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面接官が見ているポイントは?採用側の視点を解説

📖 約58✍️ 伊藤 真由美
面接官が見ているポイントは?採用側の視点を解説
就職面接に臨む障害者の方へ向け、採用担当者が何をチェックしているのかという「面接官の視点」を詳しく解説した記事です。最重視される「継続性」「自己理解」「社風とのマッチング」の3本柱から、第一印象を左右する非言語コミュニケーション、質問の裏にある意図までを網羅。最新雇用動向を踏まえ、失敗を強みに変える実例や、熱意を伝える逆質問のコツも紹介しています。面接を「裁かれる場」ではなく「対話とマッチングの場」として捉え直し、自信を持って臨むための具体的なアクションを提案します。

面接官の本音を知る——採用側の視点に立って不安を自信に変える方法

就職活動の面接を控えているとき、「自分はどのように評価されているのだろう」「どんな答えが正解なのだろう」と、出口の見えない迷路に入り込んだような気持ちになりませんか。障害のある方にとって、面接の場は自分の特性を伝えるプレッシャーもあり、緊張はなおさら強いものかと思います。

しかし、面接官はあなたを落とすために質問をしているわけではありません。企業側もまた、「一緒に長く働ける仲間」を真剣に探しています。面接官がどのような意図で質問を投げかけ、どのポイントをチェックしているのかという「採用側の視点」を理解すれば、あなたの準備はより具体的で、的確なものになります。2026年現在の雇用動向も踏まえ、面接の舞台裏を優しく解き明かしていきましょう。


面接官が最も重視する「3つの柱」

「安定して働けるか」という継続性

障害者雇用において、面接官が最も気にするポイントは、スキル以上に「長く安定して就業できるか」という点です。企業は、新しい方を一人採用するために、多大な時間とコストをかけています。そのため、採用した直後に体調を崩して離職してしまうことは、企業にとっても本人にとっても避けたい事態です。

具体的には、「自分の体調の波を把握しているか」「悪くなりそうなときに、自分で対処したり相談したりできるか」が見られています。面接で過去の離職理由を聞かれるのも、あなたの失敗を責めるためではなく、同じような状況になったときにどう対処するかを確認したいからです。安定した通院状況や、生活リズムが整っていることを具体的に伝えることが、最大の安心材料になります。

「自己理解」と「発信力」の深さ

自分の障害特性について、客観的に説明できるかどうかは非常に重要な指標です。面接官は、あなたがどれだけ自分のことを知っているかを見ています。例えば、「私は耳からの情報処理が苦手ですが、メモを取れば正確に業務をこなせます」といった「苦手と工夫」のセットで話せることが期待されています。

何もかも「できます」と言う必要はありません。むしろ、「これはできませんが、こうすればできます」という具体的な配慮の提案ができる人こそ、企業側は「受け入れの準備がしやすい」と評価します。自分自身のトリセツ(取扱説明書)を持っているかどうか、それが面接官の安心感に直結します。2026年現在、こうしたセルフマネジメント能力は最も高く評価されるスキルの一つです。

「企業文化」へのマッチング

どれほど能力が高くても、会社の雰囲気やチームの進め方に合わないと、お互いにストレスを感じてしまいます。面接官は、「この人はうちのスタッフとうまくやっていけそうか」「指示系統に従って動けそうか」といった相性をチェックしています。これは、障害の有無に関わらず、すべての採用活動において共通する視点です。

会社のホームページを見て、どのような価値観を大切にしている会社なのか、事前に調べておくことが大切です。挨拶がしっかりできるか、相手の話を最後まで聞けるかといった基本的なコミュニケーションが、このマッチングを判断する材料になります。不器用でも構いません。誠実に向き合おうとする姿勢が、「この人と一緒に働きたい」という面接官の直感を引き出すのです。

💡 ポイント

面接官は「完璧な人」を探しているのではなく、「一緒に課題を乗り越えていける誠実な人」を探しています。弱みを見せることを恐れず、正直に対話することが成功への近道です。


採用側がチェックする「非言語」のサイン

第一印象を決める清潔感とマナー

面接官は、ドアを開けてから最初の10秒で多くの情報を読み取ります。スーツのシワがないか、髪が整っているかといった清潔感は、「これから仕事に真面目に取り組む」という意思表示として受け取られます。言葉でどれほど熱意を語っても、身だしなみが乱れていると、その言葉の信憑性が薄れてしまいます。

また、挨拶の声の大きさや、丁寧な会釈も重要なポイントです。緊張して声が震えても問題ありません。「よろしくお願いします」という一言を相手の目(あるいはネクタイの結び目あたり)を見て伝えるだけで、面接官は「しっかりコミュニケーションを取ろうとしてくれている」とポジティブに捉えます。マナーは相手に対する敬意の表れであることを忘れないでください。

表情と「聞く姿勢」の重要性

自分が話しているとき以上に、面接官が話しているときの表情が見られています。面接官が説明をしているときに、小さく頷いたり、真剣な眼差しで聞いたりする姿勢は、「指示を正確に聞き取る力がある」と判断されます。逆に、視線が泳ぎすぎたり、無表情のままだったりすると、採用側は「こちらの意図が伝わっているだろうか」と不安になります。

緊張で顔が強張ってしまうときは、事前に「緊張しています」と伝えてしまうのも一つの手です。そうすることで自分自身の緊張もほぐれますし、面接官もフォローしやすくなります。「相手の話に耳を傾けている」という姿勢を意識するだけで、面接官との信頼関係が築きやすくなります。非言語のメッセージは、言葉以上にあなたの誠実さを伝えてくれます。

⚠️ 注意

オンライン面接の場合は、カメラ越しに相手を見るようにしましょう。画面内の面接官の顔ばかり見ていると、相手からは視線が下がっているように見えてしまいます。

時間厳守と準備のプロセス

面接時間に遅れないことは最低限のルールですが、面接官は「どのような準備をしてきたか」というプロセスも評価しています。例えば、カバンからサッとメモ帳を取り出す、履歴書に汚れがつかないようクリアファイルに入れているといった些細な行動から、仕事の丁寧さを推測します。

2026年現在の調査では、採用担当者の約70%が「準備の様子からその人の誠実さを判断する」と回答しています。忘れ物がないか、会場への経路を調べてあるか。こうした「当たり前の準備」をしっかり行うことが、面接官に「この人なら安心して仕事を任せられる」と思わせる強力な根拠になります。準備の丁寧さは、あなたのプロ意識そのものです。


質問の裏側に隠された面接官の意図

「これまでの経歴を教えてください」の狙い

この質問で面接官が知りたいのは、正確な年表ではありません。あなたが各環境でどのような役割を担い、どのような経験を積んできたかという一貫性です。また、空白期間がある場合でも、その期間にどのように体調を整えてきたか、あるいは就労移行支援事業所で何を学んできたかを知りたいと考えています。

採用側は、過去の事実よりも「現在、働ける状態にあるか」を重視しています。これまでの経験を振り返る際は、ポジティブな変化や、学んだ教訓を添えるようにしましょう。特に、失敗した経験から何を学び、今の工夫にどう繋げているかを話せると、面接官はあなたの「課題解決能力」を高く評価します。

「あなたの強みと弱みは何ですか?」の本音

「強み」については、その会社でどう活かせるかという再現性が見られています。「集中力が高い」という強みなら、それがデータ入力業務でどう役立つかをセットで話しましょう。一方で「弱み」を聞くのは、あなたの欠点を探すためではありません。自分の弱みを認め、周囲に助けを求められる「自己開示能力」があるかを確認しています。

「弱みはありません」と答えるのは、採用側からすると最も不安な回答です。なぜなら、入社後に問題が起きたとき、隠してしまうリスクがあるからです。自分の弱みを正直に伝え、それに対して「〇〇という対策をしています」と付け加えることが、面接官に対する最大の信頼アピールになります。弱みは、対策とセットにすることで信頼の種に変わります。

「何か質問はありますか?」に込められた期待

逆質問は、あなたの熱意と自発性を測る絶好のチャンスです。「特にありません」という回答は、面接官に「うちにあまり興味がないのかな」という印象を与えかねません。入社後の具体的な働き方をイメージした質問を準備しておきましょう。例えば、「入社までに勉強しておくべきことはありますか?」といった質問です。

また、「自分の特性について、現場の方にはどのように共有されますか?」といった、自分自身の働きやすさに関する質問も歓迎されます。こうした質問は、あなたが自分の障害と向き合い、長く働くために必要な環境を自ら整えようとしている姿勢として評価されます。質問を準備してくること自体が、面接官へのポジティブなメッセージになります。

よくある質問 面接官が見ているポイント 評価される回答のコツ
志望動機 本気度、会社への理解度 「なぜ他の会社ではなく、ここなのか」を具体化する
障害の状況 自己理解、配慮の必要性 「何が苦手で、どう配慮すればできるか」を論理的に話す
退職理由 ストレス耐性、再発防止策 他人のせいにせず、自分の工夫や変化を強調する
将来の目標 定着意欲、キャリア観 会社で長く活躍し続けたいという意思を伝える


実例:面接官の心を動かした「納得」の対応

自分の失敗を「学びに変えた」Bさんの話

精神障害を持つBさんは、前職を短期間で離職した経験がありました。面接官からその理由を問われた際、Bさんはこう答えました。「前職では、自分の体調が悪化していることに気づけず、一人で抱え込んでしまいました。その反省を活かし、現在は毎日体調を数値化して記録し、悪化の兆候があればすぐに周囲に相談する練習を積んできました」。

この回答を聞いた面接官は、Bさんの「誠実さと成長」に感銘を受けました。過去の失敗を隠すのではなく、それを糧にして具体的な対策を講じている姿に、長期就業の可能性を見出したのです。離職歴を不安に思っていたBさんですが、その経験こそが、彼が自分の体調管理にプロフェッショナルであることの証明になりました。失敗は、語り方次第で強力な武器になります。

「できない」を「工夫」に変えたCさんの事例

発達障害(ADHD)特性のあるCさんは、面接で「マルチタスクが苦手であること」を正直に伝えました。しかし、それだけでは終わりませんでした。Cさんは自作のメモ帳を取り出し、「このように色分けして優先順位をつける習慣をつけています。指示を一つずつ、テキストでいただければ、正確に完遂できます」と実演を交えて説明したのです。

面接官は、Cさんの「具体的な提案」に安心しました。「できない」という報告だけでなく、どうすれば「できる」のかという解決策を提示したことで、企業側も受け入れ後のイメージを明確に持つことができたからです。Cさんは結果として、その事務職に見事採用されました。面接官が求めていたのは、「完璧にできること」ではなく、「どうサポートすれば能力を発揮してくれるか」という情報だったのです。

✅ 成功のコツ

「自分を良く見せよう」とするのではなく、「自分を正しく知ってもらおう」というスタンスで臨みましょう。正しい理解こそが、入社後の幸せな働き方を支えます。

「企業研究」を言葉にしたDさんの熱意

知的障害のあるDさんは、面接を受ける会社の製品が大好きでした。面接中、彼は「こちらの製品の〇〇という部分がとても素敵だと思います。その製品を梱包する仕事に携われることが、私にとっての誇りです」と伝えました。この言葉には、マニュアル通りの志望動機にはない「本物の熱意」がこもっていました。

面接官は、「この人なら、単純作業に思える梱包業務にも、責任と誇りを持って取り組んでくれる」と確信しました。スキルの高さ以上に、会社の事業を心から応援しているという姿勢は、面接官の心を強く揺さぶります。企業のファンであることを伝えることは、最高の自己PRになります。あなたがその会社を選んだ理由を、自分の言葉で探してみてください。


面接官への「逆質問」で差をつける

入社意欲をアピールする質問

面接の終盤で「何かありますか」と聞かれたら、まずは意欲を伝える質問をしてみましょう。例えば、「もし採用いただけた場合、入社までに準備しておくべきスキルや知識はありますか?」といった問いです。これは、「合格したらすぐにでも役に立ちたい」という前向きな姿勢を面接官に印象づけます。

また、「同じ部署で活躍されている方は、どのような点に気をつけて仕事をされていますか?」という質問も有効です。仕事に対する真摯な姿勢が伝わりますし、自分が働く姿を面接官にイメージさせる効果があります。「入社後を具体的に想像している」という事実は、面接官にとって非常にポジティブな材料です。

働きやすさを確認する質問

長く働き続けるためには、自分が必要とする配慮が本当に受けられるかを確認することも大切です。「私の特性上、急な大きな音に驚いてしまうことがあるのですが、静かな場所で休憩を取ることは可能でしょうか?」といった具体的な確認をしましょう。これは、あなたが自分のケアを責任を持って行おうとしている証拠です。

採用側は、入社後に本人が困ってしまうことを一番心配しています。事前に懸念点を解消しようとする質問は、面接官にとっても「入社後のミスマッチを防ぐためのありがたい情報」になります。「自分の安定のために必要なことを確認する」のは、プロとして当然の権利であり、評価を下げることはありません。むしろ、自己管理能力が高いと評価されるポイントです。

会社の雰囲気や体制を知る質問

「チーム内でのコミュニケーションは、主にどのような形(対面、チャット、メールなど)で行われていますか?」という質問も良いでしょう。自分の得意なコミュニケーション手段と合っているかを確認できますし、仕事の進め方を理解しようとする熱意が伝わります。また、「障害者雇用で働いている方の定着率はどのくらいですか?」と聞くことも、真剣に長く働きたいという意思の表れとして受け取られます。

面接官は、あなたが「自発的に情報を集め、自分で納得して入社を決めようとしているか」を見ています。質問をメモしたノートを見ながら質問しても全く失礼ではありません。むしろ、「準備を怠らない人だ」と好意的に受け止められます。聞きたいことを整理して、面接の場を「自分も会社を選ぶ場」として活用しましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. 面接官が厳しい表情をしていると、不合格だと思ってしまいます。

面接官の表情が厳しいのは、あなたの評価とは関係ないことがほとんどです。面接官自身が「応募者の人生を左右する判断をしなければならない」と緊張していたり、集中して話を聞こうとして真剣な顔になっていたりするだけです。また、単に性格的に表情が硬い人もいます。相手の表情に一喜一憂せず、自分の伝えるべきことを淡々と伝えることに集中しましょう。厳しい顔をしていた面接官から合格通知が届くことは、非常によくある話です。

Q. 緊張で頭が真っ白になり、質問の答えを忘れてしまいました。

パニックになる必要はありません。素直に「申し訳ありません。緊張してしまい、質問を失念してしまいました。もう一度伺ってもよろしいでしょうか」と伝えましょう。あるいは「少し時間をいただけますか」と言って、深呼吸をしても構いません。面接官は、答えそのものと同じくらい、トラブルが起きたときのあなたの対応力を見ています。落ち着いて仕切り直す姿は、「仕事でミスをしたときも適切に報告できそうだな」という信頼に繋がります。

Q. 面接で嘘をついてでも、良く見せるべきでしょうか?

絶対に嘘をついてはいけません。特に体調や配慮に関することで嘘をつくと、入社後にあなたが一番苦しむことになります。面接官はプロですので、話の一貫性や表情から、取り繕った言葉を見抜くことも多いです。不器用でも、「現在の自分の真実」を伝えることが、結果としてあなたに合った職場への切符になります。不採用になったとしても、それはあなたの価値が否定されたのではなく、単に「その会社との相性が今は合わなかった」というだけのことです。誠実さが、最後の最後であなたを助けます。


まとめ

面接官が見ているのは、あなたの「完璧さ」ではなく、あなたの「誠実さ」と「可能性」です。採用側の視点を知ることで、面接という場が少しだけ身近に感じられたのではないでしょうか。面接官もまた、あなたという新しい個性が加わることで、会社がより良くなることを期待している「未来の仲間」なのです。

  • 「長く働ける安心感」を伝える:体調管理の工夫や安定した生活リズムを具体的に話しましょう。
  • 「自分のトリセツ」を用意する:苦手なことだけでなく、どうすれば解決できるかの提案をセットにしましょう。
  • 準備のプロセスを大切にする:身だしなみ、挨拶、企業研究といった準備が、あなたの自信を支えます。

まずは、今回学んだ「面接官の視点」を意識しながら、自分の強みと配慮事項をノートに書き出してみることから始めてみませんか。それは、面接の準備であると同時に、あなた自身が自分の価値を再発見する大切な時間になるはずです。あなたがあなたらしく、自信を持って面接の扉を叩けるよう、心から応援しています。

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

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💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

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