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不登校の子の進学はどうなる?利用できる制度と選択肢

📖 約57✍️ 菅原 聡
不登校の子の進学はどうなる?利用できる制度と選択肢
不登校の子どもの進学に関する保護者の不安を解消し、具体的な選択肢と制度を解説します。不登校は回復の期間と捉え、内申点・出席日数に関する現実と、多様な評価方法の存在を説明。進学先としては、特性に合わせた学びが可能な「通信制高校」「定時制高校」「高卒認定試験」のメリット・デメリットを紹介します。さらに、適応指導教室での「出席扱い」制度や、奨学金・就学支援金の活用法、発達障害者支援センターとの連携といった公的支援を詳説。進学後の再発を防ぐための学校との連携戦略や、面接での前向きなアピール方法までを具体的にガイドします。

不登校の子の進学はどうなる?学びのブランクを乗り越えるための制度、学校、そして親のサポート戦略

お子さんが不登校の状態にある中で、「このままで進学できるのだろうか?」「高校や大学に行けなかったら、将来はどうなってしまうのだろう?」と、進路に関する深い不安と焦りを感じていらっしゃる保護者の方は少なくありません。特に、不登校の背景に発達障害などの特性が隠れている場合、適切なサポートなしに進路を考えるのは非常に困難です。

しかし、ご安心ください。現在の日本では、不登校の経験があっても多様な学びの選択肢があり、利用できる公的な制度やサポートも整備されつつあります。不登校は、決して進路を閉ざすものではありません。むしろ、従来の学校システムが合わなかったというサインであり、お子さんにとって本当に必要な学びの形を見つけるための、重要な機会と捉えることができます。

この記事では、不登校からの進学を成功させるための心構えから、内申点や出席日数に関する実態、そして通信制高校、定時制高校、高卒認定試験といった具体的な進路の選択肢と、それぞれのメリット・デメリットを詳細に解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、進路選択の全体像を把握し、焦りや不安から解放され、お子さんのペースと特性に合わせた最善の進学ルートを共に築き上げるための具体的なステップが得られます。共に、お子さんの未来への扉を開けていきましょう。


不登校から進学を考えるための心構えと現状理解

不登校の状態にある子どもが進路を考える際、まず保護者が持つべき心構えと、現在の日本の教育制度が不登校生徒をどのように見ているかという現状を理解することが、焦りを手放す第一歩となります。

1. 不登校は「回復のプロセス」と捉える

不登校は、多くの場合、学校生活のストレスや困難(特性による環境不適合、人間関係など)から、心と体を守るために必要な休息期間です。この期間を「立ち止まっている時間」ではなく、「エネルギーを充電し、自分と向き合う回復のプロセス」として捉え直しましょう。

  • 最優先事項:進学の目標を立てる前に、まず子どもの心身の健康と安心できる居場所(家庭内での安心感)を確保すること。
  • 回復の段階:エネルギーが回復し、「何かをしたい」という意欲が少しでも見え始めてから、段階的に進路の話を始める。

進学を急ぎすぎると、再登校のプレッシャーとなり、かえって回復を妨げることになりかねません。お子さんのペースを尊重することが、最も遠回りではない道です。

2. 内申点・出席日数の実態と多様な評価方法

不登校の子どもを持つ保護者が最も心配されるのが、内申点や出席日数が高校受験にどう影響するかという点です。確かに、全日制の一般入試では不利になる可能性がありますが、すべての進路が閉ざされるわけではありません。

  • 公立高校の配慮:不登校の生徒を対象とした「特例選抜」や、内申点より当日点を重視する評価方法を導入している自治体があります。
  • 欠席日数の扱い:学校外の施設(適応指導教室、フリースクール、自宅での学習など)での活動を、校長の判断により「出席扱い」とすることが制度上可能です。

重要なのは、早めに中学校の進路指導担当や特別支援教育コーディネーターに相談し、進学したい高校の選抜方法を具体的に確認することです。

3. 進路選択における「特性」の理解

不登校の背景に、発達障害(ASD、ADHDなど)精神疾患といった特性がある場合、進路選択はより慎重に行う必要があります。特性は、「頑張り次第で克服できるもの」ではないため、特性に「合わない環境」を選ぶことは避けなければなりません。

特性 従来の全日制高校での困難例 適した進路の傾向
ASD(感覚過敏) 集団生活の騒音、校則による制服の不快感。 自宅学習主体の通信制。
ADHD(集中困難) 一斉授業での集中維持、長期的な課題管理。 単位制で自分のペースで進められる学校。
起立性調節障害 朝の登校時間(朝型生活)への対応。 午後や夜間に授業がある定時制。

進学先は、「通いやすさ」ではなく「お子さんの特性に寄り添った支援体制があるか」を最優先して選びましょう。


高校進学の具体的な選択肢と制度の活用

中学校卒業後の進路として、不登校を経験した子どもたちに特に適している、柔軟な学びを提供する高校の選択肢と、それをサポートする制度について解説します。

1. 通信制高校:学びのブランクを埋める主流な選択肢

通信制高校は、不登校を経験した生徒にとって最も柔軟性が高い選択肢であり、近年急速に生徒数を増やしています。自宅での学習が主体となるため、集団生活や登校による負担を最小限に抑えられます。

  • 学習形態:レポート提出(添削指導)、年に数日〜数十日のスクーリング(面接指導)、単位認定試験が基本。
  • メリット:登校頻度が少なく、自分のペースで学習が進められるため、体調や特性に合わせて無理なく卒業できる。
  • デメリット:自己管理能力が求められるため、学習習慣や計画性のサポート(親や支援者)が不可欠。

近年では、専門コース(eスポーツ、プログラミングなど)や、サポート校(週に数回、学習支援や居場所を提供する施設)を併設している学校も増えており、選択肢は非常に多様化しています。

2. 定時制高校:午前・午後・夜間を選べる多様性

定時制高校は、日中に働きながら学ぶことを想定した学校ですが、全日制とは異なる時間帯に授業を受けることができるため、朝起きるのが困難な子ども(起立性調節障害など)や、少人数での対面学習を希望する子どもに適しています。

  • 学習形態:主に午後や夜間に授業が行われますが、最近は二部制(午前・午後)や三部制(午前・午後・夜間)を採用している学校も多く、時間割を柔軟に選べます。
  • メリット:全日制と同様に先生や友人と対面で学べる安心感がある一方、少人数で落ち着いた雰囲気の学校が多い。
  • デメリット:卒業までに4年かかる場合が多いこと、自宅学習の時間が減ること。

定時制高校の中には、特別支援教育の視点を取り入れた指導を行う学校も増えており、見学や進路相談を通じて、学校の雰囲気を確かめることが重要です。

3. 高等学校卒業程度認定試験(高卒認定):大学受験資格を得る

高校へ進学せず、高卒認定試験(高認)を受けて合格することで、高校卒業と同等の学力があることを国に認定され、大学や専門学校の受験資格を得ることができます。

  • メリット:受験科目合格ごとに自分のペースで進められ、最短で高校卒業程度の資格が得られる。
  • デメリット:高認合格は「高校卒業」ではないため、就職活動などで不利になる場合がある。また、自己学習のモチベーション維持が難しい。

高認は、特定の分野で早く専門的な学びを始めたい、あるいは社会経験を優先したい場合に有効な選択肢です。

💡 ポイント

不登校の子の進路選択では、「学歴」よりも「生活リズムの再構築」を優先することが、その後の人生を安定させる上で極めて重要です。「毎日少しでも取り組めること」を達成できる環境を選びましょう。


進路選択を支える公的制度と居場所の活用

不登校の子どもが進学準備を進める上で、学習のサポートだけでなく、居場所の確保進路相談、そして経済的な支援を受けられる公的制度や施設を積極的に活用しましょう。

1. 公的機関の「出席扱い」制度と適応指導教室

中学校での「出席扱い」は、内申点への影響を軽減し、進路の選択肢を広げるために重要な制度です。この出席扱いの対象となる主要な公的施設が、「適応指導教室」です。

  • 適応指導教室(教育支援センター):不登校の児童生徒を対象に、学習支援、集団活動、カウンセリングなどを提供する教育委員会の施設。
  • 出席扱いの要件:適応指導教室への通所を「出席扱い」とするためには、個別の活動計画に基づいて、中学校と連携していることが必要です。

通所できない場合でも、学校外のフリースクールや、ITを活用した学習についても、年間50日以内であれば、校長判断で出席扱いとすることが可能です。

2. 経済的な負担を軽減する奨学金・就学支援金

通信制高校や私立高校へ進学する場合、経済的な負担が増える可能性がありますが、公的な就学支援金や奨学金は、不登校の経験とは関係なく利用できます。

  • 高等学校等就学支援金制度:国が授業料の一部または全部を支援する制度で、公立・私立、通信制、定時制のすべての高校が対象です(所得制限あり)。
  • 奨学金制度:高校の授業料や教材費に利用できる各自治体の奨学金や、大学・専門学校進学時に利用する日本学生支援機構(JASSO)の奨学金があります。

特に通信制高校の場合、就学支援金制度を活用することで、実質的な学費負担が大幅に軽減されるケースが多くあります。

3. 進路と就労を見据えた相談窓口

不登校の生徒が進路を決める際は、中学校の先生だけではなく、様々な専門家が関わる多角的な視点が必要です。

  • 発達障害者支援センター:不登校の背景にある障害特性(ASD、ADHDなど)について、専門的な助言進学先の支援体制に関する情報提供を受ける。
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ):高校卒業後や大学進学後の就職活動や生活との両立に関する相談ができ、早期からキャリア形成を意識したアドバイスを受けられる。

これらの専門機関を活用することで、進学後の生活や就労までを見据えた、切れ目のない支援を計画することができます。

✅ 成功のコツ

不登校期間に「個別の教育支援計画」を作成し、フリースクールや自宅学習での活動内容(読書、プログラミング学習、資格取得など)を詳細に記録しておきましょう。この記録は、高校入試の面接時のアピールポイントや、進学先の合理的配慮申請の貴重な根拠資料となります。


不登校からの進学を成功させるための具体的な戦略

不登校を経験した子どもが、新しい進路で自信を持ってスタートを切るためには、進路選択と準備において、戦略的なアプローチが必要です。特に「情報戦」と「再発防止」が鍵となります。

1. 進学先の「特別支援体制」を徹底的に調べる

不登校経験者や発達障害の特性を持つ子どもが失敗なく進学するためには、学校のウェブサイトの情報だけでなく、実際に学校の支援体制を深く調べることが不可欠です。

  1. 支援室の訪問:通信制高校や大学の「特別支援室」に必ずアポイントを取り、支援員の数、具体的な配慮実績、在籍している生徒の雰囲気などを直接確認する。
  2. 「通学頻度」の確認:通信制高校の場合、年に数回のスクーリングが必須ですが、「代替レポート」や「オンライン受講」などで登校回数を減らせるかを確認する。
  3. 再発防止策:入学後に不登校になりかけた場合の「エスケープルーム(安心できる場所)」「休学・復学のルール」が明確に整備されているかを確認する。

特に私立の通信制高校は、学校によって支援の質に大きな差があります。複数校を比較検討し、お子さんに最も合う場所を見つけましょう。

2. 学びのブランクを埋める「リハビリ」学習

不登校期間が長かった場合、学習内容の遅れ(ブランク)への不安が進学への足かせとなることがあります。しかし、高校の基礎から学び直すためのツールは豊富にあります。

  • 適応指導教室での学習:中学校の内容を個別指導で復習できる。
  • オンライン教材の活用:自分のペースで何度でも反復学習ができるスタディサプリなどのオンライン学習ツールを活用する。
  • 福祉サービスの活用:自立訓練(生活訓練)の事業所の中には、学習習慣の形成や、進学準備に特化したプログラムを提供している場所もあります。

重要なのは、一度に多くを詰め込まず「毎日30分、机に向かう」といった習慣化から始めることです。

3. 入試での「合理的配慮」と面接での伝え方

高校入試において、特性による困難がある場合は、合理的配慮を申請できます。また、面接では、不登校期間をネガティブに捉えない伝え方が重要です。

入試での合理的配慮(例)

  • 別室受験:集団での試験が困難な場合、静かな別室での受験を許可してもらう。
  • 休憩時間の確保:発達障害や病弱などにより集中が続かない場合、休憩時間を確保してもらう。

面接でのアピールポイント

  • 自己理解:「学校に行けなかったのは、自分の感覚過敏が原因だと理解しました」と、不登校の原因を自己分析できたことを伝える。
  • 次の目標:「ブランク期間にプログラミングの学習を進めたので、この高校のITコースでそれを活かしたい」と、具体的な目標を伝える。

「休んでいた期間も無駄ではなかった」という、前向きな成長を伝えることが、面接官の共感を呼びます。

⚠️ 注意

不登校や障害特性を理由に、進学を諦めさせるような発言を中学校の先生から受けた場合は、必ず教育委員会やスクールソーシャルワーカーなどの第三者機関に相談しましょう。すべての子どもには学ぶ権利があります。


よくある質問(FAQ)と親の具体的なサポート術

不登校の子どもの進学に関して、保護者が抱きがちな疑問と、親としてできる最も重要なサポートについて解説します。

Q1. 不登校期間が長すぎると、もう大学受験は無理ですか?

A. 全く無理ではありません。不登校期間が長かった場合でも、通信制高校や高卒認定を経て、自分のペースで基礎学力を再構築することは十分に可能です。その後、浪人期間を設けて大学受験に集中したり、AO入試や推薦入試といった多様な選抜方法を活用することもできます。

重要なのは、高校卒業後すぐに大学へ行かなければならないという固定観念を捨てることです。例えば、一度就労移行支援や自立訓練などの福祉サービスを挟み、社会性を養ってから大学進学を目指すルートもあります。

Q2. 進学先で再び不登校になるのが怖いです。再発防止策は?

A. 不登校経験がある子どもにとって、再発の不安はつきものです。再発防止のためには、親が先回りして環境を整えることが大切です。

  • 親の学校との連携:入学直後に担任や支援室の担当者と面談し、「不登校になりかけた時のサイン」を共有しておく。
  • 早期の休憩:少しでも「登校したくない」「体調が悪い」というサインが出たら、すぐに休ませる柔軟性を持つ。
  • 福祉サービスの併用:生活リズムの維持や、学校以外の居場所・活動を確保するために、放課後等デイサービス(18歳まで)や自立訓練などの福祉サービスを継続的に利用する。

Q3. 親として「勉強しなさい」と言わない以外に、何ができますか?

A. 「勉強しなさい」と言う代わりに、「安心できる環境の提供」と「興味の種まき」に集中しましょう。

  • 情報収集と提示:親が進路の選択肢や支援制度を調べ、「こんな選択肢もあるよ」中立的な情報として提示し、決定権は子ども自身に持たせる。
  • 興味の追求をサポート:子どもが興味を持ったこと(ゲーム、イラスト、動画制作など)を思い切りやらせる環境を提供する。これが将来の進路や職業に繋がる可能性は十分にあります。

最も大切なのは、お子さんが安心して失敗できる場所として、家庭が機能し続けることです。

相談窓口・参考リンク

不登校からの進学に関する具体的な相談は、以下の窓口を活用してください。

  • 中学校の進路指導担当・特別支援教育コーディネーター:内申点や出席日数の扱い公立高校の特例選抜に関する情報提供を受けられます。
  • お住まいの地域の教育支援センター(適応指導教室):居場所と学習サポートの提供、進路相談が可能です。
  • 発達障害者支援センター:不登校の背景にある特性に応じた進路を専門的に助言してくれます。
  • NPO法人やフリースクール:不登校専門の進学相談高卒認定試験対策を行っている団体が多くあります。


まとめ

不登校の経験は、決して進学を諦める理由にはなりません。現在の教育制度には、通信制高校、定時制高校、高卒認定試験といった、学びのブランクや特性に合わせた柔軟な選択肢が豊富に用意されています。

保護者は、まず子どもの心身の回復を最優先し、内申点への不安を解消するための出席扱い制度多様な評価方法の情報を収集しましょう。そして、進学先の特別支援体制を徹底的に調査し、福祉サービスや専門機関と連携することで、お子さんが安心して学びを再スタートできる環境を整えていきましょう。

まとめ

  • 不登校は「回復のプロセス」と捉え、心身の健康を最優先し、焦らず進路選択を進める。
  • 進学の選択肢は通信制高校、定時制高校、高卒認定など多様であり、特に特性に合った支援体制を最優先して選ぶ。
  • 中学校の出席扱い制度公的な経済支援、発達障害者支援センターを積極的に活用し、進学後の再発防止策まで見据えて準備する。

菅原 聡

菅原 聡

すがわら さとし38
デスク📚 実務経験 12
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士

就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。

大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ランニング、ビジネス書を読むこと

🔍 最近気になっているテーマ

リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用

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