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障害者の生活相談でよくあるトラブルと解決法

📖 約76✍️ 金子 匠
障害者の生活相談でよくあるトラブルと解決法
障害福祉の生活相談において、当事者や家族が直面しやすいトラブル(コミュニケーションの齟齬、制度の対象外宣告、担当者との相性、言った・言わないの対立など)を網羅的に取り上げ、その具体的な解決策を提示するガイド記事です。2024年現在の最新の支援環境を踏まえ、相談を円滑に進めるための資料準備術や、不服申し立て制度の活用、相談員の変更方法などを詳しく解説。実例エピソードやFAQを通じて、読者が相談窓口を「敵」ではなく「味方」に変え、自分らしい生活を築くための実践的なコミュニケーション術を学べる内容となっています。

相談がうまくいかない?障害福祉の生活相談でよくあるトラブルと解決策

「役所に相談に行ったけれど、思うような回答が得られなかった」「相談員さんとのコミュニケーションがうまくいかず、かえって疲れてしまった」そんな経験はありませんか?障害のある方やそのご家族にとって、生活相談は自立への第一歩ですが、同時にストレスの源になってしまうことも少なくありません。

相談現場では、制度の複雑さや言葉の行き違いから、予期せぬトラブルが発生しがちです。しかし、トラブルの原因を知り、適切な対処法を身につけることで、相談の質は劇的に向上します。この記事では、よくあるトラブル事例とその具体的な解決策、そして円滑なコミュニケーションのコツを詳しく解説します。

この記事を読み終える頃には、相談窓口を「頼りになる味方」に変えるためのヒントが見つかっているはずです。一人で抱え込まず、プロの力を最大限に引き出すための知識を、一緒に整理していきましょう。


相談窓口で発生しやすい「コミュニケーション」のトラブル

「伝わらない」が生むストレスと対策

相談場面で最も多いトラブルは、自分の困りごとが正しく相手に伝わらないことによる「情報のミスマッチ」です。障害の特性や生活の背景を一生懸命説明しても、相談員が制度の枠組みだけで判断しようとすると、ギャップが生じます。これにより、相談者は「突き放された」と感じ、相談員は「要望が具体的でない」と困惑する悪循環に陥ります。

これを防ぐためには、言葉だけでなく「視覚的な情報」を活用するのが有効です。例えば、1日のタイムスケジュールを書き出し、「どの時間帯にどんな困難があるか」を具体的に示す資料を持参しましょう。2024年の調査では、視覚資料を持参した相談者の約7割が「話がスムーズに進んだ」と実感しているというデータもあります。

また、相談員に「私の話した内容をどう理解されましたか?」と聞き返してみるのも一つの手です。相手の理解を確認することで、誤解をその場で修正できます。コミュニケーションはキャッチボールですから、投げっぱなしにせず、相手がしっかり受け止めたかを確認することが大切です。

相談員との「相性」に悩んだときは

「どうしても今の担当者とは話しにくい」「自分の話を否定されているように感じる」といった相性の問題も深刻な悩みです。相談支援専門員やケースワーカーも人間ですので、価値観や話し方のスタイルが合わないことはどうしても起こり得ます。しかし、相性が悪いからといって相談を諦めてしまうのは、あなたの権利を損なうことになりかねません。

もし相性に限界を感じたら、まずはその窓口の責任者や管理者に、担当者の変更を申し出ることが可能です。これはわがままではなく、「適切な支援を受けるための正当な権利」です。変更を希望する際は、感情的に批判するのではなく「自分の特性上、もう少し具体的に指示をくれる方の方が安心できる」といった理由を伝えると角が立ちません。

また、セカンドオピニオンのように、別の相談機関(基幹相談支援センターや地域の家族会など)に意見を求めることも有効です。一つの窓口に執着せず、自分にとって最も話しやすいパートナーを複数の選択肢から探す姿勢が、生活の安定に繋がります。

専門用語の壁を乗り越える方法

相談員が「区分」「受給者証」「同行援護」といった専門用語を当たり前のように使うことに戸惑う方も多いでしょう。内容が分からないまま話が進んでしまい、後から「そんなはずじゃなかった」と後悔するケースは少なくありません。用語の壁は、相談の満足度を下げる大きな要因です。

分からない用語が出てきたら、その場で「それはどういう意味ですか?」と遠慮なく遮って質問してください。相談員は専門家としての知識がある一方、相談者がどれくらい制度を知っているかを正確に把握していないことがあります。聞き返すことは、相談員にとっても「丁寧な説明が必要だ」と気づくきっかけになります。

最近では、役所の窓口で「分かりやすい用語集」を配布している自治体も増えています。また、スマホでその場で検索したり、メモを取って後で調べたりするのも良いでしょう。専門用語に振り回されるのではなく、それを「自分の生活を良くするための暗号」として一つずつ解読していく気持ちで臨みましょう。

💡 ポイント

相談の場に、信頼できる友人や家族に同席してもらうのも良い方法です。自分では気づかなかった「聞き漏らし」を補ってくれたり、後で内容を振り返ったりする際の大きな助けになります。


「制度と現実」のギャップによるトラブル

「対象外」と言われたときのショック

自分では支援が必要だと思って相談したのに、窓口で「その制度の対象外です」と門前払いされるような経験は、非常にショックなものです。特に精神障害のグレーゾーンの方や、難病を抱えながらも手帳の基準に達していない方は、制度の狭間で孤立しやすい傾向にあります。行政は法令に基づいて判断するため、融通が利かないと感じることが多いのも事実です。

しかし、一つの制度が対象外だったとしても、代わりの支援があるかもしれません。「この制度がダメなら、他に私の状況で使えるものはありませんか?」としつこいくらいに聞いてみることが重要です。自治体独自の「地域生活支援事業」など、国の基準よりも柔軟に運用されているサービスが隠れていることもあります。

また、診断書の内容が現在の実態を反映していないために「対象外」となることもあります。主治医に「窓口でこう言われた」と相談し、日常生活の困難さがより伝わるような表現で診断書を書き直してもらうことで、再申請が通るケースも珍しくありません。一度の拒絶で諦めず、「別の入り口」を探す粘り強さが求められます。

支援内容の制限に対する不満の解消

「ヘルパーさんを毎日呼びたいけれど、週に2回しか認められない」「移動支援で映画に行きたいけれど、通院以外はダメだと言われた」といった、支給量の制限に関するトラブルも頻発します。自治体の予算や審査基準(障害支援区分など)により、希望通りのサービスが受けられないことは多々あります。

この不満を解消するためには、まず「なぜその制限があるのか」という根拠を明確に聞きましょう。その上で、自分の必要性を「数値」で訴えることが効果的です。「なんとなく大変」ではなく、「週に5日介助がないと、排泄の衛生管理ができず感染症のリスクがある」といったように、健康や安全に直結する理由を強調します。

また、公的なサービスだけで足りない分は、民間サービスやボランティア、近隣のサポートなど、いわゆる「インフォーマルな支援」を組み合わせる視点を持ちましょう。相談員は、公的サービス以外の情報も持っているはずです。「制度の枠外」で何ができるかを一緒に考えることが、解決の糸口になります。

不服申し立て制度の存在を知る

行政の決定(サービスの支給量や障害支援区分の判定など)に対して、どうしても納得がいかない場合には「審査請求」という不服申し立ての手続きがあります。これは、都道府県の審査会に対して「この決定は不当である」と再審査を求める公的な権利です。2023年度の統計では、不服申し立てによって決定が一部変更されたケースも一定数存在します。

手続きは複雑に見えますが、窓口で「審査請求の手順を教えてください」と言えば、必要な書類や期限について説明する義務があります。実際に審査請求を行わなくても、「納得がいかないので審査請求を検討しています」と伝えるだけで、担当部署がもう一度慎重に検討し直してくれるきっかけになることもあります。

ただし、不服申し立ては決定を知った日の翌日から3ヶ月以内という期限があります。感情的に怒るのではなく、「法的な手段を含めて正当に権利を主張する」という姿勢を持つことで、対等な立場で議論ができるようになります。冷静に、かつ毅然とした態度で制度に向き合いましょう。

⚠️ 注意

審査請求には時間がかかります。並行して、現在の決定の範囲内で受けられる最小限のサービスを確保しつつ、再審査を待つという二段構えの戦略が必要です。生活を止めないことが最優先です。


信頼関係を壊す「言った・言わない」のトラブル

記録を残さないことのリスク

「電話で『大丈夫』と言われたのに、窓口に行ったら『ダメ』と言われた」といった経験はありませんか?生活相談において、口約束は非常に危険です。相談員が交代したり、時間の経過とともに記憶が曖昧になったりすることで、深刻な信頼関係の破綻を招く「言った・言わない」のトラブルが発生します。

これを防ぐための鉄則は、「すべての相談内容をメモに残す」ことです。ノートを一冊「相談専用」として用意し、相談の日時、場所、担当者名、そして話の内容を簡潔に記しておきましょう。できれば、相談の最後に「今日のまとめとして、次回の予定は〇〇で、私は××の準備をするということで間違いないですね?」と復唱して確認します。

最近では、相談のやり取りをメールやLINEなどの文字で残せる窓口も増えています。後から証拠として見直せる形にすることで、無用なトラブルを未然に防ぐことができます。自分の身を守るための「記録」は、自立した生活を守るための最も強力な武器になります。

「承諾なしの共有」への不安と対策

自分の非常に個人的な悩みが、知らないところで他の機関や家族に共有されてしまったというトラブルも時折耳にします。相談機関には守秘義務がありますが、支援の連携という名目で、本人の明確な合意がないまま情報が回ってしまうことに不快感や不信感を抱くケースです。これは、プライバシーという基本的人権に関わる重要な問題です。

相談を始める際に、必ず「個人情報の取り扱いに関する同意書」の説明があるはずです。その際、「誰に、どこまでの情報を共有するのか」を具体的に確認しましょう。「家族にはこの部分は伏せてほしい」「職場には病名の詳細は言わないでほしい」といった個別のリクエストは、書面や口頭で明確に伝えておくことが大切です。

もし、意図しない情報共有が行われたと感じた場合は、すぐにその機関に説明を求めましょう。誤解であれば解消できますし、不適切な扱いであれば謝罪や今後の対策を求めることができます。信頼関係を再構築するためには、疑問を放置せず、その都度「情報のコントロール権は自分にある」ことを示す必要があります。

曖昧な返答に振り回されないために

「検討します」「確認してみます」と言われたきり、何週間も連絡が来ない……。そんな放置状態もよくあるトラブルです。相談者は結果を待つ間に不安が募り、次第に怒りへと変わっていきます。一方、相談員は他の業務に追われて忘れていたり、上司の決裁を待っていたりと、内部的な事情で止まっていることが多いのです。

連絡待ちのストレスを回避するコツは、返答の「デッドライン(期限)」をその場で決めることです。「いつ頃までにお返事いただけますか?」と聞き、「では、来週の金曜日までに連絡がなければ、こちらからお電話してもよろしいですか?」と約束を取り付けておきましょう。

期限を決めることで、相談員にとってもタスクとしての優先順位が上がります。また、自分からも連絡する正当な理由ができるため、「催促して嫌われないかな」という余計な気苦労も減ります。ビジネスライクに「期日管理」を行うことが、福祉サービスをスムーズに受けるための隠れたテクニックです。

✅ 成功のコツ

相談が終わった後、その日のうちに「今日はありがとうございました。お話しした〇〇の件、よろしくお願いします」と一言メールを送るだけで、相手の記憶に強く残り、放置されるリスクを大幅に下げることができます。


家族間・当事者間での「意見の食い違い」トラブル

「本人の意思」と「家族の希望」の対立

生活相談の場で、本人は「一人暮らしをしたい」と言っているのに、家族が「危なっかしいからグループホームにしてほしい」と主張するなど、本人の意思と周囲の希望がぶつかるトラブルは日常茶飯事です。相談員は板挟みになり、結局「家族の強い意見」が優先されて本人が傷つくという悲しい結末を辿ることもあります。

このトラブルを解決するためには、本人が「自分の思い」を言葉にする力を養うことと、相談員が本人の権利擁護者(アドボケイト)としての役割を果たすことが重要です。家族と同席すると話しにくい場合は、あえて「本人だけの時間」を15分でも作ってもらうよう相談員に依頼しましょう。

家族の心配も愛情ゆえのことですが、自立は失敗も含めて本人の経験です。相談員を通じて、家族に対して「どのような支援があれば一人暮らしが可能か」という前向きな代替案を提示してもらうことで、対立を「建設的な議論」に変えていくことができます。本人が主役であることを、関係者全員が再確認するプロセスが必要です。

支援目標がバラバラなときの整理術

「ヘルパー事業所は〇〇と言い、相談支援専門員は△△と言い、主治医は□□と言う……」。関わる人が多ければ多いほど、支援の方向性がバラバラになり、本人が混乱するというトラブルもよく起こります。情報の交通整理ができていないと、せっかくの支援が逆効果になってしまうこともあります。

こうした状況を打開するのが「サービス担当者会議」です。これは、本人に関わるすべての支援者が一堂に会して(またはオンラインで繋がって)、目標を共有する場です。本人が中心に座り、「私はこうなりたい」と宣言し、各専門家がそれぞれの役割を確認し合います。2024年現在、この会議の開催は質の高い支援のために不可欠なプロセスとされています。

もし、最近担当者会議が開かれていないと感じたら、相談支援専門員に「関係者全員で一度話を整理したい」と提案してください。バラバラだったピースが一つの絵になるように、支援のベクトルを合わせることで、生活の質は一気に向上します。本人が司令塔になり、支援者を「チーム」としてまとめ上げましょう。

「良かれと思って」の過干渉を防ぐ

支援者が「良かれと思って」本人の代わりに何でも決めてしまう、いわゆる「パターナリズム(父権主義)」も、深刻なトラブルになり得ます。買い物の品物までヘルパーが決めてしまう、といった日常の些細な積み重ねが、本人の自尊心を奪い、無気力にさせてしまうことがあります。これは「透明な虐待」とも呼ばれる難しい問題です。

これを防ぐには、日頃から「自分で選ぶ(自己決定)」という意識を強く持つことが大切です。どんなに小さなことでも、「私はこれがいい」と自分の選択を示す練習をしましょう。また、支援者側にも「見守る勇気」を持ってもらうよう、相談員を通じて伝えることが重要です。失敗する権利も含めて尊重される環境こそが、真の自立を支えます。

相談員には、「私が自分で決められるようにサポートしてください」と、支援の『やり方』そのものについてリクエストを出してください。魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えてもらう、あるいは一緒に考える。そんな関係性を築くことが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。

「昔は親の言う通りにするのが一番だと思っていましたが、相談員さんと出会って初めて『あなたはどうしたいの?』と聞かれました。自分の人生を自分で選んでいいんだと気づいた時、世界が変わりました。」

— グループホームから一人暮らしへ移行したBさん

💡 ポイント

自分の意思を伝えるのが難しい場合は、「意思決定支援」という手法を専門家に依頼できます。写真やイラストを使ったり、Yes/Noで答えられる質問を繰り返したりして、あなたの本当の気持ちを汲み取ってもらうサポートです。


経済的な困りごとと窓口対応のトラブル

お金の話ができない、しにくい心理的障壁

「借金がある」「生活保護を受けたいけれど恥ずかしい」「医療費が払えない」といった経済的な悩みは、生活相談の中でも最も切り出しにくい話題です。恥ずかしさや罪悪感から本当の状況を隠してしまい、その結果、適切な減免制度や手当の案内が漏れてしまうというトラブルは後を絶ちません。経済状況の悪化は、精神状態の悪化に直結します。

解決の第一歩は、「お金の悩みは障害特性や環境の影響である」と割り切ることです。金銭管理が苦手な特性があったり、就労が難しかったりするのは、あなたの責任だけではありません。相談員は生活再建のプロですから、包み隠さず通帳の残高や家計簿(または家計の概算)を見せることが、最も早い解決への道です。

生活保護だけでなく、「自立支援医療」「障害年金」「特別障害者手当」「生活福祉資金貸付」など、使える制度は山ほどあります。相談員はパズルのピースを埋めるように、あなたの家計を立て直す計画を立ててくれます。勇気を出して「実はお金に困っています」と切り出す。その一言が、あなたの命を救うことになります。

「自立」を急かされるプレッシャーへの対処

就労相談などで、「いつまでも休んでいられない」「早く働かないと」と急かされるように感じ、体調を崩してしまうトラブルもよくあります。相談員が熱心すぎるあまり、本人の回復スピードを無視して目標を設定してしまうケースです。これは「自立」を「就労」のみと狭く捉えてしまうことで起こる弊害です。

こう感じたときは、迷わず「今は体調が不安定なので、就労の話は一旦止めてください」とストップをかけてください。自立の形は人それぞれです。家で穏やかに過ごすことも、地域のデイケアに通うことも、立派な自立の一部です。相談員に「私のペース」を再認識させる必要があります。

もし就労を検討する場合でも、「就労移行支援」や「就労継続支援(A型・B型)」など、ステップに応じた多様な場所があります。いきなり一般就労を目指すのではなく、まずは週1回から。そんなスモールステップを認め、一緒に喜んでくれる相談相手こそが、あなたに必要な存在です。

申請書類の「書き方」でつまずくトラブル

「書類が難しすぎて書けない」「何度書いても差し戻される」といった、事務手続きのトラブルも相談者の心を折る大きな要因です。特に行政の書類は独特の言い回しが多く、知的障害や発達障害のある方にとっては、文字を見るだけでパニックになることもあります。これは、制度利用における「見えない壁」です。

書類作成でつまずいたら、迷わず「代筆」や「下書きのチェック」を依頼しましょう。相談支援事業所や自治体の窓口には、書類作成をサポートする役割もあります。自分で完璧に書こうとせず、箇条書きでメモを持っていき、「これをどう書けばいいですか?」と聞いて、一緒に完成させれば良いのです。

また、診断書などの高額な書類を依頼する前に、必ず「これで通る見込みがあるか」を相談員に確認しましょう。取ってから「使えなかった」となるのを防ぐためです。事務手続きは「プロに頼る」が鉄則です。あなたのエネルギーは、書類書きではなく、生活を整えるために使ってください。

主な経済支援制度の比較表

制度名 対象者 主な内容
自立支援医療 精神通院や特定の治療が必要な方 医療費の自己負担を原則1割に軽減
障害年金 病気やケガで生活・就労が困難な方 等級に応じた年金の給付
特別障害者手当 常時介護が必要な20歳以上の重度障害者 月額約2.8万円(2024年基準)の支給
生活福祉資金 低所得世帯、障害者世帯など 無利子または低利での生活資金貸付

💡 ポイント

家計のやりくりがどうしても難しい場合は、専門の「金銭管理サービス(日常生活自立支援事業)」を利用することも検討しましょう。福祉公社などが通帳を預かり、家賃や光熱費の支払いを代行してくれる安心の仕組みです。


よくある質問(FAQ)

Q. 相談員が威圧的な態度で怖いです。どうすればいいですか?

A. 恐怖を感じる場合は、一人で立ち向かわず、第三者を介入させましょう。 障害者虐待防止法では、行政や支援者による心理的虐待も禁じられています。威圧的な態度は適切な支援とは言えません。家族会や地域の弁護士会が行っている障害者権利相談、または県や市の苦情解決窓口(運営適正化委員会など)に相談してください。「今の担当者とは怖くて話せないので、別の窓口を紹介してほしい」と伝えることが解決の第一歩です。

Q. 相談しても「様子を見ましょう」ばかりで解決しません。

A. 「様子を見る」期間を数値化し、期限後のアクションを合意しましょう。 「あと2週間様子を見て、体調が変わらなければ入院(またはサービスの変更)を検討する」といったように、期限と条件を具体的に決めるよう求めてください。曖昧な返答には、「では、いつになったら解決に向けて動いてくれますか?」と一歩踏み込んで聞く姿勢が、停滞した状況を動かす力になります。

Q. 相談内容が周囲に広まってしまわないか不安です。

A. 守秘義務の再確認を行い、共有範囲をあらかじめ制限しましょう。 相談の冒頭で「非常にデリケートな話なので、〇〇さん(担当者)以外には、支援計画に必要な最低限の範囲でしか話さないでほしい」とはっきり伝えてください。また、個人情報の取り扱いに関する規約を再度提示してもらい、どのような情報漏洩対策をとっているか説明を受けることで、安心感を得られるはずです。

Q. 複数の機関に相談して、言うことがバラバラで混乱しています。

A. 主軸となる「相談支援専門員(ケアマネジャー)」を一人決め、情報のハブにしましょう。 情報の混乱は、司令塔が不在であることが原因です。信頼できる相談支援専門員に、「ハローワークではこう言われ、病院ではこう言われた。どう整理すればいいか?」と投げかけ、すべての情報を集約してもらうようにしてください。あなたが一人で情報を繋ぎ合わせる必要はありません。

Q. 自分が何を困っているのか、自分でも分からなくなりました。

A. その「混乱している状態」そのものを相談してください。 整理して話さなければならない、という思い込みがあなたを苦しめています。「何に困っているか分からないけれど、とにかく苦しい」という状態から解きほぐしていくのが相談員の仕事です。今の心のモヤモヤをそのまま吐き出すだけで大丈夫です。話しているうちに、相談員が整理して「こういうことですね」と言語化してくれます。


実例:トラブルを乗り越えて自立したCさんの話

不信感から始まった相談

身体障害のあるCさんは、以前の担当者から「その障害なら、これくらいは自分でできるはず」と心無い言葉をかけられたことがきっかけで、相談窓口に対して強い不信感を抱いていました。ヘルパーが必要なほど家事に困っていても、「どうせまた否定される」と思い込み、ゴミが溜まった部屋で一人震える日々を送っていました。

ある日、訪問看護師の勧めでもう一度、別の「基幹相談支援センター」に足を運ぶことにしました。Cさんは今までのトラウマを正直に話し、「否定されるのが怖い」という気持ちを新しい相談員にぶつけました。新しい相談員は、Cさんの言葉を否定せず、「今まで本当にお辛かったですね」と受け止めたのです。

「記録」と「チーム」で掴んだ安心

Cさんは二度と同じ思いをしないよう、相談員のアドバイスに従って、すべての会話をボイスレコーダーで録音(承諾を得て)し、ノートに記録を残すようにしました。また、相談員は、Cさんの主治医やヘルパー事業所を集めた「担当者会議」を開催。そこでCさんの「一人で頑張りすぎてしまうけれど、実はサポートが必要だ」という実態をチーム全体で共有しました。

これにより、周囲の関わり方が劇的に変わりました。「できるはず」という押し付けではなく、「どうすればできるようになるか」という視点で支援が行われるようになったのです。Cさんは現在、週3回のヘルパー利用と移動支援を組み合わせ、趣味のカメラを再開できるまでになりました。

Cさんからのメッセージ

Cさんはこう振り返ります。「相談員を変えるのは勇気がいりましたが、自分を守るために必要でした。今は、嫌なことは嫌だとはっきり言えるし、それを聞いてくれる仲間がいます。相談は、自分を殺す場所ではなく、自分を活かす場所なんだと気づけました。」

Cさんの事例は、たとえ一度トラブルに遭っても、方法を変え、パートナーを選び直すことで、道は必ず開けることを示しています。あなたの声は届くべき場所に届く。そのための準備を、ゆっくりでいいので始めてみませんか。


まとめ

障害福祉の生活相談におけるトラブルは、多くの場合、コミュニケーションの不足や制度の理解不足、そして信頼関係の揺らぎから生まれます。しかし、これらは適切な対処法で解決、あるいは未然に防ぐことが可能です。

  • 具体的な資料を用意する:視覚情報で「伝わらない」を解消する。
  • 相性が悪ければ交代を求める:自分に合うパートナーを選ぶ権利を行使する。
  • 記録を必ず残す:言った・言わないのトラブルから自分を守る。
  • 多角的にアプローチする:公的支援がダメなら、民間や地域の力を組み合わせる。
  • 本人の意思を最優先にする:支援チームの司令塔は、あくまで自分自身である。

次のアクションとして、まずは次回の相談に持っていくための「現在の困りごとメモ」を、一つだけ書いてみませんか?小さな一歩が、窓口との関係を変え、あなたの生活をより良いものに変えていく確かなきっかけになります。

あなたは一人ではありません。トラブルを恐れず、より良い支援を引き出すための「賢い相談者」へと、一緒に成長していきましょう。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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