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就労移行支援って何?しくみ・流れ・利用のコツをわかりやすく解説

📖 約17✍️ 伊藤 真由美
就労移行支援って何?しくみ・流れ・利用のコツをわかりやすく解説
就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。18歳以上65歳未満の方が対象で、原則2年間、職業訓練やスキルアップ、就職活動のサポートを受けられます。利用料金は世帯収入に応じて決まり、多くの場合は無料または低額です。自分に合った事業所を選び、無理のないペースで取り組むことが成功の鍵です。就職後も定着支援が受けられるため、長く安定して働き続けられる環境が整っています。まずは見学や相談から始めてみましょう。

就労したいけれど、何から始めればいい?

「働きたいけれど、自分にできる仕事が見つかるか不安」「面接でうまく話せるか心配」「職場で長く続けられるか自信がない」——そんな悩みを抱えている方は少なくありません。障害のある方が就職を目指すとき、一人で準備を進めるのは大きなハードルに感じられるものです。

そんなときに力になってくれるのが就労移行支援です。この記事では、就労移行支援のしくみや利用の流れ、そして実際に利用する際のコツまで、わかりやすく解説します。就職への第一歩を踏み出すための参考にしていただければ幸いです。

就労移行支援とは?基本のしくみを知ろう

就労移行支援の定義と目的

就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。障害者総合支援法に基づいて提供されており、就職に必要なスキルを身につけたり、職場探しをサポートしたり、就職後も安定して働き続けられるよう支援してくれます。

単なる職業訓練ではなく、一人ひとりの特性や希望に合わせた支援を受けられるのが大きな特徴です。利用者の約6割が実際に就職に結びついているというデータもあり、実績のあるサービスとして多くの方に活用されています。

誰が利用できるの?対象者について

就労移行支援を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。

  • 18歳以上65歳未満の方
  • 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病のある方
  • 一般企業への就職を希望している方
  • 障害福祉サービス受給者証を取得できる方

障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書があれば利用できる場合もあります。また、現在働いていない方だけでなく、今の仕事を続けながらスキルアップを目指す方も利用可能です。

💡 ポイント

「自分が対象になるかわからない」という方は、まずはお住まいの市区町村の障害福祉課や相談支援事業所に問い合わせてみましょう。丁寧に説明してもらえます。

利用期間と費用について

就労移行支援の標準的な利用期間は原則2年間です。ただし、個人の状況に応じて延長が認められるケースもあります。週に何日通うか、1日何時間利用するかは、体調や目標に合わせて柔軟に設定できます。

利用料金は、前年度の世帯収入に応じて決まります。多くの場合、利用者負担はゼロ円、または月額上限9,300円程度です。生活保護を受けている方や住民税非課税世帯の方は無料で利用できます。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

就労移行支援では何をするの?具体的な支援内容

職業訓練・スキルアップ支援

就労移行支援事業所では、実践的な職業訓練を受けることができます。パソコンスキル(Word、Excel、メール対応など)、ビジネスマナー、コミュニケーションスキル、作業の正確性を高めるトレーニングなど、働くために必要な基礎力を身につけます。

事業所によっては、Webデザイン、プログラミング、経理事務、軽作業など、より専門的なスキルを学べるところもあります。自分の興味や適性に合わせて選べるのが魅力です。

自己理解と障害理解のサポート

就職活動で大切なのは、自分の得意なことと苦手なことをしっかり理解することです。就労移行支援では、スタッフと一緒に自己分析を行い、どんな仕事が向いているか、どんな配慮があれば力を発揮できるかを整理していきます。

また、自分の障害特性を理解し、それを職場にどう伝えればよいかも学びます。これは就職後も長く働き続けるための重要なステップです。

就職活動のサポート

履歴書や職務経歴書の書き方、面接の練習、求人の探し方など、就職活動の実践的なサポートも充実しています。スタッフが同行して企業見学や面接に付き添ってくれることもあります。

さらに、企業とのマッチングも支援してくれます。事業所によっては独自のネットワークを持ち、障害者雇用に理解のある企業を紹介してくれるケースもあります。

✅ 成功のコツ

就職活動では「障害を隠して働く」のではなく、「必要な配慮を伝えて働く」ことを目指しましょう。自分に合った職場を見つけることが、長く働き続ける秘訣です。

職場実習(インターンシップ)

多くの就労移行支援事業所では、実際の企業で職場実習を体験できます。数日から数週間、企業の現場で働いてみることで、仕事のイメージが具体的になり、自信もつきます。

実習先の企業がそのまま就職先になることもありますし、実習を通じて「この仕事は自分に合わない」と気づくこともあります。どちらにしても、貴重な経験となるでしょう。

就職後の定着支援

就労移行支援の大きな特徴は、就職して終わりではないということです。就職後も最大6ヶ月間(状況によっては3年半まで延長可能)、定期的に職場を訪問したり面談を行ったりして、職場に定着できるようサポートしてくれます。

困ったことがあれば相談に乗ってくれますし、必要に応じて企業側とも調整してくれます。一人で悩まずに済むのは、大きな安心材料です。

就労移行支援を利用するまでの流れ

ステップ1:情報収集と事業所見学

まずは、お住まいの地域にどんな就労移行支援事業所があるか調べてみましょう。インターネットで検索したり、市区町村の障害福祉課で紹介してもらったりできます。

気になる事業所が見つかったら、実際に見学に行くことをおすすめします。雰囲気や支援内容、通いやすさなどを確認できます。ほとんどの事業所では無料で見学や体験利用ができますので、複数の事業所を比較してみるとよいでしょう。

ステップ2:相談と利用申請

利用したい事業所が決まったら、市区町村の障害福祉課に相談に行きます。窓口で「就労移行支援を利用したい」と伝えると、必要な手続きを案内してもらえます。

申請には以下の書類が必要になることが多いです。

  1. 障害福祉サービス利用申請書
  2. 障害者手帳(持っている場合)、または医師の診断書・意見書
  3. 個人番号(マイナンバー)確認書類
  4. 印鑑

ステップ3:認定調査と支給決定

申請後、市区町村の担当者による認定調査が行われます。心身の状況や生活環境、就労への希望などについて聞き取りが行われ、サービスの必要性が判断されます。

調査結果をもとに、通常1〜2ヶ月程度で支給決定がなされます。「障害福祉サービス受給者証」が交付されれば、正式に利用開始できます。

⚠️ 注意

支給決定までには時間がかかる場合があります。就職したい時期が決まっている方は、早めに動き始めることをおすすめします。

ステップ4:個別支援計画の作成と利用開始

受給者証が届いたら、いよいよ事業所との契約です。事業所のスタッフと面談を重ね、あなたの目標や希望に合わせた個別支援計画を作成します。

計画には、どのようなスキルを身につけたいか、いつ頃の就職を目指すか、週に何日通うかなどが盛り込まれます。この計画は固定されたものではなく、状況に応じて柔軟に見直していけます。

就労移行支援を最大限活用するコツ

自分に合った事業所を選ぶ

就労移行支援事業所は、それぞれに特色があります。ITスキルに強い事業所、軽作業を中心とした事業所、メンタルヘルスのサポートに力を入れている事業所など、さまざまです。

見学の際は、以下のポイントをチェックしてみましょう。

  • スタッフの雰囲気や対応は親しみやすいか
  • 訓練内容は自分の目指す仕事に役立ちそうか
  • 通いやすい立地にあるか
  • 就職実績はどの程度あるか
  • 利用者の年齢層や障害種別は自分に合っているか

目標を明確にして、スタッフと共有する

「なんとなく就職したい」ではなく、具体的な目標を持つことが成功への近道です。どんな仕事に就きたいか、どんな働き方を望むか、スタッフに率直に伝えましょう。

目標が明確であれば、それに向けた効果的なプログラムを組んでもらえます。また、目標は途中で変わってもかまいません。その都度、スタッフと相談しながら調整していけばよいのです。

無理のないペースで通う

最初から週5日フルタイムで通おうとすると、疲れてしまって続かないことがあります。まずは週2〜3日、短時間から始めて、徐々にペースを上げていくのがおすすめです。

体調や生活リズムを整えながら、自分のペースで進めることが大切です。焦らず、着実にステップアップしていきましょう。

✅ 成功のコツ

「休むことも訓練のうち」です。体調が悪い日は無理せず休み、スタッフに相談しましょう。自己管理能力を身につけることも、就労準備の大切な一部です。

他の利用者との交流を大切に

就労移行支援事業所には、同じように就職を目指す仲間がいます。お互いの悩みを共有したり、励まし合ったりすることで、モチベーションを保ちやすくなります。

一人で抱え込まず、仲間やスタッフに相談できる関係を築くことが、就職への道のりをより確かなものにしてくれます。

就職後も支援を活用する

就職が決まった後も、定着支援をしっかり活用しましょう。新しい環境に慣れるには時間がかかりますし、予期せぬ困難に直面することもあります。

定期的な面談で悩みを相談したり、職場との調整をお願いしたりすることで、長く安定して働き続けられる可能性が高まります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 障害者手帳がなくても利用できますか?

はい、医師の診断書や意見書があれば利用できる場合があります。まずは市区町村の障害福祉課に相談してみましょう。自立支援医療(精神通院)を受けている方なども対象となることがあります。

Q2. 利用中にアルバイトはできますか?

基本的には可能ですが、事業所や自治体によってルールが異なります。アルバイトをすることで訓練時間が確保できなくなったり、体調管理が難しくなったりする場合もあるため、事前にスタッフに相談することをおすすめします。

Q3. 就職先は必ず見つかりますか?

就労移行支援は就職を保証するサービスではありませんが、多くの方が実際に就職に結びついています。ただし、就職の実現には本人の努力や意欲も重要です。スタッフと二人三脚で取り組む姿勢が大切です。

Q4. 2年間で就職できなかった場合はどうなりますか?

個別の事情によっては利用期間の延長が認められることがあります。また、就労継続支援B型など、他のサービスに移行する選択肢もあります。あせらず、自分に合った道を探していきましょう。

Q5. 現在働いているのですが、転職のために利用できますか?

現在就労中の方でも、離職して就労移行支援を利用することは可能です。ただし、在職中のまま利用することは原則としてできません。詳しくは市区町村の窓口に確認してください。

まとめ

この記事では、就労移行支援のしくみ・利用の流れ・活用のコツについて解説しました。

  • 就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです
  • 職業訓練、自己理解、就職活動、定着支援まで、包括的なサポートが受けられます
  • 利用期間は原則2年間で、多くの場合、費用負担はゼロ円または低額です
  • 自分に合った事業所を選び、無理のないペースで取り組むことが成功の秘訣です
  • 就職後も定着支援を活用して、長く安定して働き続けることができます

就職への道のりは一人ひとり異なります。あなたのペースで、あなたらしい働き方を見つけていってください。就労移行支援は、その心強いパートナーとなってくれるはずです。

あなたの一歩を、私たちは応援しています。

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

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