ホーム/記事一覧/生活サポート情報/住まい・生活環境/障害者手帳で受けられる生活費補助・家賃補助

障害者手帳で受けられる生活費補助・家賃補助

📖 約44✍️ 鈴木 美咲
障害者手帳で受けられる生活費補助・家賃補助
本記事は、障害者手帳(身体・療育・精神)を持つ方が利用できる生活費・家賃補助制度を包括的に解説します。障害年金、特別障害者手当など直接的な所得補償から、公営住宅の優先入居・家賃減免、生活保護の住宅扶助といった住居費支援までを紹介。さらに、自立支援医療制度による医療費軽減や障害者控除による税負担軽減など、間接的な補助制度も詳述します。申請は自動ではないため、制度ごとの要件や申請窓口を理解し、相談支援専門員などの専門家と連携して、もれなく支援を受ける重要性を伝えます。

経済的な不安を解消!障害者手帳で受けられる生活費・家賃補助の全知識

毎日の生活費や、家賃といった住居費の負担は、障害のある方やそのご家族にとって、常に大きな心配事の一つではないでしょうか。

障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)を取得することで、国や地方自治体から、生活を経済的に支えるための様々な補助や減免措置を受けることができます。

しかし、「どのような制度があるのか」「どうすれば申請できるのか」といった情報は複雑でわかりにくいと感じるかもしれません。この記事では、障害者手帳をベースに受けられる生活費や住居費に関する公的支援について、一つひとつ丁寧に、わかりやすく解説します。

この情報が、皆様の経済的な不安を解消し、より安心で豊かな生活を送るための一助となることを心より願っています。


💵 生活の基盤を支える!主要な年金・手当制度

障害のある方の生活費を安定させるための最も重要な公的支援は、年金や手当の制度です。これらは障害者手帳の等級と所得に応じて支給されますが、手帳を持っていることが申請の前提となる場合が多いです。

障害年金(基礎年金・厚生年金)の活用

障害年金は、病気や怪我によって生活や仕事に支障が出た場合に支給される、国による公的な所得補償制度です。

年金には、国民年金に加入している方が対象の障害基礎年金と、厚生年金に加入している方が対象の障害厚生年金があります。障害の程度により1級、2級、3級(厚生年金のみ)に分けられ、支給額が変わります。

障害基礎年金の1級は、国民年金保険料の全額納付期間など一定の要件を満たした場合、2024年度の満額で年間約102万円(2級は約81万円)が支給されます。さらに、生計を維持する子がいる場合は加算されます。

障害年金を受け取れるかどうかは、初診日の要件や保険料納付要件など、複雑な規定があります。自己判断せず、専門家(社会保険労務士など)や年金事務所に相談することが、受給への第一歩です。

💡 ポイント

障害年金は、障害者手帳の有無や等級とは別の審査基準で決定されます。手帳がなくても受給できる場合がありますし、逆に手帳を持っていても年金が受給できない場合もあります。

福祉的給付:特別障害者手当と特別児童扶養手当

障害年金とは別に、重度の障害のある方を対象とした手当制度も存在します。

  • 特別障害者手当: 20歳以上の在宅の重度障害者(複数の重度障害が重複しているなど)を対象に、日常生活において常時特別の介護が必要な方に支給されます。支給額は月額約27,980円(2024年4月時点)です。
  • 特別児童扶養手当: 20歳未満で精神または身体に障害のある児童を扶養している保護者を対象に支給されます。障害の程度により1級・2級があり、月額で1級は約55,350円、2級は約36,860円(2024年4月時点)が支給されます。

これらの手当は、障害者手帳を証明資料の一つとして利用しますが、所得制限が設けられていることが特徴です。特に、特別障害者手当は、その重度の程度を判定するため、医師の診断書による厳格な審査が行われます。

これらの手当は、毎月の生活費の足しとなり、医療費や日々の細かな出費を支える上で非常に重要な財源となります。


🏠 住居費の負担軽減策:家賃・公営住宅の補助

家賃や公的な住宅の利用料は、生活費の中でも特に大きな割合を占めます。障害者手帳を持っていると、これらの住居費に関する様々な優遇措置を受けることが可能になります。

公営住宅の優先入居と家賃減免

地方自治体が運営する公営住宅(市営住宅、県営住宅など)は、低所得者層向けの住宅ですが、特に障害者手帳を持つ方に対して、以下の優遇措置を設けている場合が多いです。

  • 優先入居制度: 抽選による一般募集とは別に、障害者世帯や高齢者世帯向けに優先的な入居枠(裁量階層)を設けています。これにより、入居の機会が増えます。
  • 家賃減免: 公営住宅の家賃は所得に応じて決まりますが、障害者手帳を持つ世帯に対しては、さらに家賃が減額される特例措置が適用されることがあります。

公営住宅は、一般的な賃貸住宅よりも家賃が安く設定されていることが多く、障害のある方の経済的な安定に大きく貢献します。また、最近の公営住宅は、最初からバリアフリー設計になっている物件も増えています。

入居の申し込みは、各自治体の住宅供給公社や市町村の住宅課を通じて行います。公募時期が限られているため、日頃から情報をチェックしておくことが大切です。

✅ 成功のコツ

公営住宅への入居を検討する場合、障害者手帳だけでなく、現在の収入証明書や、住宅に困窮していることを示す書類を事前に準備しておくと、申請がスムーズに進みます。

生活保護制度による住宅扶助の活用

障害年金や手当を含めてもなお、最低限度の生活費が不足する場合、最後のセーフティネットとして生活保護制度があります。生活保護を受けると、生活費としての「生活扶助」に加えて、家賃にあたる「住宅扶助」が支給されます。

住宅扶助は、地域や世帯人数に応じて上限額が定められており、その範囲内で家賃が支給されます。これは、生活費から家賃分が差し引かれるため、経済的な負担が大きく軽減されることを意味します。

生活保護の申請は、お住まいの地域を所管する福祉事務所で行います。生活保護の受給には、資産や能力、他の制度の活用状況など、厳格な要件があります。

「生活保護の住宅扶助のおかげで、家賃の心配がなくなり、ヘルパーさんのサービスを安心して利用できるようになった。」

— 当事者からの声

障害者手帳は、生活保護の「障害者加算」を受けるための根拠ともなり、生活扶助の額が増額される可能性があります。


⚕️ 医療費と税金の優遇措置:間接的な生活費補助

直接的な現金の給付だけでなく、医療費の負担軽減や税金の優遇も、間接的に生活費を大きく補助する効果があります。障害者手帳が、これらの優遇措置を受けるための重要な証明となります。

医療費の自己負担を軽減する制度

障害者手帳を持つ方が利用できる医療費補助制度には、主に以下のものがあります。

  • 自立支援医療制度(精神通院医療): 精神障害のある方が、継続的な通院治療を受ける際の医療費の自己負担額を、原則1割に軽減する制度です。さらに所得に応じて、月々の自己負担上限額が設けられます。
  • 重度心身障害者医療費助成制度(マル福、心身障害者医療など): 障害の程度が重い方を対象に、医療機関で支払う自己負担額の一部または全部を公費で助成する、自治体独自の制度です。対象となる障害の種類や等級は自治体によって異なります。

特に、難病や慢性的な疾患を抱える方にとって、医療費の助成は生活費全体に占める割合が大きい医療費の負担を大きく減らし、必要な治療を継続しやすくする効果があります。

これらの制度の申請には、障害者手帳、または医師の診断書が必要となります。まずはお住まいの市町村の福祉担当課に相談してみましょう。

所得税・住民税の障害者控除

障害者手帳を持つご本人や、障害のある方を扶養している納税義務者は、税制上の優遇措置として障害者控除を受けることができます。

この控除を適用することで、課税対象となる所得額が減少し、結果として所得税や住民税の負担が軽くなります。これは、手当などと同じく、間接的に生活費を補助する効果があります。

  • 一般の障害者: 控除額は、所得税で27万円、住民税で26万円。
  • 特別障害者(手帳1級・2級、または重度の療育手帳など): 控除額は、所得税で40万円、住民税で30万円。

さらに、障害のある方を扶養している場合、扶養控除も適用されます。この控除を受けるためには、年末調整や確定申告の際に、障害者手帳や療育手帳を提示することが必要です。


🔍 申請のポイントとよくある質問(Q&A)

障害者手帳を活かした補助制度の利用は、多くのメリットがありますが、手続きには注意が必要です。申請をスムーズに進めるためのポイントと、よくある質問にお答えします。

制度利用で失敗しないための連携術

公的な補助制度は、種類が多く、対象要件や申請窓口が異なるため、すべてを一人で把握するのは困難です。

制度利用で失敗しないための最大のポイントは、地域の専門家(相談員)と連携することです。

  • 相談支援専門員(障害者総合支援法関連): 障害福祉サービス全体の利用計画を立てる中で、必要な経済的支援や手当についてもアドバイスをくれます。
  • ケアマネジャー(介護保険関連): 介護保険と他の制度との併用を検討する際に、必要な情報を提供してくれます。
  • 民生委員・社会福祉協議会: 地域に密着した情報や、生活保護申請などの手続き支援を行ってくれます。

まずは、これらの専門家に対し、「生活費や家賃の負担を軽減したい」という希望を具体的に伝えることが重要です。

✅ 成功のコツ

申請に必要な「診断書」や「所得証明書」は、取得に時間や費用がかかる場合があります。相談員に「どの制度に、どの書類が必要か」をリストアップしてもらい、効率よく準備を進めましょう。

Q1. 障害者手帳があれば、すべて自動的に補助が受けられますか?

A. いいえ、自動的に受けられるわけではありません。障害者手帳は、あくまで「障害があることの証明」であり、ほとんどの補助制度は個別の申請手続きが必要です。

また、多くの制度には所得制限や他の要件が設けられています。手帳が交付されたら、速やかに市町村の福祉担当課に相談し、利用できる制度を一つひとつ確認し、申請手続きを行いましょう。

Q2. 障害年金と生活保護は両方受けられますか?

A. はい、両方受給することは可能です。ただし、障害年金は「収入」と見なされるため、年金の額が、生活保護で定められた最低生活費の基準額から差し引かれます

年金額が最低生活費を下回る場合、その差額が生活保護費として支給されます。この場合も、家賃分が住宅扶助として別途支給されます。

Q3. 賃貸住宅の契約時の敷金・礼金は補助されますか?

A. 制度によりますが、生活保護制度の住宅扶助では、敷金・礼金、不動産仲介手数料など、転居時に必要な一時金についても、自治体が定める上限額の範囲内で支給される場合があります。

これは、障害のある方が、より適切な住居に移るための支援策の一つです。事前に福祉事務所に相談し、支給の要件と上限額を確認してください。


🎯 まとめと次の一歩の提案

障害者手帳は、単なる証明書ではなく、経済的な安定と、より質の高い生活を送るための「鍵」です。障害年金や特別児童扶養手当といった直接的な給付、公営住宅の優遇、医療費や税金の軽減など、様々な形で生活費の負担を軽減してくれます。

大切なのは、「自分にはどの制度が使えるのか」という情報を積極的に収集し、専門家のサポートを得ながら、もれなく申請を行うことです。知っているか知らないかで、受けられる支援の幅は大きく変わります。

次の一歩の提案

まずは、ご自身の現在の障害者手帳の種類と等級を確認し、お住まいの地域の市町村役場 障害福祉担当課に電話で問い合わせて、「手帳で受けられる生活費・住居費の支援制度の一覧がほしい」と伝えてみましょう。これにより、具体的な制度利用への道筋が見えてきます。

まとめ

  • 障害者手帳は、障害年金や特別障害者手当、特別児童扶養手当など、生活の基盤となる直接的な給付を受けるための根拠となる。
  • 住居費の負担は、公営住宅の優先入居・家賃減免や、生活保護の住宅扶助を活用することで大きく軽減できる。
  • 医療費の助成(自立支援医療、マル福など)や税金の控除(障害者控除)は、間接的に生活費を補助する重要な優遇措置である。

鈴木 美咲

鈴木 美咲

すずき みさき42
担当📚 実務経験 15
🎯 相談支援🎯 当事者・家族支援

📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員

相談支援専門員として15年、障害のある方とそのご家族の「困った」に寄り添ってきました。実際の相談事例をもとに、当事者やご家族のリアルな声、具体的な解決策をお届けします。「一人で悩まないで」がモットーです。

社会福祉士として障害者相談支援事業所に勤務し15年。年間約100件の相談に対応し、サービス等利用計画の作成や、関係機関との調整を行っています。この仕事の魅力は、「困っている」状態から「解決した!」という笑顔に変わる瞬間に立ち会えること。ただし、制度が複雑で「どこに相談すればいいか分からない」という声を本当によく聞きます。特に印象深いのは、お子さんの障害を受け入れられず孤立していたお母さんが、同じ境遇の親の会に繋がり、「一人じゃないと分かって救われた」と涙ながらに話してくださったこと。情報と繋がりの大切さを実感しました。記事では、実際の相談事例(もちろん個人情報は特定できないよう配慮)をベースに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えていきます。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学のボランティアで障害のある方と出会い、「困っている」を「解決した!」に変える仕事がしたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

孤立していたお母さんが、親の会に繋がり「一人じゃないと分かって救われた」と話してくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

実際の相談事例をもとに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

ヨガ、カフェ巡り

🔍 最近気になっているテーマ

ヤングケアラー支援、家族のレスパイトケア

📢 この記事をシェア

関連記事