小さく始める副業・兼業モデルのすすめ

小さく始める副業・兼業モデルのすすめ:リスクを抑えた新しい働き方
「現在の仕事を続けているけれど、収入を増やしたい」「将来的にフリーランスとして独立したいが、いきなり本業を辞めるのは怖い」—。このような思いを持つ障害のある方は多いのではないでしょうか。体調の波や特性を抱えている場合、収入源を一本に絞ることには、大きなリスクが伴います。
そこで注目したいのが、「小さく始める副業・兼業モデル」です。これは、今の生活基盤や収入を維持しながら、無理のない範囲で自分のスキルや特性を活かした仕事を始める方法です。このモデルは、障害のある方にとって、経済的なリスクを抑えつつ、自分らしい働き方を見つけるための非常に有効な「橋渡し」となります。この記事では、副業・兼業の具体的な始め方、仕事の選び方、そして両立のための体調管理術を詳しく解説します。
副業・兼業モデルがもたらす最大のメリット
副業・兼業は、単に収入を増やすためだけのものではありません。働きづらさを抱える方にとって、本業では得られない重要なメリットをもたらします。
経済的・精神的なリスクの分散
収入源が一つしかない場合、体調不良や会社の都合でその仕事を失うと、生活基盤全体が揺らいでしまいます。副業を持つことで、収入源が複数に分散され、経済的なセーフティネットが広がります。
これは、精神的な安心感にも繋がります。本業に過度なプレッシャーを感じることなく、「もしうまくいかなくても、もう一つ収入の柱がある」という心理的な余裕が生まれます。この余裕は、体調の安定にも良い影響をもたらすでしょう。
💡 ポイント
副業は、将来的に本業の収入が不安定になった際や、独立を目指す際の「保険」のような役割を果たします。
スキルアップと市場価値の試用
副業は、自分の特性や興味が、本当に市場で通用するのかどうかを、低リスクで試せる絶好の機会です。新しいスキルを試す「練習の場」として活用できます。
- スキルの磨き:本業では活かせない特定のスキル(例:デザイン、特定のプログラミング)を、実務を通じて磨くことができます。
- 適性の確認:将来的に独立したい分野(例:Webライティング)が、自分の体調や生活ペースに本当に合っているかを、収入を得ながら確認できます。
- 実績作り:副業で得た実績は、将来的にフリーランスとして独立する際の強力なポートフォリオになります。
この過程で、「これは自分には合わない」とわかったら、すぐに撤退できる柔軟さも、副業の大きなメリットです。
小さく始めるための具体的な副業モデル
働きづらさを抱える方にとって、通勤や対人コミュニケーションの負担が少ない「在宅で完結しやすい」副業モデルを選ぶことが成功の鍵となります。
在宅で完結するWeb・IT系業務
Web・IT系の副業は、初期投資が少なく、自分のペースで作業を進められるため、特性のある方におすすめです。クラウドソーシングサイト(ランサーズ、クラウドワークスなど)を通じて簡単に仕事を見つけられます。
| 業務例 | 特性の活かし方 |
|---|---|
| Webライティング | リサーチ力、情報整理能力、ASDの特定の専門分野への知識 |
| データ入力・文字起こし | 高い集中力、反復作業への耐性、在宅で静かな環境を確保できる |
| バナーデザイン | 視覚的なこだわり、独特な色彩感覚や構成力 |
| SNS運用代行 | トレンドへの興味、素早い情報処理能力(ADHDの特性) |
最初は単価の低いタスクから始め、実績と評価を積み重ねることで、徐々に単価の高い案件を受注できるようになります。
経験や知識を活かすアドバイザリー業務
ご自身の障害当事者としての経験や、特定の分野で培った知識を活かして、他者をサポートするアドバイザリー業務も、副業として人気が高まっています。
例えば、「障害福祉サービスの利用経験を活かした相談サービス」「独自の体調管理法に関するオンラインセミナー」「発達障害を持つお子様向けの学習支援」などです。これらの業務は、あなたの経験そのものが商品価値となるため、初期投資はほとんどかかりません。
「本業で経理事務をしていますが、週末に個人で小規模事業者のためのオンライン経理相談を受けています。自分の得意分野で感謝され、自信と収入に繋がっています。」
— 兼業中のHさんのエピソード
ステップ3:副業を始める前の重要チェックリスト
副業・兼業を始める前に、必ず確認し、準備しておくべき法的な側面と、体調管理の仕組みについて解説します。
勤務先の就業規則と手続き
会社員として働いている場合、まずは勤務先の就業規則を確認しましょう。副業を原則禁止している企業、あるいは「申請が必要」としている企業が多くあります。
もし副業が禁止されている場合、無許可で副業をすると懲戒処分の対象となるリスクがあります。申請が必要な場合は、事前に人事担当者や上司に相談し、許可を得てから始めましょう。副業が本業に影響を与えないこと(特に体力的な負担や情報漏洩のリスク)を明確に説明することが重要です。
⚠️ 注意
副業で年間20万円以上の所得(収入から経費を引いたもの)を得た場合、原則として自分で確定申告を行う必要があります。この手続きを忘れると、追徴課税の対象となる場合があります。
障害年金への影響と所得制限の確認
障害年金を受給している方は、副業による収入が年金の支給に影響しないか、事前に確認が必要です。
前述の通り、年金は「働くこと」自体で支給停止されることはありませんが、「20歳前傷病による障害基礎年金」には所得制限が設けられています。副業で得た収入は、経費を差し引いた「所得」として計算されます。年金への影響が心配な場合は、副業を始める前に、年金事務所や社会保険労務士に相談し、所得制限のボーダーラインを確認しておきましょう。
体調と本業のパフォーマンス管理
副業を始めることで、最も懸念されるのは「疲れが溜まり、本業や体調に悪影響が出ること」です。副業は、あくまで「無理のない範囲で、自分の体調を最優先」にして行うべきです。
- 作業時間の明確化:副業は「夜8時から10時まで」など、具体的な時間枠を決め、本業の時間と明確に分離します。
- 休日を確保:最低でも週に1日か2日、仕事から完全に離れる「休息日」を確保し、疲労をリセットします。
- ログの記録:副業を始めたことで、睡眠時間や体調、本業の集中力がどのように変化したかを毎日記録し、負荷が高すぎないか客観的に判断します。
少しでも体調に異変を感じたら、すぐに副業の量を減らす、あるいは一時的に休止する勇気を持ちましょう。
ステップ4:継続的な成長と次のステップ
副業で実績と自信をつけたら、それを継続的な成長、あるいは将来的な独立に繋げるための次のステップを考えましょう。
単価アップとスキルアップの戦略
副業を続ける中で、単価の低い仕事ばかりでは、時間と労力ばかりが消費されてしまいます。成長のためには、単価アップを目指す戦略が必要です。
- 実績の積み重ね:副業で得たクライアントからの高い評価や、具体的な成果(例:ブログのアクセス数アップ)をポートフォリオに記載します。
- スキルの深化:広く浅くではなく、一つの分野(例:SEOライティング)を深く掘り下げ、「専門家」としてのポジションを確立します。
- 提案力の強化:クライアントの指示通りに作業するだけでなく、「もっとこうすれば良くなる」という付加価値を提案できるようにします。
特に、就労移行支援などで専門的なスキルを習得することは、単価アップの交渉材料として非常に有効です。
独立への橋渡しとしての副業
副業で十分な収入と安定した顧客基盤ができた場合、フリーランスとしての独立を本格的に検討する段階に入ります。
独立に踏み切る目安として、「副業の月収が、最低限必要な生活費を6ヶ月以上連続して超えた」といった基準を設定しておくと良いでしょう。この段階で、「個人事業の開業届」や「青色申告承認申請書」の提出、国民健康保険への切り替えなど、正式な独立に向けた手続きを進めます。
✅ 成功のコツ
副業で得た利益は、すぐに使わず、将来の独立のための「事業資金」や「生活予備費」として貯蓄しましょう。この資金が、不安なく独立するための強力な後ろ盾になります。
よくある質問(Q&A)と次のアクション
副業・兼業モデルに関する、よくある質問とその回答をご紹介します。
副業の時間を捻出するにはどうすればいいですか?
副業は、睡眠時間や休息時間を削って行うべきではありません。時間を捻出するには、「本業以外の無駄な時間」を削減することが基本です。
例えば、テレビを見る時間、SNSを漫然とチェックする時間など、日々のルーティンを見直しましょう。また、体調の良い日や時間帯に集中的に作業するなど、ご自身の特性に合わせた「時間効率の最適化」を図りましょう。
確定申告のやり方がわかりません
副業で20万円を超える所得を得た場合に必要な確定申告は、初めての方には難しく感じられます。
しかし、現在ではクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して、ほとんどの取引を自動で記帳できます。また、地域の税理士や税務署の無料相談窓口、または就労移行支援事業所の講座などで、確定申告の基礎を学ぶことができます。
次のアクションとして具体的に何をすればいいですか?
副業・兼業モデルに関心を持たれたら、まず行うべきアクションは以下の通りです。
✅ 成功のコツ
まずは、現在の勤務先の就業規則を確認し、同時に、クラウドソーシングサイトに登録して「自分にできそうな案件」をリサーチし、市場の感覚を掴みましょう。
まとめ
- 副業・兼業は、経済的リスクを分散し、本業では得られないスキルや実績を低リスクで積み上げられる最適な方法です。
- 始める前に、勤務先の就業規則と障害年金への影響を必ず確認し、体調を最優先した作業計画を立てましょう。
- 副業で得た収入は、将来の独立のための事業資金や生活予備費として貯蓄し、継続的な成長のための投資に充てましょう。

伊藤 真由美
(いとう まゆみ)33歳📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士
特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。
大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ハンドメイド、音楽鑑賞
🔍 最近気になっているテーマ
発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み





