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就労移行支援の成功率は?数字から読み解く「本当に就職できるの?」

📖 約15✍️ 伊藤 真由美
就労移行支援の成功率は?数字から読み解く「本当に就職できるの?」
就労移行支援の就職率は約50〜53%で、利用者の2人に1人が一般企業への就職を実現しています。1年後の定着率は約70〜80%と比較的高く、就職前の準備と就職後の定着支援が効果を発揮しています。ただし事業所によって成功率に大きな差があるため、実績の確認が重要です。障害種別によっても傾向は異なりますが、個人の努力と支援の質が結果を左右します。自己理解を深め、職場実習を活用し、定着支援を最大限使うことで成功率を高められます。統計は参考程度に、自分に合った支援を見つけることが大切です。

本当に就職できるの?数字で見る現実

「就労移行支援を使えば就職できるって聞いたけれど、本当なの?」「実際の成功率はどのくらいなんだろう?」——利用を検討するとき、最も気になるのは「本当に就職できるのか」という点ではないでしょうか。

この記事では、厚生労働省のデータや各種調査をもとに、就労移行支援の就職率や定着率を具体的な数字で解説します。楽観的でも悲観的でもない、現実的な視点から就職の可能性を見ていきましょう。

就労移行支援の就職率|全体像を把握する

約5割の人が就職に成功している

厚生労働省の調査によると、就労移行支援を利用して就職に至る割合は約50〜53%程度です。つまり、利用者の2人に1人が一般企業への就職を実現しているという計算になります。

この数字をどう捉えるかは人それぞれですが、一人で就職活動をする場合と比較すると、かなり高い成功率と言えるでしょう。特に、ブランクが長い方や、初めての就職活動という方にとっては、心強い数字です。

💡 ポイント

この就職率は「退所者のうち就職した人の割合」を示しています。途中で利用をやめた方も含まれるため、最後まで利用し続けた方の就職率はさらに高くなります。

障害種別による就職率の違い

就職率は障害の種別によって異なる傾向があります。一般的に、身体障害のある方の就職率が比較的高く、精神障害や知的障害のある方はやや低めという統計データがあります。

ただし、これはあくまで平均値です。個人の状況、スキル、意欲、受けられる支援の質などによって、結果は大きく変わります。統計に過度にとらわれる必要はありません。

障害種別 就職率の目安 特徴
身体障害 約60〜65% 比較的高い就職率
知的障害 約45〜50% 職種が限られる傾向
精神障害 約45〜55% 体調管理が鍵
発達障害 約50〜60% 特性理解が重要

事業所によって成功率に大きな差がある

重要なのは、事業所によって就職率に大きな差があるということです。就職率が70〜80%を超える優良事業所もあれば、30%程度にとどまる事業所もあります。

この差は、スタッフの専門性、企業とのネットワーク、訓練プログラムの質、個別支援の手厚さなど、さまざまな要因によって生まれます。平均値だけでなく、具体的に利用を検討している事業所の実績を確認することが大切です。

定着率|就職後、どれくらい働き続けられるか

1年後の定着率は約70〜80%

就職できたとしても、その仕事を続けられるかどうかは別の問題です。就労移行支援を利用して就職した方の1年後の定着率は、約70〜80%と報告されています。

一般的な障害者雇用全体の1年後定着率が約60〜70%程度であることを考えると、就労移行支援経由での就職は比較的高い定着率を誇っていると言えます。これは、就職前の準備と就職後の定着支援が効果を発揮している証拠でしょう。

定着率を左右する要因

定着率を高める要因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 自己理解が深まっており、自分に合った職場を選べている
  • 必要な配慮を職場に適切に伝えられている
  • 就職後も定期的に相談できる支援者がいる
  • 職場の理解と協力体制が整っている
  • 体調管理やストレス対処法を身につけている

逆に、定着が難しくなる要因としては、職場の人間関係、業務内容のミスマッチ、体調の悪化、通勤の負担などがあります。これらは事前の準備と就職後の支援である程度カバーできます。

✅ 成功のコツ

定着率を高めるには、「とにかく就職すること」を目指すのではなく、「自分に合った職場を見つけること」を重視しましょう。焦らず、納得のいく就職先を選ぶことが長続きの秘訣です。

障害種別による定着率の違い

定着率も障害種別によって傾向があります。身体障害のある方は比較的定着率が高く、精神障害のある方はやや低めという統計があります。これは、体調の波や職場でのストレスへの対処が課題になりやすいためです。

ただし、定着支援を積極的に活用することで、定着率は大きく改善できます。「定着が難しい傾向がある」ということを知った上で、しっかりサポートを受けることが大切です。

成功率を高めるための具体的な方法

質の高い事業所を選ぶ

就職率を高める最も確実な方法は、実績のある質の高い事業所を選ぶことです。見学時には、以下の点を必ず確認しましょう。

  1. 過去3年間の就職率と定着率(具体的な数字を聞く)
  2. どんな職種・業種への就職実績が多いか
  3. 定着支援の内容と頻度
  4. 企業とのネットワークや独自の求人情報の有無
  5. スタッフの専門資格や経験年数

数字だけでなく、実際に就職した方の事例やエピソードも聞いてみましょう。具体的な話が聞ければ、その事業所の支援力がより明確になります。

自己理解を徹底的に深める

就職率を高めるだけでなく、定着率を高めるために最も重要なのが自己理解です。自分の得意なこと、苦手なこと、必要な配慮、働く上での優先順位などを明確にしましょう。

就労移行支援では、職業適性検査、作業評価、実習などを通じて、客観的に自分を知る機会があります。これらのプログラムには積極的に参加し、スタッフと一緒に自己分析を深めていきましょう。

職場実習を積極的に活用する

多くの事業所では、実際の企業で職場実習を体験できます。これは就職率を高める非常に有効な手段です。実習を通じて企業側に自分の能力を示せますし、職場の雰囲気も確認できます。

実習先がそのまま就職先になることも少なくありません。「実習は面倒」と思わず、チャンスと捉えて積極的に参加することをおすすめします。

⚠️ 注意

実習で「この職場は自分に合わない」と気づくことも大切な収穫です。就職前にミスマッチを発見できれば、早期離職を防げます。

定着支援を最大限活用する

就職後の定着支援を遠慮なく活用することが、長く働き続けるコツです。困ったことがあれば早めに相談し、小さな問題のうちに解決しましょう。

「こんなことで相談していいのかな」と思うような些細なことでも、積み重なると大きなストレスになります。定期面談だけでなく、必要に応じて臨時の相談も申し出てください。

「就職できなかった」人はどうなるのか

就職に至らなかった理由

約半数の方が就職に至っていないという事実もあります。その理由はさまざまですが、主なものとして以下が挙げられます。

  • 体調が安定せず、就職活動に進めなかった
  • 希望する職種の求人が見つからなかった
  • 面接で不採用が続き、意欲を失ってしまった
  • 家庭の事情で途中退所せざるを得なくなった
  • 他のサービス(A型・B型など)への移行を選択した

就職に至らなかったからといって、失敗というわけではありません。準備にもう少し時間が必要だった、別の選択肢の方が合っていたということもあります。

就職に至らなかった場合の選択肢

2年間の利用期間内に就職できなかった場合でも、次のステップがあります。条件によっては利用期間の延長が認められることもありますし、就労継続支援A型・B型に移行して働きながら再チャレンジする道もあります。

また、別の就労移行支援事業所に変更したり、ハローワークの専門援助部門を利用したりする選択肢もあります。一つの道がうまくいかなくても、別のアプローチがあることを覚えておいてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 50%の就職率は高いのですか、低いのですか?

一人で就職活動をする場合と比較すれば、かなり高い数字です。特に、ブランクが長い方、初めての就職という方、障害特性への配慮が必要な方にとっては、心強い実績と言えるでしょう。ただし、事業所によって差があるので、個別の実績を確認することが重要です。

Q2. 就職率が高い事業所の方が良いのですか?

必ずしもそうとは限りません。就職率を優先するあまり、利用者に合わない職場を勧めている可能性もあります。就職率だけでなく、定着率や、どのような職種への就職実績があるかも確認しましょう。自分に合った支援をしてくれる事業所を選ぶことが最優先です。

Q3. 年齢が高いと就職率は下がりますか?

統計的には、年齢が高いほど就職のハードルは上がる傾向があります。ただし、これまでの経験やスキルを活かせる職種を選ぶことで、年齢をカバーできる場合も多くあります。50代で就職に成功した事例も少なくありません。

Q4. 定着率を高めるために自分でできることは?

体調管理、ストレス対処法の習得、職場でのコミュニケーションスキルの向上などが挙げられます。また、困ったときに早めに相談する習慣をつけることも大切です。就労移行支援での訓練期間中に、これらのスキルを身につけておきましょう。

Q5. 統計上の成功率が気になって不安です

統計はあくまで参考情報です。大切なのは、あなた自身がどれだけ準備できるか、どれだけサポートを活用できるかです。統計に不安を感じるより、「自分に何ができるか」「どんな支援が必要か」に焦点を当てましょう。一人ひとりの状況は異なるのですから。

まとめ

この記事では、就労移行支援の成功率について、数字をもとに解説しました。

  • 就労移行支援の就職率は約50〜53%で、利用者の2人に1人が就職に成功しています
  • 1年後の定着率は約70〜80%と、比較的高い水準を維持しています
  • 事業所によって就職率・定着率に大きな差があるため、事業所選びが重要です
  • 自己理解を深め、職場実習を活用し、定着支援を最大限使うことで成功率を高められます
  • 就職に至らなかった場合も、別の選択肢があるので焦る必要はありません

数字は一つの目安に過ぎません。大切なのは、あなた自身が納得のいく就職を実現し、長く働き続けられることです。統計に惑わされず、自分に合った支援を見つけてください。

あなたの就職の実現を心から応援しています。

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

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