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業務が合わないときにどうする?配置転換の相談方法

📖 約57✍️ 菅原 聡
業務が合わないときにどうする?配置転換の相談方法
就職後に業務内容や環境が自分の障害特性と合わないと感じたとき、どのように「配置転換(部署異動)」を会社に相談すべきかを解説したガイド記事です。ミスマッチの原因を整理する自己分析の重要性、就労支援員など専門家と連携した「見える化」のステップ、会社側のメリットも踏まえた納得感のある伝え方を2026年現在の視点で詳しく紹介。実際の成功エピソードやFAQを通じ、「逃げ」ではなく「適材適所」を目指すポジティブなアクションを提案し、長期的な安定就労をサポートします。

自分らしく輝ける場所を探そう——業務が合わないときの配置転換相談ガイド

「今の仕事、一生懸命頑張っているけれどどうしてもミスが減らない」「職場の環境が自分の特性に合わず、毎日疲れ果ててしまう」……。そんな悩みを一人で抱えてはいませんか。障害者雇用や一般就労で働き始めたものの、実際に業務をこなしてみる中で「自分にはこの仕事は合っていないのかもしれない」と感じることは、決して珍しいことではありません。

それはあなたの努力不足や能力の欠如ではなく、単に「現在の業務内容とあなたの特性のミスマッチ」が起きているだけかもしれません。2026年現在の労働環境では、個々の強みを活かす適材適所の考え方が非常に重視されています。この記事では、業務が合わないと感じたときに「配置転換(部署異動)」をどのように相談し、より自分らしく働ける環境を見つけていくべきか、その具体的なステップを詳しく解説します。


「業務が合わない」と感じる原因を整理する

障害特性と業務内容のミスマッチ

まず大切なのは、何が原因で「合わない」と感じているのかを客観的に見つめ直すことです。例えば、発達障害の特性によりマルチタスクが苦手なのに、電話応対をしながらデータ入力をする業務を担当している場合、脳への負荷が限界を超えてしまいます。これは根性で解決できる問題ではなく、「構造的なミスマッチ」です。

また、精神障害のある方であれば、特定の対人ストレスや不規則なスケジュールが体調悪化の引き金になることもあります。何が自分のエネルギーを奪い、何がミスの原因になっているのか。まずは「感覚」を「事実」として書き出してみましょう。2025年の厚生労働省の調査でも、離職理由の多くは「業務内容の不適合」が上位にランクインしています。早めの自己分析が、長期就労への第一歩となります。

作業環境や人間関係の影響

仕事の内容そのものではなく、周囲の「環境」が障壁になっている場合もあります。オフィスの照明が明るすぎたり、周囲の話し声が気になったりといった感覚過敏の問題や、上司の指示の出し方が曖昧で何をすればよいか分からないといった状況です。これらは配置転換によって解決できる場合もあれば、現在の部署での「合理的配慮」の改善で解決できる場合もあります。

配置転換を検討する前に、「環境さえ変われば今の仕事は続けたいのか」それとも「仕事内容自体を変えたいのか」を切り分けて考えることが重要です。人間関係がつらい場合も、特定の個人との相性が悪いのか、それとも部署全体の雰囲気が合わないのかを冷静に判断しましょう。「どこに原因があるか」が明確になれば、相談の方向性も定まってきます。

自分自身の「強み」を再発見する

「できないこと」ばかりに目が向いているときは、心が折れやすくなります。しかし、今の業務が合わないからといって、すべての仕事ができないわけではありません。例えば「事務作業は苦手だけれど、商品の陳列や在庫管理は正確にできる」「電話は怖けれど、メールの文章作成は得意」といったように、必ずあなただけの「強み(ストレングス)」があるはずです。

配置転換の相談とは、単に「嫌なことから逃げる」ことではなく、「自分の強みを最大限に発揮できる場所へ移動する」というポジティブな提案です。自分の得意分野をリストアップしておくことは、会社側にとっても「どこにあなたを配置すれば会社に貢献してもらえるか」を判断する貴重な材料になります。自分の価値を信じることから、相談の準備は始まります。

💡 ポイント

「合わない」と感じるのは、あなたが成長しようとしている証拠です。自分の特性を責めるのではなく、パズルのピースをはめ直すような気持ちで整理してみましょう。


配置転換を相談するための「3ステップ」

ステップ1:支援機関や専門家に相談する

いきなり会社に相談するのは勇気がいりますし、どう伝えればよいか迷うものです。まずは、就労移行支援事業所のスタッフやジョブコーチ、障害者就業・生活支援センターの担当者に話をしてみましょう。彼らは多くの事例を知っているプロフェッショナルであり、あなたの特性を客観的に理解しています。

支援員は、あなたの話を聞いて「現在の部署での配慮で解決できるか」「本当に配置転換が必要か」を一緒に考えてくれます。また、2026年現在は多くの企業が外部の支援機関との連携を強化しています。第三者が間に入ることで、会社側も「医学的・専門的な根拠」に基づいた提案として真摯に受け止めてくれるようになります。一人で抱え込まず、まずは味方を増やしましょう。

ステップ2:現状の課題を「見える化」する

会社に伝えるための資料を作成しましょう。長文である必要はありませんが、以下の項目を整理したメモを用意すると、話し合いがスムーズに進みます。

  • 現在の業務で困難を感じている具体的なポイント
  • それに対して自分で行った工夫(セルフケアや努力の跡)
  • 現在の業務が体調やパフォーマンスに与えている影響(具体的な数字や事実)
  • 希望する業務内容や環境のイメージ

特に「自分の工夫」を伝えることは重要です。「努力したけれど、特性上どうしても難しかった」というプロセスを示すことで、会社側は「合理的配慮の再検討」が必要だと確信します。また、医師の意見書や診断書を更新し、「どのような作業が適しているか」という医学的な助言を添えることも非常に有効な手段です。事実に基づく資料は、あなたの最大の武器になります。

ステップ3:会社への「打診」と面談

準備が整ったら、直属の上司や障害者雇用担当者に面談を申し込みましょう。「今の業務が辛い」とだけ伝えるのではなく、「より会社に貢献できる形で働き続けるために、現在の業務適性についてご相談したい」という前向きな姿勢で切り出すのが成功のコツです。立ち話ではなく、静かな会議室で時間を取ってもらうようにしましょう。

面談の場では、作成したメモを使いながら淡々と状況を伝えます。もし緊張して話せなくなる不安があるなら、支援員に同席してもらうか、手紙形式にして渡しても構いません。会社側も、あなたが早期離職してしまうことを一番避けたいと考えています。配置転換の相談は、会社とあなたの「win-win(双方が幸せ)」な着地点を見つけるための共同作業なのです。

✅ 成功のコツ

「今の仕事は嫌だ」ではなく「あちらの部署ならもっと正確に作業ができ、戦力になれます」という、会社側のメリットを強調する伝え方を意識しましょう。


会社側が配置転換を検討する際の視点

社内のリソースと人員配置の状況

あなたが配置転換を希望したとしても、会社側には「空きポスト(人員の余裕)」という現実的な問題があります。例えば、あなたが希望する事務部門がすでに人員過剰であったり、逆に今の部署が深刻な人手不足であったりする場合、すぐには希望が通らないこともあります。これはあなたの評価とは関係のない、会社の運営上の事情です。

2026年の労働市場では、人手不足を背景に「マルチタスクができる人材」だけでなく「特定の分野で高い精度を発揮する専門人材」を重宝する傾向があります。もし即座の異動が難しい場合は、「数ヶ月後に欠員が出た際に優先的に検討してもらう」などの期限付きの約束を打診してみるのも一つの方法です。会社の状況にも配慮を示すことで、誠実な印象を与えることができます。

「合理的配慮」としての配置転換

現在の法律(障害者雇用促進法)では、企業は障害のある方に対して合理的配慮を提供する義務があります。もし現在の業務が障害特性により遂行不可能であり、社内に他に遂行可能な業務がある場合、配置転換は非常に有力な合理的配慮の選択肢となります。企業側も「本人の努力不足」ではなく「環境の障壁」として捉えなければなりません。

産業医や看護職などの医療スタッフが社内にいる場合は、彼らの意見も大きな力になります。医療職から「現在の業務継続は健康を害するリスクがある」という見解が出されれば、会社は安全配慮義務の観点からも速やかに配置を検討せざるを得ません。配置転換は、あなたの権利を守り、会社のリスクを回避するための正当な手続きなのです。

教育コストと習熟期間の予測

新しい部署に移るということは、会社にとっては「新しく教育するコスト」が発生することを意味します。面接官や人事が懸念するのは、「別の部署に行ってもまた『合わない』と言い出さないか」という点です。そのため、異動希望先の業務内容を自分なりに研究し、なぜそこなら大丈夫だと言えるのか、その根拠をしっかり説明する必要があります。

例えば、「以前実習で経験した作業と似ている」「自分の〇〇という特性が、△△の業務フローに合致している」といった具合です。「長く定着する覚悟」があることを伝えることで、会社側も教育コストをかける価値があると判断してくれます。異動はリスタートではなく、これまでの経験を活かした「バージョンアップ」であることを強調しましょう。

⚠️ 注意

会社によっては、配置転換によって給与体系や勤務時間が変わる場合があります。条件面については事前にしっかり確認し、納得した上で進めることが大切です。


実例エピソード:配置転換で「働く喜び」を掴んだ人たち

事例1:マルチタスクのパニックを克服したAさんの話

発達障害(ADHD)のあるAさんは、大手企業の一般事務として採用されました。しかし、ひっきりなしにかかってくる電話と、頻繁に変わる優先順位に脳がパンク状態になり、ケアレスミスが連発。上司からも厳しく注意され、Aさんは「自分は社会不適合者だ」と絶望していました。支援員のアドバイスで、Aさんは「一つのことに集中できる業務」への配置転換を申し出ました。

会社側は、Aさんの「正確なタイピング」と「集中力」を高く評価しており、ちょうど新設されたデータアーカイブ部門への異動を提案してくれました。そこでは電話応対はなく、ひたすら膨大な資料をスキャンして整理する業務でした。異動後、Aさんはミスゼロを継続し、社内でもトップクラスの処理件数を記録。今では「この仕事なら誰にも負けない」と笑顔で語っています。

事例2:対人ストレスから解放されたBさんの事例

精神障害(うつ病)を経験したBさんは、接客を伴う職場で働いていましたが、不特定多数の人と接することに強い不安を感じ、症状が再発しそうになっていました。Bさんは主治医と相談し、診断書を添えて「バックヤード(後方事務)」への配置転換を会社に相談しました。会社側はBさんの真面目な仕事ぶりを買っており、物流センターの管理業務への異動を承認してくれました。

「お客様の顔色を伺わなくてよくなっただけで、こんなに体が軽くなるとは思いませんでした。今は自分のペースで荷物を確認する作業に没頭できて、毎日ぐっすり眠れています。」

— 配置転換を経験したBさんの声

Bさんのように、「対人距離」を変えるだけで劇的に働きやすくなるケースは多いのです。自分の弱さを認めて声を上げたことが、健康を守りながら働くためのターニングポイントとなりました。

事例3:特性を「専門性」に変えたCさんの工夫

自閉症スペクトラム(ASD)の特性を持つCさんは、営業サポートの部署で、周囲の雑談や曖昧な指示に苦しんでいました。一方で、Cさんには「ITシステムの小さな不具合を見つける」という特技がありました。Cさんは「今の部署では自分の能力が10%も活かせていない」と感じ、社内のITシステム管理部門への異動を希望する提案書を作成しました。

その提案書には、自分が過去に発見したシステムのバグや改善案が論理的に書かれていました。IT部門の部長は「こんなにスキルのある人材が埋もれていたのか」と驚き、即座に異動が決定。現在Cさんは、システムのテスターとしてプロフェッショナルな活躍を見せています。配置転換は、会社にとっても「眠れる才能」を掘り起こすチャンスなのです。


よくある質問(FAQ)

Q. 配置転換を希望したら「やる気がない」と思われませんか?

いいえ、むしろ「今の場所では力が発揮できないから、別の場所で貢献したい」という意思表示は、非常に責任感のある行動です。2026年現在の企業は、ミスマッチによる早期離職を最も恐れています。早い段階で相談してくれることは、会社にとっても「リカバリーの機会」が与えられることになり、感謝されるべきことなのです。前向きな言葉を選んで伝えれば、やる気を疑われることはありません。

Q. 小さな会社なので、異動できる別の部署がありません。

物理的に別の部署がない場合は、「職務の再設計(ジョブ・カービング)」を提案してみましょう。部署は変えずに、現在の業務の中から苦手な作業(例:電話対応)を他の人に任せ、代わりにその人の得意な作業を自分が引き受ける、といった「業務の交換」です。小さな組織だからこそ、柔軟な役割分担ができる場合もあります。まずは「何ができないか」ではなく「これならできる」という提案をぶつけてみましょう。

Q. 相談したけれど「今の場所で頑張れ」と拒否されてしまいました。

一度の相談で決まらないこともあります。その場合は、「あと3ヶ月頑張ってみますが、その後の面談で再度検討させてください」と次回の約束を取り付けるか、ハローワークなどの外部機関から会社にアドバイスをしてもらうようにしましょう。もし体調が限界を超えているのであれば、配置転換だけでなく「休職」や、最悪の場合は「自分に合う別の会社への転職」を視野に入れる必要があります。あなたの健康以上に大切な仕事はこの世にありません


配置転換後に意識すべきこと

新しい部署での「リスタート」の心構え

配置転換が叶ったら、そこはあなたにとっての「新しいステージ」です。異動先の同僚たちは、あなたが前の部署で苦労していたことを知らないかもしれません。まずは謙虚な姿勢で、「新入社員」のつもりで挨拶やコミュニケーションを大切にしましょう。前の部署での失敗をいつまでも引きずる必要はありませんが、「自分にはこういう配慮が必要だ」という情報は、新しい上司にも改めて共有しておくことが重要です。

最初の1ヶ月は、慣れない環境で疲れが出やすい時期です。以前の教訓を活かし、無理をせず、こまめに休憩を取るなどのセルフケアを徹底しましょう。「せっかく異動させてもらったのだから完璧にやらなければ」と自分を追い込みすぎないでください。まずは「毎日決まった時間に通い続けること」を目標に、少しずつ新しい業務に馴染んでいきましょう。

「フィードバック」を定期的に行う

異動してから3ヶ月後くらいに、上司や支援員と振り返りの場を持ちましょう。「前の業務に比べてミスが減ったか」「精神的な負担はどう変化したか」を具体的に確認します。もし新しい場所でも別の困りごとが出てきたなら、早期に微調整を重ねていきます。配置転換は「ゴール」ではなく、より良い働き方を作るための「スタート」です。

うまくいっている点については、しっかり自分を褒めてあげましょう。「配置転換を希望して本当によかった」という実感が、あなたの自己肯定感を高めてくれます。また、会社側に対しても「配慮していただいたおかげで、これだけ仕事ができるようになりました」と感謝を伝えることで、会社との信頼関係はより強固なものになります。あなたの成功体験は、後に続く仲間たちの道標にもなります。

長期的な「キャリア形成」を見据えて

配置転換を経て自分に合った業務が見つかったら、そこからどうスキルアップしていくかを考えてみましょう。障害者雇用であっても、経験を積むことで専門性を高めたり、リーダー的な役割を担ったりすることは可能です。2026年の社会は、障害という枠組みを超えて、個人の「アウトプット(成果物)」を正当に評価する方向に進んでいます。

自分に合う環境は、ただ待っているだけでは手に入りません。違和感を感じたときに声を上げ、自分から動き、周囲を巻き込んでいく。その繰り返しによって、あなたにとっての「天職」が形作られていきます。今回の配置転換の相談は、あなたが自分の人生のハンドルを自分で握り始めた、輝かしい一歩なのです。自信を持って、新しい景色を楽しみましょう。


まとめ

業務が合わないと感じることは、決して挫折ではありません。それは、あなたがより輝ける場所を求めている「心のサイン」です。配置転換という選択肢を正しく理解し、周囲のサポートを得ながら行動することで、今の閉塞感は必ず打ち破ることができます。

  • 原因を明確にする:特性とのミスマッチなのか、環境の問題なのかを整理しましょう。
  • 支援機関を頼る:プロの力を借りて、論理的で前向きな提案資料を準備しましょう。
  • 対話を恐れない:配置転換は、会社とあなたが共に成長するための「調整」です。

まずは今日、自分が得意だと思うこと、逆にどうしても辛いと思うことを一つずつ書き出してみることから始めてみませんか。そのメモが、あなたを新しい未来へと導く地図になります。あなたがあなたらしく、笑顔で「いってきます」と言える日が来ることを、私たちは心から応援しています。

菅原 聡

菅原 聡

すがわら さとし38
デスク📚 実務経験 12
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士

就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。

大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ランニング、ビジネス書を読むこと

🔍 最近気になっているテーマ

リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用

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