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障害者手帳で使えるサービス・割引制度まとめ

📖 約58✍️ 高橋 健一
障害者手帳で使えるサービス・割引制度まとめ
障害者手帳(身体、療育、精神)を取得することで利用できる、多岐にわたるサービス・割引制度を網羅的に解説しています。経済的優遇措置として、所得税・住民税の障害者控除や自動車税の減免、高速道路料金の割引(50%)を詳述。交通機関については、JR運賃割引の第1種・第2種の違いと、精神手帳は適用外であることを明確に説明しています。また、生活を支える福祉サービス(居宅介護、就労支援など)の利用方法や、公営施設の割引、障害者雇用枠での就職活動への活用法も紹介しています。サービス利用時の注意点や、事前申請が必要な制度のリストアップなど、読者が手帳を最大限に活用し、生活の質の向上につなげるための具体的なアクションを提案するガイドです。

障害者手帳を取得したものの、「具体的にどんなサービスや割引が使えるのだろう?」「自分の手帳の等級でどこまで利用できるのだろう?」と、手帳の活用方法について疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。 手帳は、単なる証明書ではなく、生活を豊かにするための「権利の束」のようなものです。

このガイドでは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類すべてを対象に、交通、税金、福祉サービスなど、日常生活で役立つあらゆるサービスと割引制度を徹底的にまとめました。 この記事を読んで、手帳のメリットを最大限に活用し、安心と選択肢のある生活を手に入れましょう。


障害者手帳で得られる経済的優遇制度

障害者手帳がもたらすメリットの中で、特に生活の安定に直結するのが経済的な優遇措置です。 これらは国や自治体が制度として定めているものが多く、税金、公共料金、各種手当など多岐にわたります。 まずは、家計を助けるこれらの優遇制度をしっかり把握しましょう。

税制上の優遇:障害者控除

障害者手帳を持っている方、または手帳を持つ方を扶養している納税義務者は、所得税や住民税において「障害者控除」を受けることができます。 この控除を受けることで、課税される所得が少なくなり、結果として納める税金が軽減されます。

控除額は、手帳の等級や種類によって異なり、特に1級または最重度(A)に該当する場合は、「特別障害者控除」として控除額が大きくなります。 年末調整や確定申告の際に、手帳の写しや等級を示す書類を添付して申告することで適用されます。

💡 ポイント

特別障害者控除の対象となるのは、身体障害者手帳1級・2級、療育手帳A(重度)、精神障害者保健福祉手帳1級の所持者です。 これらの控除は、扶養している家族が手帳を持っている場合にも適用されます。

自動車に関する税金と高速道路料金の割引

自動車を所有している場合、自動車税(種別割)や軽自動車税、自動車取得税の減免を受けられる制度があります。

  • 対象者: 身体障害者手帳(一定等級以上)または療育手帳(A)、精神障害者保健福祉手帳(1級)を持つ方(またはその方と生計を共にする家族が所有する車)が対象です。
  • 手続き: 自治体の税事務所等で申請が必要です。使用目的や家族構成に細かな規定があるため、事前に確認しましょう。

また、有料道路の割引制度も重要です。

  • 割引内容: 高速道路等の有料道路料金が50%割引になります。
  • 対象手帳: 身体障害者手帳(すべて)または療育手帳(すべて)。精神障害者保健福祉手帳は1級のみが対象です。

ETCを利用する場合は、事前に登録手続きが必要です。この割引は、障害者本人運転または介護者運転のどちらの場合でも適用されます。

公共料金・サービスの優遇制度

日常生活で利用する公共料金についても、割引制度があります。

  • NHK受信料の減免: 障害者手帳の種類や等級、世帯構成(世帯全員が住民税非課税など)によって、全額または半額が免除されます。
  • 携帯電話料金の割引:

    大手通信キャリア(ドコモ、au、ソフトバンクなど)では、手帳所持者向けの独自の割引サービスを提供しています。 これは、多くの場合、手帳の種類や等級に関わらず適用されますが、契約時に手帳の提示が必要です。


交通機関の割引制度:スムーズな移動のために

移動に関する割引制度は、特に外出が多い方にとって、経済的な負担を大幅に軽減してくれます。 ただし、手帳の種類によって割引の対象となる交通機関が大きく異なるため、注意が必要です。

JR(鉄道)運賃の割引

JRの運賃割引は、主に身体障害者手帳と療育手帳の所持者が対象です。

  • 割引対象者:
    • 身体障害者手帳・療育手帳(第1種): 本人および介護者1名が50%割引。
    • 身体障害者手帳・療育手帳(第2種): 本人のみが50%割引(片道100km超の場合など条件あり)。
  • 精神障害者保健福祉手帳: 原則としてJRの割引は適用されません。

「第1種」と「第2種」の区分は、手帳の交付時に定められ、障害の重さや介護の必要性に基づいています。 この種別によって、割引の適用範囲(介護者も対象か否か)が変わるため、ご自身の手帳の種別を確認しましょう。

第1種と第2種の違い(JR割引の例)

種別 対象となる等級の目安 介護者割引 本人割引
第1種 重度(身体1〜3級、療育Aなど) 適用あり(本人・介護者ともに50%) 適用あり
第2種 軽〜中度(身体4〜6級、療育Bなど) 適用なし 適用あり(条件による)

バス・タクシー・航空機の割引

地域や交通機関によって異なりますが、以下の割引が一般的です。

  • 路線バス:

    多くの場合、すべての手帳所持者を対象に、本人および第1種の場合は介護者も50%割引が適用されます。 乗車時に手帳を提示してください。

  • タクシー:

    すべての手帳所持者を対象に、運賃が10%割引になる制度があります。 降車時に手帳を提示して割引を適用してもらいましょう。

  • 航空機:

    国内線に限り、すべての手帳所持者を対象に、割引運賃が設定されています。 割引率は航空会社や路線によって異なりますが、普通運賃よりも大幅に安くなることが多いです。 航空券購入時と搭乗時に手帳の提示が必要です。

⚠️ 注意

精神障害者保健福祉手帳の場合、自治体によっては、バスやタクシーの運賃助成制度を別途設けていることがあります。 お住まいの地域の福祉担当窓口に確認してみましょう。


障害福祉サービス:生活を支える給付制度

障害者手帳の最も重要な役割の一つは、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスの利用資格を証明することです。 これらのサービスは、日常生活の介助、訓練、就労支援など、個々のニーズに応じた多様なサポートを提供します。

サービスを利用するには、手帳の取得に加えて、別途「支給決定」という手続きが必要となります。

居宅介護・短期入所などホームサービス

自宅や地域で生活する上で欠かせない、身体介護や生活援助に関するサービスです。

  • 居宅介護(ホームヘルプ):

    自宅での入浴、排泄、食事などの身体介護や、調理、掃除などの生活援助、通院時の介助を行います。 身体障害者手帳や療育手帳の重度の方に多く利用されます。

  • 重度訪問介護:

    重度の肢体不自由または重度の知的障害・精神障害があり、常時介護を必要とする方が対象です。長時間にわたる生活全般のサポートを受けられます。

  • 短期入所(ショートステイ):

    障害者支援施設などに短期間入所し、必要な介助や機能訓練を受けられます。 主に介護者の休息(レスパイト)を目的として利用されます。

就労と社会参加を支援するサービス

就職や社会参加を目指す方々にとって、手帳は就労支援サービスを利用するための必須要件となることがほとんどです。

  • 就労移行支援:

    一般企業への就職を目指す方が、必要なスキルや知識を習得するための訓練を受けるサービスです。 利用期間は原則2年間です。

  • 就労継続支援(A型・B型):

    一般企業での就労が難しい方が、雇用契約を結んで働く(A型)、または非雇用で訓練を受けながら働く(B型)ための場を提供するサービスです。

  • 自立訓練(生活訓練・機能訓練):

    地域での自立した生活を送るために必要な、生活能力やコミュニケーション能力の向上を目的とした訓練を受けられます。

💡 ポイント

障害福祉サービスを利用するには、「相談支援事業所」が作成する「サービス等利用計画」が必要です。 手帳を取得したら、まずは地域の相談支援事業所に連絡を取りましょう。

補装具費・日常生活用具の給付

身体の機能を補い、日常生活をより快適にするための用具の購入・修理費用が助成されます。

  1. 補装具費の給付:

    義肢、装具、車椅子、補聴器、盲人安全杖、意思伝達装置など、身体の欠損・機能低下を補うための用具が対象です。 身体障害者手帳の等級に応じて、給付額や対象品目が決まります。

  2. 日常生活用具の給付:

    入浴補助用具、特殊寝台、ストーマ装具、聴覚障害者用情報受信装置など、日常生活の便宜を図るための用具が対象です。 療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者も対象となる品目が多くあります。

これらの給付には、医師の意見書や見積書が必要となり、自己負担割合(原則1割)も発生します。


地域生活と文化活動に関する割引・優遇

手帳は、日々の生活のサポートだけでなく、地域社会への参加や文化的な活動を促進するためにも活用できます。 公営施設の利用料割引や、就職活動における優遇措置などを知っておきましょう。

公営施設・文化施設の無料・割引制度

全国の多くの公営施設では、障害者手帳の提示により、本人および介護者1名まで入場料や利用料が無料または割引になります。

  • 美術館、博物館、動物園、水族館: ほとんどの公立施設で適用されます。
  • 体育館、温水プールなどのスポーツ施設: 公営施設では無料または低額で利用できることが多いです。
  • レジャー施設: 一部の民間遊園地や映画館などでも、手帳割引を実施している場合があります。

特に、身体障害者手帳と療育手帳は、これらの割引制度で広く認められていますが、精神障害者保健福祉手帳については、自治体や施設によって対応が異なることがあります。

生活基盤を支えるその他の優遇

安定した生活基盤を築くための支援も、手帳が証明する重要なメリットです。

  • 公営住宅の優先入居:

    自治体によっては、障害者やその家族を対象とした公営住宅の優先入居枠や特別募集を設けています。 住居の確保は生活の安定に直結するため、非常に重要な制度です。

  • 郵便料金の割引(心身障害者用特定郵便物):

    点字郵便物や聴覚障害者向けの録音物など、特定の郵便物については無料または割引で送付できる制度があります。 これは、主に視覚障害や聴覚障害のある方の情報伝達を支援する目的です。

障害者雇用枠での就職活動

手帳を持つことで、障害者の法定雇用率制度に基づく「障害者雇用枠」での就職活動が可能になります。

一般雇用枠での競争や配慮の不安がある方にとって、障害者雇用枠は、障害特性に合わせた合理的配慮を受けながら、安定して働くための重要な選択肢となります。 ハローワークの専門窓口や、前述の就労移行支援事業所などが、この就職活動をサポートしてくれます。

「手帳を取得する前は、自分の病気を隠して働くことに限界を感じていました。手帳を取得し、障害者雇用で再就職したところ、通院への配慮や仕事内容の調整があり、精神的な負担が大幅に軽減されました。」

— 精神障害者保健福祉手帳所持者の声


手帳の種類別・等級別のサービス比較表と注意点

すべての障害者手帳で受けられるサービスは多いですが、交通費割引や税制上の優遇措置など、特に大きな優遇については手帳の種類や等級によって細かく規定されています。 ここでは、主要なサービスについて、手帳の種類別に比較し、特に注意すべきポイントをまとめます。

主要サービスの手帳別・等級別対応比較

サービスの種類 身体障害者手帳 療育手帳 精神障害者保健福祉手帳
JR運賃割引 ○(1種・2種で適用範囲が異なる) ○(1種・2種で適用範囲が異なる) ✗(適用なし)
高速道路料金割引 ○(すべて対象) ○(すべて対象) △(1級のみ対象)
所得税の障害者控除 ○(等級により特別控除あり) ○(等級により特別控除あり) ○(等級により特別控除あり)
障害福祉サービス利用 ○(すべてのサービス) ○(すべてのサービス) ○(すべてのサービス)
携帯電話料金割引 ○(各社規定による) ○(各社規定による) ○(各社規定による)
公営施設入場料割引 ○(広く適用) ○(広く適用) △(自治体・施設による)

サービス利用時の注意点と確認事項

制度を最大限に活用するためには、以下の点に注意が必要です。

  1. 自治体による違い:

    障害福祉サービスや一部の割引(例:自動車税減免、地域独自の交通費助成)は、お住まいの市区町村の独自予算や条例によって、対象者や内容が異なることがあります。 必ず、お住まいの自治体の福祉担当窓口で最新情報を確認してください。

  2. 事前申請の必要性:

    多くのサービスは、手帳を提示するだけで適用されますが、高速道路割引、障害福祉サービスの利用、税制優遇、NHK受信料の減免などは、事前に役所や担当機関で申請手続きが必要です。

  3. 等級・種別の確認:

    介護者割引が適用されるか、特別控除の対象となるかは、手帳の等級(1級、2級など)や種別(第1種、第2種)によって決まります。 特に交通機関を利用する際は、ご自身の種別を把握しておきましょう。

⚠️ 注意

精神障害者保健福祉手帳は、JR割引が適用されないという点で、他の手帳と大きく異なります。 長距離の移動が多い方は、バスや航空機の割引、または自治体の助成制度の利用を検討してください。


よくある質問とサービス活用への次の一歩

障害者手帳で使えるサービスについて、最後によくある質問に回答し、支援を確実に受け始めるための次のアクションを提案します。

Q&A:スムーズな利用のために

Q1. 手帳は常に持ち歩くべきですか?

A. はい、常に携帯することをおすすめします。 交通機関や施設を利用する際の割引適用はもちろん、万が一、体調を崩したり緊急事態が発生したりした際にも、手帳の提示で必要な支援や合理的配慮を受けやすくなります。

Q2. 複数の手帳を持っている場合、サービスはどうなりますか?

A. それぞれのサービスで最も有利な手帳を利用できます。 例えば、身体障害者手帳と療育手帳を持っている場合、交通機関の割引は原則として両方で適用されますし、福祉サービスも両方の障害特性に応じたものを利用できます。

Q3. 割引を受ける際、手帳の代わりにマイナカード(マイナポータル)は使えますか?

A. 現時点では、施設やサービスによって対応が分かれています。 デジタル化は進んでいますが、多くの交通機関や民間施設では、まだ現物の手帳または自治体が発行する手帳アプリ(ミライロIDなど)の提示を求められることが多いため、引き続き手帳本体を携帯することが最も確実です。

サービス活用に向けた次の一歩

手帳を取得しただけでは、サービスは自動的には始まりません。 以下の手順で、支援の利用を具体的に開始しましょう。

  1. 地域の相談窓口に連絡:

    市区町村の福祉担当窓口や、相談支援事業所に連絡を取り、利用したいサービスの相談をします。 特に就労や生活の介助が必要な方は、相談支援事業所を通じてサービス等利用計画の作成を始めましょう。

  2. 必要な事前申請をリストアップ:

    高速道路割引や税制優遇など、事前申請が必要なサービスをリスト化し、必要書類を揃えて役所に提出します。

  3. 割引を試してみる:

    まずは地域のバスや公営施設などで、手帳を提示して割引を体験してみましょう。 使用するたびに、「手帳があることのメリット」を実感できるようになります。

手帳は、あなたを支えるための社会資源です。遠慮せずに活用し、より快適で豊かな生活を築いていきましょう。


まとめ

  • 障害者手帳で利用できるサービスは、税制優遇、交通費割引、福祉サービス、公営施設割引など多岐にわたります。
  • JR運賃割引は精神障害者保健福祉手帳では適用されないなど、手帳の種類や等級によってサービスの対象範囲が異なるため、事前の確認が必要です。
  • 障害福祉サービスを利用するには、手帳の他に「サービス等利用計画」の作成「支給決定」の手続きが必要です。
  • サービスを最大限に活用するためには、事前申請が必要な制度(高速道路割引、税金など)を把握し、積極的に活用することが重要です。

高橋 健一

高橋 健一

たかはし けんいち50
担当📚 実務経験 25
🎯 制度・法律🎯 医療・福祉制度

📜 保有資格:
社会福祉士

市役所の障害福祉課で20年間勤務し、制度の運用や窓口対応を担当してきました。「制度は難しい」と言われますが、知れば使える便利なツールです。行政の内側から見た制度のポイントを、分かりやすくお伝えします。

大学卒業後、地方自治体に入庁し、障害福祉課に配属されて20年。障害者手帳の交付、障害福祉サービスの支給決定、各種手当の申請受付など、幅広い業務を経験しました。行政職員として心がけていたのは、「制度を正確に伝えつつ、温かく対応する」こと。窓口に来られる方は不安を抱えています。制度の説明だけでなく、その方の状況に合わせた情報提供を大切にしてきました。退職後、民間の相談支援事業所に転職し、今度は「申請する側」の視点も理解できました。行政と民間、両方の経験を活かして、制度の仕組みだけでなく、「実際にどう使うか」まで伝えられるのが強みです。記事では、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、各種手当など、制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」解説します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

公務員として地域に貢献したいと思い、障害福祉課に配属されたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

窓口対応で、制度を活用して生活が楽になったと感謝されたこと。行政と民間両方の視点を得られたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

制度の正確な情報を「難しい言葉を使わず」伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

将棋、歴史小説

🔍 最近気になっているテーマ

マイナンバーと福祉制度の連携、自治体DXの進展

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