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障害年金2級・3級の違いをわかりやすく解説

📖 約47✍️ 高橋 健一
障害年金2級・3級の違いをわかりやすく解説
障害年金2級と3級の違いは、支給される年金の種類と金額にあります。2級は障害基礎年金(定額)と障害厚生年金(報酬比例)が支給され、子や配偶者の加算がありますが、3級は障害厚生年金のみで加算がありません。等級の認定基準は、2級が「日常生活に著しい制限を受ける状態」(重度)、3級が「労働に著しい制限を受ける状態」(軽度)です。特に精神障害では、7つの項目からなる「日常生活能力の制限」の度合いが重要となります。適切な等級認定を受けるためには、医師へ生活の困難さを具体的に伝え、申立書で客観的な証明を行うことが成功の鍵となります。

病気や怪我、生まれつきの障害により障害年金の受給を検討する際、「自分の障害は2級と3級のどちらに該当するのだろう?」という疑問は、多くの方が抱える最も重要な問題の一つです。 障害年金は、2級と3級とで受け取れる年金の種類や金額、そして申請の対象となるか否かが大きく異なります。

このガイドでは、障害年金2級と3級の違いを、年金の種類、金額、そして最も重要な認定基準(特に日常生活能力や労働能力の制限)の観点から、具体的かつわかりやすく解説します。 ご自身の状態がどちらの等級に近いのかを把握し、適切な年金請求につなげるための知識を身につけましょう。


障害年金2級と3級の基本的な違い

障害年金制度における2級と3級の大きな違いは、年金の「種類」「加入していた年金制度」にあります。 3級は、障害厚生年金にのみ存在する等級であり、国民年金のみに加入していた方には認定されません。

違い1:支給される年金の種類と対象者

日本には公的年金制度として「国民年金」と「厚生年金」があり、初診日にどちらに加入していたかで、受け取れる年金が決まります。

等級 支給される年金の種類 初診日の年金加入状況
2級(重度) 障害基礎年金+障害厚生年金(※) 国民年金加入者、または厚生年金加入者
3級(軽度) 障害厚生年金のみ 厚生年金加入者のみ

※厚生年金加入者で2級に認定された場合、障害基礎年金と障害厚生年金の両方が支給されます。 国民年金(第1号被保険者)のみに加入していた方は、障害基礎年金しかなく、3級という等級自体が存在しないため、2級以上の認定を目指す必要があります。

違い2:年金額と加算の有無

2級と3級では、年金額にも大きな差があります。 特に2級には、経済的に重要な「子の加算」や「配偶者加給年金」が関わってきます。

  • 2級の年金額:

    障害基礎年金(定額)に加えて、厚生年金加入者は報酬比例の障害厚生年金が上乗せされます。 さらに、生計を維持している配偶者や子がいる場合は、扶養手当に相当する加算が支給されます。

  • 3級の年金額:

    障害厚生年金(報酬比例部分)のみの支給となります。 子や配偶者に対する加算は原則としてありません。 ただし、報酬比例部分が低額であっても、法律で定められた最低保障額が確保されます。

この加算の有無は、特に家族を支える必要がある方にとって、2級と3級の経済的な差を非常に大きくする要因となります。

💡 ポイント

障害年金の認定基準は、障害者手帳の等級とは異なります。 例えば、身体障害者手帳が3級でも、日常生活能力の制限が重ければ、障害年金2級に認定される可能性があります。


等級判定の鍵となる「日常生活能力の制限」

障害年金の等級認定で最も重要なのは、「日常生活能力の制限の程度」です。 特に精神の障害(うつ病、統合失調症、発達障害など)や、内部障害(心臓、腎臓など)の認定において、具体的な生活上の困難さが2級と3級の分かれ目となります。

2級(重度)と判断される日常生活の基準

障害年金2級は、「日常生活に著しい制限を受けるもの」と定義されています。 これは、以下のような状況が該当します。

  • 精神・知的障害の場合:

    援助がなければ、食事、入浴、金銭管理、対人交流、危機対応などの日常生活活動の一部またはほとんどを行うことが困難であり、しばしば援助や指導を必要とする状態です。

  • 身体障害・内部障害の場合:

    日常生活において、常に介助までは必要ないが、著しい制限があり、時に介助が必要な状態。 例えば、重い心臓病で少しの労作でも息切れし、自宅内の生活以外は困難な状態などが該当します。

2級認定のポイントは、「労働によって収入を得ることができない程度のもの」であり、自宅での生活維持にも大きな困難があるという点です。

3級(軽度)と判断される日常生活の基準

障害年金3級は、「労働に著しい制限を受けるもの」と定義されています。

  • 精神・知的障害の場合:

    日常生活は、家庭内でほぼ自立して行うことができるものの、社会的な活動(仕事、外出、複雑な対人交流)には一定の制限がある状態です。 例えば、短時間の単純作業であれば可能だが、一般の企業でフルタイム勤務は極めて難しい状態などが該当します。

  • 身体障害・内部障害の場合:

    労働能力が著しく低下しているものの、日常生活には大きな制限はない状態。 例えば、人工透析を導入しており、透析時間以外は日常生活は比較的送れるが、労働は著しく困難な状態(透析患者は原則2級ですが、例外規定があります)。

⚠️ 注意

「日常生活能力の制限」を医師に正確に伝えることが重要です。 「元気な時はできる」ことではなく、「体調が悪い時や、一人でいる時にできないこと」や「援助が必要な具体的な状況」を具体的に申立書に記載しましょう。

労働能力の評価と就労状況

「働いているから障害年金はもらえない」というのは誤解です。 しかし、就労状況は等級判定の重要な要素となります。

2級に認定されるには、原則として労働により収入を得ることが困難な状態である必要があります。 一方、3級は、労働に著しい制限がある、または労働に制限を加えることを必要とする状態であれば該当します。 短時間勤務や、職場の特別な配慮(合理的配慮)を受けている場合は、その状況を詳しく伝えることが重要です。


精神障害における2級と3級の具体例

精神障害(うつ病、双極性障害、統合失調症など)や発達障害は、客観的な数値で障害の程度を測ることが難しいため、「日常生活能力の判定」「その程度」の組み合わせで等級が決定されます。

精神障害における等級判定の要素

精神障害の等級判定では、以下の7つの項目について、「できる(1)~できない(5)」の5段階評価が行われます。

  1. 適切な食事摂取
  2. 身辺の清潔保持
  3. 金銭管理と買い物
  4. 通院と服薬の自己管理
  5. 対人関係と意思伝達
  6. 危機対応と問題解決
  7. 社会的な対活動の参加

この評価と、総合的な日常生活能力の程度(「助言や指導を要する」「援助を要する」など)が組み合わされて、2級または3級が決定されます。

2級認定の具体的な状況例

主に、自宅内で生活を送るうえで、かなりの援助や指導が必要な状況が2級の目安となります。

  • 例1(統合失調症): 幻覚や妄想の影響で、金銭管理や服薬管理がほとんど自力でできず、家族の指導や介助が頻繁に必要。外出もほとんどできず、対人交流も極めて限定的である。
  • 例2(双極性障害): 躁状態や鬱状態が重く、定期的な通院や服薬を継続することが困難であり、病状が不安定。入浴や食事摂取も、強い抑うつ状態時には家族の促しがないとできない。

✅ 成功のコツ

精神疾患の申請では、「生活能力の判定」で概ね3以上の項目が多いこと、および「総合的な日常生活能力の程度」が『援助が必要』と評価されていることが2級認定の重要なポイントになります。

3級認定の具体的な状況例

3級は、家庭内では自立可能だが、仕事や社会的な場面で著しい制限がある状況が目安です。

  • 例1(うつ病): 症状は継続しているが、身辺処理や金銭管理は自力で可能。しかし、疲労感が強く集中力が持続しないため、フルタイムでの一般就労は不可能であり、就労継続支援(B型)や短時間の特例子会社での勤務を余儀なくされている。
  • 例2(発達障害): 日常生活は送れるものの、複雑な状況判断や対人関係の構築が困難で、職場での業務指示の理解やチームワークに著しい支障をきたし、短期間での離職を繰り返している。


等級の差がもたらす経済的・社会的影響

2級と3級の違いは、単に年金額の差に留まらず、生活全般の経済的・社会的な安定性に大きな影響を与えます。

年金支給額の比較(概算)

2024年度の障害年金支給額(概算)を基に、2級と3級の経済的な差を見てみましょう。

等級 年金の種類と構成 概算年金額(単身者)
2級 障害基礎年金(定額)+障害厚生年金(報酬比例) 年額約81.6万円+厚生年金部分
3級 障害厚生年金(報酬比例)のみ 年額約61.2万円(最低保障)〜+

※障害基礎年金には、子や配偶者の加算がつき、2級の支給額はさらに大きくなります。 2級と3級では、最低でも年間20万円以上、扶養家族がいる場合はさらに大きな差が生じます。

社会的支援への影響

障害年金は、障害者手帳のように直接的に福祉サービスや割引制度を決定するものではありませんが、間接的に公的支援の判断に影響を与えることがあります。

  • 手帳の等級への影響:

    障害年金が2級であれば、精神障害者保健福祉手帳の等級も原則として2級以上となるため、手帳の申請手続きを簡略化できるメリットがあります。

  • 所得による公営住宅の優遇:

    障害年金は非課税所得ですが、世帯収入によっては、公営住宅の入居要件や家賃決定に影響を及ぼす場合があります。

  • 生活保護の受給額への影響:

    生活保護を受給している場合、障害年金は収入認定されますが、2級以上の年金は「級地」によって非課税控除額が増えるなど、生活保護費に有利な影響を与えることがあります。


よくある質問と適切な等級認定を得るための対策

障害年金の申請において、2級と3級のどちらを目指すべきか、どのように対策すべきかという疑問は尽きません。 ここでは、申請時の具体的な対策について解説します。

Q&A:申請と等級に関する疑問

Q1. 3級でも申請する意味はありますか?

A. 大いに意味があります。 3級でも、厚生年金加入者であれば最低保障額以上の年金を受給できますし、将来的に病状が悪化し2級以上に昇格する可能性もあります。 また、年金を受給しているという事実は、社会的信用や次の福祉サービス利用への足がかりにもなります。

Q2. 等級を上げるために、診断書で気をつけることは?

A. 最も大切なのは、日常生活能力の制限を具体的に、かつ客観的に伝えることです。 主治医には、「日常生活状況申立書」を渡し、「援助なしにはできないこと」「体調の波が激しいこと」「家族の介助状況」などを詳細に伝え、診断書の「日常生活能力の判定」欄に正確に反映してもらうよう依頼しましょう。

Q3. 2級が非該当で3級に認定された場合、不服申立てはできますか?

A. はい、可能です。 2級を求めていたにもかかわらず3級に認定された場合、審査機関の判断に不服があるとして、「2級認定を求める」旨の不服申立て(審査請求)を行うことができます。 ただし、3ヶ月以内という期限があるため、迅速な対応が必要です。

適切な等級認定を得るための対策

2級、3級、どちらの等級を目指すにしても、最も重要なのは「現在の障害の重さと生活の困難さを客観的に証明する」ことです。

  1. 病歴・就労状況等申立書を徹底的に作成する:

    診断書の内容を補完する「生活の実態」を、発病から現在まで時系列で細かく記載します。 診断書と申立書の内容に一貫性があることが重要です。

  2. 複数の診断書を揃える(必要な場合):

    眼と聴覚など、複数の障害がある場合は、それぞれの障害に対応した診断書を提出します。 これにより、総合的に評価され、等級が上がる可能性があります。

  3. 社労士の専門的な支援を受ける:

    障害年金専門の社会保険労務士(社労士)は、どの等級の認定基準に照らして申請を進めるべきかを判断し、診断書や申立書作成に関する具体的なアドバイスを提供してくれます。 特に2級と3級の境界線にあると予想される場合は、専門家の意見を聞くことが成功への近道です。

障害年金は、あなたの生活を支えるための大切な権利です。ぜひ前向きに申請を検討してみてください。


まとめ

  • 障害年金2級は障害基礎年金と障害厚生年金(厚生年金加入者)の支給対象、3級は障害厚生年金のみの支給対象です。
  • 2級は「日常生活に著しい制限を受ける」、3級は「労働に著しい制限を受ける」状態が基準となり、特に精神障害では日常生活能力の制限の度合いが分かれ目となります。
  • 2級は3級よりも年金額が大幅に高く、子や配偶者の加算があるため、経済的なメリットが大きいです。
  • 適切な等級認定のためには、医師への具体的な生活状況の伝達と、病歴・就労状況等申立書での客観的な生活困難さの証明が最も重要です。

高橋 健一

高橋 健一

たかはし けんいち50
担当📚 実務経験 25
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会福祉士

市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。

大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。

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💭 福祉の道を選んだ理由

公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

将棋、歴史小説

🔍 最近気になっているテーマ

マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展

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