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障害者総合支援法とは?対象・サービス内容を徹底解説

📖 約70✍️ 金子 匠
障害者総合支援法とは?対象・サービス内容を徹底解説
障害者総合支援法について、初心者にもわかりやすく徹底解説したガイド記事です。法律の目的である「共生社会」の理念から、身体・知的・精神・難病の対象者範囲、提供される具体的なサービス(介護給付・訓練等給付・地域生活支援事業)の内容まで網羅。特に気になる費用負担については、所得に応じた月額上限額の仕組みを詳しく説明し、経済的な不安を解消します。また、相談支援専門員の活用や申請から利用開始までの3つのステップを具体的に提示。障害がある方が制度を賢く利用し、自分らしい自立した生活を送るための実践的なナレッジをまとめています。

障害者総合支援法をやさしく読み解く:自分らしい生活を支える仕組み

障害のある方やそのご家族にとって、「日常生活での手助けがほしい」「将来働きたいけれど、どう動けばいいかわからない」といった悩みは切実なものです。そんなとき、私たちの暮らしを支える基盤となるのが障害者総合支援法です。しかし、法律の名前を聞くだけで「難しそう」「自分は対象なのかな」と感じてしまう方も多いのではないでしょうか。

この法律は、障害の種類にかかわらず、必要なサービスを組み合わせて利用できるように作られた、いわば「生活の応援団」のような制度です。住まい、仕事、日々の介護など、多岐にわたるサポートが用意されています。制度を正しく知ることは、あなたやご家族の「これから」をより豊かにするための第一歩になります。

この記事では、障害者総合支援法の基礎知識から、具体的にどのようなサービスが受けられるのか、そして利用までの流れをわかりやすく徹底解説します。専門用語には丁寧な説明を添えていますので、リラックスして読み進めてみてください。この記事を通じて、新しい一歩を踏み出すヒントを見つけていただければ幸いです。


障害者総合支援法の基本理念と対象者

法律の目的と「共生社会」の実現

障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)は、2013年に施行されました。この法律の大きな目的は、障害があってもなくても、みんなが同じ地域で、お互いを尊重しながら共に生きる「共生社会」を実現することにあります。以前は障害の種類(身体・知的・精神)ごとに制度が分かれていましたが、現在はこれらを一本化して、総合的に支援する形になっています。

この法律が大切にしているのは、本人の選択を尊重することです。単に「世話をする」のではなく、障害のある方が自分自身の望む生活を送れるよう、自立を支援することを主眼に置いています。制度を通じて、住み慣れた地域での暮らしを継続したり、新しい技術を身につけて社会へ羽ばたいたりすることが可能になります。

また、2014年には「障害者権利条約」の批准に伴い、さらなるサービスの充実が図られました。現在では、障害のある方の生活を支えるインフラとして、なくてはならない存在です。法律と聞くと堅苦しいイメージがありますが、中身は私たちの生活を温かくサポートする工夫が詰まった、非常に身近な仕組みなのです。

制度を利用できる対象者の範囲

では、どのような方がこの制度を利用できるのでしょうか。対象となるのは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)のある方、そして難病(特定の疾患)のある方です。以前は難病の方が制度の谷間に落ちてしまうことがありましたが、現在では対象疾患が大幅に拡大され、360種類以上の疾患が指定されています(2026年現在)。

ここで大切なのは、「障害者手帳」を持っていなくても、医師の診断や意見書があればサービスを利用できる可能性があるということです。特に難病や発達障害、高次脳機能障害などの場合、手帳の有無だけで判断せず、市区町村の窓口で相談してみることが重要です。対象となる年齢も、児童から大人まで幅広くカバーされていますが、65歳以上になると介護保険制度が優先されるというルールがあります。

また、障害の程度を示す「障害支援区分」というものがありますが、これはあくまでサービスの必要量を判断するための指標です。区分が低くても利用できるサービスはたくさんあります。まずは「自分(家族)の困りごとが、この法律で解決できるかもしれない」という視点を持つことから始めてみましょう。次のステップで、具体的な支援の内容を見ていきます。

介護保険との関係と優先順位

「介護保険と何が違うの?」という質問をよくいただきます。大きな違いは、介護保険が40歳以上(特定疾患がある場合)または65歳以上を対象としているのに対し、障害者総合支援法は年齢に関係なく利用できる点です。ただし、日本の制度には「介護保険優先の原則」という決まりがあり、65歳以上でどちらのサービスも受けられる場合は、原則として介護保険を先に利用することになります。

しかし、介護保険だけでは足りない支援がある場合は、障害者総合支援法を併用することが可能です。例えば、障害のある方特有の「同行援護(視覚障害者の外出支援)」や「就労支援」などは、介護保険にはないメニューであるため、高齢になっても引き続き障害者福祉のサービスとして利用できます。制度の「使い分け」や「組み合わせ」は非常に柔軟です。

こうした優先順位の判断は自分で行う必要はありません。市区町村の窓口や相談支援専門員が、現在の状況に合わせて最適な組み合わせを提案してくれます。大切なのは、どちらの制度を使うかという形式よりも、あなたが必要としている支援が途切れないようにすることです。重複する部分と独自のサポート部分を賢く使い分けましょう。

💡 ポイント

難病の方は、障害者手帳がなくても医師の診断書等で対象となる場合があります。対象疾患は定期的に見直されているため、最新の情報をチェックしてみましょう。


自立を支える「自立支援給付」の内容

毎日の暮らしを助ける「介護給付」

「介護給付」とは、日常生活で直接的な手助けが必要な方に提供されるサービスです。最も一般的なのが「居宅介護(ホームヘルプ)」で、自宅での入浴、排せつ、食事の介助、家事などをヘルパーさんがお手伝いします。これにより、ご家族の負担を軽減しつつ、住み慣れた自宅での生活を続けることができます。

また、重度の肢体不自由がある方で常に介護が必要な場合には「重度訪問介護」、視覚障害がある方の外出をサポートする「同行援護」、知的障害や精神障害がある方の外出を助ける「行動援護」など、特定のニーズに特化したメニューもあります。外出支援は、単なる移動の付き添いではなく、社会との接点を保つための大切な権利として保障されています。

短期間の宿泊ができる「短期入所(ショートステイ)」も重要なサービスです。ご家族が病気になったときや、リフレッシュが必要なときに、施設で一時的にケアを受けることができます。これらの介護給付は、利用者の身体状況に合わせて「障害支援区分」という1から6までの区分認定を受けてから利用することになります。一人ひとりの「できないこと」を「できること」に変えるための、きめ細かな支援が揃っています。

スキルアップと働くための「訓練等給付」

「訓練等給付」は、自立した生活能力を高めたり、仕事に就くためのトレーニングを行ったりする、前向きなステップアップを目的としたサービスです。入所施設や病院から地域生活へ移行するための「地域移行支援」や、一人暮らしを始める方をサポートする「自立生活援助」などが含まれます。

中でも利用者が多いのが、就労に関する支援です。一般企業への就職を目指す「就労移行支援」や、配慮のある環境で働く「就労継続支援(A型・B型)」があります。いきなり一般企業で働くのが不安な方でも、自分のペースに合わせて働く場所を選べるのが特徴です。また、就職した後にその職場に定着できるよう、ジョブコーチなどがサポートする「就労定着支援」という心強い仕組みもあります。

訓練等給付の多くは、障害支援区分に関係なく利用できるのが特徴です(一部を除く)。「今は自信がないけれど、将来は働きたい」「一人暮らしに挑戦してみたい」という意欲を形にするためのサービスです。実例として、就労移行支援を2年間利用したAさんは、パソコンスキルだけでなくコミュニケーションの取り方を学び、現在では大手企業の事務職として活躍されています。

住まいの場を提供する「居住支援」

障害のある方が親元を離れたり、施設から出たりして暮らす際、大きな柱となるのが「共同生活援助(グループホーム)」です。数人の仲間と一緒に暮らしながら、世話人や生活支援員から食事の提供や入浴・排せつの介助などのサポートを受けられます。完全に一人で暮らすのは不安だけれど、自立した生活を送りたいという方に非常に人気があります。

最近では「サテライト型」と呼ばれる、マンションの一室などで暮らしつつ、近くにある拠点から支援が届く仕組みも増えています。これにより、プライバシーを守りながら、必要なときだけ助けてもらえるという、より自由度の高い生活が可能になりました。グループホームは、夜間もスタッフがいるところが多いため、安心して眠りにつくことができます。

また、施設に入所して夜間の介護や日中の活動を一体的に受ける「施設入所支援」もあります。これは、家庭での生活が著しく困難な場合などに選択されます。どんな住まいの形が自分に合っているか、将来的にどのような生活を目指したいか、そうした相談も「計画相談支援」を通じてプロと一緒に考えることができます。住む場所を自分で選べることは、尊厳を守るために不可欠な要素です。

サービス分類 主なサービス名 利用目的
介護給付 居宅介護、重度訪問介護、短期入所など 日常生活の介助やご家族の負担軽減
訓練等給付 就労移行支援、就労継続支援など 就労に向けた訓練や社会復帰の準備
居住支援 共同生活援助(グループホーム) 地域での安定した住まいの確保

✅ 成功のコツ

サービスは一つに絞る必要はありません。「日中は就労支援に行き、夜はグループホームで過ごす」といった、パズルのように組み合わせた利用が可能です。


地域で支える「地域生活支援事業」

各市区町村が独自に行うサービス

自立支援給付が国で全国一律に決められているのに対し、地域生活支援事業は、それぞれの市区町村が地域のニーズに合わせて実施する事業です。そのため、お住まいの地域によってサービスの内容や利用料金に個性があるのが特徴です。例えば、点字や手話の通訳者を派遣する「コミュニケーション支援」などがこれに当たります。

他にも、車椅子の移動やつまずきを防ぐための「住宅改修」の補助や、外出をサポートする「移動支援」が含まれます。移動支援は、介護給付の「同行援護」などが対象外となる方でも、映画館に行ったり、趣味のサークルに出かけたりする際にヘルパーさんが付き添ってくれる非常に使い勝手の良いサービスです。余暇活動を支えることで、生活に潤いを与えてくれます。

これらの事業は、市区町村の窓口で「この街にはどんな独自の支援がありますか?」と尋ねることで詳しい情報を得られます。地域に密着した支援だからこそ、近所のボランティア団体と連携していたり、独自の交流イベントを開催していたりと、社会参加の入り口として非常に重要な役割を担っています。

福祉用具の給付と移動のサポート

身体の機能を補い、生活を便利にする「補装具」の購入や修理の費用も、この事業の一環として補助されます。車椅子、義足、補聴器、盲人安全つえなどが対象です。単に道具を買うだけでなく、身体の成長や病状の変化に合わせてカスタマイズするための相談も受けられます。高価なものが多いですが、原則1割負担(所得に応じた上限あり)で購入できるため、自立を助ける大きな力になります。

また、日常生活を容易にするための「日常生活用具」も給付されます。これには、特殊寝台(介護ベッド)、入浴補助用具、意思伝達装置などが含まれます。最近では、重度障害者向けのIT機器や、スマートフォンの操作を助ける周辺機器を助成対象にする自治体も増えてきました。テクノロジーを味方につけることで、不自由さを大幅にカバーできるようになっています。

移動のサポートについても、タクシー料金の助成や、自動車の運転免許取得費用の補助を行っている地域があります。通院だけでなく、仕事や買い物に自分の意思で出かけられることは、自立の幅を劇的に広げます。これらの道具や移動手段は、まさに障害のある方の「足」や「手」となり、社会との壁を低くしてくれるものです。

専門的な相談と権利を守る仕組み

「どこに相談すればいいかわからない」という不安に寄り添うのが「相談支援事業」です。基幹相談支援センターや、地域の相談支援事業所では、専門の相談員があなたの悩みを受け止めてくれます。福祉サービスの利用に関することだけでなく、家族関係の悩み、金銭管理、将来への不安など、どんなことでもまずは話してみることが大切です。

さらに、障害のある方が虐待を受けたり、差別されたりすることを防ぐための「権利擁護」の仕組みも整備されています。成年後見制度の利用支援や、意思決定のサポートなどがこれに当たります。言葉で自分の意思を伝えるのが難しい方であっても、その方の表情や行動から本当の願いを汲み取り、尊重していく。そんな温かい視点が、地域生活支援事業の根底に流れています。

地域生活支援事業は、いわば「かゆいところに手が届く」サポートです。国が一律に決めた枠組みではカバーしきれない、地域の特性や個人の状況に合わせた支援がここにはあります。自分の住んでいる街が、どんなふうに自分を支えてくれるのか。その情報を知るだけでも、心に大きな安心感が生まれるはずです。

⚠️ 注意

地域生活支援事業の内容は、引っ越しをすると変わることがあります。転居の際は、新しい自治体の窓口で改めて利用可能なサービスを確認しましょう。


サービスの利用負担と支払いについて

「応能負担」から「応益負担」への変化と現状

かつて、福祉サービスは「措置」として行政が決めるものでしたが、現在は「契約」に基づき、利用者がサービスを選び、対価を支払う仕組みになっています。障害者総合支援法における利用料は、原則として費用の1割を負担する仕組みになっています。これを「応益負担(受けたサービスに応じた負担)」と呼びますが、現在は所得に応じて負担が重くなりすぎないよう調整されています。

この「1割」という数字を聞いて不安になるかもしれませんが、安心してください。所得が低い世帯については、月の負担額に「上限」が設けられており、それ以上の支払いは発生しません。実際、多くの障害のある方が、この所得に応じた減免制度を利用して、月額0円や、比較的少額の負担で多くのサービスを受けています。

具体的にどれくらいの負担になるかは、世帯の所得状況(本人と配偶者の合計所得など)によって決まります。例えば、生活保護受給世帯や市民税非課税世帯の方は、毎月の利用負担額が0円になります。これにより、経済的な理由で必要な支援を諦めることがないよう、セーフティネットがしっかり敷かれています。

世帯所得に応じた月額上限額の目安

1ヶ月の間に複数のサービスをどれだけ使っても、設定された上限額を超えて支払う必要はありません。この上限額は、大きく分けて4つの区分があります。以下の表で、世帯の所得と月額上限額の関係を確認してみましょう(※2026年現在の一般的な目安です)。

世帯の区分 所得の状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※ 9,300円
一般2 上記以外の世帯 37,200円

※入所施設利用者やグループホーム利用者の場合は、個別の要件により異なる場合があります。また、20歳未満の入所者の場合は世帯の所得を合算しないなどの特例もあります。

このように、一般世帯であっても月額の上限があるため、例えば毎日ヘルパーさんに来てもらったり、就労支援に通ったりしても、支払いが数万円に膨れ上がることはありません。この「負担上限月額」があるからこそ、安心して計画的にサービスを利用し、自立への道を探ることができるのです。詳しい計算については、役所の窓口で自分の世帯がどの区分に当たるか確認することができます。

各種減免制度と「高額障害福祉サービス等給付」

月額上限額以外にも、さらに負担を軽くする仕組みがあります。一つは「高額障害福祉サービス等給付」です。これは、同一世帯内で複数の人が障害福祉サービスを利用している場合や、一人が介護保険と障害福祉サービスを併用している場合に、世帯全体の合算負担額が一定の基準を超えると、その超えた分が払い戻される制度です。

また、グループホームなどで暮らす方には、家賃の一部を助成する「特定障害者特別給付費」や、施設入所者の食費・光熱費を軽減する仕組みもあります。さらに、自治体独自の減免制度(医療費の助成など)を併用することで、実際の手出し金額はさらに抑えられることが多いのが実情です。

「お金が心配で相談に行けない」という方もいらっしゃいますが、むしろ相談に行くことで、こうした減免制度を知り、経済的な安定を図ることができます。制度は複雑に見えますが、あなたを守るために何層もの壁が作られています。まずは現状の不安を相談支援専門員に話し、無理のない利用計画を立ててもらうことが、生活の安定への近道となります。

「1割負担と聞いて最初は身構えましたが、上限額制度のおかげで、今は月々数千円の支払いで毎日ヘルパーさんに来てもらえています。本当に助かっています。」

— 40代・一人暮らしの身体障害者の方の声


サービス利用までの具体的な流れ

ステップ1:相談と申請

サービスを利用したいと思ったら、まずは市区町村の障害福祉担当窓口へ相談に行きましょう。窓口では、「今、生活のこういう部分で困っている」「こういうサービスを使ってみたい」ということを伝えます。障害者手帳がある場合は持参しますが、ない場合でも主治医の診断書や難病の証明があれば相談可能です。

窓口での相談と並行して、「指定特定相談支援事業所」を選び、相談支援専門員にサポートを依頼するのが成功のコツです。専門員は、あなたの希望を聞き取りながら「サービス等利用計画案」を作成してくれます。自分一人で書類を揃えたり、役所とやり取りしたりするのは大変ですが、プロが間に入ることでスムーズに進みます。申請が受理されると、次のステップである「調査」が始まります。

この時、窓口で渡される書類には難しい言葉が並んでいるかもしれませんが、すべてをその場で理解する必要はありません。わからないことは「これはどういう意味ですか?」と遠慮なく尋ねてください。申請は、あなたが「新しいサポートを受けたい」という意思表示をする大切なセレモニーのようなものです。

ステップ2:調査と区分認定(介護給付の場合)

申請後、市区町村の調査員が自宅を訪問したり、役所の面談室で話を聴いたりする「認定調査」が行われます。ここでは、食事や入浴の状況、コミュニケーション、行動の特徴など、80項目にわたる調査が行われます。ここで大切なのは、「普段の、一番困っている時の状態」を正直に伝えることです。つい頑張って「できます」と言ってしまいがちですが、ありのままを伝えないと、必要な支援が受けられなくなってしまいます。

調査結果と、主治医が作成した「医師意見書」をもとに、専門家による「障害者程度区分認定審査会」が開かれ、障害支援区分(1〜6)が決定されます。訓練等給付のみを希望する場合は、この区分認定を省略できることもあります。区分は、あなたの障害の優劣を決めるものではなく、「どれだけの手助けが必要な状態か」というボリュームを測るためのものです。

区分が決定されると、市区町村から「受給者証」が届きます。これは、あなたがどのようなサービスを、どれくらいの量(1ヶ月に何時間など)、いくらの上限額で利用できるかが記載された、いわば「チケット」のようなものです。この受給者証が届くことで、いよいよ具体的なサービス契約へと進むことができます。

ステップ3:契約と利用開始

受給者証が届いたら、実際にサービスを提供している事業所(ヘルパー事業所や就労支援事業所、グループホームなど)を選び、利用契約を結びます。相談支援専門員が、あなたの希望に合う事業所を紹介してくれたり、見学に同行してくれたりします。事業所によって雰囲気や得意分野が異なるため、ぜひ見学に行って「ここで過ごしたい」「この人に来てもらいたい」と思えるところを選びましょう。

契約が済んだら、作成された計画に沿ってサービス利用がスタートします。利用開始後も、相談支援専門員が定期的に「モニタリング(状況確認)」を行ってくれます。「実際に使ってみたら、もう少し時間を増やしたい」「このヘルパーさんとは相性が良くないかも」といった不満や要望があれば、このモニタリングの際に伝えて、計画を修正してもらうことができます。

制度は一度決めたら終わりではなく、あなたの体調や生活環境の変化に合わせて、いつでも見直すことができます。卒業(就職など)を目指すもよし、長くじっくりサポートを受けるもよし。受給者証という強力な味方を手に入れて、自分らしい生活の土台を固めていきましょう。以下の表に、一般的な利用までの期間をまとめました。

  1. 相談・申請(1日〜)
  2. 認定調査・医師意見書作成(2週間程度)
  3. 審査・区分認定(1ヶ月程度)
  4. 受給者証交付・契約(1〜2週間程度)
  5. 利用開始!

💡 ポイント

申請から利用開始までは、平均して1〜2ヶ月程度の時間がかかります。必要だと思ったら、早めに相談に行くことをおすすめします。


よくある質問(FAQ)

Q. 障害者手帳を持っていませんが、本当に利用できますか?

はい、可能です。障害者総合支援法は、手帳の有無ではなく「支援が必要な状態かどうか」で判断されます。特に発達障害の方や、指定された難病の方などは、医師の診断書や意見書があれば、手帳を持っていなくても制度の対象となります。また、過去に手帳の申請をしたけれど却下されたという方でも、日常生活に著しい制限がある場合は、別の基準で福祉サービスが認められることもあります。まずは諦めずに、お住まいの市区町村の福祉窓口、または「相談支援事業所」へ足を運んでみてください。専門の相談員が、あなたの状況に合わせた道筋を一緒に考えてくれます。

Q. サービスの回数や時間を増やすことはできますか?

状況に応じて可能です。利用できるサービスの量は、最初に発行された「受給者証」に記載されていますが、これは固定されたものではありません。例えば「家族の介護状況が変わった」「自分の体調が悪化した」「就職活動を本格化させたい」といった理由があれば、市区町村に支給量の変更申請を行うことができます。この際、相談支援専門員が現状を整理した書類を作成し、役所と交渉してくれます。一人ひとりの「今」の困りごとに合わせて、サービスの量を柔軟に調整できるのがこの法律の良いところです。変化を感じたら、すぐに相談支援専門員へ連絡しましょう。

Q. 引っ越しをしてもサービスはそのまま続けられますか?

基本的には、新しい住所地の市区町村で改めて申請を行う必要があります。障害支援区分や受給者証の内容は、自治体が個別に決定しているため、引っ越し先で再度認定調査が行われることもあります。ただし、以前の自治体での区分や利用実績は引き継ぎの際の参考資料になります。引っ越しが決まったら、なるべく早く「今使っているサービスを新しい場所でも使いたい」ということを、現在の相談支援専門員と、引っ越し先の役所に伝えましょう。空白期間ができないよう、自治体間で連携をとって手続きを進めてくれることが一般的です。計画的な引っ越し準備が、安心を継続させる鍵となります。


まとめ

障害者総合支援法について、その理念から具体的なサービス、費用負担、利用までの流れを詳しく見てきました。最後に、覚えておいていただきたいポイントを整理します。

  • 誰もが自分らしく生きるための法律:障害の種類や手帳の有無にかかわらず、生活を総合的に支える仕組みです。
  • 多彩なサービスを組み合わせる:介護、就労、住まいなど、あなたの希望に合わせた「オーダーメイド」の支援が可能です。
  • 負担は所得に応じて調整される:月額上限額の設定があるため、経済的な理由で支援を諦める必要はありません。
  • 相談支援専門員を味方につける:申請から利用後の調整まで、プロのサポートを受けることが自立への近道です。

法律という言葉の壁を越えると、そこにはあなたの生活を支え、可能性を広げるための温かな制度が広がっています。不自由さをすべて一人で背負う必要はありません。公的なサービスを賢く利用することは、あなたがあなたらしく、社会の中で輝き続けるための「土台作り」です。

次のアクションとして、まずはあなたの街にある「相談支援事業所」をネットで検索してみるか、市区町村から配られている「福祉のガイドブック」を手に入れてみてください。そして、ほんの少しの勇気を持って、窓口のチャイムを鳴らしてみましょう。その一歩が、あなたとご家族の未来を明るく照らす新しい扉を開くはずです。私たちは、あなたが自分らしい一歩を踏み出すことを、心から応援しています。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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