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障害者手帳で受けられる住環境支援まとめ

📖 約38✍️ 酒井 勝利
障害者手帳で受けられる住環境支援まとめ
本記事は、障害者手帳(身体・療育・精神)を所持することで受けられる住環境支援を解説します。主要な支援は、障害者総合支援法の「日常生活用具給付等事業」(住宅改修費、福祉用具給付)で、所得に応じた応能負担が特徴です。また、手帳は公営住宅の優先入居や家賃減免、民間賃貸での改修助成の根拠となります。さらに、住宅ローン(フラット35)の金利優遇や税制上の控除・減額を受けるための証明にもなります。これらの支援を確実に受けるためには、必ず事前申請し、相談支援専門員と連携することが不可欠です。

手帳がカギ!障害者手帳で受けられる住環境支援サービス徹底まとめ

障害のある方やご家族にとって、住み慣れた家を安全で快適な環境に整えることは、日々の生活の質(QOL)を大きく左右する重要な課題です。しかし、住宅改修や専門的な福祉用具の導入には、経済的な負担が伴います。

こうした住環境に関する支援を受けるための「カギ」となるのが、障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)です。手帳を所持していることで、国や地方自治体が提供する様々な公的支援制度を利用する資格が得られます。

この記事では、障害者手帳の有無によって受けられる、住まいの改修支援、福祉用具の給付、そして住宅探しに関する優遇制度について、具体的な内容と申請方法をまとめて解説します。手帳を最大限に活用し、より安心できる住環境を実現するためのヒントを見つけていきましょう。


🪪 手帳が基本となる二つの主要な住環境支援

障害者手帳を持っていることで利用できる住環境支援は多岐にわたりますが、中心となるのは、住宅改修の助成と、日常生活に必要な用具の給付という二つの大きな柱です。

障害者総合支援法に基づく「日常生活用具給付等事業」

この事業は、障害者手帳を持っている方が、日常生活をより円滑に送るために必要な用具の購入や改修費用の一部を公費で賄う制度です。改修に関する支援は、この事業に含まれる「居宅生活動作補助用具(住宅改修費)」として提供されます。

  • 対象者: 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者(ただし、対象となる等級や改修内容は自治体により異なります)。
  • 支援内容: 主に、手すりの取り付け、段差の解消、スロープの設置、浴室・トイレの改修、ホームエレベーターや階段昇降機の設置(一部)など、居宅での動作を補助するための改修費用です。
  • 費用の特徴: 支給限度基準額(上限額)が定められており、費用の原則1割が自己負担となりますが、所得に応じて月額の自己負担上限額が設定されている(応能負担)ため、低所得者世帯では自己負担が軽減されます。

この制度は、介護保険(65歳以上など)と異なり、障害者手帳をベースに、年齢や要介護度に関係なく、障害の特性に応じた改修支援を受けられる点が大きなメリットです。

💡 ポイント

日常生活用具給付事業は、市町村が行う事業であるため、支給対象となる改修の種類や、支給される上限額は、自治体によって大きく異なります。必ず、お住まいの市町村の障害福祉担当課に確認が必要です。

福祉用具の給付・貸与(レンタル)の優遇

居宅での生活を支える福祉用具も、障害者手帳を持っていることで給付や貸与(レンタル)の対象となります。

手帳所持者は、日常生活用具給付等事業を通じて、以下の用具の給付や購入費の支給を受けることができます。

  • 移動支援用具: 車椅子(介助用・自走用)、歩行器、歩行補助つえなど。
  • 排泄・入浴用具: 特殊寝台、入浴補助用具、ポータブルトイレなど。
  • 情報・意思疎通用具: 点字器、携帯用会話補助装置、情報通信機器(一部)など(手帳の種類による)。

特に、介護保険制度でレンタルが原則となっている福祉用具(車椅子など)であっても、障害者手帳を持っていることで、日常生活用具として購入費の支給を受けられる場合があるなど、選択肢が広がる利点があります。

これらの用具の給付を受けるためには、必ず事前に市町村への申請と承認が必要であり、事後の申請は認められません。まずは相談支援専門員に相談しましょう。


🏡 住宅探し・賃貸支援における手帳のメリット

手帳は、既存の住宅を改修する際だけでなく、新たな住居を探す際や、賃貸契約を結ぶ際にも、様々な優遇措置を受けるための資格となります。

公営住宅への優先入居と家賃減免

地方自治体が運営する公営住宅(市営住宅、県営住宅など)には、一般の募集とは別に、障害者世帯を対象とした優先入居制度や特別枠が設けられていることが一般的です。

  • 優先入居: 重度の身体障害者や知的障害者がいる世帯は、入居審査において有利になったり、一般の抽選とは別の枠で募集が行われたりします。
  • 家賃の減免: 公営住宅の家賃は所得に応じて決まりますが、障害者世帯には、さらに家賃の減額や減免措置が適用される場合があります。

これにより、バリアフリー設計の住宅を、比較的安価な家賃で確保できる可能性が高まります。公営住宅の募集時期は限られているため、お住まいの自治体の情報を常にチェックしておく必要があります。

⚠️ 注意

優先入居の対象となる等級や、世帯の所得基準は、自治体や住宅によって細かく定められています。申請を検討する際は、住宅課や建築課に詳細な条件を事前に確認しましょう。

民間賃貸住宅のバリアフリー化支援

手帳を持っている方が民間アパートやマンションに入居する際にも、改修に関する支援が活用できます。

賃貸住宅でのバリアフリー改修は、原則としてオーナー(大家)の承諾が必要ですが、手すりの取り付けなど、比較的軽微な改修については、オーナーの承諾を得ることを条件に、日常生活用具給付事業を利用できる場合があります

また、一部の自治体では、障害者世帯が賃貸住宅に住む際に、家賃や敷金・礼金の一部を補助する独自の助成制度(住居移転費助成など)を設けていることがあります。これは、特に重度の障害を持つ方が、より広い住宅や、支援サービスにアクセスしやすい住宅へ転居する際に役立ちます。


🏡 障害者手帳を活用した住宅ローン優遇

自宅を新築または購入する際や、大規模なリフォームを行う際にも、障害者手帳は金利優遇や税制上の優遇措置を受けるための証明となります。

住宅金融支援機構のバリアフリー対応融資

独立行政法人住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が提供する住宅ローンhttps://www.jhf.go.jp/loan/yushi/shikin/index.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">「フラット35」には、バリアフリー改修を行う場合に、一定期間金利が引き下げられる優遇制度があります。

この優遇措置を受けるための条件の一つとして、「障害者手帳の交付を受けている方が居住する住宅」などが定められています。金利優遇の適用を受けることで、長期的な返済総額を大幅に減らすことができます。

優遇を受けるための条件(一例):

  • 段差のない床への改修
  • 手すりの設置
  • 広い間口の確保

これらのバリアフリー工事が施された住宅であることに加え、ご本人が手帳を持っていることが、優遇措置適用の根拠の一つとなります。

✅ 成功のコツ

住宅ローンで金利優遇を受けるためには、設計段階からバリアフリー仕様を計画に組み込む必要があります。手帳の等級や必要な改修内容を事前に住宅メーカーや金融機関に伝え、専門家(福祉住環境コーディネーター)に設計図をチェックしてもらいましょう。

税制上の優遇措置(所得税・固定資産税)

バリアフリー改修を行うことで、税制上の優遇措置を受けられる場合があります。

  • 所得税の控除: 特定のバリアフリー改修工事を行った場合、その費用の一部を所得税から控除できる特例があります。これは、改修後の住宅に、一定の障害を持つ方が居住していることが条件となります。
  • 固定資産税の減額: バリアフリー改修工事を行った住宅について、翌年度の固定資産税が減額される措置が設けられています(要件あり)。

これらの税制上の優遇を受けるためにも、障害者手帳は、ご本人が「特定の方」であることを証明する重要な公的書類となります。控除を受けるためには、工事費用の証明書や、必要な書類を確定申告時に提出する必要があります。


📝 手帳活用における申請と相談の進め方

障害者手帳を最大限に活用し、住環境支援をスムーズに受けるためには、適切な相談窓口と手続きの流れを理解することが重要です。

まず相談すべき窓口

住環境に関する支援の相談は、目的によって窓口が異なります。

  • 日常生活用具給付・住宅改修助成(主に費用): お住まいの市町村の障害福祉担当課または相談支援事業所
  • 住宅ローン・税制優遇(主に融資・税金): 金融機関、税務署、または建築業者。
  • 公営住宅(主に住宅探し): 市町村の住宅課または建築課

特に、どの支援がご自身の障害や生活状況に最も適しているかを総合的に判断するためには、中立的な立場である相談支援専門員に最初に相談することが最も効果的です。

申請でつまずかないための重要な注意点

住宅改修や日常生活用具の給付申請で失敗しないために、以下の注意点を必ず守りましょう。

  1. 事前申請の徹底: 住宅改修や用具の購入は、必ず工事着工・購入前に市町村に申請し、承認を得てください。事後の申請は一切認められません。
  2. 見積もりの準備: 支給決定を受ける前に、必ず2社以上の業者から見積もりを取得し、比較検討しましょう。
  3. 専門家の意見: 手すりの高さや便器の選定など、技術的な判断が必要な場合は、福祉住環境コーディネーターや理学療法士の意見書を添えることが、審査をスムーズにする鍵となります。

必要な支援を確実に受けるためには、手帳のコピーなど、必要書類を事前に準備し、余裕をもって手続きを進めることが大切です。


✨ まとめと次の一歩の提案

障害者手帳は、単なる身分証明書ではなく、住環境を整えるための強力な「パスポート」です。手帳があることで、住宅改修費の助成、福祉用具の給付、公営住宅の優先入居、住宅ローンの金利優遇など、様々な公的支援を受けることができます。

これらの支援制度を複合的に活用することで、費用負担を大幅に軽減し、ご本人の自立と安心を確保できる理想の住環境を実現することが可能です。

制度は複雑ですが、必ず相談支援専門員や自治体の担当課といった専門家の力を借りて、一歩ずつ確実に進めていきましょう。

次の一歩の提案

ご自身の障害者手帳の等級を確認し、お住まいの地域の「市町村の障害福祉担当課」に電話して、「手帳を利用して受けられる住宅改修の助成制度」の具体的なパンフレットや要綱を送ってもらいましょう。情報収集からすべてが始まります。

まとめ

  • 障害者手帳は、日常生活用具給付事業(住宅改修費含む)や福祉用具の給付・貸与を受けるための基本資格である。
  • 手帳により、公営住宅の優先入居・家賃減免や、住宅ローン(フラット35)の金利優遇といった住宅探し・購入時の優遇措置を受けられる。
  • 申請は必ず事前に行うこと、そして相談支援専門員を通じて、利用可能なすべての制度を複合的に確認することが成功の鍵となる。

酒井 勝利

酒井 勝利

さかい かつとし38
担当📚 実務経験 12
🎯 生活サポート🎯 福祉用具

📜 保有資格:
作業療法士、福祉住環境コーディネーター

作業療法士として病院・施設で12年勤務。「できないこと」を「できる」に変える福祉用具や環境調整の専門家です。車椅子、杖、リフトなどの選び方から、住宅改修まで、実践的な情報をお届けします。

リハビリテーション専門学校を卒業後、総合病院で5年、障害者支援施設で7年、作業療法士として勤務してきました。特に力を入れているのは、福祉用具を活用した「できることを増やす」支援。例えば、片麻痺がある方が自助具を使って料理ができるようになったり、車椅子の選び方一つで外出の頻度が劇的に変わったりします。印象的だったのは、重度の身体障害がある方が、適切な電動車椅子と環境調整により、念願だった一人での買い物を実現したこと。「自分でできる」という自信が、その方の人生を大きく変えました。記事では、福祉用具の選び方、住宅改修のポイント、補助金の活用方法など、「生活をより便利に、より自立的に」するための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

リハビリの仕事を通じて、「できないこと」を「できる」に変える喜びを知ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の身体障害がある方が、適切な電動車椅子で一人での買い物を実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

福祉用具を活用して「生活をより便利に、より自立的に」する情報を発信します。

🎨 趣味・特技

DIY、キャンプ

🔍 最近気になっているテーマ

スマート家電と福祉の融合、IoT活用

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