう。

スマートフォンのアプリで体調管理と通院を楽しく

最近では、デジタルの力を借りて通院をサポートする工夫も増えています。例えば、「お薬手帳アプリ」を活用すれば、スマートフォンの通知で薬の飲み忘れを防げるだけでなく、過去の処方履歴をグラフで確認できます。また、カレンダーアプリに通院日を入れ、病院の住所を登録しておけば、出発時間に通知が届き、乗り換え案内までスムーズに表示されます。

さらに、自分の気分や睡眠時間をスタンプで記録できる「感情日記」のようなアプリもおすすめです。診察の際、医師に「最近どうですか?」と聞かれて言葉に詰まっても、スマホのグラフを見せるだけで正確な状況が伝わります。これは「症状の可視化」と呼ばれ、治療方針を決定する上で医師にとっても非常に助かる情報になります。便利な道具はどんどん使い倒しましょう。

また、通院のモチベーションを保つために「通院帰りの小さな楽しみ」を決めておくのも一つのコツです。「帰りにあのカフェで好きな紅茶を飲む」「本屋さんに寄って一冊だけ本を買う」など、病院とセットでポジティブなイベントを作ることで、重い腰が上がりやすくなります。通院は自分を大切にするための時間です。自分なりの「通院ルーチン」をデザインしてみてください。

主治医や薬剤師との「コミュニケーション」の工夫

通院を形だけのものにせず、より効果的なものにするためには、医療従事者との対話が欠かせません。しかし、診察室に入ると緊張してしまい、本当に話したいことが話せなくなるのはよくあることです。そこでおすすめなのが「質問メモ」の活用です。診察の前に、聞きたいことや伝えたいことを3つだけ箇条書きにして紙に書いて持っていきましょう。

「最近、昼間に眠気が強くて困っている」「薬代をもう少し安くできないか(ジェネリックへの変更など)」「自立支援医療の更新が近いので書類をお願いしたい」など、メモがあれば伝え漏れがなくなります。また、薬剤師さんも非常に重要な相談相手です。薬局は病院に比べて少しリラックスして話しやすい場合が多いので、副作用の不安や飲み方の工夫について、積極的に尋ねてみてください。

もし主治医との相性がどうしても合わず、通院自体が苦痛になっている場合は、セカンドオピニオンを検討したり、転院を考えたりするのも一つの正当な選択です。治療の主体はあくまであなた自身です。あなたが「この先生なら信じられる」と思える環境を整えることが、結果として最も効果的な通院支援になります。自分を守るためのワガママは、治療においては「必要な意思表示」です。

💡 ポイント

メモを書くのが大変なときは、録音(医師の許可を得て)したり、家族や付き添いのヘルパーさんに代わりに伝えてもらったりしても構いません。手段は何でも良いのです。


よくある質問(FAQ)

Q. 自立支援医療を受けると、会社に障害があることがバレてしまいますか?

結論から申し上げますと、自立支援医療の利用だけで会社に知られることはありません。この制度の手続きは、あくまで本人(または家族)と市区町村、および医療機関の間で行われるものです。健康保険証とは別の「受給者証」というカードが発行され、それを通院先の窓口で提示するだけですので、会社の健康保険組合に詳細な受診内容が筒抜けになることはありません。ただし、障害者手帳を取得して「障害者雇用」枠で働く場合や、税金の障害者控除を年末調整で行う場合には、会社に伝える必要があります。プライバシーは守られていますので、安心して制度を活用してください。

Q. 自分が対象になるかどうか、どこで確認すればいいですか?

まずは通院している病院の受付や、ケースワーカーに尋ねるのが一番早いです。もしこれから病院を探す段階であれば、お住まいの地域の「保健所」や「精神保健福祉センター」へ電話をして、状況を説明してみてください。また、役所の「障害福祉課」でも制度の概要を教えてもらえます。自分では「そんなに重い病気じゃないし…」と思っていても、継続的な通院が必要であれば対象になるケースがほとんどです。自己判断で諦めてしまう前に、専門職に「今の私の状況で使える制度はありますか?」と一言聞いてみることが、解決の扉を開く第一歩になります。

Q. 制度の申請から利用開始まで、どれくらい時間がかかりますか?

自立支援医療の場合、窓口で申請書類を提出してから、手元に受給者証が届くまでは、自治体によりますが概ね1ヶ月から2ヶ月程度かかります。ただし、申請したその日から「申請中」であることを証明する控え(申請書の写しなど)を病院や薬局に提示すれば、その日から1割負担で対応してくれる医療機関も多いです(後日精算になる場合もあります)。障害者手帳の場合はさらに時間がかかり、2ヶ月から3ヶ月程度見ておく必要があります。どの制度も「思い立ったらすぐ」が基本ですので、必要性を感じたら、次の通院日に合わせて動き出すのがベストです。


まとめ

精神障害者の通院を支える制度やサービスについて、多岐にわたる内容を解説してきました。最後に、大切なポイントを整理します。

  • 医療費は自立支援医療で1割に:経済的な負担を最小限に抑え、所得に応じた上限額で家計を守りましょう。
  • 手帳は社会参加のパスポート:交通費の割引やレジャー施設の優遇など、日常を豊かにする特典を使い倒しましょう。
  • 移動支援とタクシー券を賢く使う:外出の不安をヘルパーさんや助成制度でカバーし、通院を「確実なもの」にしましょう。
  • 相談相手を複数持つ:主治医だけでなく、相談支援専門員やケースワーカーなど、味方を増やしてチームで挑みましょう。

通院を続けることは、時に大きなエネルギーを必要としますが、それを支えるための「仕組み」は、思っている以上にたくさん存在します。すべてを一人で解決しようとしなくて良いのです。制度というバトンをうまく繋ぎながら、あなたのペースで歩みを進めていってください。

次のアクションとして、まずは次回の診察時に主治医や受付の方へ「自立支援医療について詳しく教えてください」と声をかけてみることから始めてみませんか。あるいは、お住まいの地域の「福祉のしおり」を役所でもらってくるだけでも、新しい発見があるはずです。あなたの明日が、今日よりも少しだけ軽やかで安心なものになることを、心から応援しています。

高橋 健一

高橋 健一

たかはし けんいち50
担当📚 実務経験 25
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会福祉士

市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。

大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

将棋、歴史小説

🔍 最近気になっているテーマ

マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展

📢 この記事をシェア

関連記事