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障害者手帳の基本ガイド:種類・等級・申請方法

📖 約59✍️ 阿部 菜摘
障害者手帳の基本ガイド:種類・等級・申請方法
障害者手帳は、支援サービスを受けるための公的な証明書です。本記事では、手帳の基礎知識として、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類と、それぞれの対象者、そして等級(1級~7級、A/B、1級~3級)の基準を詳しく解説しています。また、申請前の相談から必要書類の準備、審査を経ての手帳取得までの具体的なステップを解説し、取得後の交通費割引や税制優遇などの具体的なサービス利用例や、再認定・更新手続き、よくある質問にも回答しています。読者が必要な支援にスムーズにアクセスできるよう、親しみやすいトーンで次の一歩を提案するガイドです。

障害者手帳について、「種類がたくさんあって複雑」「申請手続きが難しそう」と感じていませんか。 ご本人様はもちろん、ご家族や支援者の方にとっても、制度の全体像を把握するのは大変なことです。

このガイドでは、障害者手帳の基本的な知識から、その種類、等級、そして具体的な申請方法までを、初めての方にもわかりやすく徹底的に解説します。 この記事を読めば、あなたやあなたの大切な人が、必要な支援やサービスへスムーズにアクセスできるようになります。


障害者手帳とは?その意義と役割

障害者手帳は、障害のある方が様々な支援やサービスを受けるために交付される公的な証明書です。 手帳があることで、税制上の優遇措置や公共料金の割引、手当の受給、就労支援など、日常生活や社会参加をサポートするための様々な制度を利用できるようになります。

単なる証明書ではなく、社会全体で障害のある方を支えるという理念を具現化した大切なツールと言えるでしょう。 手帳の交付を受けることで、ご自身の障害特性に応じた合理的配慮やサービスを、法的に保障された形で享受することができます。

手帳がもたらすメリット

障害者手帳を所持することで得られるメリットは多岐にわたります。 例えば、交通機関の運賃割引公営施設の入場料減免は、経済的な負担を大きく軽減してくれます。 また、所得税や住民税の障害者控除といった税制優遇も非常に重要です。

さらに、就職活動においては、障害者雇用枠での応募が可能になるなど、働く上での選択肢を広げる役割も担っています。 これらのサービスは、手帳の種類や等級によって内容が異なりますので、ご自身の状況に合わせて確認することが大切です。

💡 ポイント

手帳のメリットは、経済的な優遇だけでなく、障害特性に合わせた福祉サービスや就労支援への扉を開く役割も果たします。

手帳が持つ「公的な証明」としての役割

障害者手帳は、国や自治体が定めた基準に基づいて交付されるため、公的な場であなたの障害の状況を証明する力を持っています。 これにより、煩雑な手続きを何度も繰り返すことなく、サービス利用の際の審査がスムーズに進むことが期待できます。

特に、災害時や緊急時など、支援を迅速に必要とする場面においては、手帳の提示が優先的な支援につながるケースもあります。 手帳を持っていることは、社会に対して「私はこういう支援を必要としています」と明確に伝えるメッセージにもなるのです。


障害者手帳の3つの種類と対象者

日本には、障害の種別に応じて大きく分けて3種類の障害者手帳が存在します。 それぞれ、対象となる障害や交付基準、利用できるサービスが異なるため、まずはこの3種類を理解することが、手帳制度への第一歩です。

ご自身の、または支援する方の障害がどの手帳の対象となるのかを確認し、適切な申請準備を進めていきましょう。 手帳の名称と対象者は、以下の表で整理するとわかりやすいです。

手帳の種類 対象となる障害 対象者年齢(目安)
身体障害者手帳 肢体不自由、視覚・聴覚・平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・免疫・肝臓の機能障害 年齢制限なし
療育手帳 知的障害 年齢制限なし(児童期に判定を受けることが多い)
精神障害者保健福祉手帳 すべての精神疾患(統合失調症、うつ病、てんかん、発達障害など) 年齢制限なし(初診日から6ヶ月以上経過していることが条件)

身体障害者手帳の詳細

身体障害者手帳は、身体の一部に永続的な障害がある方を対象としています。 失われた機能や、生活に支障をきたしている部位によって、細かくその基準が定められています。

例えば、事故や病気による四肢の欠損、心臓病や腎臓病といった内部障害も対象となり、これらの障害の重度に応じて等級が決定されます。 医師による専門的な診断と、定められた基準に照らした判定が必要となるため、まずは医療機関への相談が最初のステップとなるでしょう。

療育手帳の詳細と「愛の手帳」などの地域呼称

療育手帳は、知的障害のある方を対象とする手帳で、その名称は自治体によって異なることが多いのが特徴です。 例えば、東京都では「愛の手帳」、横浜市では「愛護手帳」といった独自の名称が使われています。

知的障害の判定は、主に発達期の知能検査日常生活能力の評価に基づいて行われます。 判定機関は、児童相談所(18歳未満)または知的障害者更生相談所(18歳以上)となりますので、お住まいの地域の窓口を確認してください。 この手帳は、知的障害のある方の生活全般にわたる支援(例えば、グループホームの利用など)に欠かせません。

精神障害者保健福祉手帳の詳細

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患により長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方を対象としています。 統合失調症、うつ病、双極性障害、てんかん、薬物依存症のほか、近年は発達障害や高次脳機能障害も対象に含まれるようになりました。

申請には、精神疾患による初診日から6ヶ月以上経過していることが必須条件です。 病状が安定していない期間に申請しても、適切な等級判定が難しいため、主治医とよく相談しながら申請のタイミングを見極めることが成功のコツです。

⚠️ 注意

精神障害者保健福祉手帳の交付を受けても、運転免許の取得や更新、生命保険の加入には影響がないのが原則ですが、病状や保険会社によっては個別の判断となる場合があります。


障害者手帳の等級と判定基準

障害者手帳の等級(程度)は、受けられる支援やサービスの内容に直結する非常に重要な要素です。 障害の程度が重いほど、一般的に数字が小さく、重度の等級がつけられます(例:1級が最も重度)。

しかし、3つの手帳で等級の数え方や基準が異なるため、混乱しやすいポイントでもあります。 このセクションでは、それぞれの等級区分と、どのような基準で判定されるのかを具体的に見ていきましょう。

身体障害者手帳の等級(1級~7級)

身体障害者手帳の等級は、1級から7級までに分かれています。 ただし、手帳が交付されるのは、原則として1級から6級までです。 7級の障害が2つ以上重複する場合や、4級以上の障害と7級の障害が重複する場合に、手帳交付の対象となることがあります。

等級は、厚生労働省令で定められた詳細な認定基準に基づき、医師の意見書と専門の審査機関によって総合的に判断されます。 例えば、視覚障害の1級は両眼の視力の和が一定以下、または視野の著しい制限がある場合など、具体的な数値基準が設定されています。

「私は最初は3級でしたが、数年後の再認定で病状が進み2級となりました。等級が変わると受けられるサポートも変わるので、定期的な見直しも大切だと感じました。」

— 身体障害者手帳(内部障害)所持者の声

療育手帳の等級(A/Bなど)と判定基準

療育手帳の等級区分は、自治体によって表現が異なりますが、多くは重度(A)とそれ以外(B)、あるいはさらに細分化された区分が用いられます。 例えば、「A1(最重度)」「A2(重度)」「B1(中度)」「B2(軽度)」といった4段階で区分される自治体もあります。

判定基準は、主に知能指数(IQ)と日常生活能力の評価に基づいています。 児童相談所や知的障害者更生相談所の判定員が、検査と面談を通じて、自立度や介助の必要性を総合的に判断し、等級を決定します。 知的障害の程度を把握するため、定期的な再判定が必要とされていることが多いです。

精神障害者保健福祉手帳の等級(1級~3級)

精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級、2級、3級の3段階で区分されます。 1級が最も重度であり、日常生活の用を弁ずることを不能とする程度のものが該当します。 3級は、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける程度のものです。

この手帳の等級は、精神疾患の状態と、それによって日常生活や社会生活がどれだけ制限を受けているかという2つの視点から総合的に判断されます。 診断書を作成する主治医が、これらの状況を詳細に記述し、それに基づいて自治体の審査会が等級を決定します。

✅ 成功のコツ

手帳の申請において、日常生活での具体的な困りごとや必要な介助の状況を、主治医や判定員に具体的かつ正直に伝えることが、適切な等級認定を受けるための重要な鍵となります。


障害者手帳の具体的な申請手続きの流れ

「いざ申請!」となると、何から手を付けていいのか迷ってしまう方も多いでしょう。 しかし、基本的な流れを把握しておけば、スムーズに手続きを進めることができます。 どの手帳も、まずは情報収集から始まり、診断書等の準備、そして自治体窓口への申請という手順を踏みます。

ここでは、3つの手帳に共通する一般的なステップと、それぞれの手帳特有の注意点について解説します。 不明点があれば、遠慮なくお住まいの自治体の福祉担当窓口に問い合わせてみましょう。

ステップ1:まずは相談・情報収集から

申請手続きの最初のステップは、お住まいの市区町村の福祉担当窓口(役所・役場の福祉課など)への相談です。 ここで、申請に必要な書類一式を受け取り、手続きの詳細や、ご自身の障害がどの手帳の対象になるのかを確認します。

また、身体障害者手帳の場合は指定医精神障害者保健福祉手帳の場合は主治医療育手帳の場合は判定機関への相談も並行して行う必要があります。 特に診断書の作成は時間を要する場合があるため、早めに医師に相談することをおすすめします。

ステップ2:診断書などの必要書類の準備

手帳の種類によって必要書類は異なりますが、主に以下のものが求められます。

  • 所定の診断書・意見書(指定された様式を使用)
  • 申請書(自治体の窓口で取得)
  • 本人の顔写真(規定サイズがあることが多い)
  • マイナンバー(個人番号)を確認できる書類
  • 身元確認書類(運転免許証など)

診断書は最も重要な書類であり、身体障害者手帳の場合は「指定医」に、精神障害者保健福祉手帳の場合は「主治医」に作成を依頼します。 診断書作成には費用がかかることも念頭に置いておきましょう。

⚠️ 注意

診断書は、手帳申請用の所定の様式で作成してもらう必要があります。通常の診療で使われる診断書とは異なりますので、必ず窓口で様式を受け取り、医師に渡してください。

ステップ3:自治体窓口への申請と審査

必要書類がすべて揃ったら、お住まいの市区町村の福祉担当窓口に提出します。 この際、書類に不備がないか、窓口の担当者と一緒に最終チェックをすることが大切です。

提出後、自治体や都道府県の専門機関で審査が行われます。 療育手帳の場合は、児童相談所や知的障害者更生相談所での判定(面談や検査)が必要となります。 審査期間は手帳の種類や自治体によって異なりますが、通常1〜3ヶ月程度かかることが多いです。


手帳取得後のサービス利用とよくある質問

無事に手帳が交付されたら、いよいよ手帳を活用して必要な支援やサービスを受けていく段階に入ります。 手帳を持っているからといって、すべてのサービスが自動的に提供されるわけではなく、サービスごとに別途利用申請が必要なものが多いという点には注意が必要です。

ここでは、手帳を活用したサービス利用の具体例と、申請や利用に関してよく聞かれる質問について解説していきます。 最大限に手帳のメリットを活かして、より豊かな生活を目指しましょう。

手帳を活用した具体的なサービス例

手帳によって利用できるサービスは多岐にわたりますが、生活に密着した代表的なものをいくつかご紹介します。

  • 医療費の助成: 自治体によっては、障害の種類や等級に応じて医療費の自己負担分を助成する制度があります。
  • 税金の優遇: 所得税や住民税の障害者控除、自動車税の減免などが受けられます。
  • 交通機関の割引: JR、バス、タクシー、航空機などの運賃が割引になる制度があります。
  • 福祉サービスの利用: 居宅介護、短期入所(ショートステイ)、就労移行支援、グループホームなどの障害福祉サービスの利用申請に必要となります。
  • 携帯電話料金の割引: 各キャリアで障害者向けの割引サービスが提供されています。

サービスの種類 対象となる手帳(代表例) 留意点
障害者雇用枠での就職 すべて(企業による) ハローワークへの登録などが必要
高速道路料金の割引 身体障害者手帳(等級による)、療育手帳 事前登録が必要、ETCも対象
NHK受信料の減免 すべて(世帯構成や等級による) 全額免除または半額免除

手帳の再認定・更新について

障害者手帳には、永続的なものと、一定期間ごとに再認定(更新)が必要なものがあります。 特に、精神障害者保健福祉手帳は、原則として2年ごとに再認定が必要となります。 これは、精神疾患の病状が変化する可能性があるためです。

再認定の期間が近づくと、自治体から通知が届きますので、更新手続きを忘れないように注意が必要です。 身体障害者手帳でも、将来的に障害の程度が変化すると予想される場合は、期限付きで交付されることがあります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 手帳の申請は、家族や支援者が代行できますか?

A. はい、可能です。多くの場合、委任状があれば、ご家族や相談支援事業所の職員などが申請手続きを代行できます。 本人が窓口に出向くことが難しい場合は、事前に窓口に確認してみましょう。

Q2. 複数の手帳を同時に所持することはできますか?

A. はい、可能です。複数の障害を併せ持っている方は、身体障害者手帳と療育手帳、または療育手帳と精神障害者保健福祉手帳など、複数の手帳を所持することができます。 それぞれの障害に応じたサービスを受けることができます。

Q3. 申請した内容や等級に不服がある場合はどうすればいいですか?

A. 審査の結果、不服がある場合は、不服申し立て(審査請求)を行うことができます。 手続きには期限がありますので、不服申し立て制度について、自治体の窓口や相談支援事業所にご相談ください。


より良い支援を受けるための次のアクション

障害者手帳の基本的な仕組みをご理解いただけたでしょうか。 手帳は、あなたが必要な支援へアクセスするための切符のようなものです。 しかし、手帳を取得することがゴールではありません。

大切なのは、手帳を最大限に活用し、あなた自身、または大切な人がより自分らしく、安心できる生活を送れるようにすることです。 そのために、具体的な次のアクションをご提案します。

まずは最寄りの相談窓口へ

手続きやサービスについて「これはどうしたらいいのだろう?」と疑問に思うことがあれば、まずは地域の相談窓口にアクセスしてみてください。

  • 市区町村の福祉担当窓口: 申請手続きや地域のサービス情報について。
  • 相談支援事業所: 障害福祉サービスの利用計画作成や、生活全般の相談に。
  • 発達障害者支援センター/精神保健福祉センター: 精神・発達面の専門的な相談に。

専門の支援員が、あなたやご家族の状況に合わせて、適切なアドバイスや情報提供をしてくれます。 一人で悩まず、専門家の力を借りることが、最も効率的で安心できる方法です。

当事者の声や情報も参考に

制度の解説書を読むだけでなく、実際に手帳を活用している当事者の方々の声も貴重な情報源となります。 ブログや地域のピアサポートグループ、当事者会などに参加してみるのも良いでしょう。

実際にサービスを利用した経験談や、支援者との上手な関わり方など、生きた情報を得ることができます。 ただし、インターネット上の情報には誤りも含まれる可能性があるため、最終的には公的な窓口で確認するように心がけてください。

💡 ポイント

障害福祉サービスを利用するには、「サービス等利用計画」の作成が必要になることがほとんどです。相談支援事業所がこの計画作成をサポートしてくれます。

障害者手帳に関する情報は、制度改正などにより変更されることがあります。 このガイドは2025年12月時点の情報に基づいていますが、常に最新の情報を確認するようにお願いいたします。 あなたの生活が、手帳の活用を通じて、より豊かなものとなるよう心から願っております。


まとめ

  • 障害者手帳は、身体、知的、精神の3種類があり、それぞれ対象となる障害や認定基準が異なります。
  • 手帳の等級は、受けられる支援やサービスの内容に直結する重要な要素です。
  • 申請手続きは、窓口での相談から始まり、診断書等の準備、そして自治体への提出・審査という流れで進みます。
  • 手帳取得後も、サービスの利用には別途申請が必要なものが多く、2年ごとの更新が必要な手帳もあります。
  • 不明点や困りごとがあれば、市区町村の福祉担当窓口や相談支援事業所への相談が次のアクションとして最も重要です。

阿部 菜摘

阿部 菜摘

あべ なつみ36
担当📚 実務経験 12
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会保険労務士、精神保健福祉士

社会保険労務士として障害年金の申請支援を専門に12年。「難しい」と言われる障害年金を、分かりやすく解説します。医療費助成、各種手当など、お金に関する制度情報をお届けします。

大学卒業後、社会保険労務士事務所に就職し、障害年金の申請支援を専門に担当してきました。これまで500件以上の申請をサポートし、多くの方の生活を支えるお手伝いをしてきました。障害年金は「難しい」「通らない」と諦めている方が多いですが、適切な書類準備と申請を行えば、受給できる可能性は十分あります。実際、初診日の証明が難しいケースでも工夫して認定を受けた例もあります。特に心に残っているのは、精神障害で長年苦しんでいた方が障害年金を受給できたことで、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。制度を知ることの大切さを実感しました。記事では、障害年金の申請方法、特別障害者手当、医療費助成など、「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

社会保険労務士として、障害年金の申請支援を通じて多くの方の生活を支えたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が障害年金を受給でき、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。

🎨 趣味・特技

資格勉強、温泉巡り

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