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ひとり親でもできる進学サポート|制度と工夫

📖 約44✍️ 菅原 聡
ひとり親でもできる進学サポート|制度と工夫
ひとり親家庭が障害のあるお子さんの進学をサポートするための具体的な制度と工夫を解説します。経済的な不安に対しては、「高等教育の修学支援新制度」や、20歳まで延長される「児童扶養手当・特別児童扶養手当」の活用を提案。また、限られた時間の中で進学準備を効率化するため、高校の先生や相談支援専門員への代理依頼、学校見学のオンライン化といった実践的な工夫を紹介します。親の生活基盤を守るための就労支援制度や、福祉サービス(レスパイトケア、移動支援)の利用法も詳説。すべてを一人で抱え込まず、社会の支援を賢く活用する道筋を示します。

ひとり親でもできる!障害のあるお子さんの進学を支える経済・生活サポート制度と工夫

シングルマザー・シングルファザーとして、障害のあるお子さんを育てながら、その進学をサポートすることは、喜びとともに大きな負担と不安を伴います。「経済的に進学させてあげられるだろうか?」「仕事と、子どもの進学準備や通院・相談の両立はできるのだろうか?」といった悩みは尽きないことでしょう。

特に、障害特性に応じた学校選び、合理的配慮の申請、そして将来の就職までを見据えた準備は、時間と労力がかかります。しかし、ご安心ください。ひとり親家庭を対象とした手厚い経済的支援制度や、障害のあるお子さん向けの専門的なサポートを組み合わせることで、不安を乗り越えて進学を実現することは十分に可能です。

この記事では、ひとり親が活用すべき国の経済支援制度と、障害特性に応じた進学・生活サポートを効率的に行うための具体的な工夫を詳細に解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、経済的な見通しを立て、一人で抱え込まずに社会の支援を活用しながら、お子さんの進学の夢を応援するための確かな道筋が得られます。共に、希望に満ちた未来への準備を始めましょう。


経済的な不安を解消する:ひとり親家庭向けの公的支援制度

ひとり親家庭が障害のあるお子さんの進学をサポートする上で、最大のハードルとなりがちなのが「経済的な負担」です。国や自治体が提供する給付金、貸付制度、そして学費減免制度を最大限に活用することが、進学を諦めないための第一歩です。

1. 高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金と授業料減免)

大学や専門学校などへの進学において、経済的に最も大きな支えとなるのがこの制度です。これは「授業料・入学金の免除または減額」と、「返済不要の給付型奨学金」がセットになった制度で、ひとり親家庭は、経済的な要件を満たしやすくなる場合があります。

  • 対象:住民税非課税世帯など、世帯収入の要件を満たす学生。ひとり親世帯は、世帯収入の算定基準が優遇されることがあります。
  • 支援額:世帯収入や進学先の学校の種類(国公立・私立、自宅通学・自宅外通学)に応じて、支援の区分(第I区分〜第III区分)が決定されます。

高校在学中の早い時期(高校3年生の春)に、高校を通じて「予約採用」の手続きを行うことが重要です。

2. 児童扶養手当と特別児童扶養手当の継続

ひとり親家庭が受給できる「児童扶養手当」は、原則として子どもが18歳になった年度末までですが、障害のあるお子さんの場合は、20歳になるまで手当が支給されます。また、障害の程度に応じて支給される「特別児童扶養手当」も重要な収入源です。

  • 児童扶養手当:お子さんが中程度以上の障害(身体障害者手帳の1〜3級程度、療育手帳A程度)を持つ場合、20歳まで受給可能。
  • 特別児童扶養手当:20歳未満で、精神または身体に政令で定める程度の障害がある子どもを養育している場合に支給されます。

これらの手当は、進学後の学費や生活費を支える上で、安定した基盤となります。受給資格の有無を再度確認し、必要に応じて更新手続きを行いましょう。

3. ひとり親を対象とした各種貸付・給付制度

地方自治体では、ひとり親家庭を対象とした独自の資金貸付や給付制度を設けている場合があります。特に進学に必要な費用(受験料、入学金、教材費など)をカバーするために活用できます。

  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金:自治体を通じて申請できる貸付制度で、「修学資金」「修学支度資金」など、進学に特化した資金を比較的低利または無利子で借り入れられます。
  • 自治体独自の給付金:生活保護世帯や低所得世帯を対象とした入学準備金や受験料補助などがあるか、お住まいの市町村の福祉窓口に確認しましょう。

これらの制度は複雑であるため、市町村の福祉担当窓口や、ひとり親家庭支援センターといった専門機関で、早めに相談することをお勧めします。

💡 ポイント

ひとり親家庭が奨学金や減免制度を申請する際、世帯収入の基準が緩和されるケースが多くあります。諦めずに、日本学生支援機構(JASSO)や高校の進路指導室に、ひとり親であることを明確に伝えて相談してください。


時間と労力を節約する:進学準備の効率化と外部リソースの活用

ひとり親の場合、仕事と家事、そして障害のあるお子さんのケアに加えて、進学準備というタスクが増えます。限られた時間と労力を効率的に使い、「ワンオペ」状態から脱却するための工夫と、外部リソースの活用が不可欠です。

1. 進路相談・学校見学の「代理人」活用とオンライン化

進学先の決定に必要な学校見学や、支援室との個別相談は、平日の日中に行われることが多く、仕事との両立が困難です。この負担を軽減するための工夫をしましょう。

  • 高校の先生の協力:高校の担任や特別支援教育コーディネーターに事情を伝え、支援室との面談や見学に代理で参加してもらい、情報を共有してもらう。
  • オンライン相談の活用:多くの大学や専門学校の支援室がオンラインでの個別相談に対応しています。夜間や休日など、柔軟な時間帯での相談が可能か交渉してみましょう。
  • 相談支援専門員の活用:お子さんが福祉サービス(例:自立訓練)を利用している場合、相談支援専門員に進路相談への同行や情報収集を依頼する。

2. 専門機関を活用した「合理的配慮」の申請サポート

大学等で合理的配慮を申請する手続きは、診断書、高校の意見書、配慮願など、多くの書類が必要で煩雑です。これを一人で抱え込まないことが大切です。

  • 発達障害者支援センター:進学後の支援の具体的内容について、専門的な見地から助言をもらい、申請書類作成のサポートを依頼する。
  • 高校の事務手続き:高校の進路指導室や事務室に、必要な書類の収集やコピーなどの手続きを代行してもらう。

特に、障害特性と必要な配慮を言語化する作業は、専門家の助言を得ることで、より説得力のある書類作成に繋がります。

3. 進学準備における子どもの「自律的な参加」を促す

親がすべてを管理するのではなく、進学準備の一部を子ども自身に任せることで、親の負担を減らすだけでなく、子どもの自立意識を高めることができます。

  • タスクの分担:「学校のホームページを調べて支援室の電話番号をメモする」「奨学金の説明会資料を読む」など、できるタスクを具体的に分担する。
  • 自己理解の促進:親が面談等で話す前に、子ども自身に「大学で困りそうなこと」や「必要な支援」をリストアップしてもらう。

✅ 成功のコツ

ひとり親の場合、仕事と介護・育児の両立に関する「家族の状況を説明する書類」を事前に作成しておくと、学校や支援室への理解を求めやすくなります。これにより、平日の日中以外の時間帯での対応優先的な配慮を引き出しやすくなる場合があります。


仕事と生活を守る:支援者が利用できる公的サポート

お子さんの進学をサポートし続けるためには、親自身が健康で、経済基盤が安定していることが不可欠です。進学準備期間中や入学後も、親の生活や就労を支えるための公的サポートを積極的に利用しましょう。

1. ひとり親家庭の「就労支援」と資格取得

ひとり親家庭を対象とした就労支援制度は、より安定した収入やキャリアアップを目指す親の再就職や資格取得をサポートします。

  • 自立支援教育訓練給付金:指定された教育訓練講座(医療事務、介護職員初任者研修など)を受講した際に、費用の最大60%が支給される制度。
  • 高等職業訓練促進給付金:看護師や介護福祉士など、就職に有利な資格を取得するために養成機関に通う期間中、生活費の一部が支給される制度。

これらの制度を活用することで、進学後の学費負担に備えるための収入増を目指すことができます。

2. 地域の福祉サービスによる「親の休息と代行」

障害のあるお子さんがいる場合、地域の福祉サービスを利用することで、親の介護・育児負担を軽減し、仕事や進学準備に集中できる時間を確保できます。

  • 居宅介護・重度訪問介護:自宅での身体介護や家事援助、外出時の移動サポートなどを支援員に依頼できます。
  • 短期入所(ショートステイ):親が体調を崩した際や、仕事でどうしても手が離せない期間に、一時的にお子さんを預けることができます。
  • 移動支援:通学・通院や、進学先の学校への見学・相談への同行サポートを依頼できます。

これらのサービスは、親の休息や自由な時間を確保するための「レスパイトケア」として非常に重要です。サービスの利用には相談支援専門員によるサービス等利用計画の作成が必要です。

3. ひとり親向けの「居場所・相談場所」の確保

精神的な負担を軽減するためには、悩みを共有できる場を持つことが大切です。地域の子ども家庭支援センターや、ひとり親家庭支援センターには、専門の相談員が常駐しており、進学や生活に関する総合的な相談が可能です。

また、同じ境遇の親同士が交流できるピアサポートグループに参加することで、精神的な孤立を防ぐことができます。

⚠️ 注意

就労支援制度や福祉サービスの多くは、所得制限資格要件が設けられています。必ず事前に、お住まいの自治体やハローワークで、最新の制度内容と利用条件を確認してください。


よくある質問(FAQ)と次の一歩の踏み出し方

ひとり親家庭で進学サポートを進める中で、保護者が抱きがちな疑問と、次の一歩のための具体的なアクションをまとめました。

Q1. 養育費が不安定な場合、奨学金の申請に影響しますか?

A. 奨学金や修学支援新制度の経済的要件の審査は、主に親権者(ひとり親)の所得に基づいて行われます。養育費は、所得とは別に「収入」として申告が必要ですが、不安定な場合や未払いの場合であっても、それが理由で制度の利用資格が失われることはありません。

重要なのは、現在の世帯の経済状況を正確に申告することです。養育費の支払い状況が不安定な場合は、その旨を家庭状況を説明する書類に記載し、審査機関(JASSOなど)に提出しましょう。

Q2. 遠方の大学への進学を希望していますが、一人暮らしのサポートはありますか?

A. 障害のある学生が遠方の大学に進学し、一人暮らし(または地域での生活)を始める場合、地域の福祉サービスを利用することができます。

  • 共同生活援助(グループホーム):夜間や休日の生活サポートを受けられる住居サービス。
  • 自立生活援助:定期的な訪問や連絡を通じて、体調管理や金銭管理の助言・サポートを行うサービス。

これらのサービスは、進学先の地域の市町村で申請が必要です。進学が決定したらすぐに、新しい地域の相談支援専門員を見つけて、サービス等利用計画の作成を開始しましょう。これが、親が物理的に離れていても、お子さんの生活を支える安心のセーフティネットとなります。

Q3. 仕事を休むことなく、進学準備を円滑に進めるための具体的な手順は?

A. 仕事を休まず進学準備を進めるためには、「高校の先生、相談支援専門員、子どもの3人チーム」でタスクを分担することです。

  1. 目標設定:子どもと将来の目標を具体的に設定し、必要な学校の種類を絞り込む。
  2. 情報収集の分担:先生に奨学金と受験配慮の情報を、子どもに学校のウェブサイトを、親は福祉サービスの情報を、それぞれ調べてもらう。
  3. 面談の代理:平日の面談は先生や支援員に情報収集の代理を依頼し、親は週末や夜間のオンライン相談に絞って参加する。

すべてを一人でやろうとせず、外部の専門家を積極的に頼ることが、ひとり親家庭での進学サポートの成功の鍵となります。

相談窓口・参考リンク

ひとり親家庭の進学・生活に関するご相談は、以下の窓口を積極的に活用してください。

  • お住まいの地域の福祉事務所・子育て支援課:児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付金、自治体独自の給付金などの公的支援窓口です。
  • ひとり親家庭支援センター:就労、生活、養育費に関する総合的な相談や、同じ境遇の親との交流の場を提供しています。
  • 日本学生支援機構(JASSO):奨学金、修学支援新制度に関する最新情報と手続きについて相談できます。
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ):進学後の就職活動や生活との両立に関する相談ができます。


まとめ

ひとり親家庭で障害のあるお子さんの進学を支えるには、経済的な課題と、時間・労力の課題という二つの大きな壁を乗り越える必要があります。しかし、高等教育の修学支援新制度、各種福祉手当といった公的制度を最大限に活用し、高校の先生、相談支援専門員、そして支援センターといった外部の専門的なリソースを積極的に頼ることで、その壁は必ず乗り越えられます。

大切なのは、親自身が孤立せず、仕事と生活の基盤を安定させることです。社会の支援を賢く活用し、お子さんの「学びたい」という夢を、自信を持って実現させてあげましょう。

まとめ

  • 経済的な不安は、高等教育の修学支援新制度障害者向けの福祉手当(20歳まで延長)を優先的に申請することで解消する。
  • 時間と労力の課題は、高校の先生や相談支援専門員による代理活動オンライン相談を活用し、親の負担を軽減する。
  • 親自身も就労支援制度レスパイトケア(福祉サービス)を利用し、仕事と生活の安定を最優先する。

菅原 聡

菅原 聡

すがわら さとし38
デスク📚 実務経験 12
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士

就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。

大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ランニング、ビジネス書を読むこと

🔍 最近気になっているテーマ

リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用

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