障害者に関わる主要な法律・制度をまとめて理解する

はじめに:権利と生活を守るための法律の役割
「自分や家族が使える制度にはどんなものがあるの?」「法律の話は難しくてどこから手をつけていいか分からない」そんな不安を感じたことはありませんか。障害福祉の世界には多くの法律や制度が存在しますが、それらはすべて、障害のある方が自分らしく、安心して社会で暮らしていくための「土台」として作られています。
この記事では、障害福祉の基本となる法律から、日常生活を支える具体的なサービス、そして近年重要性が高まっている権利擁護の仕組みまで、全体像を整理して分かりやすく解説します。専門用語には丁寧な説明を添えていますので、初めて学ぶ方でも一歩ずつ理解を深めることができます。
制度を知ることは、自分たちの権利を守り、未来への選択肢を増やすことに繋がります。この記事が、あなたや大切なご家族の生活をより豊かにするための「ガイドマップ」となれば幸いです。難しい理屈としてではなく、日々の暮らしを支えるパートナーとして法律を捉え直してみましょう。
障害福祉の根幹をなす基本法と理念
障害者基本法:すべての施策の出発点
日本の障害者福祉において、ピラミッドの頂点に位置するのが「障害者基本法」です。この法律は、障害のある方の自立と社会参加を支援するための基本的な理念を定めたものです。具体的なサービスの細かなルールを決めるというよりは、国や自治体がどのような方向で福祉を進めるべきかという「憲法」のような役割を果たしています。
この法律の最も重要なポイントは、障害のある方を単に「助けられる対象」としてではなく、「権利の主体」として認めている点です。すべての国民が、障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指しています。この考え方は「共生社会」と呼ばれ、現在のあらゆる福祉サービスの根底に流れています。
例えば、私たちが駅のバリアフリー化を求めたり、教育現場での配慮を求めたりする際、その根拠はこの障害者基本法にあります。私たちの暮らしの中で当たり前になりつつある風景も、この法律が定める「差別の禁止」や「機会の均等」という理念によって支えられているのです。
障害者権利条約:国際的な視点での保障
日本国内の法律だけでなく、国際的な約束事である「障害者権利条約」の影響も非常に大きいです。これは国際連合(国連)で採択された条約で、日本は2014年に批准しました。この条約の有名なスローガンに「私たちのことを、私たち抜きに決めないで(Nothing About Us Without Us)」という言葉があります。
この条約が求めているのは、社会の側にある「バリア」を取り除くことです。障害を個人の心身の問題として捉えるのではなく、階段しかない建物や、音声案内がない信号機といった「社会の不備」こそが障害を作っているという考え方(社会モデル)を強調しています。日本はこの条約を批准するために、国内の様々な法律をより使いやすく、より権利を尊重する内容へと整備してきました。
国際基準の視点が入ることで、日本の福祉は「慈善」から「権利」へと大きくシフトしました。世界中の障害のある人々と手を取り合い、誰もが当たり前に暮らせる世界を目指す動きが、私たちの地域のサービスにも反映されているのです。
障害者総合支援法の仕組み
私たちが日頃利用するホームヘルプや就労支援などの具体的なサービスを定めているのが、「障害者総合支援法」(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)です。この法律は、障害の種類(身体・知的・精神・難病)に関わらず、共通の仕組みでサービスを提供することを目的にしています。
総合支援法によるサービスは、大きく分けて「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2種類があります。自立支援給付には、生活介護や就労移行支援、居宅介護などが含まれ、全国どこでも一定の基準でサービスが受けられます。一方の地域生活支援事業は、自治体が地域のニーズに合わせて独自に行う移動支援や点字翻訳などの事業です。
この法律の最大の特徴は、個別の「サービス等利用計画」を作成することです。本人の希望や目標に合わせて、どのようなサービスをどれくらい組み合わせるかを専門家(相談支援専門員)と一緒に考えます。まさに、一人ひとりの人生に寄り添うための実務的な法律と言えるでしょう。
💡 ポイント
基本法が「目指すべき理想」を示し、総合支援法が「具体的なサービス」を提供する、という二段構えの構造になっています。どちらも生活には欠かせない視点です。
日常生活を支える主なサービスと制度
介護給付:日々の生活をサポート
介護給付は、主に自宅や施設での生活に支援が必要な方向けのサービスです。代表的なものに、ホームヘルパーが自宅を訪問して入浴や食事の介助を行う「居宅介護」や、重度の障害がある方向けの「重度訪問介護」があります。これらは24時間365日の生活を支えるための命綱とも言える存在です。
また、日中に施設へ通って創作活動やリハビリを行う「生活介護」もこのカテゴリーに含まれます。利用にあたっては、「障害支援区分」という、どれくらいの支援が必要かを示す認定(1〜6段階)を受ける必要があります。区分認定のプロセスでは、調査員による聞き取り調査が行われ、その結果に基づいて利用できるサービス量が決まります。
実例として、一人暮らしを始めた身体障害のあるAさんは、重度訪問介護を利用することで、介助者の力を借りながら自分の好きな時間に食事をし、外出を楽しむ生活を実現しています。このように、法律が定める介護給付は、障害があっても自分の人生を自分でプロデュースするための強力なツールとなります。
訓練等給付:自立と就労への道
訓練等給付は、就労や自立した生活を目指すための「練習」や「サポート」に焦点を当てたサービスです。これには区分認定が不要なものも多く、より柔軟に利用できるのが特徴です。主なものとして、就職に向けたトレーニングを行う「就労移行支援」や、雇用契約を結んで働く「就労継続支援(A型・B型)」があります。
以下のテーブルに、就労系サービスの代表的な違いをまとめました。
| サービス名称 | 内容の概要 | 対象となる方 |
|---|---|---|
| 就労移行支援 | 一般企業への就職を目指す訓練 | 65歳未満の就労を希望する方 |
| 就労継続支援A型 | 雇用契約を結び、給与を得て働く | 一般企業での就労が困難な方 |
| 就労継続支援B型 | 自分のペースで作業し、工賃を得る | A型の利用も困難な方など |
また、一人暮らしを始める際のサポートを行う「自立生活援助」や、グループホームなどで共同生活を送る「共同生活援助(グループホーム)」も訓練等給付の一つです。これらは、単に住む場所を提供するだけでなく、相談相手がそばにいるという安心感を提供し、自立のステップアップを後押ししてくれます。
補装具費支給制度と自立支援医療
生活の質(QOL)を向上させるために欠かせないのが、器具や医療のサポートです。補装具費支給制度は、車椅子や義足、補聴器などの購入や修理にかかる費用を補助する仕組みです。これらは「身体の欠損を補うもの」として、日常生活に必要不可欠なものと認められれば、自己負担1割(所得に応じた上限あり)で購入が可能です。
一方、継続的な治療が必要な方向けに自立支援医療という制度があります。これは、精神通院、更生医療(身体障害の軽減)、育成医療(子どもの障害)の3つに分かれています。この制度を利用すると、通常3割の窓口負担が原則1割に軽減され、さらに世帯の所得に応じて「月額上限額」が設定されます。これにより、高額な医療費が家計を圧迫することを防げます。
例えば、統合失調症などの精神疾患で長期間の通院が必要なBさんの場合、自立支援医療(精神通院)を利用することで、月々の診察代や薬代の支払いが一定額を超えないようになり、安心して治療を継続できています。このように、経済的な負担を和らげることも法律の重要な役割の一つです。
✅ 成功のコツ
制度の申請窓口は主に市区町村の障害福祉担当課です。「何に困っているか」を具体的に伝えることで、窓口の担当者が適切な制度を組み合わせて提案してくれます。
共生社会の実現に向けた「差別解消法」
不当な差別的取扱いの禁止
2016年に施行され、2024年に改正された「障害者差別解消法」は、私たちの社会のあり方を大きく変える力を持っています。この法律の大きな柱の一つが「不当な差別的取扱いの禁止」です。これは、正当な理由なく、障害があることだけを理由にサービスの提供を拒否したり、制限したりすることを禁じるものです。
例えば、車椅子を利用しているからという理由だけでレストランの入店を断る、あるいは障害があることを理由にアパートの賃貸契約を拒否するといった行為が、これに該当します。こうした差別は、障害のある方の社会参加を阻む大きな壁となってきました。法律がこれを明確に禁じることで、私たちは「当たり前のことが当たり前にできる社会」への一歩を踏み出したのです。
もちろん、安全上の理由などでどうしても対応が難しいケースもありますが、その場合でも「なぜできないのか」を誠実に説明し、代替案を提示することが求められます。差別をなくすことは、誰かに我慢を強いることではなく、お互いの状況を理解し合う対話から始まります。
合理的配慮の義務化:2024年からの変更点
この法律のもう一つの柱が「合理的配慮の提供」です。合理的配慮とは、障害のある方が直面しているバリアを取り除くために、個別の状況に合わせて行われるちょっとした工夫や調整のことです。これまでは公的機関のみが義務とされていましたが、2024年4月からは、民間企業や店舗、個人事業主も含めたすべての事業者において義務化されました。
具体的な合理的配慮の例をいくつか挙げてみましょう。
- 筆談や読み上げなど、その人に合ったコミュニケーション手段で対応する。
- 段差がある場所で、簡易スロープを設置したり、移動を補助したりする。
- 感覚過敏のある方の入店時に、照明を少し暗くしたり、静かな席へ案内したりする。
- 試験の際に、時間の延長や別室での受験を認める。
ポイントは「過重な負担がない範囲で」行われるという点です。事業者の規模や経営状況に照らして、無理のない範囲で最大限の工夫をすることが求められています。この「義務化」により、障害のある方はより堂々と配慮を求めることができ、事業者の側も「当たり前に対応すべきこと」として準備を進めるようになっています。
建設的対話の重要性
合理的配慮を実現するために最も大切なのが、「建設的対話」です。障害のある方が「どんなことに困っているか」を伝え、事業者が「何ができるか」を話し合うプロセスのことです。法律は一方的な要求を認めるものではなく、双方が知恵を出し合って歩み寄ることを期待しています。
例えば、「このお店に入りたいけれど、入り口の段差が怖い」という困りごとに対し、事業者が「スロープはないけれど、スタッフ2人で持ち上げれば入店可能です」と提案する。これも立派な建設的対話と合理的配慮の一環です。お互いの立場を尊重しながら解決策を探ることで、社会全体の理解が深まっていきます。
また、自治体には差別に関する相談窓口(地域協議会など)が設置されています。もし対話がうまくいかなかったり、差別を感じたりした場合には、こうした第三者機関を頼ることも可能です。一人で抱え込まず、社会全体で解決していく仕組みが整いつつあります。
⚠️ 注意
合理的配慮は「特別扱い」ではありません。障害のない人と同等の機会を得るための「調整」です。この視点を持つことで、周囲とのコミュニケーションがよりスムーズになります。
「働く」を支える法律と雇用制度
障害者雇用促進法の役割
障害のある方の「働く」を強力にバックアップしているのが、「障害者雇用促進法」です。この法律は、企業に対して一定の割合で障害のある方を雇用することを義務付けています(法定雇用率制度)。現在、この比率は段階的に引き上げられており、2026年にはさらに拡大される予定です。
企業が障害者雇用を進めるために、国からは様々な助成金が支給されます。例えば、職場環境を整えるための設備導入費や、職場適応を支援するジョブコーチの配置費用などです。また、この法律でも「差別禁止」と「合理的配慮」が義務付けられており、仕事内容の調整や休憩時間の配慮など、長く働き続けるためのルールが定められています。
実例として、ADHD(注意欠如・多動症)のあるCさんは、この法律に基づく合理的配慮として、指示を口頭だけでなく必ずメールや書面でもらうようにしました。この配慮により、指示の聞き漏らしがなくなり、本人の持つ高い事務処理能力を発揮して、会社にとって欠かせない存在として活躍しています。法律が、個人の特性と仕事のマッチングを支えているのです。
特例子会社という仕組み
障害者雇用のユニークな仕組みに「特例子会社」があります。これは、親会社が障害のある方の雇用を促進するために特別に設立した子会社のことです。特例子会社で雇用された方は、親会社の雇用率にカウントされるというルールがあります。これにより、大企業がグループ全体で大規模な雇用を行うことが可能になっています。
特例子会社の多くは、バリアフリーの徹底や専門スタッフ(生活指導員など)の配置、特性に合わせた作業工程の工夫など、障害のある方が働きやすい環境を専門的に追求しています。事務補助、清掃、カフェ運営、農業など、職種も多岐にわたります。一般企業の中では配慮が届きにくい場合でも、特例子会社という「専門チーム」の中であれば、安心して力を発揮できるケースも多いです。
もちろん、特例子会社だけが選択肢ではありません。最近ではテレワークを活用した雇用や、中小企業での地域密着型の雇用も広がっています。自分にはどのような環境が合っているのかを、ハローワークや就労移行支援事業所と相談しながら、法律が守ってくれる「働く権利」をフル活用しましょう。
ハローワークと就労支援機関
「働きたいけれど、何から始めたらいいか分からない」という時の最初の窓口が、ハローワーク(公共職業安定所)です。ハローワークには障害者専用の窓口があり、専門のカウンセラーが相談に乗ってくれます。ここでは求人情報の提供だけでなく、自分の強みを見つけるための自己分析や、履歴書の書き方指導なども受けられます。
また、ハローワークと連携して動く「障害者就業・生活支援センター」(通称:しごとくらしセンター)も非常に心強い存在です。ここは名前の通り、「働くこと」と「暮らすこと」をセットで支援してくれる機関です。職場での悩みだけでなく、生活リズムの乱れや金銭管理の悩みなど、働き続けるためのベースとなる生活面の相談もまとめて受け付けてくれます。
こうした支援機関のサポートは、法律によって公的に位置付けられたサービスです。利用料は原則無料(福祉サービスとしての利用は所得に応じる)ですので、積極的に活用しましょう。一人で就職活動をするよりも、専門家の知見を借りることで、自分に合った「長く続けられる職場」に出会える確率が格段に高まります。
💡 ポイント
障害者雇用の枠で働く場合、障害者手帳の所持が前提となります。手帳を持つことで受けられる「働くメリット」も、法律が用意してくれた大切な仕組みです。
権利を守り、未来に備えるための制度
成年後見制度:判断能力をサポート
知的障害や精神障害、認知症などにより、金銭管理や契約行為を自分一人で行うことが難しい場合に、法的に守ってくれるのが「成年後見制度」です。家庭裁判所によって選ばれた「後見人」が、本人に代わって預貯金の管理をしたり、介護サービスの契約を行ったりします。これにより、悪質な詐欺被害に遭ったり、不当な契約を結ばされたりするリスクを防げます。
この制度には、既に判断能力が不十分な場合に利用する「法定後見」と、将来に備えてあらかじめ自分で後見人を選んでおく「任意後見」があります。後見人は、本人の財産を守るだけでなく、本人の意思(どう生きたいか)を尊重しながら生活を支える義務を負っています。最近では、親亡き後の備えとして、親族以外の専門家(弁護士や社会福祉士など)や市民後見人が担うケースも増えています。
ただし、後見制度を利用すると、一部の資格取得が制限されたり、月々の報酬が発生したりといった注意点もあります。すべてを後見人に任せるのではなく、本人ができることは本人が行い、できない部分だけを補う「補助」や「保佐」という段階的な仕組みもあります。自分の状況に最適なサポートの形を選ぶことが、真の権利擁護に繋がります。
虐待防止法と権利擁護
障害のある方が、家庭や施設、職場で不当な扱いを受けることを防ぐために「障害者虐待防止法」があります。虐待は身体的な暴力だけでなく、暴言を吐く(心理的虐待)、必要な食事や介護を与えない(ネグレクト)、本人の年金を勝手に使う(経済的虐待)、性的な嫌がらせをする(性的虐待)といったすべての行為を含みます。
この法律のポイントは、虐待を発見した人には「通報の義務」があることです。また、自治体には通報を受けた際の速やかな調査と、本人の安全確保のための保護が義務付けられています。虐待は密室で起こりやすく、本人が声を上げにくい場合が多いため、周囲が気づき、法律に基づいて動くことが非常に重要です。
虐待防止は、誰かを罰することだけが目的ではありません。介護で疲れ果てた家族や、人手不足で余裕のない施設の現場を救い、適切な支援体制を立て直すためのきっかけでもあります。誰もが尊重される環境を作るために、この法律は私たちのすぐそばで監視の目を光らせています。
日常生活自立支援事業
成年後見制度を利用するほどではないけれど、毎月の公共料金の支払いや福祉サービスの契約手続きに少し不安がある……。そんな時に便利なのが、日常生活自立支援事業(旧:地域福祉権利擁護事業)です。各市区町村の社会福祉協議会が窓口となり、福祉専門員や生活支援員が定期的にお手伝いをしてくれます。
具体的な支援内容は以下の通りです。
- 福祉サービスの利用手続きの援助や代行。
- 公共料金、家賃、医療費などの支払い。
- 年金などの受領確認。
- 大切な書類(通帳、実印、証書など)の預かり。
この事業は「契約」に基づくサービスですので、本人に利用の意思があることが前提となります。成年後見制度よりも手軽に、かつ安価な手数料で利用できるため、自立した生活を支えるための「緩やかな見守り」として多くの人に活用されています。制度を組み合わせることで、将来への不安を一つずつ安心に変えていくことができます。
✅ 成功のコツ
権利擁護の制度は、早めに知っておくことが大切です。「まだ大丈夫」と思っているうちから、社会福祉協議会などで情報収集を始めておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 障害者手帳がないと、これらの制度は一切使えませんか?
いいえ、必ずしもそうではありません。例えば、障害者総合支援法に基づくサービスの中には、主治医の診断書や「障害福祉サービス受給者証」があれば、手帳がなくても利用できるもの(難病の方や、一定の精神疾患の方など)があります。また、発達障害のあるお子さんのための放課後等デイサービスなども、診断や療育の必要性が認められれば利用可能です。ただし、税金の控除や公共交通機関の割引、障害者雇用枠での就職などは手帳が必須となることが多いです。まずは「自分(家族)の状況で何が使えるか」を窓口で確認してみることをお勧めします。
Q. 65歳を過ぎると、障害福祉のサービスはすべて介護保険に切り替わりますか?
原則として、障害福祉サービスと介護保険サービスで共通するもの(ホームヘルプやデイサービスなど)がある場合、介護保険が優先されます。これを「介護保険優先の原則」と呼びます。しかし、障害福祉独自のサービス(同行援護や就労支援、重度訪問介護など)は、65歳以降も引き続き障害福祉の枠組みで利用できる場合があります。また、介護保険に切り替わることで自己負担が増えてしまう場合の軽減措置などもあります。切り替わりの時期が近づいたら、ケアマネジャーと相談支援専門員の両方に相談し、スムーズな移行とサービスの継続性を確保しましょう。
Q. 制度の申請から利用開始まで、どれくらいの時間がかかりますか?
サービスの種類によりますが、障害福祉サービス(介護給付など)の場合、申請から「受給者証」の発行まで、一般的に1ヶ月から2ヶ月程度かかることが多いです。これは、区分認定のための調査や審査会、サービス等利用計画の作成といったプロセスが必要だからです。補装具の支給なども、判定に時間がかかる場合があります。急ぎで支援が必要な場合は、暫定的な利用や、他の代替サービスが使えないか、早めに窓口で相談することが大切です。「必要になったらすぐ使える」わけではないため、事前の情報収集と早めの準備が安心に繋がります。
Q. 引っ越しをすると、今の受給者証やサービスはどうなりますか?
受給者証は自治体(市区町村)ごとに発行されるため、引っ越し先で改めて申請が必要です。基本的には、前の自治体での区分認定などの情報を引き継ぐことができますが、自治体によって独自の上限額設定や、地域生活支援事業の内容が異なる場合があります。引っ越しが決まったら、現在住んでいる自治体の窓口に「転出」を伝え、新しい自治体の窓口に「継続してサービスを利用したい」旨を早めに相談しましょう。特に相談支援専門員や事業所を新しく探す必要がある場合は、転居前から動き出すのが成功のコツです。
まとめ
障害福祉に関する法律や制度は、一見すると複雑で難解に思えるかもしれません。しかし、その一つひとつは、障害のある方が直面する困難を解消し、当たり前の権利を保障するために長い年月をかけて作られてきたものです。今回の重要ポイントを振り返りましょう。
- 基本理念の理解:障害者基本法や権利条約は、障害者を「権利の主体」と定め、社会のバリアを取り除くことを目指しています。
- 総合支援法の活用:介護給付や訓練等給付など、一人ひとりのニーズに合わせた具体的なサービスが用意されています。
- 差別解消と合理的配慮:2024年から民間企業でも合理的配慮が義務化され、対話を通じてバリアを取り除くことが求められています。
- 働く権利の保障:雇用促進法やハローワークの支援により、特性を活かして働き続けるための環境整備が進んでいます。
- 権利擁護と将来への備え:成年後見制度や虐待防止法、日常生活自立支援事業が、安全な暮らしと財産を守るセーフティネットとなります。
法律は「知っている人」だけを助けるものではありませんが、「知っていること」で得られる安心感は計り知れません。制度は一度理解して終わりではなく、時代とともにアップデートされていきます。まずは自分に関わりの深いものから少しずつ触れてみてください。
次のアクションとして、まずは最寄りの市区町村から配られている「障害福祉のしおり」を手に入れたり、ホームページの「障害福祉」のページをお気に入りに登録したりしてみましょう。また、信頼できる相談支援専門員を見つけることも、制度を味方につけるための大きな一歩です。あなたが一人で悩まず、制度という力強いパートナーと共に歩んでいけるよう応援しています。

金子 匠
(かねこ たくみ)55歳📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士
障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。
大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。
🎨 趣味・特技
読書、散歩
🔍 最近気になっているテーマ
障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形





