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発達障害の方が一般就労で活躍するためのポイント

📖 約35✍️ 伊藤 真由美
発達障害の方が一般就労で活躍するためのポイント
発達障害の方が一般就労で活躍するには、4つの戦略が必要です。戦略1は、自己理解を深め、特性を「強み」として活かせる職務を、具体的な実績(データ)を準備して選定すること。戦略2は、合理的配慮を「能力を発揮するツール」と捉え、具体的かつ実行可能な内容を文書化し、主体的に活用すること。戦略3は、報連相を定型化・仕組み化し、コミュニケーションの曖昧さを排除する戦略を徹底すること。戦略4は、体調の波をデータで記録し、セルフマネジメント能力の高さを企業に示し、支援機関を巻き込んだ長期的なサポート体制を構築することです。

「自分は発達障害の特性(ASD、ADHDなど)を持っているが、一般就労で本当に能力を発揮できるのだろうか?」「集中力やコミュニケーションの苦手さを、職場はどう理解してくれるだろうか?」と、一般就労での活躍に不安を抱えていませんか?

発達障害の特性は、確かに職場での一般的なルールやコミュニケーションに困難をもたらすことがあります。しかし、一方で、特定の分野で高い集中力、細部へのこだわり、論理的な思考力といった、定型発達の方にはない際立った「強み」を持っています。重要なのは、この強みを最大限に活かし、苦手な部分を環境調整(合理的配慮)で補う戦略です。

この記事では、発達障害を持つ方が一般就労(特に障害者雇用)で長期的に活躍するために必要な「4つの戦略的なポイント」を徹底解説します。具体的には、「自己理解の深化」「効果的な合理的配慮の活用」「コミュニケーション戦略」「専門性への集中」に焦点を当て、特性を武器に変えて活躍するための具体的なロードマップをご紹介します。

この記事を読むことで、不安を自信に変え、あなたのユニークな能力が企業にとって不可欠な「戦力」となるための、明確な行動指針を得られるでしょう。


戦略1:特性を「強み」に変える徹底した自己理解と職務選定

活躍の土台は、自分の特性が「どのような環境で」「どのような業務で」最も能力を発揮できるかを客観的に知ることです。単なる苦手克服ではなく、「強みの発揮」に焦点を当てましょう。

(1)「凹凸」の具体的な言語化と職務とのマッチング

発達障害の特性は、「凹(苦手)」の部分と「凸(得意)」の部分が極端に分かれることが特徴です。まずは、その凹凸を客観的かつ具体的な言葉で整理しましょう。

  • 凹(苦手)の例:「マルチタスク」「突発的な電話対応」「周囲の雑音」「曖昧な指示」
  • 凸(得意)の例:「反復性の高い作業」「データ分析」「視覚的な情報処理」「特定の分野への知識の深さ」

この凹凸の分析に基づき、凸の部分を活かせる職務(例:データ入力、プログラミング、経理のチェック業務など)に集中し、凹の部分を合理的配慮で補うという職務選定を徹底します。特に、「一人で集中できる環境」「視覚情報が多い環境」での職務を探しましょう。

(2)「仕事の強み」を裏付ける具体的な実績の準備

自分の特性を強みとしてアピールする際、抽象的な説明では企業に響きません。就職活動前に、強みを裏付ける具体的な実績(エビデンス)を準備しましょう。

  • 実績の例「就労移行支援でデータ入力訓練を行い、3ヶ月間でミス率を〇〇%に抑えた」「職場実習で、資料作成のマニュアルを定型化し、他の社員の業務時間を〇〇時間短縮した」といった、数値や成果で示せる実績。
  • 資格・スキル:特性を活かせる分野(ITパスポート、簿記、MOSなど)の資格を積極的に取得し、「特性=高い専門性」というイメージを企業に与えましょう。

この実績は、企業に「特性を理解し、自己管理ができている人材だ」という信頼感を与え、あなたの採用リスクを大幅に下げます。


戦略2:合理的配慮を「能力を発揮するツール」として活用する

発達障害の方が活躍するためには、環境調整(合理的配慮)を「遠慮すべきこと」ではなく、「能力を最大限に発揮するためのツール」と捉え、主体的に活用することが重要です。

(3)「具体的かつ実行可能」な配慮要求の文書化

最も効果的な配慮とは、企業の負担が少なく、あなたの能力向上に直結するものです。配慮事項は、必ず「具体的な行動」で文書化しましょう。

  • 曖昧な要求:「曖昧な指示は苦手なので、察してください」
  • 具体的な要求「新しい業務の指示は、必ず箇条書きにしたメールで送ってください。口頭指示の場合は、復唱確認を徹底します」
  • 環境調整の例「聴覚過敏があるため、業務中はノイズキャンセリングヘッドホンの使用を許可してください」「集中力を維持するため、席は人の流れが少ない壁際を希望します」

この文書(個別支援計画)を、就労支援員を通じて企業の人事・現場上司の三者で共有し、入社時に合意しておくことが、後のトラブルを防ぎ、安定就労を維持する生命線となります。

(4)配慮を「自らコントロール」し、依存しない姿勢

合理的配慮は、一生変わらないものではありません。活躍できる人は、配慮に完全に依存するのではなく、自分の成長に合わせて配慮を段階的に見直す努力を続けます。

  • 自己調整疲労度が高い日や体調の波がある日だけ配慮を強く求める(例:今日は残業免除、明日は電話応対を代わってもらう)といった、自身の状態に応じた柔軟なセルフマネジメントを行います。
  • 配慮の卒業:業務に慣れてきたら、「指示は文書だけでなく、口頭指示でメモを取る練習を始めたい」といった、段階的な配慮の見直しを支援員を通じて企業に提案しましょう。

この主体的な姿勢が、企業に「この人は成長意欲があり、将来的に能力を発揮してくれる」という高い評価を与えることに繋がります。


戦略3:職場での「コミュニケーション戦略」と報連相の徹底

発達障害の方が最も苦労しやすいのが、職場での非言語的な情報交換や雑談、曖昧な指示の解釈です。活躍するためには、コミュニケーションを「戦略」として捉え、仕組み化することが必要です。

(5)「報連相(報告・連絡・相談)」の仕組み化と定型化

報連相は、企業にとって「あなたの仕事の進捗を管理し、ミスを防ぐ」ための最も重要なツールです。この報連相を、特性に合わせて仕組み化しましょう。

  • 報告の定型化「報告の際は結論から話し、詳細なデータはメールに添付する」「作業を開始・終了する際は、必ず上司にメールで一報入れる」など、報告の頻度、形式、内容を定型化します。
  • 曖昧さの解消:「多分」「だいたい」といった曖昧な言葉を使わず、「数字」「日時」「具体的な行動」で伝えることを徹底します。指示が曖昧な場合は、必ず「〇〇ということですか?」と、復唱確認と疑問点の明確化を行いましょう。

この報連相の仕組み化は、あなたの業務遂行能力を高めるだけでなく、上司や同僚のあなたへの信頼度を飛躍的に高めます

(6)「雑談・休憩時間」を戦略的にマネジメントする

非定型的なコミュニケーションである雑談や休憩時間は、多くの発達障害を持つ方にとってストレス源となりがちですが、無視すると人間関係で孤立し、定着に悪影響が出ます。戦略的なマネジメントが必要です。

  • 雑談の定型化:雑談の話題が理解できない場合は、「週末は何をされていたんですか?」「そのニュースについて詳しく教えてください」といった、定型的な質問や相槌をあらかじめ用意しておきましょう。
  • 休憩時間の確保:感覚過敏や対人ストレスがある場合は、「ランチは静かな場所で一人で食べる」「休憩時間は、ノイズキャンセリングを使用して短時間だけリフレッシュする」といった、あなたの心身を休ませるための合理的配慮を求めましょう。

すべてに参加する必要はありません。ストレスにならない範囲で、良好な人間関係を維持するための「最小限の戦略的交流」に徹しましょう。


戦略4:安定就労のための「体調と生活基盤のセルフマネジメント」

発達障害の方の活躍を支える土台は、仕事のスキルではなく、体調と生活リズムの安定です。セルフマネジメント能力の高さが、企業からの信頼に繋がります。

(7)「体調の波」をデータで記録し、早期に介入する

体調の波が、業務のミスや遅刻欠勤に繋がる前に、自身の心身の状態を客観的なデータで記録し、早期に介入する仕組みを持ちましょう。

  • データ記録毎日の「睡眠時間」「疲労度(10点満点)」「特定の業務ミス件数」などを記録し、悪化のサインを明確にします。
  • 介入ルール:疲労度が一定ライン(例:8点以上)を超えたら、「翌日の残業は必ず断る」「定着支援員との面談を繰り上げて依頼する」といった、具体的な介入ルールを設けます。

このデータに基づいたセルフマネジメントは、「この人は自己管理ができている」という、企業にとって最も安心できる情報となります。

(8)「支援機関」を巻き込んだ、長期的な安定就労の構築

発達障害の方が長期的に活躍し続けるためには、職場(上司)、本人、そして外部支援機関(定着支援員)が三位一体となったサポート体制を維持することが重要です。

  • 定着支援の継続:就職後も、就労定着支援を積極的に活用し、定期的に職場訪問や三者面談(本人・上司・支援員)を実施してもらいます。
  • 第三者の客観性:支援員は、あなたが直接言いにくい課題(例:配慮の不履行、業務負荷の増加)を、企業側の事情も考慮した上で、専門家として客観的に調整してくれます。

あなたの活躍は、あなた一人の努力ではなく、支援機関と家族が築く「強固なサポート体制」によって実現します。


まとめ

発達障害の方が一般就労で活躍するためには、特性を克服しようとするのではなく、特性を「強み」に変え、「環境調整」で苦手な部分を補うという「戦略的な働き方」への転換が必要です。

徹底した自己理解に基づき、特性を活かせる職務を選び、具体的かつ実行可能な合理的配慮を文書化しましょう。報連相の仕組み化といったコミュニケーション戦略を実践し、セルフマネジメント能力の高さを企業に示し続けることが、長期的な活躍の鍵となります。不安なことは一人で抱え込まず、就労支援の専門家を積極的に活用してください。

  • 特性を「強み(凸)」と「苦手(凹)」に分けて言語化し、職務を選定する。
  • 配慮を「能力を発揮するツール」と捉え、具体的かつ文書化する。
  • 報連相を「定型化・仕組み化」し、コミュニケーションの曖昧さを排除する。
  • 体調の波をデータで記録し、支援機関を巻き込んだサポート体制を維持する。

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

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