就労移行支援とA型・B型との違いを簡単比較

自分に合った働き方はどれ?就労支援サービスの違いを徹底解説
「そろそろ働きたいけれど、いきなり一般企業は不安」「就労支援という言葉を聞くけれど、種類が多すぎて何が自分に向いているのかわからない」といった悩みを抱えてはいませんか。障害を持ちながら社会とつながりを持つためのステップとして、福祉サービスによる就労支援は非常に心強い存在です。しかし、それぞれのサービスには目的や通い方に大きな違いがあり、選択を間違えると無理が生じてしまうこともあります。
この記事では、代表的な福祉サービスである就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の3つをピックアップし、その違いをわかりやすく比較・解説します。対象者や利用期間、お給料(工賃)の有無など、皆さんが気になっているポイントを丁寧に網羅しました。この記事を読み終える頃には、今の自分がどのステージにいて、どのサービスを最初に検討すべきかが明確になっているはずです。
一人ひとりの体調や希望する働き方に合わせて、最適な一歩を選べるよう、温かく寄り添いながらサポート情報をお届けします。あなたの新しいスタートを応援するヒントが、ここにはたくさん詰まっています。まずはリラックスして、それぞれのサービスの特徴をのぞいてみましょう。
就労移行支援:一般企業への就職を目指す「学校」
就職に必要なスキルを磨く場所
就労移行支援は、一言で表すと「一般就職を目指すためのトレーニングセンター」です。障害者雇用や一般枠での就職を目指す方に対して、必要な知識やスキルの向上、体調管理の習慣化、就職活動のサポートなどを行います。ここでは「働く場所」ではなく、あくまで「働くための準備をする場所」という位置づけになります。
具体的なカリキュラムは事業所によって多岐にわたります。パソコン操作やビジネスマナーの習得はもちろん、履歴書の添削や模擬面接、企業でのインターンシップ(実習)などが用意されています。また、長く働き続けるために欠かせない「自己理解(自分の障害特性を知り、対処法を学ぶこと)」に力を入れている事業所が多いのも特徴です。
実例として、ある30代の精神障害を持つ男性は、ブランク期間が長く自信を失っていました。就労移行支援に通い始め、まずは毎日決まった時間に家を出る訓練からスタートしました。徐々にプログラミングのスキルを磨き、スタッフと一緒に面接対策を重ねた結果、利用開始から1年半で大手IT企業の障害者雇用枠に内定しました。このように、就職という明確な目標がある方にとって、就労移行支援は非常に効果的なステップとなります。
利用期間と対象者のルール
就労移行支援には、いくつかの利用条件があります。対象となるのは、18歳以上65歳未満の障害のある方や難病をお持ちの方で、一般企業への就職を強く希望している方です。ただし、このサービスは期間に限りがある点に注意が必要です。原則として、最長2年間という枠組みの中で、就職を目指すことになります。
この2年間という数字は、長く感じるかもしれませんが、スキル習得と就職活動、そして定着支援を含めると、計画的に進めていく必要があります。もし期間内に就職が決まらなかった場合、自治体の判断により最大1年の延長が認められることもありますが、基本的には2年というゴールを見据えて取り組むことになります。焦る必要はありませんが、ステップアップの意識を持つことが大切です。
また、就労移行支援は「訓練」の場であるため、原則として賃金(お給料)は発生しません。一部の事業所では交通費の補助などがある場合もありますが、基本的には無給で通うことになります。そのため、経済的な生活基盤をどう確保するか(障害年金や生活保護、ご家族のサポートなど)を事前に確認しておくことが、安心して訓練に集中するためのポイントとなります。
就職後の「定着支援」という心強いサポート
就労移行支援の本当の魅力は、就職が決まった後の「就業定着支援」にあります。せっかく就職できても、職場の人間関係や業務内容の変化で体調を崩し、早期に離職してしまうケースは少なくありません。就労移行支援事業所は、就職後少なくとも6ヶ月間は、スタッフが職場を訪問したり面談を行ったりして、仕事の悩みを一緒に解決してくれます。
例えば、職場の上司に自分の障害についてうまく説明できないとき、スタッフが間に入って配慮事項を伝えてくれることがあります。また、仕事でミスをして落ち込んだとき、事業所に立ち寄ってスタッフに話を聞いてもらうだけで、気持ちを切り替えて翌日の仕事に向かえることもあります。この「一人ではない」という安心感こそが、就労移行支援を利用する最大のメリットといえるでしょう。
定着支援が終了した後も、必要に応じて「就業・生活支援センター」など別の機関へ引き継ぎを行ってくれるため、長期間にわたるサポート体制を築くことが可能です。就労移行支援は、単なるスキルの学校ではなく、あなたの社会人生活を二人三脚で支えてくれるパートナーなのです。一般就職に挑戦したいという気持ちが少しでもあるなら、まずは見学から始めてみてはいかがでしょうか。
💡 ポイント
就労移行支援事業所によって、得意とする分野(IT特化、事務系、製造系など)が異なります。自分の目指したい職種に合わせて、複数の事業所を比較検討することをおすすめします。
就労継続支援A型:雇用契約を結んで働く場所
「働きながら」ステップアップを目指す
就労継続支援A型(以下、A型)は、一般企業での就労がすぐには難しいけれど、適切なサポートがあれば一定の仕事をこなせる方を対象としたサービスです。大きな特徴は、事業所と雇用契約を結ぶという点です。つまり、福祉サービスを受けながら、労働基準法に基づいた「従業員」として働くことができる場所なのです。
A型事業所での仕事内容は、パンの製造・販売、レストランでの接客、データ入力、軽作業、清掃など多種多様です。雇用契約を結ぶため、基本的にはその地域の最低賃金以上の給与が保障されます。障害年金や手当と合わせることで、自立した生活を目指しやすい経済的なメリットがあります。「福祉」と「労働」の中間に位置する、非常に実践的な環境といえます。
実例として、軽度の知的障害を持つ20代の女性は、A型事業所の製菓部門で働いています。ここではスタッフが個々の理解度に合わせて工程を細分化し、マニュアル化してくれています。彼女は毎日4時間、雇用契約に基づいて働き、月に約8万円程度の給与を得ています。仲間に囲まれて働く喜びを感じながら、将来的に一般企業へ移るための実務経験を積んでいます。このように、しっかり働き、しっかり稼ぐ実感を持ちたい方に適しています。
A型の利用条件と勤務形態
A型を利用するためには、原則として18歳以上65歳未満である必要があります。利用にあたっては、市区町村が発行する「障害福祉サービス受給者証」が必要です。勤務時間は事業所によって異なりますが、一般的には1日4時間から6時間程度、週5日勤務というスタイルが多く見られます。雇用契約を結ぶため、欠勤や遅刻に対する管理も一般企業に近い形で行われます。
利用期間に制限はありませんが、最終的な目標はやはり「一般就労への移行」に置かれています。日々の業務を通じて、責任感や正確な作業遂行能力、職場のマナーを養っていきます。最近では、テレワーク(在宅勤務)を導入しているA型事業所もあり、身体的な理由や感覚過敏などで外出が困難な方でも、雇用契約を結んで働くチャンスが広がっています。
注意点として、A型事業所はあくまで「仕事」をする場所であるため、選考(面接や実習)が行われることが一般的です。今の自分の体力や集中力が、契約した時間分しっかりと継続できるかどうかを慎重に見極める必要があります。もし「まだ毎日の勤務は自信がない」という場合は、無理をしてA型を選ばず、後述するB型からスタートするという選択肢も検討してみましょう。
経済的自立と社会的責任のやりがい
A型で働くことのやりがいは、自分の労働に対して適正な対価を得られることです。「自分でお金を稼いでいる」という実感は、大きな自信につながります。得られた給料で趣味を楽しんだり、生活費の一部を賄ったりすることで、社会の一員としての実感が深まります。また、社会保険(雇用保険など)に加入できるケースが多く、将来に向けた安心感も得られます。
一方で、雇用契約を結ぶということは、「仕事に対する責任」も生じることを意味します。製品のクオリティを守ることや、納期を守る努力など、プロ意識が求められる場面もあります。もちろん、障害に対する配慮はありますが、単に「居場所」を求めて通うのとは少し意味合いが異なります。自律した働き方を身につけたいという意欲がある方にとって、これほど成長できる環境はありません。
現在、全国には約4,000カ所以上のA型事業所が存在します。仕事の内容が自分の興味に合っているか、職場の雰囲気が自分にフィットするかを確認するために、まずは体験利用をしてみることを強くおすすめします。一歩踏み出すことで、あなたの才能が社会の中で形になる喜びを、ぜひA型事業所で体験していただきたいです。
✅ 成功のコツ
A型事業所を探す際は、過去に何人が一般就職へステップアップしたか(移行実績)を確認してみましょう。支援の質を知る一つの目安になります。
就労継続支援B型:自分のペースを大切にできる場所
体調を優先しながら無理なく通う
就労継続支援B型(以下、B型)は、年齢や体力、病状などの理由で、雇用契約を結んで働くことが困難な方を対象としたサービスです。最大の特徴は、雇用契約を結ばないという点です。そのため、勤務時間や通う日数について、非常に柔軟な設定が可能です。週に1回、数時間からスタートすることもでき、体調に波がある方でも安心して利用できます。
B型は「働くこと」に加えて、生活のリズムを整えたり、社会との接点を持ったりすることを重視しています。作業内容は、シール貼り、箱の組み立て、部品の加工、クリーニング、農作業、カフェ運営など多岐にわたります。雇用契約はないため、最低賃金の保障はありませんが、作業に対する対価として「工賃」が支払われます。給料というよりは、お小遣いや謝礼金に近いイメージですが、自分のペースで社会に貢献できる満足感があります。
実例として、重度のうつ病を経験した40代の男性は、当初は外出することさえ困難でした。B型事業所への通所を週1回、午前中のみから始めました。スタッフは彼のペースを尊重し、調子が悪い日は無理をせず休むことを推奨しました。徐々に自信を取り戻した彼は、今では週3回通えるようになり、手先を使った軽作業を楽しんでいます。彼にとってB型は、社会と自分をつなぐ「命綱」のような存在です。焦らず、ゆっくりと社会参加を目指したい方に最適な場所です。
B型の利用対象者と自由なスタイル
B型の利用対象者には、年齢制限の事実上の上限はありません。就労移行支援を利用したけれど就職に至らなかった方や、特別支援学校を卒業してすぐに就労することが難しい方、あるいは一般企業を退職してリハビリとして通いたい方などが幅広く利用しています。利用期間の定めもないため、数年、数十年と長期にわたって同じ事業所に通い、地域のコミュニティとして活用している方も多くいます。
勤務スタイルは非常に自由です。「月曜と水曜だけ行く」「朝10時から1時間だけ作業する」といった柔軟な個別支援計画が立てられます。また、作業だけでなく、季節の行事やレクリエーション、相談支援が充実している事業所も多いです。人とのコミュニケーションが苦手な方でも、作業を通じて少しずつ他者との距離を縮めていくことができます。
注意点として、工賃の額は事業所によって大きく異なります。厚生労働省のデータによると、全国のB型事業所の平均工賃は月額1万6千円〜2万円程度です。中には、高度な技術や独自製品の販売に成功し、月額5万円以上の高い工賃を支払う事業所もありますが、基本的には経済的自立を目指すというよりは、「活動の機会」を得ることを主目的として考えるのが良いでしょう。
「居場所」としての温かさと安心感
B型事業所の多くは、地域に根ざしたアットホームな雰囲気を持っています。スタッフは福祉の専門家として、利用者の日々の変化に敏感に寄り添ってくれます。家庭や病院以外に「自分の役割」がある場所を持つことは、精神的な安定に大きく寄与します。「今日は事業所に行こう」と思える場所があるだけで、引きこもりを防ぎ、生活にハリが生まれます。
また、B型で経験を積み、体調が安定してきたら、前述のA型や就職を目指す移行支援へとステップアップすることも可能です。B型は「ゴールのない場所」ではなく、人によっては「次のステップへ向かうための休憩所兼練習場」となります。もちろん、ずっとB型で自分らしく過ごすことも立派な選択肢です。人との比較ではなく、自分の心地よさを優先できるのがB型の最大の魅力です。
もしあなたが今、外に出るのが怖かったり、毎日決まった時間に動くのが辛かったりするなら、まずはB型事業所をのぞいてみてください。そこには、あなたをそのまま受け入れてくれる優しい空間が広がっています。作業の種類が豊富な事業所が多いので、自分にできそうなことが一つでも見つかれば、それは素晴らしいスタートになります。焦らず、一歩ずつ、あなたのペースで歩み始めましょう。
⚠️ 注意
B型事業所は数が非常に多く、雰囲気も多種多様です。作業の内容だけでなく、休憩時間の過ごし方や、スタッフの関わり方が自分に合っているか、必ず見学で確かめてください。
3つのサービスを徹底比較!一覧で見る違い
目的と特徴の比較テーブル
ここまで紹介した「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の3つの違いを、重要な項目ごとにテーブルでまとめました。一目でそれぞれの立ち位置がわかります。今の自分の希望や状況にどのサービスがフィットするか、照らし合わせながら確認してみましょう。
| 項目 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 一般企業への就職準備 | 雇用契約を結んで働く | 体調に合わせて作業する |
| 雇用契約 | なし | あり | なし |
| お給料(工賃) | 原則なし | 給与(最低賃金以上) | 工賃(成果報酬など) |
| 利用期間 | 原則2年(延長あり) | なし | なし |
| 年齢制限 | 18歳以上65歳未満 | 18歳以上65歳未満 | なし(実質的) |
| 主な対象者 | 一般就職を強く目指す方 | 一定の勤務が可能な方 | 自分のペースを保ちたい方 |
どれを選ぶべき?判断の目安
どのサービスを選べばいいか迷っている方のために、いくつかのパターンに応じたおすすめの選択肢を提案します。ただし、これはあくまで一般的な目安ですので、最終的には専門家やご家族と相談して決めるようにしてください。
- 「最短で一般就職をして、しっかり自立したい!」
→ 就労移行支援が最適です。プロの就職サポートを受けながら、必要なスキルを集中して習得できます。
- 「一般企業はまだ不安だけど、毎日決まった時間働いて、給料もしっかり欲しい」
→ 就労継続支援A型を検討しましょう。福祉のサポートを受けつつ、従業員としての自覚を持って働けます。
- 「体調に不安があり、週に数日からゆっくり慣らしていきたい。まずは居場所が欲しい」
→ 就労継続支援B型がおすすめです。無理のない範囲で社会との接点を作ることができます。
ポイントは、「今の自分の体力より少しだけ余裕を持った選択をする」ことです。最初から背伸びをしすぎると、体調を崩して継続が難しくなってしまいます。B型からA型へ、A型から移行支援へと、サービスを乗り換えてステップアップしていくことは非常に一般的です。福祉サービスはあなたの「成長の階段」ですから、一段ずつ確実に登っていくことが、結果として近道になります。
利用料金についても知っておこう
これらのサービスを利用する際、費用がかかるのか心配されている方も多いでしょう。障害福祉サービスの利用料金は、国の規定により前年度の世帯所得に応じて決定されます。実際には、利用者の約9割以上が「0円(無料)」で利用しています。以下の所得区分と上限額の目安を参考にしてください。
- 生活保護受給世帯: 0円
- 市町村民税非課税世帯: 0円(3人家族で年収約300万円以下が目安)
- 市町村民税課税世帯(一般1): 9,300円(所得割16万円未満の方)
- 市町村民税課税世帯(一般2): 37,200円(上記以外の方)
※「世帯」の範囲は、18歳以上の障害者の場合、ご本人と配偶者のみを指します。親の所得は合算されないケースが多いため、多くの方が無料で利用できているという背景があります。具体的な金額については、お住まいの市区町村の福祉窓口(障害福祉課など)で確認することができます。お金の心配をせずに、まずは自分に合うサービスを見つけることに専念しましょう。
💡 ポイント
A型事業所の場合、働いて得る給料よりも、もし利用料が発生したとしてもその額の方がはるかに少ないため、収支がマイナスになることはまずありませんので安心してください。
利用開始までの具体的なステップ
1. 情報収集と気になる事業所のピックアップ
まずは、インターネットや地域の福祉ガイドブックを使って、自宅から通える範囲にある事業所を調べてみましょう。最近はホームページやSNSで日々の活動を発信している事業所も多いので、写真から雰囲気を掴むことができます。「この作業楽しそう」「建物が綺麗だな」といった、些細な直感も大切にしてください。
自分一人で探すのが大変なときは、相談支援事業所の「相談支援専門員」に助けを求めましょう。彼らは地域の福祉サービスに精通しており、あなたの希望や特性に合った事業所をいくつか提案してくれます。また、ハローワークの障害者専門窓口でも、就労支援サービスに関する情報提供を行っています。まずは周りの専門家に「働きたいという気持ちがある」と伝えることからすべてが始まります。
2. 見学と体験利用:百聞は一見にしかず
気になる事業所が見つかったら、必ず見学に行きましょう。見学では、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 通っている人たちの表情は明るいか
- スタッフの声かけは丁寧で優しいか
- 作業スペースの音や明るさなど、環境は自分に合っているか
- トイレや休憩スペースの清潔感はどうか
3. 受給者証の申請と利用契約
通いたい事業所が決まったら、お住まいの市区町村の窓口で「障害福祉サービス受給者証」の申請手続きを行います。申請には、障害者手帳や主治医の診断書などが必要になる場合があります。窓口の担当者や、事業所のスタッフ、相談支援専門員が申請の書き方などを丁寧に教えてくれるので、難しいことはありません。申請から発行までには、通常2週間から1ヶ月程度かかります。
受給者証が届いたら、いよいよ事業所と利用契約を結びます。利用開始日を決め、週に何日、何時間から通うかを相談して、個別の「個別支援計画」を作成します。最初は少ない日数からスタートして、徐々に増やしていく「スロースタート」を推奨している事業所も多いです。あなたの新しい生活が、ここからスタートします。無理をせず、周囲のサポートを存分に活用しながら、自分らしい働き方を見つけていきましょう。
「最初は知らない場所に行くのが怖くて、玄関の前で引き返したこともありました。でもスタッフさんが外まで迎えに来てくれて。今では事業所が一番安心できる場所になりました。」
— 20代・発達障害のある利用者の声
よくある質問(FAQ)
Q. 障害者手帳を持っていないと利用できませんか?
必ずしも手帳が必要というわけではありません。障害者手帳を持っていなくても、主治医の診断書や意見書があり、市区町村からサービスが必要だと認められれば、受給者証の発行を受けることができます。発達障害や難病、高次脳機能障害などで手帳を取得していない方や、取得を検討中の方でも、まずは地域の相談窓口や気になる事業所に相談してみてください。多くの方が手帳なしでもサービスを利用して就職や社会参加を果たしています。
Q. 途中で別のサービスに切り替えることはできますか?
もちろんです。むしろ、ステップアップのためにサービスを切り替えることは推奨されています。「B型で体調が安定したからA型へ移る」「A型で実務経験を積んだから、就労移行支援を使って一般就職を目指す」といった流れは非常に一般的です。また、逆に「移行支援に通ってみたけれど、少しペースが早すぎたのでB型でゆっくり休養したい」という変更も可能です。大切なのは今のあなたに最適な負荷で活動することです。変更を希望する場合は、事業所のスタッフや相談支援専門員に相談すれば、スムーズな移行をサポートしてくれます。
Q. 65歳を過ぎたら、すべての支援が終わってしまいますか?
就労移行支援とA型には原則として「65歳未満」という年齢制限がありますが、これには例外もあります。65歳に達する前から継続してサービスを利用している場合などは、引き続き利用できるケースがあります。また、B型に関しては明確な年齢制限の規定がないため、65歳を超えても通い続けている方はたくさんいらっしゃいます。さらに、65歳以降は介護保険サービスが優先されることが一般的ですが、就労系のサービスは「働く機会」という特有の目的があるため、市町村の判断で継続利用が認められやすい傾向にあります。将来の不安についても、今のうちから担当者に確認しておくと安心です。
まとめ
就労支援サービスは、あなたが社会とつながり、自分らしい働き方を見つけるための強力なツールです。最後に、この記事の重要ポイントを整理しましょう。
- 就労移行支援は、2年間の期限付きで一般企業への就職を目指す「スキルの学校」です。
- 就労継続支援A型は、雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を得ながら働く「福祉的就労」の場です。
- 就労継続支援B型は、雇用契約を結ばず、体調に合わせて自分のペースで活動できる「安心の居場所」です。
- 利用者の9割以上が無料で利用しており、ステップアップやサービスの変更も自由に行えます。
「働きたい」という気持ちがあるだけで、あなたはもう素晴らしいスタートラインに立っています。今の体調や希望に合わせて、どの階段から登り始めるかはあなた次第です。一人で抱え込まず、まずは地域の窓口や家族、そして気になる事業所に「一度見学してみたい」と声をかけてみてください。その小さな一歩が、数ヶ月後のあなたの新しい笑顔につながることを、私たちは心から信じています。

菅原 聡
(すがわら さとし)38歳📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士
就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。
大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ランニング、ビジネス書を読むこと
🔍 最近気になっているテーマ
リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用





