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心の不調が続くときにやるべきこと3つ

📖 約33✍️ 鈴木 美咲
心の不調が続くときにやるべきこと3つ
心の不調が続く障害当事者向けに、回復のためにやるべき3つのステップを解説します。心の不調は頑張りすぎのサインであり、まず自分を責めず休息を宣言することが重要です。次に、主治医や精神保健福祉センター、障害者支援センターなどの専門家・支援機関を迷わず頼ることが、回復への近道となります。そして日常生活では、ストレス源となる人間関係や感覚刺激を遠ざける「環境調整」や、アサーションによる境界線の確立で自分を守ります。無理せず、外部の力を借りて心身の回復を最優先しましょう。

心の不調が続くときにやるべきこと3つ

最近、なんだか心が晴れない、気分が落ち込んだ状態が続いている、以前のように楽しめなくなったという心の不調に悩んでいませんか。

障害特性を持つ方にとって、日々の生活は、目に見えないところで大きなストレスやエネルギーを消費しており、心の不調は、体が発している「もう限界です」という悲鳴である可能性が高いです。

この記事では、心の不調が続いているときに、あなたが自分を責めることなく、まず「やるべきこと」を3つのステップに分けて具体的に解説します。

専門家への相談から、自分を守るための具体的な行動、そして考え方のヒントまで、心の回復を促すための具体的な方法をご紹介します。


ステップ1:自分の状態を客観視し「心の休憩」を宣言する

心の不調が続いている時、まず最も重要なことは、自分の状態を客観的に把握し、回復のために「強制的に休むこと」を自分自身に許可することです。

頑張り屋の方ほど、不調を「気のせい」にしてしまいがちですが、それは危険なサインです。

見過ごしがちな心の不調サイン

「心の不調」は、単に気分が落ち込むだけでなく、様々な形で現れます。以下のサインに該当するものがないか確認してみましょう。

  • 何をしても楽しくない、喜びや感動がない(抑うつ気分)
  • 理由もなく不安が強くなる、急に涙が出る
  • 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、または一日中眠い(睡眠障害)
  • 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
  • 集中力や記憶力が低下し、仕事や家事の効率が悪くなった

特に、これらの状態が2週間以上続く場合は、単なる疲労ではなく、治療が必要なレベルの不調に移行している可能性があります。

「認知の歪み」に気づき自分を責めない

心が不調な時は、「どうせ自分はダメだ」「全て自分のせいだ」といった、現実よりも悲観的な思考パターン(認知の歪み)に陥りやすくなります。

このような思考が浮かんだら、それは「事実」ではなく「不調な心が生み出した感情」であると認識し、一度立ち止まることが大切です。

✅ 成功のコツ

ノートに「浮かんだネガティブな考え」と、それに対する「客観的な事実や反論」を書き出すことで、思考の歪みを修正する練習(認知行動療法の基礎)をしてみましょう。

心の不調は、風邪と同じように誰にでも起こり得るものであり、あなたの努力や人間性の問題ではありません。まずは自分を責めるのをやめましょう。

「心理的な休養」を最優先にする

体の休息だけでなく、心理的な休養をとることが心の不調からの回復には不可欠です。

心理的な休養とは、義務感やプレッシャーから解放される時間のことです。「今日は何もしなくていい」と自分に許可を与え、生産性や効率を求める活動から完全に離れましょう。

活動の種類 心理的休養につながるか
仕事・勉強 ×(義務感とプレッシャー)
趣味(義務感なし) 〇(好きなことをして心が満たされる)
ぼーっとする 〇(脳を無刺激状態にする)
SNSを見る △(情報刺激で脳が休まらない可能性がある)


ステップ2:迷わず専門家・支援機関を頼る

心の不調が長引くとき、一人で解決しようとするのは非常に危険です。専門家や支援機関の力を借りることは、回復への最も早い近道であり、決して恥ずかしいことではありません。

主治医(医療機関)への相談

心の不調が体調にも影響を及ぼしている場合(不眠、食欲不振、慢性的な頭痛など)、まずは精神科または心療内科を受診しましょう。

医師は、症状を正しく診断し、薬物療法(必要な場合)や、休養の必要性など、あなたの状態に合わせた治療方針を立ててくれます。

特に、「死にたい」という希死念慮が頭から離れない、日常生活に著しい支障が出ている場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関または地域の相談窓口に連絡してください。

⚠️ 注意

初めての受診が不安な場合は、まず地域の保健所や精神保健福祉センターに電話相談をして、適切な医療機関を紹介してもらうこともできます。

福祉サービス・支援機関の活用

医療的な治療と並行して、生活や就労のサポートを行う福祉サービスや支援機関を活用しましょう。

  • 障害者就業・生活支援センター(ナカポツ):生活面と仕事面の両方から、心身の状態に合わせた支援を無料で提供してくれます。
  • 相談支援事業所:福祉サービス利用計画の作成を通じて、あなたに必要なサービス(就労移行支援、自立訓練など)の利用をサポートします。
  • 地域活動支援センター:日中活動の場を提供し、孤立を防ぎ、ピアサポート(当事者同士の交流)の機会を与えてくれます。

これらの機関に相談することで、自分の抱える問題が福祉の観点からどう解決できるかという具体的な道筋が見えてきます。

ピアサポートの力と当事者交流

心の不調で孤独感が増している時、同じような経験を持つ人たちとの交流は大きな心の支えになります。

ピアサポートグループや当事者会に参加することで、「この辛さは自分だけではない」という共感を得られ、回復への意欲を取り戻すきっかけになることがあります。

「病院の先生には言えないような細かい悩みや、生活のちょっとした工夫を、当事者会で教えてもらいました。精神的な孤立が解消されたのが一番大きいです。」

— 当事者の声(40代・精神障害)


ステップ3:日常生活での「自分を守る」具体的な行動

専門家の支援を受けながら、日常生活で「これ以上、心を傷つけないようにする」ための具体的な行動(セルフディフェンス)を取ることも非常に大切です。

疲労やストレスを溜めにくい生活習慣を身につけることで、心の不調の波を小さくしていきましょう。

疲労を避ける環境調整と人間関係の断捨離

心の不調の大きな原因の一つは、環境や人間関係から受けるストレスです。疲労やストレスの原因となっているものを、可能な限り排除または遠ざけましょう。

  • 環境調整:光、音、匂いなど感覚過敏のトリガーとなっている刺激を、イヤホンやパーテーションなどで物理的に遮断します。
  • 人間関係の断捨離:会うと疲れる人、あなたを責める人、エネルギーを奪うような人との接触を意図的に減らしましょう。連絡をブロックすることも、自分を守るための立派な行動です。
  • 情報の遮断:SNSやニュースなど、不安を煽る情報から意図的に距離を置く時間を作りましょう。

環境調整をすることは、「わがまま」ではなく、あなた自身の健康を守るための「合理的配慮の自己適用」です。

感情と体調の「見える化」と可視化

自分の感情や体調の変化を客観的に捉えるために、毎日、状態を「見える化」する習慣をつけましょう。

これは、自身の不調の波や、不調を引き起こす「トリガー(引き金)」を特定するのに役立ちます。

記録項目 記録の目的
気分(点数/5段階) 感情の変動を客観視する
睡眠時間 心の状態と睡眠の質の関係を見る
疲労のピーク時間 最もエネルギーが消耗する時間帯を知り、その時間の活動量を減らす
小さな成功体験 自己肯定感を維持するためのポジティブな出来事を記録

「スモールステップ」で回復を促す

心の不調が続く時、大きな目標は立てられません。回復を促すためには、「できること」を最小限のステップに分割して実行することが有効です。

例えば、「今日は起きて着替える」を目標とし、それができたら自分を褒めます。「明日は、加えて歯磨きをする」など、徐々に活動の幅を広げていきましょう。

💡 ポイント

「達成できなかったこと」ではなく、「達成できたこと」に意識を向けましょう。たとえ小さな成功でも、それを記録し意識的に評価することで、自己肯定感を少しずつ回復させることができます。


心の回復を助ける「アサーション」と「境界線」

心の不調が続いているということは、これまでの人間関係や生活の中で、自分が無理を強いられる状況が多かったのかもしれません。

回復を安定させるためには、自分の心を守るための境界線(バウンダリー)を確立し、それを相手に伝える「アサーション」のスキルが重要となります。

「ノー」と言う勇気とアサーション

アサーションとは、相手を尊重しつつ、自分の意見、要求、感情を率直に伝えるコミュニケーション技法です。

心の不調でエネルギーが少ないときは、「ノー」と言って頼まれごとや誘いを断る勇気が、自分を守る盾になります。

  • 受け入れられない時:「申し訳ありませんが、今は体調が優れないので、今回はお断りさせてください」
  • 要求したい時:「〇〇の特性で疲れてしまうので、代わりに〇〇という作業をさせてもらえませんか」

自分の心身の状態を正直に、しかし攻撃的にならずに伝えることで、周囲からの理解も深まり、不必要なストレスを大きく減らすことができます

自分を傷つける環境からの離脱

もし、現在の職場や学校、あるいは家庭環境が、継続的にあなたの心を傷つけ、回復を妨げているならば、そこから離脱する選択肢を真剣に検討しましょう。

離職、休学、転居、行政による福祉サービスの利用(例:ショートステイ、グループホーム)など、様々な選択肢があります。

✅ 成功のコツ

離脱を検討する際は、いきなり行動を起こさず、必ず支援機関(障害者就業・生活支援センターなど)やソーシャルワーカーに相談し、生活の基盤をどう守るかという計画を立ててから進めましょう。

あなたの人生において、心と体の健康は、仕事や人間関係よりも常に最優先されるべきものです。


よくある質問(FAQ)と相談窓口

心の不調が続くときに抱きやすい疑問と、回復に向けたヒントをご紹介します。

Q. 病院に行くほどではない気がします。どうしたらいいですか?

A. 病院への受診に抵抗がある、または症状が軽度だと感じている場合でも、まずは地域の精神保健福祉センターや保健所の電話相談を利用してみましょう。

これらの窓口では、専門の精神保健福祉士や保健師が、匿名で無料で話を聞いてくれます。客観的にあなたの状態をアセスメント(評価)し、「病院に行った方が良いか」「他に利用できるサービスは何か」をアドバイスしてくれます。

「病院に行くほどではない」という自己判断が、かえって回復を遅らせる原因になることもあるため、少しでも不安があれば第三者に相談しましょう。

Q. 心の不調を抱えながら、生活を維持していくにはどうしたらいいですか?

A. 生活を維持していくための鍵は、「全てを頑張ろうとしない」ことと、「サービスに頼ること」です。

例えば、家事が難しいなら、週に一度のホームヘルパーの支援を導入する、食事が作れない日は無理せず惣菜を買うなど、外部のサービスや他人の力を借りて、生活の負担を減らしましょう。

生活を最低限維持できる状態を確保することが、心の回復のためのエネルギーを温存することに繋がります。

Q. 障害特性と心の不調は、どう関係しているのですか?

A. 障害特性(例:ASDの感覚過敏、ADHDの衝動性など)によって、日常生活で受けるストレスや、問題解決にかかるエネルギーが健常者よりも高くなります。

この慢性的なストレスや疲労が、やがてうつ病や適応障害といった「二次障害」を引き起こすのです。心の不調は、特性を抱えながら不適切な環境で「無理をしてきた結果」であり、障害特性と環境のミスマッチのサインとも言えます。

このため、治療と並行して、生活環境や職場の「合理的配慮」を行うことが、再発防止のために非常に重要です。


まとめ

  • 心の不調が続くときは、まず自分の状態を客観視し、「心の休憩」を自分に許可して、自分を責めるのをやめましょう。
  • 迷わず、主治医や地域の精神保健福祉センター、そして障害者支援センターなどの専門家・支援機関を頼り、回復への道筋を明確にしましょう。
  • 日常生活では、人間関係の断捨離や感覚刺激の調整などの環境調整を行い、心を傷つける要素から自分を守りましょう。

心の不調は、あなた自身が悪いわけではありません。それは、あなたがこれまで一生懸命に頑張ってきた証拠です。

回復には時間が必要ですが、適切なサポートを受け、一歩ずつ進めば必ず光は見えてきます。

今日、この記事を読んで心が少しでも軽くなったなら、次は「自分の地域の精神保健福祉センターの電話番号」をメモする、という最も小さな行動から始めてみませんか。私たちは、あなたの回復を心から応援しています。

主な相談窓口・参考情報

  1. こころの健康相談統一ダイヤル: 0570-064-556(全国共通ナビダイヤル)
  2. 精神保健福祉センター: お住まいの都道府県・政令指定都市の窓口で、専門職に相談できます。
  3. 障害者就業・生活支援センター: 仕事と生活の両面から、体調に合わせたサポートを受けられます。

鈴木 美咲

鈴木 美咲

すずき みさき42
担当📚 実務経験 15
🎯 相談支援🎯 当事者・家族支援

📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員

相談支援専門員として15年、障害のある方とそのご家族の「困った」に寄り添ってきました。実際の相談事例をもとに、当事者やご家族のリアルな声、具体的な解決策をお届けします。「一人で悩まないで」がモットーです。

社会福祉士として障害者相談支援事業所に勤務し15年。年間約100件の相談に対応し、サービス等利用計画の作成や、関係機関との調整を行っています。この仕事の魅力は、「困っている」状態から「解決した!」という笑顔に変わる瞬間に立ち会えること。ただし、制度が複雑で「どこに相談すればいいか分からない」という声を本当によく聞きます。特に印象深いのは、お子さんの障害を受け入れられず孤立していたお母さんが、同じ境遇の親の会に繋がり、「一人じゃないと分かって救われた」と涙ながらに話してくださったこと。情報と繋がりの大切さを実感しました。記事では、実際の相談事例(もちろん個人情報は特定できないよう配慮)をベースに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えていきます。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学のボランティアで障害のある方と出会い、「困っている」を「解決した!」に変える仕事がしたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

孤立していたお母さんが、親の会に繋がり「一人じゃないと分かって救われた」と話してくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

実際の相談事例をもとに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

ヨガ、カフェ巡り

🔍 最近気になっているテーマ

ヤングケアラー支援、家族のレスパイトケア

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