不採用が続くときに見直すべきポイント

「お祈りメール」に負けない——不採用が続くときに試してほしい視点の切り替えと改善術
就職活動を頑張っている中で、不採用の通知が重なると、まるで自分自身が否定されたような悲しい気持ちになってしまいますよね。「どこが悪かったんだろう」「自分は社会に必要とされていないのではないか」と、暗いトンネルの中にいるような不安を感じることもあるでしょう。特に障害がある中での就職活動は、周囲の理解や環境の調整も必要なため、心理的な負担も大きくなりがちです。
でも、安心してください。不採用が続くのは、あなたの価値が低いからではなく、単に「今のやり方」と「企業のニーズ」の間に小さなズレが生じているだけかもしれません。2026年現在の多様性を重視する雇用環境では、適切な対策を講じれば、必ずあなたに合う場所が見つかります。この記事では、不採用の連鎖を断ち切り、自信を持って次の一歩を踏み出すための具体的な見直しポイントを丁寧に解説していきます。
書類選考でつまずいているときの見直し方
自己分析と企業研究の精度を高める
書類選考を通過できない場合、まず疑うべきは「応募書類がどの企業にも送れるような内容になっていないか」という点です。企業は「なぜうちの会社なのか」という熱意を知りたがっています。自分の障害特性や強みを伝えるだけで終わらず、それが企業のどのような業務に役立つかという視点が欠けていると、面接官の目には止まりにくくなります。
2025年の採用動向データによると、応募先企業ごとに志望動機を細かく書き分けた応募者は、一律の内容を送った応募者に比べて書類通過率が約2倍高いという結果が出ています。企業のホームページを隅々まで読み込み、その会社の社風や大切にしている価値観を言葉に盛り込んでみましょう。相手の立場に立った書類作りが、最初のハードルを超える鍵となります。
「できること」を具体的に可視化する
障害者雇用の枠であっても、企業はボランティアではなく、共に働く「戦力」を探しています。履歴書や職務経歴書に「パソコンが得意です」と書くだけでは不十分です。「Wordでビジネス文書の作成ができる」「ExcelでVLOOKUP関数を使って集計ができる」といったように、具体的であればあるほど、企業側は配属後のイメージを持ちやすくなります。
もし実務経験が少ない場合は、就労移行支援事業所などでのトレーニング内容や、日々の生活で工夫していることを実績として記載しましょう。「毎日欠かさず決まった時間に事業所に通えた」という事実は、企業にとって「安定した勤怠」という非常に価値のある情報になります。自分の「当たり前」の中にある強みを、丁寧な言葉で拾い上げていきましょう。
💡 ポイント
支援機関のスタッフに、第三者の視点で書類を添削してもらいましょう。自分では気づかなかった「アピール不足」や「伝わりにくい表現」が見つかるはずです。
合理的配慮の伝え方を洗練させる
書類に記載する「配慮事項」が、単なる要望リストになっていませんか。「〇〇ができないので配慮してください」という書き方だけでは、企業側は「負担が重そうだ」と身構えてしまいます。大切なのは、「〇〇という配慮をいただければ、△△という業務を遂行できます」という「配慮と成果のセット」で伝えることです。
例えば、「聴覚過敏があるため、静かな席をお願いしたい」だけでなく、「静かな席であれば、集中して入力作業をミスなく進められます」と付け加えます。企業側は、配慮をすることでどのようなメリットが得られるかを知りたいのです。権利としての主張だけでなく、双方が働きやすくなるための「提案」としての配慮事項を練り直してみましょう。
面接で不採用になる場合の見直しポイント
第一印象とビジネスマナーの再確認
面接において、第一印象は数秒で決まると言われています。清潔感のある服装、適切な声の大きさ、入退室のマナーなどは、障害の有無に関わらず基本中の基本です。特に緊張しやすい特性がある方は、知らないうちに視線が泳いでしまったり、早口になったりすることがあります。これらは練習によって確実に改善できるポイントです。
ビデオ会議ツールなどを使って、自分の面接の様子を録画して見返してみるのも一つの方法です。客観的に自分を見ることで、「あ、ここはもう少しゆっくり話したほうがいいな」といった改善点が見えてきます。「相手に安心感を与える」という意識を持つだけで、面接官との距離はぐっと縮まります。自信のなさが態度に出ないよう、背筋を伸ばすことから始めてみましょう。
「障害の受容」と説明能力の向上
面接官は、あなたが自分の障害をどの程度理解し、管理できているか(セルフマネジメント)を注視しています。自分の障害について説明する際、悲観的になりすぎたり、逆に過小評価して「大丈夫です」とだけ言ってしまうのは避けましょう。現在の体調、通院頻度、疲れたときに出る症状、そしてその対処法を冷静に、かつ正確に話せるかどうかが問われます。
「私は自分の特性を理解しており、このようにコントロールしているので、仕事に支障は最小限です」と言い切れることが、企業側の「安心」に直結します。もし自分の説明に自信がない場合は、主治医や支援員と一緒に「障害特性の共通理解シート」などを作成し、それを面接の補助資料として提示するのも良いでしょう。準備の丁寧さが、あなたの誠実さを証明してくれます。
✅ 成功のコツ
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれたら、入社後の具体的な働き方を想像させる質問を用意しておきましょう。意欲が伝わりやすくなります。
「他責思考」から「自責思考」へのシフト
退職理由などを話す際、ついつい「前の会社が理解してくれなかった」「上司が厳しかった」といった環境のせいにする言葉が出ていませんか。事実であったとしても、面接官には「環境が変わればまた同じ不満を持つのではないか」という不安を与えてしまいます。過去の失敗を他人のせいにせず、それを踏まえて「次はどう工夫したいか」という未来の改善に繋げる姿勢が大切です。
「前職では環境が合わなかったのですが、その経験から自分には〇〇な配慮が必要だと分かりました」と、学びに変えて伝えましょう。困難を乗り越えようとする前向きな姿勢は、企業が最も求めているヒューマンスキルの一つです。ネガティブな過去を、現在への成長材料として語り直すことができれば、面接の評価は劇的に変わります。
応募先の選び方とターゲットの再構築
求人票の「裏側」を読み解く力
不採用が続く原因の一つに、自分の特性と企業の業務内容が根本的に合っていない「ミスマッチ」が考えられます。例えば、マルチタスクが苦手な特性があるのに、忙しい事務センターの求人に応募し続けていないでしょうか。求人票に書かれた「簡単な事務」という言葉が、実際には多岐にわたる臨機応変な対応を求めている場合もあります。
2026年の労働環境では、ジョブ・カービング(障害者に合わせて業務を切り出す手法)を取り入れている企業も増えています。「自分が100%会社に合わせる」のではなく、「自分の強みが活きる業務がメインの会社」をターゲットに選んでみましょう。求人票の文字情報だけでなく、エージェントや支援機関を通じて、現場の具体的な作業フローを確認することが大切です。
企業規模や業界の視野を広げる
誰もが知る大企業ばかりに応募していませんか。大企業は福利厚生が整っている反面、倍率が非常に高く、選考基準も厳格です。一方で、中小企業やベンチャー企業の中には、個々の事情に柔軟に対応してくれる場所も少なくありません。業界についても、「事務職」にこだわらず、軽作業、IT関連、清掃、サービス業など、自分の特性が活きる可能性を広く探ってみましょう。
例えば、集中力が高く正確な作業が得意なら、データエントリーや在庫管理などの分野で重宝されるかもしれません。「どこで働くか」よりも「どう働くか」に焦点を当ててみると、意外な適職が見つかることがあります。視野を広げることは、選択肢を増やすこと。自分を一つの型に当てはめず、可能性を信じてターゲットを再定義してみましょう。
| 企業タイプ | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 大企業 | 制度が整っており、前例が多い | 倍率が高く、選考プロセスが長い |
| 中小企業 | 柔軟な個別対応が期待できる | 担当者の理解度に差がある |
| 特例子会社 | 配慮が標準化されている | 業務内容が限定される場合がある |
ハローワーク以外のルートも活用する
求人サイト、就職エージェント、支援機関の独自ルートなど、応募の入り口は多様化しています。ハローワークだけで結果が出ない場合は、他のルートも積極的に試してみましょう。特に、障害者雇用に特化したエージェントを利用すると、あなたの特性をあらかじめ企業に説明した上で面談を設定してくれるため、情報のミスマッチを防ぎやすくなります。
また、企業が開催する会社説明会や、障害者向けの合同面接会も貴重なチャンスです。書類だけでは伝わらないあなたの雰囲気や熱意を直接届けることができます。入り口を変えるだけで、驚くほどスムーズに話が進むこともあります。一つの方法に固執せず、複数の網を張っておくことが、チャンスを掴むコツです。
精神的なコンディションを整えるセルフケア
「不採用=自分の全否定」ではない
最も大切な見直しポイントは、あなたの心の中にあります。不採用通知を受け取ったとき、「自分がダメなんだ」と責めないでください。採用は、企業のタイミング、予算、既存チームとのバランスなど、あなたの努力ではどうにもならない多くの要因で決まります。不採用は、単に「その時のその企業とは縁がなかった」というだけであり、あなたの人間としての価値とは無関係です。
就職活動は「椅子取りゲーム」のような側面もあります。たとえあなたが素晴らしくても、先に他の人が椅子に座ってしまうこともあります。落ち込んだときは、好きな趣味に没頭したり、ゆっくり休んだりして、まずは心のエネルギーを回復させましょう。心が疲れていると、良いパフォーマンスは発揮できません。自分を労わることも、就職活動の立派なタスクです。
「小さな成功体験」を積み重ねる
就職が決まるという大きな成功だけを追い求めると、それまでの過程がすべて苦痛になってしまいます。日々の生活の中で小さな目標を立て、それを達成した自分を褒めてあげましょう。「今日は求人を3つチェックした」「履歴書を1行書き直した」「支援員さんに電話した」。これらはすべて、あなたが一歩前に進んだ証です。
こうした小さな成功の積み重ねが、やがて大きな自信となり、面接での堂々とした態度に繋がります。2025年の心理学研究でも、自己効力感(自分はやればできるという感覚)が高いほど、就職活動の継続期間が長く、満足度の高い就職ができているという結果があります。自分で自分を応援する習慣を身につけましょう。
⚠️ 注意
「休むこと」に罪悪感を持たないでください。週に1日は就活のことを一切考えない完全休息日を設ける方が、結果的に効率が上がります。
第三者と「つらさ」を共有する
孤独な就職活動は、思考をネガティブな方向に偏らせてしまいます。家族、友人、支援員など、信頼できる誰かに今の気持ちを吐き出しましょう。愚痴でも不安でも構いません。誰かに聞いてもらうことで、心の中に溜まった澱(おり)が整理され、再び前を向く余裕が生まれます。一人で抱え込むことが、不採用によるダメージを最も深刻化させてしまいます。
また、同じように就職活動を頑張っている仲間との交流も力になります。就労移行支援事業所などのコミュニティでは、「自分だけじゃないんだ」と思える共感の輪が広がっています。励まし合い、情報を交換し合うことで、モチベーションを維持しやすくなります。周囲の支えを力に変えて、しなやかにこの時期を乗り越えていきましょう。
実例エピソード:不採用の壁を越えた人たち
事例1:配慮の「言い方」を変えて内定したKさん
発達障害(ASD)のKさんは、当初、不採用が15社も続いていました。Kさんは真面目すぎるあまり、配慮事項に「急な予定変更は一切受け入れられません」「曖昧な指示は理解できません」とはっきり書きすぎていました。これを見た企業側は「融通が利かないのでは」と敬遠していたのです。支援員と一緒に、表現を「マイルドかつ建設的」に書き直しました。
「急な変更にはパニックになる恐れがあるため、事前に5分でも共有の時間をいただけると落ち着いて対応できます」と変更したところ、次の面接で見事に内定。「自分の弱点をどうカバーしたいか」を伝えたことで、面接官はKさんの誠実さと向上心を評価してくれました。言葉の魔法で、壁を扉に変えた成功事例です。
事例2:ターゲットを中小企業に絞ったMさん
精神障害を持つMさんは、当初大手企業の特例子会社ばかりに応募していましたが、書類選考ですべて不採用。絶望していたMさんでしたが、支援員の提案で「地元のIT系中小企業」に目を向けました。その会社は障害者雇用の経験は少なかったものの、代表者が個々の個性を尊重する考え方の持ち主でした。Mさんの「コツコツとコードを書く能力」が社長の目に留まり、即決で採用されました。
大手のような手厚い制度はありませんでしたが、その分、Mさんの体調に合わせて「今日は午前中だけ」といった柔軟な働き方を相談しながら決めることができました。大手という「枠」にこだわらず、自分を必要としてくれる「人」を探したことが、Mさんの人生を好転させました。
事例3:不採用の理由を「ギフト」に変えたSさん
Sさんは不採用になるたびに、エージェントを通じて可能な限り「不採用の理由」をフィードバックしてもらいました。「話し方が一方的」「業務への理解が浅い」といった厳しい言葉もありましたが、Sさんはそれを自分への攻撃ではなく、成長のためのアドバイス(ギフト)として受け取りました。指摘された箇所を一つずつ模擬面接で修正していったのです。
20社目の面接で、面接官から「あなたの受け答えは非常に洗練されており、こちらの意図を正確に汲み取ってくれる」と絶賛されました。これまでの19社の不採用があったからこそ、Sさんのコミュニケーション能力はプロレベルまで磨かれていたのです。失敗を糧にし続けたSさんの執念が、最高の形で実を結びました。
よくある質問(FAQ)
Q. 不採用の理由を企業に直接聞いてもいいのでしょうか?
一般的に、個別の不採用理由を教えてくれる企業は少ないですが、聞いてはいけないというルールはありません。丁寧な言葉で「今後の成長の参考にさせていただきたいため、差し支えない範囲でアドバイスをいただけますでしょうか」と問い合わせてみるのは良いことです。もし返信があればラッキーですし、なくても「自分は前向きに学ぼうとした」と自分を誇りましょう。エージェントを介している場合は、より詳細な理由を教えてもらえる可能性が高まります。
Q. 30社、50社と不採用が続くのは異常ですか?
障害者雇用の市場では、数十社不採用になることは決して珍しいことではありません。2026年現在は求人数も増えていますが、一方で応募者のスキルも上がっており、マッチングの難易度は高いままです。大切なのは数に振り回されないことです。不採用が続いたときは、数よりも「一社ごとの丁寧さ」に立ち返りましょう。100社応募して1社自分に合う場所が見つかれば、それまでの不採用はすべて帳消しになります。
Q. 就職活動を一度休止してもいいのでしょうか?
もちろんです。不採用が続いて体調が悪化したり、うつ症状が出たりしている場合は、一時的な休止は「賢い選択」です。無理に続けて長期間動けなくなるよりは、1ヶ月休んでリフレッシュし、万全の状態で再開する方がゴールへの近道です。休止中は就労移行支援事業所の通所に専念したり、ボランティア活動をしたりして、「働くことへの心理的なハードル」を少しずつ下げていくのも効果的です。自分の体調を最優先に考えましょう。
まとめ
不採用通知は、決してあなたの人間性を否定するものではありません。それは、あなたにとっての「最高の職場」にたどり着くための過程にある、一つのチェックポイントに過ぎません。不採用が続いた今こそ、自分を責めるのをやめて、冷静に、そして温かく自分自身の活動を見つめ直してみましょう。
- 書類の「具体性」を上げる:企業のメリットを意識した書き方に変えましょう。
- 面接を「対話」に変える:障害特性をセルフマネジメントしている姿をアピールしましょう。
- ルートと視野を広げる:自分に合う場所は一つではないと信じて、色々な入り口を試しましょう。
まずは今日、自分の履歴書の志望動機を一箇所だけ、今の素直な気持ちで書き換えてみることから始めてみませんか。あるいは、支援員さんに「最近ちょっと辛いです」とメールを一通送るだけでも構いません。あなたのその小さな勇気が、不採用の連鎖を断ち切る大きなきっかけになります。あなたの良さを分かってくれる企業は必ずあります。諦めずに、でも休み休み、一歩ずつ進んでいきましょう。

菅原 聡
(すがわら さとし)38歳📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士
就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。
大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ランニング、ビジネス書を読むこと
🔍 最近気になっているテーマ
リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用





