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障害者向け病院・診療所の選び方とチェックポイント

📖 約66✍️ 金子 匠
障害者向け病院・診療所の選び方とチェックポイント
障害のある方が安心して医療を受けるためには、病院・診療所の慎重な選択が必要です。チェックポイントは「アクセシビリティ」「医師の専門性・理解度」「医療連携体制」の三つです。車椅子利用者は多機能トイレやスロープなどの物理的バリアフリー、知的・発達障害のある方は待ち時間の配慮や静かな待機場所といった感覚的アクセシビリティを確認します。医師の専門性としては、障害特性への深い理解、わかりやすい説明、多剤服用チェックへの積極的な姿勢が重要です。また、鎮静下の検査や公費助成制度への協力体制も確認します。情報収集は相談支援専門員や保健師に頼り、初診前に電話で個別の配慮が可能か確認して、信頼できるかかりつけ医を決定しましょう。

🏥 障害のある方のための病院・診療所の選び方:安心・安全な医療のための10のチェックポイント

「うちの子の障害特性を理解してくれる病院が見つからない…」「車椅子での受診がスムーズにできるバリアフリーな施設はどこだろう?」「複数の疾患を抱えているが、連携して診てくれるかかりつけ医はいるだろうか?」

障害のある方にとって、病気や体調不良の際に安心して診察を受けられる病院・診療所(かかりつけ医)の選択は、生活の質(QOL)と健康維持の根幹に関わる、非常に重要なテーマです。一般的な医療機関では、障害特性への理解不足、コミュニケーションの困難、設備や環境の不備などから、受診そのものが大きなストレスとなり、必要な医療から遠ざかってしまうリスクがあります。

この記事では、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害など、様々な特性を持つ方が、継続的に質の高い医療を受けられるようにするための、病院・診療所の選び方と具体的なチェックポイントを徹底的に解説します。「アクセシビリティ」「医師の専門性」「医療連携体制」という三つの柱に基づき、失敗しない医療機関選びのための実践的なガイドラインを、全6000字以上の大ボリュームでお届けします。


✅ 1. 設備と環境のチェック:物理的・感覚的アクセシビリティ

病院を選ぶ上で最も基本的なチェックポイントは、施設がご本人の障害特性に対応できる環境にあるかどうかです。

チェックポイント①:物理的なバリアフリーと移動の容易さ

車椅子や歩行器を利用する方にとって、院内の移動のしやすさは必須条件です。

  • 駐車場・玄関:車椅子マークのついた専用駐車場があり、スロープや自動ドアでスムーズに玄関に入れるか。
  • 院内の通路・診察室:車椅子が無理なく通れる広い通路が確保され、診察室や検査室にもそのまま入れる十分なスペースがあるか。
  • **トイレ:手すり付きの多機能トイレ(多目的トイレ)**が設置されており、介助者が一緒に入れる広さがあるか。
  • **エレベーター:**階段しかない場合や、エレベーターが狭すぎる場合は、重度の身体障害者にとって受診が困難になります。

💡 事前確認の重要性

病院のホームページで「バリアフリー」と謳っていても、実際にはトイレが狭いなど不十分な場合があります。初診の前に、電話で確認するか、可能であれば見学に行くことを強く推奨します。

チェックポイント②:感覚的な配慮と待ち時間の工夫

知的障害や発達障害、精神障害のある方にとって、**「感覚過敏」「待ち時間の予測不能性」**は大きなストレス源となります。

  • 待ち時間の短縮・配慮:予約時に、障害特性を伝えた上で、「優先的な案内」や「順番が来るまで車で待機すること」を許可してもらえるか。
  • 環境の静けさ:待合室が混雑しすぎていないか、大きな音や強い光がないか。可能であれば、他の患者と離れた静かな待機スペースを提供してもらえるか。
  • **視覚的なわかりやすさ:**受付や診察室の表示が、絵文字やピクトグラムを使ってわかりやすく表示されているか。


🩺 2. 医師とスタッフの専門性・理解度のチェック

最も重要なのは、医師や看護師が、障害特性に対する専門的な知識と、個別的な配慮を行う意欲を持っているかどうかです。

チェックポイント③:障害特性への理解とコミュニケーション能力

医師がご本人の言葉だけでなく、非言語的なサインから体調不良を読み取ろうとする姿勢があるかを確認します。

  • **過去の診療経験:**その医療機関や医師が、類似の障害を持つ患者の診療経験が豊富にあるか(特に専門外来がない場合)。
  • **説明の工夫:**医師が、ご本人の理解力に合わせて、簡単な言葉、絵や図を用いて、病状や治療方針を丁寧に説明してくれるか。
  • スタッフの対応:看護師や受付スタッフが、落ち着いた、威圧的でない態度で接してくれるか。特に、注射や検査への抵抗がある場合の介助や声かけについて理解があるか。

チェックポイント④:多職種連携への意欲

障害のある方の支援は、医療だけで完結しません。医師が、福祉サービスや他の専門家との連携に積極的であるかをチェックします。

  • 情報共有への協力:福祉サービスのサービス等利用計画や、相談支援専門員との情報共有に協力してくれるか。
  • 多剤服用(ポリファーマシー)への対応:複数の薬を服用している場合、かかりつけ薬剤師や訪問看護師と連携して、薬の飲み合わせや副作用をチェックし、減薬の努力をしてくれるか。
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)の有無:病院にMSWが配置されているか。MSWは、医療と福祉の橋渡し役として、公費負担制度の申請や退院後の生活調整をサポートしてくれます。

チェックポイント⑤:検査・処置時の特別な配慮

採血や点滴、歯科治療など、身体に接触する処置は、強い抵抗やパニックを引き起こす場合があります。

  • 鎮静・麻酔の検討:抵抗が強く、安全な検査・処置が難しい場合、笑気ガスや鎮静剤の使用、あるいは全身麻酔下での検査を検討してくれる体制があるか。
  • **事前の訓練:注射や検査の手順を絵カード(ソーシャルストーリー)**などで事前に説明し、恐怖心を和らげる訓練に協力してくれるか。
  • 介助者の同席:ご家族や支援員の診察室・検査室への同席を許可し、ご本人の安心感を確保してくれるか。


🔍 3. 医療連携と専門分野のチェック

複数の健康課題を抱える障害のある方にとって、医療機関が持つ専門性と、他の医療機関との連携体制は非常に重要です。

チェックポイント⑥:専門外来や障害者歯科の有無

専門的な知識が必要な分野において、障害のある方を専門的に診る体制があるかを確認します。

  • **障害者歯科:**知的障害、自閉スペクトラム症、重度の身体障害などにより、一般の歯科診療所での治療が難しい方向けに、鎮静や全身麻酔を用いて、安全な治療を行う専門の歯科医療機関です。
  • **発達外来・心身症外来:**発達障害や精神障害を持つ方が、身体的な疾患や不眠、摂食障害などを併発している場合、専門的な視点で心身両面を診てくれる外来の有無。
  • **リハビリテーション科:**身体機能の維持・改善のため、継続的なリハビリテーションを専門的に行える体制があるか。

チェックポイント⑦:かかりつけ医と専門病院の連携体制

普段の風邪や慢性疾患はかかりつけ医で、専門的な治療や検査は専門病院で行うという**「病診連携」**がスムーズに行われているかを確認します。

  • **紹介状の作成:**かかりつけ医が、紹介状に障害特性やこれまでの配慮事項を詳細に記載し、紹介先の病院にスムーズに情報が伝わるように協力してくれるか。
  • **逆紹介の受け入れ:**専門病院での治療が終わった後、かかりつけ医が経過観察をしっかりと受け入れてくれる体制にあるか。

🚨 連携体制の確認

「うちは高度な医療はできないので、何かあったら大きな病院へ」と突き放すのではなく、「この地域のこの病院とは連携しているので、必要があれば紹介します」と具体的な連携先を明示してくれる医師を選ぶべきです。


💰 4. 費用と制度活用のチェック

医療費の負担や、公的制度の活用に対する理解も、病院選びの重要な要素です。

チェックポイント⑧:公費負担医療制度への理解と協力

病院が、障害のある方が利用できる医療費助成制度を正しく理解し、申請に協力してくれるかを確認します。

  • 主な助成制度:****重度心身障害者医療費助成、自立支援医療制度(精神通院医療、更生医療)、指定難病医療費助成など。
  • 診断書作成への協力:これらの制度を利用するための診断書や意見書の作成に、迅速かつ正確に協力してくれるか。
  • **限度額適用認定証の扱い:**高額な治療が必要になった際、限度額適用認定証を適切に扱ってくれるか。

チェックポイント⑨:院外薬局との連携

病院内で薬をもらう院内処方だけでなく、院外処方の場合、近隣の薬局(かかりつけ薬剤師)と連携して服薬支援を行ってくれる体制があるかを確認します。

  • **連携体制:**医師が、かかりつけ薬剤師制度を推奨し、薬の飲み合わせや副作用チェックを薬剤師に積極的に任せてくれるか。
  • 一包化への協力:多剤服用の場合、飲み間違いを防ぐための一包化を指示書に含めてくれるか。


📅 5. 情報収集と最終決定のためのアクションプラン

これらのチェックポイントを基に、どのように病院を選び、最終的に決定すべきか、具体的なアクションプランを提示します。

情報収集の方法

  1. 相談支援専門員・保健師に尋ねる:地域の相談支援専門員保健センターの保健師は、障害特性を理解している病院の情報を多く持っています。最も信頼できる情報源です。
  2. **支援者・家族の口コミ:**同じ障害を持つ方や、福祉サービスの支援員から、実際の受診体験に基づいた情報を収集します。
  3. 病院のホームページを確認:「アクセスマップ」「診療案内」「設備情報」などで、バリアフリーや専門外来の有無をチェックします。

最終決定のためのステップ

  1. **電話で質問:候補の病院に電話し、「車椅子で受診したいが、トイレは広いか」「発達障害があるが、待ち時間の配慮は可能か」**など、クリティカルな質問をしてみます。このときの受付や看護師の対応で、院内の理解度を推し量ることができます。
  2. **初診時の評価:**実際に初診で受診し、上記のチェックポイントを全て評価します。医師の説明のわかりやすさ、スタッフの態度、待ち時間の長さなどを記録に残します。
  3. **かかりつけ医の決定:評価が高く、「安心して継続的に相談できる」**と感じた医師をかかりつけ医として決定し、他の医療機関で得た情報(検査結果、常用薬)を共有します。

病院選びは、**「相性」も大切です。全てのチェックポイントを満たさなくても、「この先生なら信頼できる」**という要素があれば、それは良い選択肢となります。安心できる医療体制を築き、健康維持に努めましょう。


まとめ

  • 病院選びは、①アクセシビリティ、②専門性・理解度、③連携体制の三つの柱で評価する。
  • 物理的なバリアフリー(多機能トイレ、スロープ)に加え、知的・発達障害のある方のために待ち時間の配慮、静かな待機スペースといった感覚的アクセシビリティの確認が不可欠である。
  • 医師が、障害特性を理解し、簡単な言葉で説明してくれるか、また、多剤服用チェックや公費助成制度への協力意欲があるかをチェックする。
  • 検査や処置に抵抗がある場合、鎮静下の検査や、麻酔テープの使用など、特別な配慮を検討してくれる体制があるかを確認する。
  • 情報収集は、相談支援専門員や地域の保健師からの口コミが最も信頼性が高い。初診前に電話で具体的な配慮が可能か確認し、最終的なかかりつけ医を決定する。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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