面接でよく聞かれる質問と回答例|障害者雇用向け

「面接で自分の障害について、どこまで、どう伝えれば良いのだろう?」「ブランク期間を正直に話したら不利になるのではないか?」と、障害者雇用の面接を前に、多くの不安を抱えているのではないでしょうか。
障害者雇用の面接は、あなたのスキルや経験を問うだけでなく、「自己理解の深さ」と「安定就労への意欲」を測る場でもあります。企業は、あなたが自分の障害特性を理解し、その上で必要な配慮を明確に伝えられるかどうかを最も重視します。
この記事では、障害者雇用で頻出する5つの重要質問カテゴリーに対し、採用担当者にポジティブな印象を与えるための具体的な「回答の構成」と「模範回答例」を徹底解説します。特に、ネガティブな情報を「克服のストーリー」として変換する技術に焦点を当てます。
この記事を読むことで、不安を自信に変え、あなたの能力と安定就労への熱意が面接官に正しく伝わるように、万全の準備を整えることができるでしょう。
カテゴリー1:障害に関する質問(自己理解と配慮)
この質問は、あなたの自己理解が深まっているか、そして必要な配慮が合理的で実現可能かを確認するための、最も重要な質問です。感情的にならず、客観的事実に基づいた論理的な説明を心がけましょう。
質問1:あなたの障害の状況と、業務に影響する特性を教えてください。
【回答のポイント】
- 診断名・等級:簡潔に伝えます。
- 現在の状況:病状が最も重かった時期ではなく、「現在の安定度」に焦点を当てて伝える(例:現在は〇〇により安定している)。
- 業務への影響:ネガティブな影響だけでなく、「その影響に対して、あなたが行っている具体的な対策」をセットで伝えます。
模範回答例(精神障害・うつ病の場合)
「私は精神障害者手帳2級(うつ病)を所持しています。発症時は体調の波が激しく休職しましたが、現在は主治医の先生と相談しながら服薬を調整し、過去半年間は週5日の通所訓練を継続できており、体調は安定しています。」
「特性としては、急激な環境の変化や予期せぬ大きなストレスに弱い傾向があります。そのため、業務においては、体調の小さな変化を記録し、無理をしないよう自己管理を徹底しています。この自己管理能力は、安定した業務遂行に繋がると考えています。」
質問2:弊社で働く上で、具体的にどのような配慮が必要ですか?
【回答のポイント】
- 具体性:抽象的な要求(例:ストレスがかからないように)ではなく、誰が、いつ、何を、どのように行うかという行動レベルで具体的に伝えます。
- 貢献とのセット:その配慮が、「あなたの安定就労と、企業への貢献を可能にする条件である」という視点で伝えます。
模範回答例(発達障害・ADHDの場合)
「私の集中力と正確性を最大限に活かすため、以下の3点の合理的配慮をお願いできますでしょうか。」
- 業務指示:指示は口頭だけでなく、必ずメールまたはチャットで箇条書きにして文書化をお願いします。これにより、タスクの誤解をなくし、正確性を保てます。
- 勤務時間:定時で帰宅し、体力を温存したいため、残業は原則免除をお願いします。その分、勤務時間内は高い集中力をもって業務を完結させます。
- 環境:聴覚過敏があるため、業務中はノイズキャンセリングヘッドホンの使用を許可していただけると幸いです。
カテゴリー2:職務経歴とブランクに関する質問
ブランク期間は企業が最も懸念する点の一つです。この質問では、「過去の経験から何を学び、現在は就労への準備が整っているか」という、未来志向の姿勢を示すことが重要です。
質問3:ブランク期間(〇〇年~〇〇年)は何をされていましたか?
【回答のポイント】
- 前向きな理由:療養期間を単なる「空白」とせず、「回復のための必要な準備期間であった」と説明します。
- 現在の状態:現在は体調が安定し、就労への準備が整っているという「現在の事実」を強調します。
- 具体的な行動:療養期間に行った具体的な活動(就労移行支援、職業訓練、資格取得など)を挙げ、復職への意欲と努力をアピールします。
模範回答例
「20XX年から約2年間は、精神疾患の治療と療養に専念しておりました。この期間は、生活リズムを徹底的に整えることと、主治医と連携した服薬調整に注力しました。そして、直近の8ヶ月間は〇〇就労移行支援事業所に週5日通所し、PCスキルとビジネスマナーを再習得しました。」
「療養期間を経て、現在は主治医からも就労許可をいただいており、体調の安定性、自己管理能力ともに、継続して貴社で働く準備が完了したと自負しております。」
質問4:短期間での離職が多いようですが、その理由を教えてください。
【回答のポイント】
- 原因分析:離職の原因を、「当時の自己理解の不足」や「必要な配慮の伝え方の未熟さ」といった、客観的な視点から分析します(他責にしない)。
- 克服と改善:過去の失敗から何を学び、「今回はその失敗を繰り返さないための具体的な対策(自己理解の深化、配慮の言語化など)」を講じているかを伝えます。
模範回答例
「前職では、マルチタスクや電話応対が多い部署に配属されましたが、当時は自分の発達障害特性への理解が浅く、必要な配慮をうまく伝えられず、業務負荷に耐えられなくなってしまいました。短期間での離職となり、大変申し訳ございません。」
「しかし、この失敗から自己理解の重要性を痛感し、現在は〇〇という専門機関で訓練を受け、自分の得意なことと必要な配慮を明確に言語化できるようになりました。貴社では、私の強みであるデータ入力と、文書による明確な指示という配慮のもと、長期的に貢献できると確信しております。」
カテゴリー3:仕事への意欲と貢献に関する質問
この質問は、あなたの働くモチベーションと、企業への貢献意欲を知るための質問です。単なる意欲論ではなく、あなたのスキルと企業のニーズを結びつけて具体的に答えましょう。
質問5:この仕事を通じて、どのように貢献していきたいですか?
【回答のポイント】
- 具体的な業務:応募職種の具体的な業務(例:データ入力、資料作成)に言及し、あなたの得意なスキルをどのように活かすかを伝えます。
- 企業への価値:あなたの貢献が、「企業全体の効率化や、一般社員のコア業務への集中」に繋がることを示します。
模範回答例
「私は、就労移行支援の訓練を通じて、Excelでのデータ処理や、資料作成の正確性において高い評価をいただいております。このスキルを活かし、まずは貴社の経理部門で、経費精算データの入力やチェック業務を、ミスなく迅速に遂行することで貢献したいと考えています。」
「私の安定したルーティンワークへの集中力が、一般社員の方がより専門性の高いコア業務に集中できる土台を作り、貴社全体の生産性向上に繋がるよう、努力してまいります。」
質問6:体力的な不安はないですか?長く働けますか?
【回答のポイント】
- 現在の事実:「体力的に問題ない」と断言します。
- 根拠:その断言を裏付ける具体的な事実やデータ(例:通所実績、主治医の許可、自己管理の工夫)を提示します。
模範回答例
「体力的な不安はございません。現在は、就労移行支援事業所に週5日、9時から17時までフルタイムで通所し、体調の安定と業務遂行に必要な体力を確保しています。また、通勤ラッシュを避けた時差出勤(〇〇時始業)の配慮をいただければ、より万全の体調で業務に臨めます。」
「過去の失敗から、体調管理こそが安定就労の鍵であると理解しており、今後も主治医の定期的な診察を受けながら、自己管理を徹底することで、貴社に長期的に貢献したいと強く思っています。」
カテゴリー4:職場環境とキャリアに関する質問
この質問は、あなたがこの会社や職場で働くことへの「適応力」と「長期的な視点」を持っているかを確認します。
質問7:チームで働くことについて、どのように考えていますか?
【回答のポイント】
- 協力の姿勢:チームで働くことの重要性を理解していることを伝えます。
- 報連相の工夫:チームの中であなたが行う「報連相」の具体的な工夫や、チームに提供できる独自の価値(例:冷静な判断、正確性)を伝えます。
模範回答例
「私は、業務を円滑に進める上で、チーム連携が不可欠だと考えています。対人コミュニケーションでは、曖昧な指示を避ける配慮が必要ですが、その分、報連相は必ず文書で明確に行うように徹底します。」
「また、私は冷静に物事を分析する力がありますので、感情的な意見交換ではなく、客観的な事実に基づいた資料作成や、データ分析でチームをサポートする役割を担うことで、貢献していきたいと考えています。」
質問8:5年後、どのような自分になっていたいですか?
【回答のポイント】
- 安定性の強調:まずは、「安定して勤務を継続していること」が一番の目標であることを伝えます。
- 成長の意欲:その上で、応募職種に関連する具体的なスキルや知識を身につけたいという意欲を伝えます。
模範回答例
「私の5年後の最大の目標は、まず何よりも体調を安定させ、貴社の社員として継続して働き続けていることです。その上で、現在の事務サポート業務を通じて、ExcelのVBAやマクロといった知識を深め、経理部門の業務効率化に不可欠な存在となっていたいと考えています。」
「長期的な安定就労と、貴社への貢献を目指し、日々自己研鑽を積んでいきたいと思っています。」
まとめ
障害者雇用の面接対策は、「質問を予測し、論理的かつ前向きな回答を準備すること」に尽きます。特に、障害やブランクに関する質問は、ネガティブな情報を「自己理解の深さと克服のストーリー」として変換し、現在の安定性と貢献意欲を強調しましょう。
すべての回答に、「配慮の要求」と「企業への具体的な貢献」をセットで含めることが、採用を勝ち取るための最大の鍵となります。この記事の回答例を参考に、あなたの個性と強みが最大限に伝わるよう、面接の練習を積み重ねてください。
- 障害特性の質問には、「現在の安定」と「具体的な対策」をセットで伝える。
- ブランクは、「療養を経て、就労準備を完了した」という未来志向のストーリーで説明する。
- 配慮要求は、「貢献を可能にする条件」として、具体的かつ論理的に伝える。
- 面接の練習は、就労移行支援などの専門機関のスタッフと繰り返し行うことが重要である。

伊藤 真由美
(いとう まゆみ)33歳📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士
特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。
大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ハンドメイド、音楽鑑賞
🔍 最近気になっているテーマ
発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み





